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目には見えないもの

同じマンションの住人でとびきり気になる家族がいる。

とにかく雰囲気が異常なのだ。
異常というと表現が良くないけど、この言い方しかできない。
特に目立った外見ではないのだけれど、後ろ姿だけでも近付いてはいけないオーラが漂っている。

常に怒ってるクレーマーでも、噂話が好きなスピーカーでも、金髪ヤンキーでもない。
見た目は地味で大人しそうだけど、妖怪的というか、人を呪術でどうにかしそうな雰囲気を持っているのだ。
おまけに子どもも同じオーラを受け継いでいる。2人でいると怪しさ倍増である。気温が5℃下がる思いがする。

嫌いというより単純に薄気味悪いから距離を置いているのだが、可哀想と思ってしまうのは、彼女たちが他の人と話しているのを一度も見たことがないからだ。ゴミ捨てでバッタリ会った住人と話すこともない。いつも家族だけでぬらりぬらりと歩いて出掛けている。

コミュニケーションが必要な社会に生きていて、どうやって生活が成り立っているのだろうか。いや、話さなくても生きていけるのを証明しているのか。スーパーの店員にお礼くらいは言えるのだろうか。

人間が視覚から受け取る情報は全体の8割というけど、目には見えないけど確かにあるものも多く受け取っている気がする。

この道を通るのは何となくやめておこう、このお肉の方が良さそうだ、など理由はつかないけど本能が感じるもの。絶対関わってはいけないと本能が拒否するもの。
偏見や恐怖のフィルターを取り除いても気持ちが変わらなければそれは本当に何かある。
この感覚は無くしてはいけないと心に誓う。































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