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初めてのカトマンズ滞在記②カトマンズ到着

フライト

コロナ渦で温め続けたネパール旅行。2023年ゴールデンウィーク、ついに私はネパール行きの飛行機に乗り込んだ。ネパール語のアナウンスが機内に流れる。ナマステから始まってダンネバート(ネパール語でありがとう)で終わったことだけがわかった。そして飛行機がのっそり動き始める。エンジンと機械の音がだんだんと騒がしくなり、機体が加速し、体にかかるGが増してくる。そこで思い出してしまった。私は飛行機が苦手だった!
どんどん加速する飛行機がふっと離陸する瞬間。そこからしばらく続く浮遊感に胃がキリキリする。とっさに隣に座る後輩のYちゃんを見ると、Yちゃんは涼しげな表情だった。そんな後輩の手前、何となく見栄を張りたくなってしまい、本当は、目をつむって下を向いてYちゃんの手を握りたいくらいなのだが、涼しい顔を装って、浮遊感が去るのを待った。

日中の便だったので、本を読んだり映画を見たりして起きていようと思ったが、最初の機内食を食べたら眠くなり、結局ほとんど寝ていたら、次の機内食が出てきて、それを食べてまたうとうとしていたら、いつの間にか着陸してネパールに到着した。おかげで着陸は恐怖を感じずに済んだ。

ホールスパイスと一緒に炊かれたライスが美味しかった機内食

空港にて

父親にネパール航空でカトマンズに行くと言ったら、タラップで飛行機から乗り降りしてそう、と言っていたが、その通り、成田空港のようなボーディングブリッジはなく、飛行機から降りるときはタラップだった。ということで、飛行機から降りた瞬間が、私の人生で初めて、ネパールの地面に降り立った瞬間になった。雨が降ったらしく、地面は濡れていて、思ったよりも涼しかった。すぐに輸送バスに乗り込み、空港の建物へ。
そしてここからが次なる関門の入国手続き。まずはビザの発行。最初に自動カウンターで受付するのだが、受付画面を自分のスマホで撮影して、別の支払いカウンターでその写真を見せるという仕組みだった。スマホがない人はどうするのだろう・・。そして支払いは、カードが使えず現金のみ。カードレス決済に慣れてしまった現金を持たない人は困りそうだ・・。私は幸いにもスマホも現金も持っていたため、無事にビザを発行し、入国することができた。ちなみにスマホの充電サービスとATMはあったのでそこはご安心を。

入国して最初に、Yちゃんがシムを購入するというので、シムの売り場へ。私はWiFiのある環境だけでネットを使えればいいかなと思っていたが、その場の流れで私がシムを購入することになった。シムの売り場は大阪のバーゲンセールの様相でてんやわんや。列があるわけでもなく、カウンターに人が詰めかけている。こんな中で無事に購入できるのか、不安にさいなまれつつ、受付の人に申し込み用紙を渡して、じっと待つ。受付の人は1人で5人くらいのお客さんを同時にさばいていて、見ているこっちが目が回ってくる。その5人のお客さんの1人になり、しばらく待っていると、たまに質問されたり、写真を撮られたり、私の番が回ってきて、何週かそれを繰り返すうちに手続きが終わり、無事にシムを購入することができた。

空港を出る。やっと一息ついて深呼吸。何となく香辛料の香りがしてきそうだが、実際に私が感じた香りはお香のような香りだった。

街中もお香を焚いている店が多く、お香の香りがした

早速、もう一呼吸する間もなくタクシーの客引きにつかまった。
Yちゃんと私は、最初に徒歩で空港近くのパシュパティナートを観光し、その後、ホテルの送迎サービスを利用する計画だった。そのため、1人目の客引きはさらりとかわした。
しかしすぐに次の2人組の客引きがやってきて、こちらはしっかり捕まってしまった。パシュパティナートまで送ってくれて、観光している間は荷物を預かってくれて、そのあとホテルまで送ってくれるという。それでRs2000、日本円で約2000円。地球の歩き方の情報から、数十円でバスに乗れるという感覚だったため、高く感じたが、ほとんど事前調査をしていないYちゃんは、その値段なら良さそうという表情をしている。そんなYちゃんの空気に押され、そのタクシーを利用してみることにした。

パシュパティナート

空港からパシュパティナートまで、タクシーであっという間に到着。荷物を預けることが不安だった私は、荷物を預けずにタクシーを降りた。タクシーはそのまま立ち去るのかと思いきや、路肩に駐車。1人がタクシーで待機し、1人が中を案内してくれるようだった。そういうことなら荷物を預けても良かったなと思ったが、バックパック1つなので、そのまま荷物を持って行った。
歩き初めて最初に戸惑ったのは野良犬の多さ。犬にはなぜか吠えられることが多く、少し苦手意識があるため、最初はびくびくしていたが、カトマンズの犬は驚くほど人に無関心だった。滞在中、人間に対して吠える犬を一度も見かけることはなかった。

パシュパティナートはネパール最大のヒンドゥー教寺院で、聖なる川のバグマティ川の川岸にある。門を入り少し歩くと、川岸に点在する火葬場が見えてきた。火葬場は屋外で囲いもなく、対岸から火葬の炎が直に見える。遺灰はそのまま川に流され、お墓は造らないとのこと。日本ではあまり触れることのないヒンドゥー教の死生観は、とても新鮮だった。
さらに進むと、パシュパティナート寺院が見えてきた。寺院の周りにすごい人だかりができていると思ったら、日没後の祈りの儀式アールティーがちょうど始まるところであった。アナウンスが流れ、祈りの儀式が始まった。火葬が行われている横で行われる祈りの儀式なので、日本のお通夜やお葬式にあたるものなのだろうか。人だかりで儀式の様子は見えず、音だけで雰囲気を味わったが、とにかく人の往来が激しいのもあり、日本のように慎ましやかに送り出す儀式とは全く違う雰囲気だった。儀式は1時間続くということで、途中でお暇することにした。

パシュパティナート寺院の前は人であふれかえっていた

カトマンズの道路

パシュパティナートの門の前で待機していたタクシーに乗り、ホテルのあるカトマンズの中心街タメル地区へ出発した。タメル地区への道路は大混雑。混雑という言葉よりは無秩序という言葉の方がしっくりくるかもしれない。
左側通行ということ以外は、ルールがあるのかないのか、車もバイクも人も、車線関係なく思い思いに通行している。交差点に信号もないが、車は止まって譲るなんてこともしない。横断歩道もほとんどなく、あっても車は止まってくれないので、人は車が往来する道を覚悟して突っ込んで行き渡るしかない。しかし不思議と成り立っているのである。最後に乗ったタクシーのドライバーがこの様子を " Beautiful! I love it. " と言っていたが、その気持ちは何となくわからないでもないなと思った。

激しい交通の往来、無秩序だがなんだかんだ成り立っている

気付けばツアー代理店に

郊外から市街地へと街並みの雰囲気が変わって、中心地の雰囲気が出てきたところでタクシーが止まった。ホテルに着いたと思いきや、どうやらそうではなく、パシュパティナートで案内役をしてくれたPさんの兄弟が、日本語を話すことができ、ツアー代理店の仕事をしているということで、そのオフィスの前で止まったようだった。
おいおいと思いつつ、あれよあれよとオフィスに連れていかれ、とりあえず話をすることになってしまった。

Pさんの兄弟というKさんは、確かに日本語を話すことができたが、兄弟にしては顔が全く似ていなかった。どうやら、ビジネスパートナーのような関係性のようだった。
とりあえずお茶でもということで、ミルクティーを出してくれた。スパイスが効いているのが基本なのかと思っていたが、スパイス感はなく、ほっとする甘さが美味しかった。
半信半疑のまま話をしているうちにツアーが組み立てられていき、もともと私が考えていた、ヒマラヤの眺望を見るためのナガルコットへの一泊二日のツアーと、話を聞く中でYちゃんが興味をもったチトワン国立公園への一泊二日ツアーの二案が提案された。バスを使って自分たちで全て何とかしようと思っていたため、提案してくれた価格はやはり少し高いと感じてしまったが、日本と比べればだいぶお得ではあるし、Yちゃんも乗り気な様子だったため、ナガルコットのツアーをお願いすることにした。

最初の晩餐

ツアーが決まり、諸々の手続きを終えると、21時近かったが、夕飯として、オフィスの近くのMuktinath Thakali KitchenにKさんとPさんが連れて行ってくれた。お店の名前にタカリと入っており、座った席も、タカリ族の台所を再現しているとのことだった。そこでついに、念願の本場のダルバート。ダルバートにはタルカリやアチャールがたくさん載っており、まさに本で見たタカリ族のダルバートだった。

後の棚がタカリ族の台所を模しているとのことだった
タルカリとアチャールがたくさん載ったタカリ族のダルバート

スプーンも出してくれたが、手食にチャレンジ。日本のネパール料理屋で食べたトマトのタルカリが激辛だった苦い記憶があったので、それを回避しつつ、いろいろな組み合わせでおかずとご飯を手で混ぜて食べた。うまく食べられず、口の周りについてしまうため、だんだんと口の周りがピリピリしてきたが、食べている分にはちょどよい辛さで、どれもとても美味しかった。Yちゃんは激辛のトマトのタルカリを食べてしまいだいぶ辛そうにしていたため、少し申し訳ない気持ちになった。

夕食後、ホテルに着いた時には日付が変わろうとしていた。ダルバートはとっても美味しくて、食事は困らなそうだなと思ったが、街や人の雰囲気があまりにも日本と異なり、残り4日、ホームシックにならずに済むか不安にななったが、ホテルではあっという間に眠りにつき、長い1日目が終わった。

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