短編小説『秘密基地』
[それでは、始めましょうか]
その言葉と同時に私は夏休みの事を思い出しながら日記を書く
8月2日 今日は親友の玲奈と一緒に遊ぶ事にした
「ごめん〜!遅れた〜!」
「ちょっと玲奈遅刻だよー」
玲奈はごめんごめんと言って飲み物奢るから許してって言ってきた
「何が良い?」
「ス◯バが良いなぁ笑」
玲奈は良いよ!と言って私も飲みたかったんだよねぇと言っていた
「このス◯バの新作美味しいよねぇ」
「えー、私はシンプルな方が好きだなぁ」
まぁお互い好みは別々だよね
8月5日 今日は特に何も無かったから、玲奈からおすすめされた恋愛映画を観た
「へぇ〜、この2人が付き合うのか」
私は恋愛映画より戦闘シーンが多いアクション映画の方が好きだなぁ
ちゃんと玲奈には感想を伝えた
8月10日 今日は玲奈と川遊びをした
「ねぇ陽奈、私達の秘密基地を作らない?」
「いいね!なんか面白そう!」
玲奈が2人だけの秘密基地を作ろうと言った、夏休みの思い出にもなりそうだから賛成した
明日から2人だけの秘密基地を作ると思うとワクワクした
8月15日 今日から秘密基地を作る、楽しみ
「どんな感じの秘密基地が良いかなぁ?」
「かっこよくて涼しい感じかな?」
私がかっこいい感じの秘密基地が良いと言ったら玲奈は涼しくて可愛い感じが良いと言ってきた、まぁ玲奈は可愛い物が好きだからなぁ、でも結局の所涼しい感じは変わらないから、涼しい感じで作る事にした
8月19日 玲奈と一緒に木の枝や花の資材を集めた
「見て見て〜!陽奈、鹿〜笑」
「あはは笑何してんのさ笑」
玲奈は木の枝を頭に置いて鹿の角を表現していた、やっぱ昔から人気者で可愛い玲奈は何しても面白いな………
8月22日 資材集めが終わって組み立て始めた、川が流れてて涼しい
「陽奈〜、どうかなぁ?」
「おー!良いと思うよ〜!」
もう組み立て終わる………なんか……
8月24日 秘密基地が完成して中でくつろいだ
「草の上にブルーシート置いて良かったよね」
「うん!寝っ転がれるし、風通し最高!」
もう秘密基地完成しちゃった…少し寂しい気がする
8月26日 玲奈があまり秘密基地に来なくなった
「…今日も1人か…」
まぁ…玲奈の事だから、他の子に遊びに誘われてるんだろうな………くやしいな…
8月28日 全部………完成しちゃったからだ…
「この秘密基地…2人の秘密基地なのに」
最近、秘密基地が荒れている事が多い…近所の小学生とかのイタズラだろうけど……
8月29日 夏休み……終わる……イヤダ…
「秘密基地…行ってなかった…行ってみよう」
誰も居ないと思うけど
8月30日 オワラセタクナイ…ヒミツキチ…ナイ
「あれ?最後に玲奈と遊んだの…いつだっけ」
玲奈が居なくなったらしい…何でだろ…?
8月31日 玲奈居ない…何処だろう…?
「……秘密基地も玲奈も無くなっちゃった…何処にあったかな…?」
[…貴方の夏休みは終わりです
中原玲奈さん]
え?何言ってるんだ…この人…私は陽奈なのに
「あの…私、玲奈じゃない…」
[玲奈さん、貴方は自分自身を殺しそして夏休み中に陽奈さんを川で亡くした、貴方は木嶋陽奈さんになりきり陽奈さん本人をその秘密基地に埋めた]
………あ…あぁ…陽奈は川で溺れたんだ…助けたけど、遅かったから2人の秘密基地に埋めたんだっけ…?
「……陽奈は人気者だったなぁ…」
[玲奈さん、貴方は陽奈さんの格好や癖を真似して夏休みの後に学校に行ってましたね髪型も服装もまるで本物の陽奈さんの様に]
「あの…貴方は誰ですか?」
私がそう言うとその人は
[私は精神病棟の先生です、今回の件で貴方には沢山質問しました、貴方が陽奈さんを慕っていた事や羨ましいと思っていた事が十分伝わりました]
『秘密基地』END