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製作ノート(33)茶道に触れて感じたこと

劇団衛星の森谷です。

この2月に僕は『珠光の庵』で日本の侘び茶の祖である村田珠光役を演じさせていただきます。
しかし僕はこれまで茶道をやったこともなければ、お茶会に行ったり抹茶を飲んだこともありませんでした。この公演をきっかけに茶道を先生から習い始めたので、今回は僕がこの春から茶道に触れ始めて感じたことや魅力をご紹介できればと思います。

そもそも皆さんは茶道についてどのようなイメージを持っているでしょうか?
僕は茶道について「興味はあるけれどなんだか難しそうだし敷居が高そう」というような、少しネガティブなイメージを持っていました。

実際に茶道を始めたときにまず感じたのは「入りやすさ」でした。敷居の高さなんてものはなく、そこにあるのは亭主と客そしてお茶という非常にシンプルなものです。亭主は客、客は亭主に礼を尽くすために作法が存在していて、茶席での所作にはすべて理由があるのです。
この時点で僕は茶道というものにネガティブな印象は無くなっていました。

そして先生の指導のもと、基本的な所作から丁寧に教えていただき、いよいよお茶を点てることになりました。

お茶を点ててみて思ったのは、
「思ってたよりも筋肉を使う」
ということでした。
まず、姿勢を整えて動くときに体幹筋が必要になります。ここがしっかりしていないと軸がぶれて不格好になってしまいます。
お茶を点てるときは茶筅を数字の「1」を書くように動かすのですが、この動きは日常生活でほとんどしない動きなので、普段使わない筋肉を使うことになります。
普段しない動きだからスムーズに動かない、普段使わない筋肉だから筋肉の疲労が激しい。長時間自主稽古をしたときに、僕は久しぶりに筋肉痛(腕だけ)になりました。

そして気がついたのですが、この筋肉の使い方は僕が学生時代にしていたハンドボールのキーパーに必要な筋肉に酷似しているのです。ハンドボールを行う上ではボールを掴む腕の筋肉、そして腹筋と背筋、体幹筋が非常に重要です。ボールを掴んだ状態で飛んだり投げたりする上で重要な筋肉はお茶を点てる時の筋肉を含んでいるのではないかと思います。

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話が少し逸れましたが、お茶を点てることは想像以上に難しく、僕は何度も自主稽古を重ねました。そして、ある程度動きの形が整って来た時に先生に茶道の心構えについて教えていただきました。

お茶を点てる、そのときには来てくださったお客様をもてなす心が不可欠です。その意識は最後まで途切れることはありません。例えばしまいの点前で行う水差しの水を釜に入れる動きは「またいつでもお茶を点てられるようにいつでも釜にお湯をご用意しています」という意思表示なのです。このおもてなしの心はとても尊いものだと思います。

僕はまだ茶道を始めて1年も経っていない身ですが、遥か昔から続くこの素晴らしい文化に触れることができて心から良かったと思っています。日本の方はもちろんのこと、世界中の方に茶道の素晴らしさを伝えられればと思います。

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2月の『珠光の庵』韓国語版は、これから世界に茶道の素晴らしさを伝える上でとても重要なポイントになることを確信しています。まずは京都で、皆様に茶道の素晴らしさを伝えるためにおもてなしの心を持ってこの作品を上演させていただきます。
これまでに茶道に触れてこなかった方も、普段演劇を観ないという方もどうかお気軽な気持ちでKAIKAにお越しいただければと思います。

それでは、2月にKAIKAでお会いしましょう。
http://www.jukou.info/


2019年11月28日
劇団衛星 森谷A


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