そのマスク、危ないぜ!

つい先日、歩きスマホをしている男性とぶつかった。

これが普通のぶつかり方じゃなかった。正確に言うなら、男性のカバンが予期せぬ方向から飛んできてぶつかった。

経緯はこうです。

道幅3mほどの歩道を駅に向かっていた。お昼前のことで仕事で他区へ向かうところ。天気もよかったので歩きで、である。



店舗|歩道|車道|歩道|店舗

自宅

という構造の道で、自分は→の歩道を歩いていた。

平日の昼間で人通りは少ない。駅に向かう最短のルートなので、緊急事態宣言下に駅に「必要緊急」で最短で行かねば、という人もいないのだろう。

向かいから男性が歩きスマホで歩いてくる。眼鏡ヒゲミドルヘアーのカジュアルな(しかしオシャレではない)40代半ば。もしかしたら夜勤の仕事、サーバー設置、メンテなどのカスタマーエンジニアかもしれない。便宜上、歩きスマホ男性をCSとする。CSは肩からはジャック・バウアーのようなカバンをたすき掛けにしている。

なんのことはない。幅3mの歩道である。

CSは車道に近い方を、自分は店舗に近い側。絶対にぶつかるはずはない。いや、ぶつかれるもんならぶつかってみやがれい!ぐらいの勢いである。

そして十分な距離を取ったまますれ違う。とうとうである。

刹那、CSはこちらの影におののいて、素早く反時計回りに体を翻す!

その結果、CSのたすき掛けしていたカバンが勢いよく回転!後ろ回し蹴りよろしく、いや、竜巻旋風脚のごとく自分の背後からどーん!強襲してきたのだッッ!!

こやつ、鍛錬のため、カバンに河原の石を詰め込んでおるのか!?というほどの衝撃。

痛かったけども、CSも自分も何事もなかったかのように歩き去った。だって「気を付けろい!」でもないような気がしたし、実際に河原の石が入っていたら相当ヤバいし。しっかしまったく予想外のぶつかりである。想定の外のGUY。ファイナルファイトのGUY、だ。

歩きマホは確かに危ない。条例にもあるし、啓発ポスターもそこかしこで見かける。ただ、歩きスマホはどちらかというと被害者になるから危ないぞ、という見方が強い気がする。

横断歩道や交差点で周囲の危険を察知できず、事故に巻き込まれたりケガをするかもしれない。周囲の人々も事前に「歩きスマホ危ないなあ」というよりも、事後的に「歩きスマホなんかしているから痛い目に合うんだ当然だ」という向きが強い気がする。信号無視で事故に遭うのと同様である。

しかし、信号無視をする理由があったかもしれないのだ。
産気づいたり、親の危篤だったり。
歩きスマホだって、迷える自殺願望の人を救う言葉を急ぎつぶやかなくてはいけない状況だったのかもしれない。善の歩きスマホであるかもしれない。

ルールやマナーに固執するあまり、見捨てられるものは存在する。やむを得ない違反は確かにある。テクノロジーはそういうマイノリティの万一の違反に備える「助命」技術であるべきだ。

というわけで、スマホに人感センサーをつけて、すれ違う前に警告するようにして下さい。

背中痛すよ!

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