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今が楽しいから!


こんにちは。先日引退しました 22小島(ニシジマ)です。最後の稽古場日誌に託けて活動をじっくりと振り返った結果、轆轤を回しすぎてしまいました。お時間あればお付き合いください。

2年前に軽い気持ちで入ったサークルでしたが、引退まで細々と続けることが出来ました。役者も四度経験させていただき、僅かながら成長を感じています。ただ、役者として「変化できた」とは胸を張って言えません。役者として、"演劇人"として舞台に立つことは最後まで出来なかったのです。
私は約18年間バレエ一筋で生きてきました。声のない表現が身に染み付きに染み付いています。演者として公演に出演するのもプリズムが初めてではなく、「舞台には慣れているし通用するかも?」と役者に関して少しだけ根拠のある自信がありました。
しかし、バレエと演劇は全くの別物でした。そりゃあそうという話ですが、やってみて初めて気が付くものですね。舞台に立って表現する点では同じなのに、まるで異なる言語を話しているような感覚なのです。特に、音楽の力を借りられないことで難しさが跳ね上がりました。感情や動きのフックがなく、文字という知らない言語から役を読み取らないといけない…さすがに冗談ですけれど、脳内では翻訳機を常に働かせていました。
今回演じた道化と炎は、そんな私の得意を生かせる役でした。ありがたい話です。故郷の言語を使えるのですから!
とは言え演劇人になりたかった私は、自分の出来を悔しく思っています。
演劇において、私は「統一感」を大切にしていました。ストーリーに没入してもらうために、演劇たらしめる要素全てがその世界のものになるように努めました。演技も例に漏れず、他の役者が使っているその世界の言語を使いたかった。バレエではなく"演劇の"身振り手振りで表現したかったのです。
しかし、最適解を見つけ出せないまま公演を終えてしまいました。何かもっと良いアイディアがあったのではと、引き出しを漁る手が止まりません。
かくして、私は引退するまで演劇人になれなかったというわけです。

でもね!楽しかった!!!今回の役!!!!
やりたかったこと、たくさん出来た!!!!!
音楽に身を任せること、スポットライトを浴びること、観客の視線を浴びること、身体の内側から表現すること。舞台に立って感じる快感の全てが身体中を駆け巡り、痺れているような夢の中にいるような不思議な感覚でした。何もかもが楽しくて、本当に終わってほしくなかった。あのメンバーとずっと舞台に立っておしゃべりしていたかった。
演劇の舞台で楽しさを純粋に味わえたのは、初めてだったような気がします。私の楽しさが、観客の皆様に届いていたらいいな。
私はやっぱり身体表現が大好きで、踊りが好きで音楽が好きで、舞台に立つことが大好きです。あの瞬間、私は確かに生きていました。

楽しめればそれでいいと、自分を許せる自分に変われつつあります。先なんてあるか分からないのだから、今を楽しめれば万々歳だと。存分に今を生きていいのだと。
自省しか出来ずに底の見えない穴に落ち続けていた4年前、明日どころか数分後でさえ危うかった私には十分すぎる変化です。この変化をもたらしてくれた演劇と支えてくれたサークルの皆々様と、軽い気持ちで入舎してくれた2年前の私に感謝ですね。ご褒美に大きなぬいぐるみ買ってあげることにします。ヤッター!

ここまで書いて、休憩にふと昨年書いた稽古場日誌を読み返しました。「楽しさを大切に生きたい」と書いてあって思わず笑ってしまいました。変化できたようで良かったです。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。そしてご観劇いただいた皆様、誠に感謝申し上げます。頼りになる後輩ばかりですので、これからのプリズムにご期待ください。

最後に、作演へ
あなたのおかげで「やりきった」と言って引退することが出来ます。本当にありがとう!!!!!

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