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CD紹介『ヒプノシスマイク/Enter the Hypnosis Microphone』

CD紹介も3作目でもあの作品が足んなくね?というキツい導入から今回紹介するのが、男性声優12人による音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』から今年リリースされた1stフルアルバム『Enter the Hypnosis Microphone』。
フルアルバムといっても全12曲中7曲はすでにシングルカット済みの音源で、新録が半分以下という本作。多分XJAPANが新しくアルバム出したらこのくらいの比率になるのかなという半ばベスト盤のような構成となっています。
ヒプマイ今から手を出してみたいって方はとりあえず本作聴いておけば間違いないです。

1曲目は先行配信もされた全員によるマイクリレー曲。RHYMESTER好きならこの曲から勧めたいっていうファンキーなトラックです。
で、いきなり飛ぶんですが本作で一番ハマったのが7曲目『Stella』。シブヤ・ディビジョンのFling Posseによる新録なんですが、まず太陽なんてとうの昔に死んだような近未来SFチックなリリックが面白い。そして四つ打ちのキックに合わせて倍テンではめ込んでいくフックの高揚感が堪らない。Fling Posse楽曲のズルさって半分は飴村乱数(cv.白井悠介)くんの声にあると思っていて、彼のあざとい(褒め言葉)声色と弾むようなフロウがあればどんなトラックでもFling Posse感が担保されるんですよね。それで後の2人がスキル面をがっちり固める。特に有栖川帝統(cv. 野津山幸宏)くんはヒプマイ声優陣の中でも群を抜いて上手いと思っていて(山田一郎(cv.木村昴)は別格)、12曲目「ヒプノシスマイク -Division Battle Anthem- 」でもはめ方が難しいところを難なくラップしてたりします。

ここまでFling Posseの話ばかりしてますが、ぼくの推しシンジュク・ディビジョンの麻天狼は正直本作ではちょっと印象薄い感が、、、
というのも、本作の収録からは漏れた前作シングル『The Champion』が良くて、ハードル上げすぎたんですよね。Zeebra作詞でライムの置きどころ完璧。それだけでも“オタク楽曲”としてはどちゃくそハイレベルなのにTRAPまでキメてくるヤバさ。なにせプロデュースを手掛けたのがあのBAD HOP『Kawasaki Drift』の理貴さんですからもうオタク楽曲の域を超えてる。そして、そんな鬼トラックをばっちり乗りこなす伊弉冉一二三(cv.木島隆一)ですよ。ほんと頑張ったね。しんどい。

そして曲順が前後するんですが、5曲目のヨコハマ・ディビジョンのMAD TRIGGER CREWの新録『シノギ(Dead Pools)』も面白いです。
この曲は元ネタが割とはっきりしてて、Kendrick Lamar『Swimming Pools』ですね。
ヒプノシスマイクの楽しみ方に「ルーツを辿る」というのがあって、例えばドラマCDのトラック名が『証言』で、これは日本語ラップのクラシックであるLAMP EYEの『証言』からの引用だと思われます。
本作のアルバム名『Enter the Hypnosis Microphone』は、直接的にはSKY-HIの『Enter The Dungeon』からかなあ。
そうなると2曲目と12曲目の「Welcome to the Division〜」ってフックは同じくSKY-HIの楽曲『Welcome To The Dungeon』を連想させますね。
MAD TRIGGER CREWのPVには“ハマの怪獣”こと横浜代表OZROSAURUSを意識したものもあったりします。横浜繋がりがニクい。

そんな楽しみ方いっぱいのヒプノシスマイクですが、ちょうど先週、サイプレス上野とロベルト吉野×月蝕會議×The Dirty Dawg(from「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」)による『The Three Musketeers Mic Relay』(コピペ)の先行配信がスタートしました。
これがまためっちゃええ。
本作11曲目『T.D.D LEGEND』もAerosmithの『Walk This Way』のギターリフをサンプリングしてたりのミクスチャーロック的味付けで結構好きなんですが、今回の『The Three Musketeers Mic Relay』の方が個人的には好みでした。現実と架空とのクロスオーバーにほんと弱くて、余談ですが、ラブライブ!のライブでスクリーンに映るアニメPVとステージ上の演者の同期性だけで5000兆リットルの涙流せます。
そして今回はサイプレス上野とThe Dirty Dawgのマイクリレーですよ。2000兆リットルは堅い。
ちなみにサイプレス上野はヨコハマ・ディビジョンの碧棺左馬刻(cv.浅沼晋太郎)様のソロ曲『G anthem of Y-CITY』(※本作未収録)の作詞担当だったりします。そしてサイプレス上野は『PRINCE OF YOKOHAMA 』って楽曲を出してるレペゼン横浜。やっぱり横浜繋がりがニクい。

おすすめ度 75%
おすすめ曲 ④⑤⑦⑧⑫
これが好きなら
⑤→ Kendrick Lamar「Swimming Pools 」
⑦→ TABOO1「禁断の惑星 feat.志人」
⑧→ STUTS「Ride (feat. G Yamazawa, 仙人掌 & Maya Hatch)」

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