紫陽花「紫陽花がついた嘘」作・うまいもんだなあ

こんばんは!7月に入りましたが、まだまだ雨が多くどんよりした気分が続きますね。
そんな気分を吹き飛ばしてくれるであろう、紫陽花作品が届きました!
どうぞお楽しみください!

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「どうすんの、これ」
「えっと、すみません。隣のスタジオから新しいものを。あの、造花…でもいいですか?」
「はあ、わかってねぇなお前。もう帰れよ。今日はラストシーンの撮影はやめだ。」

やってしまった。専門学校を卒業してつまらない脚本を書いてるとき、運良く林さんに拾われてからたくさんの現場に連れて行って貰えた。小道具だったり、ロケのセッティングと雑用バイトをしながら脚本を書いては添削してもらって生活していた。時給は少ないし、寝る間を惜しんでという言葉通りの生活ではあったが充実していた。

林さんが監督を務める映画「二人」は梅雨の中、公園で出会った男女が紫陽花にまつわる話を毎日決まった時間に一つ話を作っては語り合いながらお互いの過去に触れていく、劇的な展開はないが素朴で等身大を描く物語。

今日はラストシーンの撮影、のはずだった。僕が紫陽花を枯らしたりしなければ。季節の短い紫陽花の花束。監督の満足が行くものを仕入れるのに苦労した。昨日届けてもらって今日使う予定だったが、どういうわけか枯れていた。しかし、演者はもちろんスタッフも現場入してることだし、なんとか造花で手を打ってもらうよう説得しないと。

「車にリハで使った造花があります。僕がこだわって仕入れたもので間近でみてもニセモノには見えません。スケジュールもありますし、なんとか撮影できませんか。」

「あのな、確かに映画は嘘だ。俺の撮る映画はフィクションだ。けど、それはな幸せの嘘だ。人が幸せになり、悲しみ、共感し、話し合うための嘘。それを映像にすることが俺たち映画監督だ。一番大切な嘘をつくときには周りは本物であることが必須だ。嘘を引き立たせるためだ。わかるか?つまり今日はラストシーンは撮らん。」

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後書き
読んでくださりありがとうございます!
持論ですが、映画に一番大事な要素って人を動かせる嘘をどれだけリアルにつけるかどうかってところな気がします。
このお話に出てくる映画の話もちょっとかけたらなぁと思います。

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6月が終わり、紫陽花も少しずつ色を変えているこの時期、夏に向かっているなあ、と思う今日この頃です。
あと1ヶ月ほどで前期は終了、芸短全体がバタバタとする7月ですが、文芸部は変わらず積極的に活動をしていく、予定です!
次の更新もお楽しみに!

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