CD紹介『中島卓偉/GIRLS LOOK AHEAD』

80年代『GLORIA』で一躍スターダムにのし上がったロックバンド、ZIGGY。
10年代以降も°C-ute、アンジュルム、Juice=Juiceほか多数の人気アイドルユニットを抱える組織、「ハロー！プロジェクト」。
この相反する２つの点を結んでしまった男が、中島卓偉という男である。

そんなカッコつけたイントロで始めた今回のCD紹介ですが、中島卓偉のキャリアは1994年に結成されたロックバンドMAGGIE MAEのボーカリストからスタートします。
とは言っても実はぼくMAGGIE MAEの音源聴いたことなくて、実際にお話しできるのはバンド解散後にTAKUIとしてソロデビューを果たした1999年以降です。ちなみにぼくの小学校デビューも99年なので、実は彼とは同期にあたります。

TAKUIとして2006年まで、名義を中島卓偉にしてから現在に至るまで、彼はソロ活動でコンスタントに作品を送り出しています。
作品の特徴は、まずなんといっても圧倒的な歌唱力。西川貴教、森重樹一(ZIGGY)辺りに比肩します。いやマジで。
よく歌が上手いかどうかを測る際に「高音がどこまで出るか」みたいなびっくり人間コンテスト的指標持ち出す人いるじゃないですか。あれぼくはあんまり重視してなくて、安定感と声量の方に重きを置いてます。そういう基準で中島卓偉の歌唱力はマジやばい。いや、高音もやばいんだけどね。
そして、音楽性は、ご本人曰く「ビートルズが音楽の入り口」とのことですが、正直、サビのキャッチーさはぼくが聴く限りイギリスというよりアメリカ、80年代のLAメタルにルーツを感じます。
最もおすすめなのは、メジャー1stの『NUCLEAR SONIC PUNK』。
音作りは全体的にエッジが効いててやや硬質な印象なんですが、メロディラインがめちゃくちゃキャッチーなので聴いてて全く疲れを感じさせません。ちなみに、アルバム名にPUNKって入ってますが、パンクというよりはインダストリアルロック色が強い気がします。
続く2nd『CHUNKY GOD POP』、3rd『SWANKY GOD POP』は、音が柔らかくなり疾走感が増して、パンクっぽい感じになります。メロディのキャッチーさは変わらずで、こちらもおすすめです。
何よりこの3枚は結構BOOKOFFに出回ってて、全部買っても1000円以下に抑えられるんじゃないでしょうか。
それで興味が出たらベスト盤が二枚組で出てるのでそちらを是非。評価の高い中島卓偉名義になってからのバラード楽曲なんかも収録されてます。ぼくはバラードあんまり聴かないんでコメントは控えます。

こんな感じで、ボーカリストとしての実力は折り紙つきの中島卓偉がリスペクトを送るのが、冒頭に掲げたZIGGYの森重樹一です。
音楽的にも影響を感じさせる部分は多く、中でもメロディセンスは両者ともに抜群ですね。
ただ、中島卓偉がセールス面でZIGGY並みに成功を収めたかとなると難しいところで、「お母さんが名前を知ってるか」指標に基づくと、ZIGGYは知ってても中島卓偉まで知ってるお母さんは多分元バンギャです。

そんなZIGGYに比肩するにも関わらず世間から相応の評価を満足に得られなかった彼のメロディセンスは、ハロー!プロジェクトというフィールドで遂に陽の目を見ることとなります。めっちゃ熱い展開。

やっぱり同じ音楽業界内では高い評価を受けてたんでしょう。
つんく♂「今の日本に俺以外に（笑）こんな素晴らしい曲（メロディ）を書く奴いないのかもしれない。」〈つんく♂11年ぶりソロ名義曲は女性に捧げるバラード〉より引用。
つんく♂本人への楽曲提供の前後から、ハロプロ楽曲のクリエイターとしての中島卓偉の活躍が始まります。
アンジュルムの代表作『大器晩成』。
°C-ute『℃maj9』(※40秒弱のSE的な1曲なんですが、コーラスの感じがTAKUI感凄いんで挙げました)。
真野恵里菜『My Days for You』。Juice=Juice『愛・愛・傘』。
レコ大最優秀新人賞に輝いたつばきファクトリー『就活センセーション』。

ただただ凄いラインナップ。もちろんこれは一部抜粋で、さらに数多くの楽曲提供を行なっています。
そんな楽曲たちをセルフカバーしたアルバムが今回の『GIRLS LOOK AHEAD』。
もうほんとアツ過ぎる。
どれも比較的原曲に忠実寄りのアレンジで『大器晩成』なんかはコーラスにアンジュルムのメンバーも参加してたりで、ハロプロファンの受け入れやすさを目指しているような印象。
でも中島卓偉が歌うとやっぱりかっこいいんですよね。
正直CD紹介というよりは中島卓偉の紹介になっちゃったんですが、ぜひハロプロファンに聴いてもらいたいファンディスク的な1枚だと思います。

おすすめ度 80%
おすすめ曲 ②③⑧⑪
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