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カウンターターン蹴り! Evgeniy Otsimikの技術がヤバい。

 ITFテコンドーの元ロシア代表で世界大会4連覇という偉業を成し遂げたエフゲニー・オシミク(Евгений Оцимик)の技術力がマジでヤバいのでWTテコンドー界隈の人にも知ってもらいたくてこの記事を書き始めました。

とりあえず先ずは試合を見てください。

 ITFの世界大会の決勝戦です。

エフゲニーのターンカウンター

 上の動画の試合を見て貰うと開幕にターン蹴り(360度)を当ててダウンを奪っています。試合開始早々、エフゲニーはサウスポーに構えながらプレッシャーを掛けつつ相手選手との間に一定の距離を保ち続けます。時折、相手選手が仕掛けてくるのを上手く距離を使って捌きながら相手が嫌がる距離を保ちながらプレッシャーを掛け続け、コート際に追い込まれた相手が緩く入ってきた隙を突いてカウンターを決めています。

 スローで見ると分かるように相手選手はエフゲニーの出方を伺うような緩い入り方をしているのが分かります。それに対してエフゲニーはターンを当てたのですが、この時に相手選手がエフゲニーのカウンターを当初は後ろ蹴りカウンターとして警戒して避けている為、胴部分を引いて体を若干「く」の字に曲げながら下がっているのが分かります。そして、その下がった分をターンステップで追い詰めて回し蹴りを当てています。

 この選手はターン蹴りのカウンターが大得意で、試合によっては何度もこの技を決めています。別の試合の動画にも分かりやすい蹴りがあったので紹介します。これは、相手の蹴り終わりを狙ってターンを蹴っているのですが、相手選手がエフゲニーのターンの蹴り初めの後ろ蹴りモーションに反応してしまったため、カウンターの形で蹴りが入ってしまいました。ターン蹴りの蹴り初めに対して不注意に足を出してしまうと、この様にカウンターを被せられる恐れがあります。ただし、相手選手はそれまで散々プレッシャーを掛けられていたため、後ろ蹴りモーションに反応させられ、蹴り足を出させられてしまったのです。

 別のシーンのターンカウンターを載せておきます。動きは分かりにくいのですが、後ろから見るとエフゲニーの回転中に一切ブレない体幹の強さと卓越した身体操作が伺えます。

プレッシャーの掛け方

 基本的にサウスポーで構えているエフゲニーですが、場面場面で右にスイッチする時があります。その時に多用しているのが押し蹴り気味の前蹴りなのですが、スローで見ると上足底(指の付け根)を相手に突き刺す様に蹴っているのが分かります。この辺りは相手にしっかりとダメージを与えて下がらせる蹴り方をしています。こういった攻撃をして来る相手に対しては距離を迂闊に縮めることは避けたくなります。

 更に、モーションが小さく飛距離が長いスーパーマンパンチを持っていることも相手にとっては大きなプレッシャーになります。ワンステップ入った瞬間に前足を抜き、相手に倒れこむ様にして飛び込む電光石火の一撃です。このパンチを持っている事で、相手選手に対して、いつ飛び込んで来るか分からないという恐怖を植えつけられる事もエフゲニーの強さです。

攻めの回転蹴り

 ターンなどの回転系の蹴りには、大きく逃げて距離を完全に外す事で避けられてしまうという弱点があります。エフゲニー自身もその特性を理解していて相手が不用意に回転蹴りを蹴って来るときには完全に付き合わずに距離を外し、戦いを仕切り直しています。

 エフゲニー自身はそれを良く理解しているため、大きく逃げて距離を完全に外そうとする相手に対しても回転を重ねる事で追いついて蹴りを当てるという技術を持っています。試合動画を見ていると、カウンターで回転蹴りを当てることの多いエフゲニーですが、逃げ続ける相手に対しては能動的に攻め込んで一気に潰す荒々しい戦い方を選択する事もあります。

 かなり強烈に攻めたてられる攻撃力と抜群の距離感覚を武器に相手にプレッシャーをかけ続け、辛抱堪らなくなった相手が中途半端な緩い攻撃を出してきたら見逃さずに一気に精度の高いカウンターを決める。ここまで理想的な戦い方を高いレベルの試合でも実現していた世界王者エフゲニー・オシミク。本当に面白い選手なので、ぜひ、YouTubeで動画を探して見てください。「Evgeniy Otsimik」で検索を!