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【遊戯王】《インセクト女王》を救いたい

まえがき

女王様

 《インセクト女王》は、遊戯王の原作・アニメで非常に印象的な登場をしたカードです。インセクター羽蛾の卑怯な戦術による圧倒的パワーは城之内を大いに苦しめ、そのグロテスクな描写は読者や視聴者に精神的ダメージを与えました。
 が、その知名度に反して、実際のデュエルでこのカードを使う人はほとんどいません。某サイトでは10点満点中で1.9点という悲惨な評価を下されています。参考までに、《ゴキボール》の評価は4.5点でした。手下に完敗する女王様。
 今回は、そんな《インセクト女王》について何とかして使い道を考えていこうと思います。

 ※この記事はあまくだりさんの「クソカード診療所」シリーズに影響を受けています。


《インセクト女王》の問題点

 《インセクト女王》の問題点として、まず最上級モンスター故の扱いにくさが挙げられます。
 レベル7モンスターであるためアドバンス召喚には2体の生け贄が必要ですが、攻撃力2200という数値はそのコストと全く釣り合っておらず、自分から特殊召喚するような効果もありません。
 一応、自身の効果で攻撃力がアップするため、フィールドに昆虫族を並べれば3000を越える数値にもなり得ますが、攻撃宣言時にリリースを要求するデメリット効果によって折角上昇したステータスも活かしにくくなっています。ちなみにこの効果は原作にありません。何でだよ。
 そして、さもデメリットを保管するかのようにトークン生成能力を持っていますが、「エンドフェイズ」に「攻撃力100」のトークンを「攻撃表示」で出すという「強制効果」は最早デメリットでしかありません。エンドフェイズに出すため戦闘後の展開に利用できず、貧弱な攻撃表示モンスターは相手のいい的になってしまい、強制効果なので出さないという選択肢も取れません。「どれかひとつでも違っていれば……!!」と思わざるを得ない。いや、違ってても弱いけどな……。

 総じて、

 ①召喚コストと能力が釣り合わない
 ②攻撃宣言時にデメリット効果がある
 ③強制的に出てくるトークンが邪魔

 この3点が《インセクト女王》の主な問題点であると言えます。(実はここで挙げていない問題点もあるのですが、これについては後述します)
 これらをいかに解消していくかが《インセクト女王》活用の肝となりそうです。

《インセクト女王》の運用方針

 遊戯王の豊富なカードプールを駆使すれば、《インセクト女王》をフィールドに出すこと自体は実はそれほど難しくありません。鍵になるのは《共振虫》と《寄生虫パラノイド》です。

昆虫族最強クラスのインフラカード
強い方の寄生虫

 《インセクト女王》を《共振虫》の効果で手札に加え、《寄生虫パラノイド》の効果で特殊召喚する、というのが最もスムーズな方法です。
 また、《寄生虫パラノイド》は《応戦するG》の効果で手札に加えることができます。

増殖しない方のG

 以上をまとめると、

 ①《共振虫》と《応戦するG》の2体をフィールドに出す
 ②上記2体を墓地に送り、それぞれの効果で《インセクト女王》と《寄生虫パラノイド》を手札に加える
 ③《寄生虫パラノイド》の効果で《インセクト女王》を特殊召喚する

 この手順によって、《インセクト女王》の特殊召喚が可能となりました。
 あとは特殊召喚した後の運用をどうするかについてですが、攻撃宣言時のデメリット効果が「リリース」であることから、《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》の利用が思い付きます。

理不尽の具現

 ここでひとつ注意すべき点があります。《インセクト女王》の攻撃宣言時のリリースは「効果を発動するためのリリース」ではないため、《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》の代用効果を使うことはできません。攻撃宣言時に相手のモンスターをリリース、みたいなことはできないわけですね。
 ですが、それを考慮しても《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》とのシナジーは良好です。エンドフェイズにシャドウトークンを出す効果でフィールドのモンスターの数を減らさずに済みますし、先にこの効果を解決しフィールドを埋めることによって《インセクト女王》から無防備なトークンを出す必要もなくなります。既に攻撃したモンスターを《インセクト女王》の攻撃時にリリースして《闇黒の魔王ディアボロス》を特殊召喚することで総打点を伸ばすことも可能です。

ドーハスーラ並に軽く出てくるやつ

 そして、《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》の採用を検討することによって最後のキーカードが見つかりました。
 それが《地縛神 Uru》です。

マスターデュエルでレア度R

 《地縛神 Uru》は《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》と非常に相性が良く、フィールド魔法が無いと自壊するデメリットを回避しながら「相手モンスターをリリースして相手モンスターのコントロールを得る」という驚異の1:-2交換を押し付けることができます。奪ったモンスターはリンク素材にするなどの方法で処理しても良いのですか、一度形成した盤面を無理に崩さず、またエクストラデッキを圧迫しないという観点から、「コントロール奪取したモンスターの処理方法として《インセクト女王》のリリースコストを活用する」という運用は理に適っていると言えます。
 さらに、《地縛神 Uru》はレベル10の昆虫族モンスターであるため、先述した《インセクト女王》の特殊召喚ギミックをそのまま利用することができます。すべてが噛み合っている!……ような気がする!

 以上を踏まえて、実際にデッキを構築してみます。

デッキ紹介・展開例

※マスターデュエルにおける2023年7月1日時点のリミットレギュレーションを適用

 運用方針で述べた通り、このデッキの展開は《共振虫》と《応戦するG》の2体にアクセスすることが重要になります。先行1ターン目に2体ともを揃えるには特定のカードを素引きしている必要があり要求値が少々高いですが、《熾天蝶》の蘇生効果を利用し2ターンで解決することは難しくありません。具体的には、昆虫族モンスター3体 →《甲虫装機 ピコファレーナ》+ 昆虫族モンスター1体 → 《熾天蝶》の盤面を目指します。

初動パターン

・《クローラー・ソゥマ》+ 下級モンスター1体
・《B・F-毒針のニードル》+《騎甲虫スカウト・バギー》
・《B・F-毒針のニードル》+《孵化》 など

展開例

①下級モンスターを通常召喚
②《クローラー・ソゥマ》効果で特殊召喚
③《クローラー・ソゥマ》効果でクローラーモンスター2体を特殊召喚
④昆虫族2体で《甲虫装機 ピコファレーナ》をリンク召喚、《甲虫装機 ピコファレーナ》効果で残った1体に《応戦するG》を装備
⑤《甲虫装機 ピコファレーナ》と残った1体で《熾天蝶》リンク召喚、《応戦するG》効果で《共振虫》or《寄生虫パラノイド》を手札に加える
⑥相手ターンに《熾天蝶》効果で《応戦するG》を特殊召喚

 この展開では、《甲虫装機 ピコファレーナ》の効果で一度フィールドに出した《応戦するG》を相手ターンにもう一度フィールドへ出すことによって、《共振虫》と《寄生虫パラノイド》を手札に加える方法を採っています。
 これ以外にも、《共振虫》・《応戦するG》・《寄生虫パラノイド》・《インセクト女王》を既に手札に引いている場合、あるいは《超進化の繭》を引いた場合など、手札の状況に合わせた豊富な展開ルートがあります。

採用カードピックアップ

・《孵化》
 レベル2のクローラーや《B・F-毒針のニードル》を《騎甲虫スカウト・バギー》に変換したり、《騎甲虫スカウト・バギー》を《共振虫》や《応戦するG》に変換したりと、展開の幅を広げることが可能です。レベルが合っていれば《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》下で相手のモンスターをリリースすることもできます。
 効果使用前の《クローラー・ソゥマ》に使えば《インセクト女王》も一応出せる。

・《騎甲虫アームド・ホーン》
 《共振虫》や《応戦するG》を既に引いている場合は、昆虫族モンスター2体の盤面を作った後にこちらの効果で出すことができます。盤面に残したままだと《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》のシャドウトークンが出てこなくなるので《熾天蝶》等の素材にしておきたいところ。

・《No.11 ビッグ・アイ》
・《No.28 タイタニック・モス》
 昆虫族の展開力が高すぎて《インセクト女王》が余裕で2体並んだりするので、デッキに合ってそうなランク7を採用しました。《No.11 ビッグ・アイ》と《地縛神 Uru》で2体コントロール奪取して《真血公ヴァンパイア》とか出してみたい。
 《No.28 タイタニック・モス》は一度も使ったことがないです。何で入れてんだ。

採用候補カード

・《大騎甲虫インヴィンシブル・アトラス》
 「昆虫族しか特殊召喚できない」縛りがシャドウディストピアの動きとあまり噛み合わないため、今回は展開の終着点にビートルーパー系のモンスターを残さないようにしています。
 ただ、シャドウディストピアにアクセスできていない場合の打点確保として1枚くらいは採用しておくのがよいと思います。
 最大の不採用理由はマスターデュエルのCPがもうないからです。

今後の展望

 一見して使い所の分からなかった《インセクト女王》でしたが、昆虫族の優秀なサポートカードたち、そして《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》を用いたギミックにより、その効果を最大限に活かすことができるようになりました。これにて一件落着!
 ……と言いたいところですが、《インセクト女王》にはここまで触れてこなかったもうひとつの問題点があります。

 「それ、変異態の方で良くね?」問題です。

もうひとりの女王様

 《究極変異態・インセクト女王》は、昆虫族・レベル7と《インセクト女王》と共通のステータスをしていますが、その能力は雲泥の差。これまで挙げてきた《インセクト女王》のデメリットをすべてメリットに変えたような効果を持っており、さらに効果耐性まで付与することができます。今回の構築においても、「魔法・罠での妨害に弱い」という明確な弱点があるため、効果耐性を付与できるのは大きなメリットです。また、②効果が発動コストでリリースを要求するため、寧ろこちらの方が《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》とのシナジーがあります。踏んだり蹴ったり。
 一応、《究極変異態・インセクト女王》と比較した場合の《インセクト女王》の長所として、

・通常召喚できるため《寄生虫パラノイド》等がなくても手札から出すことは可能
・昆虫族モンスターが4体以上いる場合の打点はこちらの方が高い
・マスターデュエルでのレア度がRなので生成しやすい(?)

 などが挙げられますが、これが《究極変異態・インセクト女王》を差し置いて採用する理由になるかと言われると……微妙なところです。
 もちろん「原作で出たカードを使いたいから」というのは十分な採用理由になります。だからこそ、ただ自分の好みの問題だけではなく、「このカードはここが強いんだ」と自信を持ってデッキに入れるだけの根拠を持っておきたいところです。
 《インセクト女王》の特徴をより生かした構築としては、例えば《DNA改造手術》のようなカードで相手フィールドのモンスターを昆虫族にして打点を上昇させる案や、手札からのアドバンス召喚とそのサポートカードに特化させる案が考えられます。現時点でこれらの要素を取り入れることは難しいですが、今後カードプールの増加によって新しい《インセクト女王》デッキが誕生するかもしれません。

あとがき

 まえがきの補足で触れた通り、この記事はあまくだりさんの「クソカード診療所」シリーズに影響を受けています。それらの動画や配信を見て、自分も遊戯王で面白いデッキを組んでみたいなと思い、マスターデュエルを始めたのが1ヶ月ほど前。そして、この記事を書き始めたのが1週間前のことでした。
 ああでもないこうでもないと右往左往しながらも何とか記事を書き切って、いざ投稿しようと思い立った本日。ふとニコニコ動画の通知を見たら……。
 今日アップロードされた「クソカード診療所」シリーズの最新回、《インセクト女王》取り上げとる!!!???
 正直笑いました。タイミング悪すぎる。
 デッキ構築としてはだいぶ毛色が違うので、比べてみるのも面白いかもしれません。違わなかったらこの記事お蔵入りしてたわ。

 予想外のオチがついてしまいましたが、取り敢えずは一記事としてまとめられたことにホッとしています。前述の通りマスターデュエル始めたての初心者(というか復帰勢)なのでカードプール把握等の面で拙い部分もあったかと思いますが、その辺りは下記Twitterやコメントにてご指摘いただければ幸いです。
 今後も気が向くままに「〇〇を救いたい」シリーズとして色んなデッキ構築記事を書いていきたいと思っていますので、何卒よろしくお願いいたします。次は某獣族Xモンスターで書きたい。
 お読みいただきありがとうございました。

 何かあればTwitterまで。

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