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CD紹介『Atomic Swing/A Car Crash in the Blue』

このアルバムはCD屋でバイトしてた時に社員さんから教えてもらった一枚です。
北欧メタルの話をしてて「がわねり君北欧って言ったらメタル以外も聴かんと勿体ないよ〜」ってマウントポジションと共に翌日CD持ってきてくれたんですよね。
ちょうどその頃のぼくは、その社員さんの話以外なら何でも聞こうという非常に貪欲な時期だったのですぐ聴いたのを覚えています。

それでこのAtomic Swing。音楽的にはUKのガレージロックの流れに属するサーヴァントって感じなんですが、積んでる概念礼装が北欧メタル、それもキラキラ系ではなくぼくの好きな叙情メロに通ずるものがあります。
ただ、彼らを語るうえでは北欧メタルを出すよりはるかに分かりやすいバンドがあって、それがMando Diaoです。

Mando Diaoというと日本でもかなりセールスあげた有名バンドで、この前千鳥の『相席食堂』を観てたらこのバンドの『The Band』って曲のイントロが使われてたくらいです。
ちなみに『相席食堂』。おすすめ回は獣神サンダー・ライガー回と西川きよし回です。Amazonプライム・ビデオで観られるので是非。
さてMando Diaoというと、哀愁感たっぷりの叙情メロと枯れ気味なのに聴き取り易いイケボボーカルの相乗効果で、その辺のUKロックと明らかに一線を画すバンドですが、実はこの特徴がそのままAtomic Swingに当てはまるんです。その上でAtomic Swingはオルガンの主張が強く、これがこのバンドを独自なものとたらしめています。
オルガンのメロがバンドサウンドに乗っかるのって個人的にすごい好みで。けいおん!の『Listen!!』嫌いなオタクいないでしょ?
ちなみに、主語をでかくするのがSNSでバズるコツらしいです。
ただ、オルガンの空間的な余剰がより活きるのは、Listen!!のような疾走チューンよりもむしろミドルチューン+叙情メロだと思っています。言うまでもなく、Atomic Swingは後者です。

以上をふまえて本作なんですが、よくよく聴くとオルガンが全く浮いてないところに彼らの凄みがあります。
オルガン好きなんですけど場合によっては結構安っぽくなるじゃないですか。幼稚園や小学校で、『猫踏んじゃった』を教室のオルガンで早弾きすることに自己の拠り所を見出していたピエロが1人はいたと思うんですが、「安っぽいオルガン」のイメージが国民の心象風景に刷り込まれているのは彼女らの功績。裁くぜ法廷。No pain,No game. 韻踏んじゃった。
Atomic Swingの楽曲においてオルガンが浮いてないのは、場合によっては歌メロをなぞるくらいキャッチーなリードギターによるところが大きいです。毒をもって毒をセーブです。
あとは、あくまでマイナー調でボーカルも低音系の渋い歌声で、それらの要素が上手く噛み合って、あくまで上品で、かつ良い具合のキャッチーさを成立させています。

そして、このバンドが刺さるだろうって層なんですが、Mando Diao、MUSE、あと、スウェディッシュポップ好きな人だと意外とハマるかもしれないです。
それと「大きい声で言えないんだけどBlurやRadioheadってカッコいいんだけどちょっと地味で…」と怯えてるあなたにも味方してくれるはずです。

おすすめ度 95%
おすすめ曲 ①②④⑤⑦
これが好きなら Mando Diao、MUSE、The Cardigans、DIZZY MIZZ LIZZY、Franz Ferdinand


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