見出し画像

EoRⅠの、ゲームを踏まえての感想(ネタばれ有)

1.はじめに


 ほぼゲーム勢(アニメはぱすてるらいふ込みで全部視聴済みだけどそこまで熱量はなくリアルライブもなし)からすると今回のRoselia映画化は素晴らしくいいものだった。逆に言うとゲームをやっていないと少しだけ映画の評価が落ちるかも。興奮が残っているうちにゲームと映画を比べながらいろいろと感想を残していこうと思う。

2.長めの前置き

 バンドリ ガールズバンドパーティー(以下ガルパ)というゲームは音ゲーでありながらアドベンチャーのジャンルが付いているくらいには読み物として非常に高い水準の出来をしており、サービス開始から一周年くらいの頃にはゲームの話がそのままアニメになればいいのになあとずっと思っていた(この頃はアニメ一期のみ)。

そんな中満を持して登場したのがこの二つの映画

BanG Dream! Episode of Roselia I:約束

BanG Dream! Episode of Roselia Ⅱ : Song I am.

 ゲームを遊んでいて且つ積極的にストーリーを追っている人ならば一発でわかるタイトル。映画の通称はEoR。この二つの発表当時本当に心の底から震えが止まらなかった。それもそのはずこれらのストーリーはゲーム内でも屈指の出来で、ガルパの中で何好きと聞かれたら真っ先にこれらが思いつく人が自分含め大多数だといっても過言ではないくらい。そして異色だった『イベストのみで構成された全3章の実質バンスト』だから記憶に残っている人も多いはず。

 ゲームを遊んでない人にはなんのこっちゃとなるかもしれないので簡単に説明すると、ガルパにはメインストーリー、バンドストーリー(バンスト)、イベントストーリー(イベスト)の三つがあり現在のガルパは

メインストーリー
 Poppin'PartyのVo戸山香澄が中心になって全バンド全キャラが色々な問題や課題に対して取り組んでいくお話(メインとはいいつつ結構空気2021.06現在)。
 2章まであり各20話前後、そこそこボリュームがある

バンドストーリー
 ゲームに登場するバンド毎に訪れるトラブルや壁をそれぞれのやり方で解決、成長していくお話。
Poppin'Party(0~3章)
Roselia(2021.06.27現在1章~2章、3章が来ることは確定している)Morfonica(1章のみ全20話)
RAISE A SUILEN(1章のみ全25話)
 上記以外は現在1~3章で1章が20話、2章以降が15話の構成。全体的にシリアスな内容も相まってゲームの中で一番読み応えがあり、ゲーム内のテキストを楽しんでいるユーザーはこれを待ち望んでいる人がほとんどであるほど
 現在ゲームでのメインコンテンツのひとつ

イベントストーリー
 大体一週間+αぐらいの期間で行われているイベントで音ゲーをプレイしてポイントを集めると読めるお話(後日ストーリーの解放石はもらえないが話は読めるようになる)。
 今のゲームを支えるメインコンテンツ。こちらはイベント毎に全キャラの中から5人選出されそこから話が展開されていく。同じバンドの5人だったりそうじゃなかったりである程度ルーティンみたいなものはある。のんびりした内容からかなりシリアスな内容まで幅広い作りになっていて今のところ例外なく全7話。短いながらもサービス開始から絶え間なくやっているので総合するとものすごい量になる

 これら三つのストーリーが現在ガルパを担っているわけだけれども、信じられないことにこれらはすべて時系列が繋がっていて二年越しに昔の話が掘り下げられたり……なんてのも結構ある、そしてサービス開始から今に至るまでほとんど矛盾等がないという徹底っぷり(一部炎上したもの等々あるが修正された)。制作スタッフのコメントによると年に何回か合宿を開いてストーリー会議をしているらしいのでその完成度の高さにも納得できる。

 ただバンスト、イベスト共に時系列は繋がっているものの前回の話を読んでいないと全くわからないという状況には陥らないよう完全に独立した作りになっている。

 なっていたのだが2019.6.11から始まったRoselia5人のイベント
『ノーブル・ローズ -花々を連れて-』
イベント開始前のお知らせを読んで驚愕した。そこには全3章の文字が。イベストなのにそのひとつで完結しないというゲーム始まって以来の試み。要は公開されるタイミングが決まっているバンストを例外的にRoseliaの分だけイベントの期間を使って追加で導入してきたということ。

 前置きが非常に長くなってしまったけど今回の映画はこのノーブルローズ(以下ノブロ)を題材にしたもの。ゲームでのノブロと映画のEoR比較しつつ感想を述べていこうと思う。

3.EoRⅠ感想

 ここからはネタバレ有り且つゲーム未プレイを置き去りにするのでいやならブラウザバックで、基本的にはゲームユーザー目線の感想なのでそういう見方をしてくれるといいかも。

 ゲームでのノブロはとにかく異色だった。オリジナルであるアニメ一期を逆輸入したPoppin'Partyの0章を除くとこの時点でRoseliaだけ他のバンドよりも、話が重厚で読み応えのあるバンドストーリーが1章分多いことになる。
  このバンドはその完成された世界観から繰り出されるエレガ重鎮によって生み出された楽曲や、声優によるリアルライブも盛んに行われていて圧倒的人気を誇る。なのでそういうちょっとした贔屓的なことをしてきたことに対してはなんら違和感はなかった。

 目を引くのはやはりその内容。
 ノブロは全3章計21話を使い湊友希那が自分のバンドRoseliaを結成すことになった”キッカケ”についてひとつの決着をつけるというもの。
  これはバンスト1章からずっとこの”キッカケ”のためだけに動いてきたRoseliaのある意味で一つの終着点であり、集大成でもある。

1章-花々を連れて-
・バンド内で一人だけ実力が追い付いていないことに悩む今井リサの話
実装曲『約束』

2章-晦冥の導き手-
・宇田川あこのFWFにでることで目標がなくなってしまうことに対する不安
・FWF出場をかけたコンテスト
実装曲『"UNIONS" Road』

3章-歌、至りて-
・FWF本番
・これからのRoseliaに必要な決断
実装曲『Song I am.』

これらがこのイベントのおおまかな内容で
EoRⅠ約束には
・バンスト1章(Roselia結成)2章(バンド内分裂)
・イベスト『思い繋ぐ、未完成な歌』(RoseliaでLOUDERを歌うキッカケ)
・ノブロ1章

EoRⅡには
・オリジナル(”UNIONS” Road作曲)
・ノブロ2章3章

がまとめられている。

 まずこの時点で嬉しさのあまり飛び跳ねてしまった。ただでさえ満足度の高い内容のノブロ映像化に加えなんとバンスト1章2章も映像に含まれているというトンデモなサプライズ。基本的に映画やアニメを楽しむ時は事前情報を入れないので、ノブロだけをやると思っていた自分は映画館でいきなりRoselia結成の瞬間に立ち会ってしまって驚きを隠せなかった。え?ここも映画でやるんだ!という嬉しさの感情が劇場でこれでもかと爆発していた。

 EoRⅠはまんまバンスト1章2章ノブロ1章をつなげたような内容で、改変などはなかった。尺の関係で1章の後半と話に必要のないであろう会話だけがカットされているというゲームプレイヤー的には百万回観たであろう流れの作り。そんな一見すると手抜きのよう構成でも、劇場で最高の興奮と感動を与えてくれたのはやはり初の劇場版でありその上内容も、何度観ても飽きない素晴らしい完成度だからこそなせる業かもしれない。ライブシーンもしっかりあるし。
 あと文章にすると簡単だけど違和感なく1章2章ノブロ1章をつなげていたのは本当にすごいと思う。(1章から2章で学年が一つ上がっているくらいには時間がすすんでいるので)おそらくゲーム未プレイはどこが区切りかかなりわかりづらいと思う。

 頭から順に言っていくと、まずOPこれが格好良い本当に格好良い。なんと言ってもまず作曲者がElements Gardenを代表するあの上松さん。流れてる映像も動く動く、いやぁ格好良いOPだ
  そして冒頭幼少期の映像が流れ、語りからその仲の良さは今は無いのだとわかる。わかりやすい。

  バンドを結成する前の5人がそれぞれ認識はしていないもののほぼ同時に駅で出会っていて、物語を知っている身としてはこの時点でわくわくせざるを得なかった。(おそらくNFOの話題で)盛り上がっていた宇田川あこが氷川紗夜にぶつかり完全にぶつかった側が悪いにも関わらず氷川紗夜も軽く会釈していて、落ち着いていて礼儀正しい人物像がでていたのも嬉しい。
 そんな導入からかなりスムーズにバンスト1章+『思い繋ぐ、未完成な歌』の話が始まりこれまたちょうどいいテンポで進められていった。ストレスなくストーリー進行を楽しめるのはそれだけでいい映画といえる。1章の後半は尺の都合からかダイジェスト形式だったけれど(バンスト1章10~20話部分)裏でRe:birth dayが流れつつイベストの『星に願う短冊』秋時雨に傘を』のシーンが静止画ながら(各イベントの星4紗夜さん)垣間見えこれもしっかり映してくれるんだと驚きを隠せなかった。一イベントを映してくれるだけで心の底から嬉しくなるのはサービス初期から遊んでいた人ならきっと共感してくれるだろう。それほどまでにゲームからの話の露出は今までなかった。
 さらにその上『いつか、届け、アタシの詩』や『Don't leave me, Lisa!!!!』等今井リサの話である”ノブロ1章を考える絶対に外せないであろう彼女が主役のイベスト”もしっかりとちりばめられていて、知っていると嬉しくなり、知らなくてもあまり違和感なくノブロ1章に繋がっていくという完ぺきな配分だった。

ただ、前半の1章+『思い繋ぐ、未完成な歌』部分の段階ですらかなりゲームをやっていないとわからない要素(湊友希那から見たRoseliaの音楽に対する意識の高さや氷川姉妹にある確執など)がるので気になる人は気になるしおいて行かれてる感は出てしまうかなといった感じ。

 映画の時間配分的にはおそらく2章部分が一番長く(厳密に時間を測ったわけではなく体感)それはある意味当然ともいえる。ノブロが1章と2~3章で分けられている以上間違いなく一番の盛り上がりはここだから。
 湊友希那が一人で暴走して孤立し涙した駅でのシーンをしっかりと映しつつ(星4イラスト)、そこからの戸山香澄の登場は絶望の淵から一気に希望へと変わるくらいに頼もしく本当に盛り上がった。大好きなシーンのひとつであるPoppin'Partyと湊友希那の面白可笑しいやりとりもカットされていなくて嬉しかった。
 この2章部分では宇田川あこと白金燐子がRoseliaに欠かせない存在なのだと、イベストを経て妹との確執を取り除き人として成長した氷川紗夜が気付き、そこから分裂しかけたRoseliaが救われるというもの。映画では惜しみなくその2章が描かれていてこの話が好きだった身としてこんなにありがたいことはなかった。Neo-Aspectの衣装も本当に格好良くてライブシーンは見応えありまくり。楽器の奏法を細かく描写していたりぐいぐい動くカメラワークは二次元ならではの良さ。ゲーム内イラストの採用もおそらく劇中最多で二章の星4今井リサ以外の特訓前はすべてワンシーンとして使われていたほどの力の入りっぷり。2章に関してはほとんどカットされていたシーンがないんじゃないかってくらい尺を割いていた。イベント当時でも異常な盛り上がりだったからね……

そしてついにタイトルにもなっているノブロ1章、氷川紗夜から今井リサに「あなたはなぜFWFにでるのか」という問いから始まり、自分は技術が不足していると思い込んでいる故に自分のためではなくRoseliaの為、湊友希那の為でというのが根底にあった彼女が自分は何の為に出るのかというシンプルでありながら難しい問題に直面する。ここのシーンの紗夜さんの声のトーンだったり一瞬静かになる演出だったりがゲームのさらに上をいっていてこれ以上のない導入だった。
 ここでこの問題を考えるあまり上の空になって二年の教室に行く件はカットされていて少しだけ残念ではあった。あの美竹蘭の煽りが作中で聞けると思っていたのに……
 そこから畳みかけるように、信頼を寄せている氷川紗夜に対して裏切りともとれる言葉を発してしまって叱責される今井リサ。ここは見ていてかなりメンタルをえぐられるような演出になっていて制作GJと思いつつ、そこで折れずに向き合い続ける姿がやはりRoseliaのベーシストを務める支え的強さを証明しているようだった。本人はこの時点で自覚がないけど。解決の仕方も誰かに頼るという人付き合いが得意な彼女ならではのもの。まるまるこのシーンを使ってくれていてもはやここだけでも映像作品としてかなり満足だった。


 今井リサが約束の歌詞を思いつくシーンは宇宙猫ならぬ宇宙リサになっててちょっと好きだった。ここで冒頭の幼少期が繋がるわけだけど、シロツメクサの冠をお父さんが頭にかけたところが「今井リサが湊友希那を王にした」解釈が好きな自分にはちょっとだけ残念だった。ちなみにゲーム内ではしっかり今井リサが湊友希那に冠をかけている。


 ノブロ1章部分の見どころその1はやはりアカペラの『約束』。ライブシーンはまだ先なのでお預けはされると思っていたけどまさかそう来るとは。ゲームにはおろかCDにも収録されていない初の音源なので始まった瞬間から開いた口が閉まらなかった。湊友希那のことだからもともとある程度のメロディは頭にあったのだろうけど、それでも歌詞をみてすぐに歌いきれるのはさすがといったところ。ガルパ内でも音楽的才能が上位なことをこれでもかと見せつけてきた。
 そして見どころその2「必ず、あなたは私の隣でベースを弾いていて、リサ」もはや説明不要のこのセリフ、ノブロ1章の本筋ともいえる今井リサの精神的成長を乗り越えた先のご褒美的シーン。湊友希那の為にこれまで頑張ってきた彼女にとってはこれ以上にない言葉だったに違いない。伝えたいことははっきりと口にする、湊友希那の素晴らしさがEoRⅠの締めくくりとして輝いてくれた。ここで幼馴染としての関係をより一層深めていったのは間違いない。余談だがガルパ内での幼馴染組として有名な美竹蘭と青葉モカがこの同タイミングで気持ちを口に出さないことで壮絶なすれ違い(個人的にガルパ内で一番好きな話)をしているのだけれどもそっちはまた別の機会に。

以上がEoRⅠのいまパッと思いついた感想。加筆修正は全然ありうる。
EoRⅡの感想もすぐにあげたいところ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?