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ITフリーランスを活用する企業様向け・業務委託契約(準委任契約)を締結するときに知っておきたいポイント

こんにちは!
ギークスのIT人材事業本部でセールスイネーブルメントとセールスプロモーションを担当しているKomatsuです。

IT人材事業本部は、「働き方の新しい"当たり前"をつくる」を事業ビジョンに掲げ、高い技術力をお持ちのITフリーランスの方と、ITスキルを持った技術者を求めている企業様のマッチングを行う、ITフリーランス専門のエージェントです。

近年では、政府の「働き方改革」のなかで、雇用に頼らない働き方の代表格として「フリーランス」が重要なテーマとして扱われています。

このような背景から、ITフリーランスという働き方への注目が高まり、幅広いスキル・経験をもつIT人材がフリーランス市場に増えたことで、ギークスでは企業様から、「自社の正社員に任せていた重要な業務・タスクを、戦略的にITフリーランスに任せていきたい」とご相談をいただくことも増えてきました

私たちギークスでは、ハイスキルで即戦力となるITフリーランス活用の啓蒙を行っており、企業様には活用時のリスクも理解していただいた上でご判断いただけるよう、日頃より正確な知識を持ったご説明を行っております。

今回は、初めてITフリーランスを活用する企業のご担当者様に向けて、エージェントを通してITフリーランスを業務委託で活用する際に起こりがちなリスクを、法的な側面からご説明していきます。

※本記事の内容は公開日時点の情報です。法改正などにより内容が変更する可能性があります。

業務委託とは

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▼業務委託とは
業務委託とは、企業に指揮命令される内部の労働者として労務を提供する雇用契約と違い、企業と対等の立場で外部のプロフェッショナルとして業務の依頼を受けることです。

業務委託契約には主に「請負契約」と「(準)委任契約」の2つに分類されます。さらに、「(準)委任契約」は「履行割合型」と「成果完成型」の2類型があり、業務遂行・成果に関する考え方が大きく異なります。

このうち、「請負契約」と「(準)委任契約」の「履行割合型」についてご説明いたします。ギークスは企業様・ITフリーランス双方と「(準)委任契約」の「履行割合型」を締結しています。

✔ 請負契約
一定の成果物を完成させ、又は納品することを約束する契約です。請け負った成果物を期日までに納品すること、成果物に不具合があれば追加報酬なしに修補を行うことが義務となります。
✔ (準)委任契約 履行割合型
成果物の納品ではなく、その履行自体に対価が生じる契約です。委託された作業が成功したか否かに関わらず、その作業に要した時間や工数に応じて報酬が発生します。

▼採用企業から見る法的・金銭的メリット
法人が従業員を雇用する際には、雇用契約のもと社会保険料や労働保険料を負担する必要があります。また、労働基準法が適用され、有給休暇の付与や時間外手当を支給する義務が発生します。これら多くの法的義務および金銭的負担を減らすための一つの方法として、「業務委託」の活用が挙げられます。

▼業務委託にかかる問題
業務委託を行う際には、労働契約と混同した取り扱いをしてしまうと「偽装請負」とみなされる可能性がある点に注意が必要です。

「偽装請負」とは、契約上、形式的には「業務委託(請負又は準委任)」であるものの、実体は労働契約の取り扱いをしてしまうことで、本来労働契約をした場合に課される法令上の義務をすり抜けるための隠れ蓑として業務委託契約を悪用した状態をいいます。

「偽装請負」の状態で契約を進めると、派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)違反として行政処分等の対象となります。企業様・ITフリーランスの双方にとってスムーズに契約履行するために、責任と裁量を明確にして指揮命令の関係性とならないことが重要です。「業務委託」と「労働者派遣」の具体的な違いは次のパートでご説明します。

▼ギークスのリスク回避施策
ギークスではお取引先企業様・ITフリーランスへ「業務委託契約」の正確な理解をいただけるよう随時ご説明を行うとともに、ITフリーランスへ正しく業務委託契約が実行されているかどうか随時アンケートを実施して、実態を把握しています。不適法な対応がなされていた場合には、企業様・ITフリーランス双方へご説明し、改善していただいております。

業務委託と労働者派遣の違い

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「業務委託」と「労働者派遣」の最大の違いは、指揮命令権の有無です。

「業務委託」の場合、企業様と業務受託者であるITフリーランスとの間に雇用関係はありません。そのため企業様から業務受託者であるITフリーランスへの指揮命令権がなく、業務の遂行に関する指示を直接行うことができません。例えば、就業規則を適用して業務時間を従業員と同等に行ったり、追加の業務を直接させることはできません。一方、「労働者派遣」契約の場合、派遣された人材は派遣元に雇用されており、派遣先監督者からの指揮命令が可能です。

労働者派遣と請負との区分に関する基準は、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)」で示されています。労働者派遣事業と準委任との区別も同様の基準により判断されるものと考えられます。

労働者派遣(偽装請負)にあたらないために、以下のような事項は避ける必要があります。

✔ 業務遂行にかかる方法の指示や業務遂行方法の評価等の管理を行うこと
✔ 労働時間(始業と終業の時刻、休憩、休日等)に関する指示や管理を行うこと

詳細は下記に記載の「それぞれの区分に関する基準の要件」をご確認ください。

▼それぞれの区分に関する基準の要件

一、次のイ、ロ及びハのいずれにも該当することにより、自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること。
(イ)次のいずれにも該当することにより業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うものであること。
 (1)労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
 (2)労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと。
(ロ)次のいずれにも該当することにより労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うものであること。
 (1)労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理 (これらの単なる把握を除く。)を自ら行うこと。
 (2)労働者の労働時間を延長する場合又は労働者を休日に労働させる場合における指示その他の管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く。)を自ら行うこと。
(ハ)次のいずれにも該当することにより企業における秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行うものであること。
 (1)労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行うこと。
 (2)労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うこと。

二、次のイ、ロ及びハのいずれにも該当することにより請負契約により請け負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであること。
(イ)業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること。
(ロ)業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと。
(ハ)次のいずれかに該当するものであつて、単に肉体的な労働⼒を提供するものでないこと。自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く。)又は材料若しくは資材により、業務を処理すること。自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること。

よくあるご質問

▼業務遂行時のコミュニケーションについて

Q:「業務の遂行に関する指示はしてはいけない」とのことですが、コミュニケーションはどのようにとればよいでしょうか?

A:基本的に発注内容の開発に係るコミュニケーションは「指示」には含まれません。搭載すべき機能や期限など、プロジェクトの責任者として共有するのが相当な事項や、法令・安全上緊急を要する内容は、直接お話しいただいても多くの場合問題ありません。ただし、作業における日々の到達地点の指定や、作業方法へのクレームなどは、「偽装請負」と判断されるリスクがあるため、直接ITフリーランスにお話しすることはお控えください。判断が難しい場合は、一度ギークスに連絡ください。判断・対応のご支援をさせていただきますので、企業様のリスクを回避することにつながります。

▼稼働時のスケジュールについて

Q:「稼働日や稼働時間はITフリーランス自身で決める」とのことですが、ITフリーランスが決めた稼働日や稼働時間を事前に知ることはできますか?

A:基本的には、企業様・ギークス・ITフリーランスの三者間での事前顔合わせで決定された稼働スケジュールに則り、ITフリーランスは業務を遂行していきます。ただし、あくまでもこの稼働スケジュールは暫定的なものです。作業開始時間・終了時間・休憩時間は、作業の進捗状況を踏まえて、ITフリーランス自らが決定している状態を作る必要があります。企業様がITフリーランスの稼働管理(欠勤、遅刻、早退等の承認、届け出および記録等)を行ったり、また、遅刻や早退等に関して許可制や承認制を採用している場合は見直す必要があります。

▼緊急タスクについて

Q:休日に対応してほしい緊急タスクが発生しました。直接ITフリーランスに連絡してもいいですか?

A:この場合、直接ITフリーランスに連絡するのはNGです。必ずギークスを通してご依頼ください。また、ITフリーランスは企業様の雇用の労働者ではないため、断る権利があります。

▼報酬支払いについて

Q:ITフリーランスが当初予定していた稼働日に休んだり、開始時刻に遅れたり、もしくは早く業務を終了した場合の支払いはどのようになりますか?

A:一か月あたりの実際の稼働時間が、企業様との間で決定されている基準時間の範囲内であれば、当初決定していた金額をお支払いいただきます。ただし、その決定時間を割り込む、もしくは超過した場合は、時間給での差額が発生することが一般的です。

▼社内イベントの参加について

Q:社内のイベントや飲み会に、ITフリーランスをお誘いしても問題ないでしょうか?

A:ITフリーランスには、社内行事や朝礼などへの参加義務はありません。強制的に参加を促すことはできませんが、ITフリーランスをお誘いすることや、ITフリーランスの意思で参加することは問題ありません。

▼就業規則の適用について

Q:服装の規定があり、ITフリーランスにもお願いすることは可能でしょうか?

A:基本的には服装は自由となりますが、稼働現場によっては「スーツ着用」「作業着着用」などを求められるケースはあると認識しています。その場合は、契約前に事前情報として開示し、最終的には三者合意のうえ決定していく流れになりますのでご安心ください。

▼貸与物品について
Q:セキュリティの観点から、作業PCを貸与したいと考えていますが、問題ありませんか?

A:問題ありません。実際に、セキュリティ上の要請により、企業様からITフリーランスに無償で貸与いただくことも多いです。

▼別プロジェクトへのアサインについて

Q:既に稼働していただいているITフリーランスに、別プロジェクトのタスクをお願いしても問題ありませんか?

A:当初締結した契約外のこととなりますので、一度ギークスにご相談ください。企業様とギークス、ギークスとITフリーランスのそれぞれで契約を締結していますので、企業様とITフリーランスが直接協議をして決定することは避けてください。ITフリーランスは企業様もしくはギークスから指揮命令を受けるのではなく、自由かつ独立した立場で意見交換を行い、対応を協議する体制となっています。協議の結果、企業様・ギークス・ITフリーランスの三者が合意した場合、契約を再締結する流れになります。

▼正社員雇用について

Q:(準)委任契約を経て、ITフリーランスを正社員として採用することは可能でしょうか?

A:ITフリーランスへの直接の営業活動、条件交渉、勧誘などの行為はお控えください。ITフリーランス側から企業様に話があった場合も同様です。正社員としての採用をご希望の際は、まずはギークスにご相談ください。企業様・ITフリーランス双方の合意をもって準委任契約を終了し、人材紹介契約を締結する流れで進めていきます。

さいごに

いかがでしたでしょうか?今回は、ITフリーランスの活用について法的な観点からご説明しました。

ギークスでは、初めて業務委託で契約を行う企業様のサポート実績も数多くございます。

これまでのご支援実績や、正確な法的知識に基づくご説明、東証一部上場企業としての契約のクリーンさもギークスの魅力として挙げていただくことが多いポイントです。初めてITフリーランスを活用される企業様にも、安心感をもってご契約いただけるようご説明させていただきます。

もっと詳しく話を聞いてみたいとお考えの方は、ギークスジョブよりお気軽にお問合せください!

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