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CD紹介『Chiodos/All's Well That Ends Well』

今回はChiodosというバンドで叙情系ハードコアというジャンルを紹介していこうと思います。

叙情系ハードコアは、ハードコアパンクの系譜を引くポストハードコアの中でも、叙情性に訴求した音楽性を以て、せいやの舞台を動き回るアクティブなボケと、粗品の体言止めを多用したツッコミが特徴のコンビです。
ぶっちゃけこの辺のエモとかメタルコアとかのジャンルの違いって結構感覚的なところがあって、ぼくの知識だと説明できなくて、、、スイマセン、、、

例えば、ぼくの好きなジャンルに叙情メロデスっていうのがあります。1回目の記事で紹介したSoilworkとか、もっと叙情ポイントを上げたバンドならフィンランドのAmorphisとか。
この辺のジャンルと叙情系ハードコアの違いはまだ分かりやすいかもしれません。

「ほむらちゃん、ごめんね。私、魔法少女になる。私、やっとわかったの。叶えたい願いごと見つけたの。だからそのために、この命を使うね。」

このように、1クールの間に溜め込んだ思いを重く明確な意思を以て表現。昂ぶりを敢えて抑えることで際立つ悲壮感を越えた先のドラマティック性。叙情メロデスです。
これに対して、

「これがまどかの望んだ結末だって言うの?こんな終わり方で、まどかは報われるの!?冗談じゃないわ!!」

と畳み掛けるような疾走感で繰り出される高音シャウト。泣き出しそうな感情の昂りを抑えることなく直情的に昇華。これが叙情系ハードコアです。

以上をふまえて昨日のまどマギ再放送を振り返っていきましょう。
今回取り上げるChiodosというバンド、実は叙情系ハードコアと捉えるかちょっと微妙なところで、複雑な音楽性はむしろカオティックハードコアとかプログレッシブハードコアに近いものを感じさせます。
ただ、このバンドの特徴であるピアノサウンドのドラマティックな演出が、カオティックハードコアにありがちな「一見さん御断り」的聴きづらさを打ち消していて、「My Chemical Romanceに似てない?」と言われるレベルで聴きやすい楽曲を成立させています。ボーカルの声質が軽いのも、聴きやすさって点ではプラスに作用しているように思います。
そして、ピアノサウンドの分かりやすい大仰なメロディは、すげー雑に言うとXJAPANみたいな感じなんで、ハードコアに耐性のない人でも受け入れやすい味付けになっているんじゃないでしょうか。

結論、今回取り上げたChiodosは、叙情系ハードコアの入り口として、この手のジャンルにあまり馴染みのない方、特に「学生の頃マイケミ聴いてたわー」って方にはぜひぜひ聴いていただきたいバンドだと思います。
カオティックハードコアに近いと前述しましたが、楽曲の疾走感や泣き出しそうな直情的なメロディは叙情系の要素を十分に含んだものと思われます。
そして、他の叙情系ハードコアバンドにはないピアノサウンドを中心とした聴きやすさが入り口となってくれるはずです。

また、このバンドを入り口とするメリットはもう1つあって、複雑な音楽性に惹かれたらカオティックハードコアへの入り口にもなってくれるからなんですよね。
このバンドをきっかけに、叙情系ハードコアに惹かれたならCounterpartsやHundredth、国産ならA Ghost of Flare(『鼓動』ってアルバムがマジでオススメです)。
カオティックハードコアを追求したいならTHE DILLINGER ESCAPE PLANやThe Fall of Troyなんかカッコいいです。
また、まどマギに惹かれたなら『結城友奈は勇者である』と、選択肢は無数に広がることでしょう。

おすすめ度 85%
おすすめ曲 ②⑤⑩⑪
これが好きなら My Chemical Romance


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