透明でうす青緑

ねぇ、みて

きれい

君はガラスの破片を太陽にかざして、その世界を覗いていた。
下には砕けたガラスとグラニュー糖が散らばっていて、ひかりを反射させてキラキラ輝いていた。

お砂糖はね、甘いの。
でも、この、
お砂糖みたいになったガラスはね、
とっても鋭くて、うっかり触ると、

血が出るわ。

深刻な顔をしていうんだね。
君はいつだって遊んでいるようで
とても真剣だ。
そんな君だから、気に入っているんだけど

ここから覗くとね、
そこにあった色もぜんぶガラス色になるわ。
どんな色か知っている?

それは、透明なんじゃないのかい?

透明は透明でもね、ただの透明じゃないの。
よく見て、
すこぅしだけ、色が入っているのよ?
あなた、わかる?

ほら、もっと近くでよく見てったら。

君の頬がかすかに触れるか触れないかの近さで
そのガラスの破片から見える景色を一緒に覗そうとすると
フッと甘い香りが立ち、風が通った。

ガラスの破片はカランと音を立てて落下し、地面で砕けた。

あぁ、またか。

砕けたガラスもグラニュー糖も輝きを喪いゴミになってちり取の中へまとめられた。

もう

そうやって先へ行ってしまうんだから。



2016.3.10
柳 月花

#小説 #短編小説集 #バラバラのお話


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