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初めてのカトマンズ滞在記③市街地散歩(前編)

最初の朝

朝、目が覚めるとそこは見慣れぬホテルの室内。ボーっとした頭で、自分が今どこにいるのか少し考え、ネパールにいることを思い出しハッとする。

ホテルはカーテンレールが片方壊れてカーテンがだらんとしている以外は、日本のホテルと変わらない。ネパールでは、トイレにはトイレットペーパーはなくセルフ水洗、シャワーはお湯が出ず水シャワーが一般的だそうだが、ホテルにはトイレットペーパーもあり、シャワーもお湯が出た。
ユニットバスの浴槽にはカーテンがなく、気付けばトイレが水浸しになってしまったが、それ以外は至って快適だった。地球の歩き方にビーチサンダルがあると良いと書いてあったのは本当だった。

今日は市街地を歩き回りたいと思っていたが、具体的にどこに行くかは朝になってもノープラン。ひとまずホテルの朝ごはんを食べていると、ホテルのスタッフが話しかけてくれたため、聞いてみるとモンキーテンプルをお勧めしてくれた。昨日のツアー代理店のKさんもモンキーテンプルをお勧めしてくれていたため、午前中は通称モンキーテンプルのスワヤンブナートに行くことにした。

打ちのめされた街歩き

ホテルの前の細道を通り大通りに出る。大通りは、昨晩の静けさとは打って変わって、大混雑!あちらこちらでクラクションが鳴り響き、車とバイクがグネグネと走り回っている。昨日は車の後部座席からみた景色だが、実際に目の前で生で見ると、感じる勢いが凄まじい。そして、排気ガスや十分に舗装されていない道路の砂塵でとても空気が悪い。ほとんどの人はもうマスクをしていないが、ちらほら見かけるマスクの人は、コロナよりもこの砂塵の対策でマスクをしているような気がする。

ホテルの前の大通りの交差点
ぐるぐる巻きの送電線もインパクト大

ホテルからスワヤンブナートへは、名前の通り、スワヤンブナートへ向かう道のスワヤンブ・マルグを通って向かった。少し歩くと、ビシュマティ川に架かる橋をわたる。この辺りもかなり交通量が多かった。
交通量の多さも驚きだったが、何より驚きだったのは、路上のごみの多さ。ビシュマティ川の河川敷は特にゴミが多かった。

ボーっと川を眺めている脇でも、さっそくゴミを川に投げている人がいて、ごみを拾いながら日本で山登りしている自分にとっては(日本の登山道ではほとんどゴミは落ちていないが)、非常にカルチャーショックだった。
そして橋の上では、小さい子供から "Money" と声を掛けられ、これもまた私にとっては大きなショックだった。

橋の下からふと上を見上げると、木に紫の花がたわわに咲いていた。
紫の花はジャカランダという品種で、この後もカトマンズの街中でよく目にしたため、印象深い。
このときは、カルチャーショックで素直に花を美しいと思えなかったが、花の写真をたくさん撮っていたYちゃんに倣って写真を撮った。

ビシュマティ川とジャカランダ

スワヤンブナート

ビシュマティ川を渡ると緩やかに道が登り始めた。だんだんと交通量も少なくなってきて、静かな街歩きになってくる。ふと後ろを振り返ると、カトマンズの中心地の街並みが見渡せた。いつの間にか結構登ってきたのだなと、再び前を向いて歩きだすと、お次は前方の街並みの向こうに、スワヤンブナートの仏塔が顔を覗かせた。

カラフルな街並みがかわいらしい
スワヤンブナートの仏塔が見えてきた

再び人通りが増えてきたと思った頃、スワヤンブナートに到着。
階段を上っていくと、確かに猿がたくさんいた。地球の歩き方には、猿に物を取られないように注意と書かれていたが、野良犬と同じように、人間にはあまり関心を示さず、我が道を生きている様子。
そして、ちらほらとお土産物の露店と客引きを見かけるようになる。ハローやナマステと声を掛けられるのに対し、Yちゃんは笑顔で返事をするため、何度も客引きにつかまりそうになる。欧米人のツーリストは返事をすることなくスルーしていくため、客引きもすぐにあきらめる。Yちゃんは優しいなあと思いつつ、私は、欧米人を見習ってスルーした。

階段を登りきると、仏塔が真ん前に現れ、入場料を支払い、境内という表現が正しいかわからないけど境内の中に入った。
正直、ここまで見てきた街並みへのカルチャーショックで、心ここにあらずな状態だったが、写真や映像で何度も見た象徴的な目とタルチョとマニ車に、少なからず感動した。

スワヤンブナートの境内
猿もたくさんいるけど犬もたくさん、危うく踏みそうになる

境内の中を一通り散策すると、時刻はお昼前。スワヤンブナートをあとにし、ホテルの方へと戻りながら、お昼ご飯を食べれそうなお店を探す。
しばらく歩いたが、入りやすそうなお店がなかったため、行きたいと思っていたバグ・バザールのBajrayogini Bhojanalayaを目指すことに。
途中から雲行きが怪しくなってきて、少し雨が降り始めたが、本降りになる前にギリギリでお店に駆け込むことができた。

ダルバート

バグ・バザールのエリアでは、ほとんどツーリストを見かけることがなく、食堂の中も現地のお客さんのみ。英語のメニューがあると前情報はもっていたものの、本当にメニューがあるのか不安になる雰囲気だったが、しばらくすると店員さんがメニューを持ってきてくれた。
ダルバートを食べるつもりだったが、思っていたよりメニューの種類があり、心揺さぶられる。迷ったがやはりダルバートを選択。Yちゃんはチョウメンとラッシーを注文。午前中歩き回り、お腹もペコペコだったので、Rs30のポテトもそれぞれ注文してみた。

ウキウキしながら待っていると、ポテトとラッシーが出てきた。ラッシーはYちゃんだけが頼んだつもりだったが、私の分も出てきてしまった。しかしこのラッシーには後々助けられた。
ポテトはジャガイモとインゲンのタルカリ。一緒に炒めてあった青唐辛子は除けながらいただく。生のままあえてあった紫玉ねぎは辛みが少なく、良いアクセントを効かせていた。美味しくてパクパクと箸が進むが、これだけでお腹いっぱいになりそうな量が出てきたので、少しお休みしていると、ついにダルバートが出てきた。こちらも山盛り!別に頼んだポテトと同じポテトが付け合わせについてきてダブルポテトになってしまった。

①ポテト(じゃがいもとインゲンのカレー風味のタルカリ)
②茹で大豆とトマトとパクチーのすっぱさわやか風味のタルカリ
③煎り大豆を使ったカレー風味のタルカリ
①~③には青唐辛子と生の紫玉ねぎが使われていた
④ポン菓子、⑤干し飯
⑥トマトのタルカリ(食べていないけど激辛と想定)
⑦ダル(パクチーが効いていて少しすっぱい、豆は大豆っぽい何か)
⑧マトンカレー

またもや付いてきたトマトのタルカリは避けながら、手食でいただく。ダルは昨日食べたダルとは豆も味付けも異なり、少し酸っぱい。サンバルに近いものを感じた。干し飯やポン菓子は、水分を吸うとまとまりやすく、炊いたご飯よりも手で食べやすかった。あまり大豆は使わないイメージがあったが、このお店のタルカリは大豆がよくつかわれていた。
どの料理もとても美味しかったが、青唐辛子がだんだんと効いてきて、口の中や周りがピリピリしてきた。念のため、ダルバートが来る前に、飲まずにとっておいたラッシーにとても助けられた。
Yちゃんが頼んだチョウメンも、見た目は全く辛くなさそうだったが、後からピリピリ来るタイプだったようで、Yちゃんはラッシー2杯目に突入しようか悩んでいた。

バグ・バザールと本屋

食べ終わった後もまだ雨が強かったが、しばらくするとやむ予報だったため、午後はタクシーでホテルに戻り、ホテルから比較的近いダルバール広場に行ってみることにした。
Pathaoというネパールの配車アプリを登録できたため、お店を出て、アプリでタクシーを呼んでみる。地図上に表示されるタクシーを選択すると、マッチングが始まり、マッチングするとメッセージのやり取りや電話ができるようになる。現在地を伝えて待ってみるが、選択したタクシーは、どんどん離れていく。そうこうしているうちに、雨が止んだ。
タクシーは来る気配がないため、諦めてキャンセル。1度目のPathaoチャレンジは失敗に終わり、再び歩いてホテルに向かうことにした。

バグ・バザール周辺は、学校が多く、制服を着た学生をよく見かけた。そのためか、本屋も多い。知り合いにジリの登山地図を買ってきてほしいと頼まれていたのを思い出し、本屋に何件か立ち寄ったが、どの本屋も教科書しか取り扱っていなかった。
タメル地区まで戻ってきて、登山用品店で地図がないか聞いてみた。1件目は迷子になっていると勘違いされ、道案内してくれた。2件目でようやく、近くにある本屋で取り扱っているという情報を入手。店を出て少し歩くと、すぐにその本屋は見つかった。地図は本屋に入ってすぐのエリアに置かれていて、無事に地図を購入することができた。
自分用にもいつの日か来るトレッキング遠征に備え、ルクラからエベレストベースキャンプまでの地図を購入した。

山と高原地図より少し大きめがスタンダードサイズ

無事に地図を購入できたため、再びホテルを目指して歩き始める。
気付けばここまでで2万歩近く、市街地を歩き回っていた。

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