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大学バスケを取り巻く環境/スポーツと進学

こんにちわ、うさパンです。
最近うさパンのことを『うさちゃんパンツ』の略ではなく、うさちゃんパンチの略にすれば合法化されるのでは?という名案を思いつきました。
皆さんどう思いますかどうでもいいですかソーダヨネ

先日のモッチラミン選手(JR東日本秋田ペッカーズ←埼玉ブロンコス←大東文化大学←桜丘高校)のツイートはバスケットボール界だけにとどまらない大きな反響がありましたね。

まずこのツイートについてひとつだけ私見を申し上げたいのですが、後半に『人種差別』という言葉が出てきています。
引用リツイートなどをいくつか拝見させていただくと、意外と『その表現は少し違うのでは?言い過ぎじゃない?』というような意見を見ましたが、その時点で差別の本質を理解してないのではないかと思います。

差別というのは『当事者本人がそう感じている』ことが大前提であると思います。

第三者である周りの人間が頭ごなしに『いやいやそれは言い過ぎでしょ』と言い切るのは、男性が大多数を占める会社でセクハラに悩む女性社員が受ける印象と同じだと思います。
15歳で国と親元を離れて思春期真っ只中を過ごす彼らの言葉に対して、まずは我々が受け入れ、なぜ彼がそう言った言葉を使わないといけなかったのか、考えてみてからでも遅くないと思います。
良識ある皆さんご自身が、一大決心して「人種差別」という言葉を発しないといけない立場になったらならば…
確かに人種差別という表現は適切ではなかったかもしれませんが、相互に歩み寄り理解があってこそ、初めて対話が生まれると思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。

スポーツでの進学(高校→高等教育機関)

学生の本文は勉学である。
が。
本人の学校での学力にはそぐわない進学先へ、スポーツの実績が推し進めてくれる事実はもはや世界中で常識となっています。
心身ともに鍛えることから人間的な成長と学びがあること皆さんご存じでしょうし、かくいう私も部活動を通して多くの教訓を得てきました。

しかし、何事もバランスが大事であり、何かが偏ってしまうと本質から逸れてしまう事も世の常。ということで、バスケットボール界の例を元に皆さんと一緒に現状のスポーツ、勉強、学校、部活について考えていければなと思います。

今回はまず、高校から高等教育機関の進学、特に高校から大学への進学について、スポーツの側面から考えていきたいと思います。

まず高等教育機関とした理由は、高校から専門学校でも少なからず同じような事例があるからです。
まず中学→高校をここで列挙しない理由は、
・中学は義務教育であり、高校以上とは性質が違う
・中学校はほぼ全ての生徒が通うことができる
・筆者が事情をそこまで詳しくない
ということです。二つ目は後に説明します。

日本国内のバスケファンにとって、高校バスケの人気に疑いの余地はありません。そんな青春真っ只中の彼らに対してのリクルートは、おおよそが2年生の頃から始まります。3年生になる頃には関東の1部に推薦で行くような選手はインターハイ前に進路が決まっています。
その子の潜在能力や知名度によってリクルートの声がかかるタイミングは早まり、何世代かに一人の逸材ともなると、中学卒業くらいから声がかかっている子もいたりします。

そして年始ごろになると、某有名バスケットボール雑誌には全国の強豪高校の3年生の進路が掲載されます。見たことがある方はご存じでしょうが、掲載されている半数以上が大学へ進学、専門学校と就職がごく一部、という感じです。

そうです、誤解を恐れずにいうと男女問わず本人が望みさえすれば、ほぼ大学もしくは専門学校に進学できるのです。ではなぜこのようなことが起こるのか。
ざっくりした肌感では皆さん理解しているでしょうが、今一度ここを掘り下げていこうというのが今回の本旨です。

話を始める前に、スポーツ推薦という枠組みで進学する場合の、進学する選手(と親)と、受け入れる学校側(主に部活)のメリットを見てみましょう

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これを念頭において、まずは受け入れる側である大学(部活)の立場から、スポーツ推薦に際して関係する制度や準備について考えていきましょう。

スポーツでの進学/受け入れ側

各大学がリクルートをする際に、まずは各大学の制度が関係します。
学校やその部活に『スポーツ推薦』という枠が存在する事自体ハードルが高く、十中八苦強化指定部に指定される必要があります。ここには日ごろの努力の成果もあれば、戦略的に大学が設定する場合もあります。

例えば、いzくら体育会系の学校といえど、オリンピアンが出ているような学校からすれば「インカレ出場」など吹いて飛ぶような話題なわけで、ある日突然推薦枠もなくなり強化もしなくなるということもありえます。
「推薦」という制度は学校経営と密接に関係しています。
また『スポーツ推薦』といっても特待生、準特待生、スポーツ推薦、など様々なランクがあり、入学金&授業料全額免除、○割負担、入学のみ保証、と実に多種多様です。
私が聞いた話の中では、準特待生を何年か取らずに、勝負の年に特待生の数を増やす、なんてこともするらしいです。

また、大学や部によって推薦枠の数も当然違います。
関東の上位に位置する名門国立大学でも片手ほどの人数しか用意できないような場合もあれば、呼びたい選手は全員スポーツ推薦で取れる大学もあります。また、大学によっては学校の交換留学制度や、外国人生徒受入制度の一環として招待するパターンもあります。
その他に、大学に寮がある、教職がとれる、就職に有利、学校のネームバリュー、奨学金制度が充実している、などなど。各大学は高校生、彼らの親に対して、様々なカードを用意します。

大学に加えて、部の指導者自身の力も重要です。

指導者

これらを条件提示と重ね合わせ、いかに選手の過去・現在と未来を繋げながら伝えられるかに懸かっています、指導者の腕の見せどころですね。
ちなみに選手のリクルート活動はHC or 監督といわれるコーチだけでなく、部の部長や総監督という、普段は直接コートで教えることのない人間がしている場合もあります。

また、専門学校という選択肢は、今のご時世大学より魅力的に思える部分もあります。

専門

偏差値がそこまで高くない大学に無理やり行くくらいなら、その子の事を考えれば専門学校に生かすほうがいいと思う親は少なくないでしょう。

推薦で優れたスポーツ選手を取る際には、まず学内での戦いを制し、その先に強豪他校とのリクルートに勝たなけれなりません。
我々が思うより遥かに前から、コート外での激しい戦いが既に始まっているのです。

スポーツでの進学/進学側

次に勧誘され進学する側を見ていきましょう。
選手である学生がまず考慮する面は、バスケの面と大学としてのネームバリュー、そして進路でしょう。
競技や部活の面で考慮する条件としては、

学生

などです。

大学の環境に関しては

学生①

などでしょう。

そして進路に関しては、先ず『プロになりたいかどうか』が強く関係すると思います。ここは皆さんの想像に難しくないと思いますが、各種大会の関係者の視察に加え、トップチームならば直接プロと練習試合が出来るのでそこでアピールできたりします。
最近はそこまで露骨ではなくなって来ましたが、大学の指導者のコネクションでプロにいく場合ももちろんあります。
また学生側は特別指定選手や、推薦の条件を考慮して大学の部活を4年間続けなければならないかどうかの兼ね合いも確認しなければなりません。

ただ、新卒でプロになれなくても、実業団や3x3、somecityなどでスキルと経験を積んでから5人制のプロになる選手も年々増えてきていますよね。
昔と違い、練習生や特別指定で契約出来たり、毎年リーグやチーム主催のトライアウトなどもあるので、一昔前に国内バスケのトップリーグがひとつしか無かった時のように大学時に声がかからなかったらその時点でトップリーグはほぼ諦めなければならない、という事はなくなったので本当に豊かな時代になりました。

bjリーグができた当初に、トライアウトを受けていた30中盤の選手があるインタビューで語っていた

『確かに(トライアウトに)受かる可能性は低いかもしれないが、プロになるチャンスがなかった、ではなく、チャレンジしたけど実力が足らなかった、と自分を納得させるためにもチャレンジせずして諦められない』

という風な言葉は、本当に重いなと思いました。

すみません、脱線してしまいました。
上記の様にプロに行かない場合でも、バスケットを続けられるかどうか、どのくらい実業団とのコネクションや就職実績があるかは意外と重要です。
そして卒業後にバスケをしなくとも、一般企業にしっかり就職できているか、教職を主とした資格が取れるかどうか、院への進学も面倒を見てもらえるか。
バスケットボールを続けない選手の方が圧倒的に多いわけですしね。
ここは後でもう少し深堀りしていきます。

また選手の親御さんはどうでしょう。間違いなく、金銭面と進路を気にします。

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これに加えて先ほども上げた、その大学に入って大学卒業後の進路に関しては、おそらく高校の先生にも相談するでしょう。

そしてもう一つ、高校の指導者の存在も学生の進学に大きく影響を及ぼします。大学の指導者との関係性にも非常に左右されます。
有望な選手であれば様々な高校からの引き合いがありますが、高校の指導者としてはそこまで選手としては優秀でなくても進路を示してあげなければならない学生も多々います。
高校バスケ部全員の進路を示してあげる為に、様々な大学の指導者と上手く付き合っていかなければならず、簡単ではありません。
なぜなら、中学から高校に入学する勧誘の際に、必ずどこかしらの大学に入学するところまでを約束していたりするから、です。

「誘われた中で一番強い高校にいく」というほど、短絡的な選択ではないことはわかって頂けたと思います。
様々な『近いから』という理由で進学先を決めた某バスケ漫画のエース君の思考にたどり着くのも、あながち間違いではないのかもしれませんね。

現状の問題点

ここまでしっかり読み込んだ人で予備知識が全くなかった人は、内容が多すぎて既に読むことに疲弊しているでしょう。
つまり問題はそこです。

スポーツ推薦で進学をするという事は、果てしなく多くの事を考慮した上で、数多の手はずを踏んだ上にようやく成り立つことなんです。

なのでスポーツ推薦だーやったー、で簡単に入学すべきではないんです。
普通の大人がぱっと読んでもくらくらするほど多くの事を把握・理解する必要があり、その中からその子にとって最もいい選択肢を選ばなければならない。
競技が強いFラン大学に「入学費も授業料も免除します」と言われたところで、プロになる以外は進路に関してはなんの援助も出来ませんと言われたら二の足を踏むでしょう。

また、大学というのは必ずしも行かないといけない教育機関ではないという事実もあります。
推薦入試で入学したものの、怪我や不振でスポーツの調子が上がらない自分に嫌気がさして、しまいには心を病んでしまい、部活はおろか学校にもこなくなり、大学を中退してしまうパターンだってありえます。
これがいわゆる必ず行く必要がないという危うさであり、中学高校ほど連帯の強制力が強くない面のデメリットかと思われます。

また、プロや実業団そして教職という進路でなく、一般企業に就職しようとなったとき、競技力が一流の学校・部活になればなるほど、就職活動と部活の両立はとても難しいです。
加えて卒業のための単位を十分に取れていなかったりすると、就活と単位を取ることに時間を割かれ、最終学年を不完全燃焼で終えてしまう…
しかも一人暮らしだと気軽に相談できる相手がいないかも知れません。

今までその競技だけしかしてこなかった18歳の青年に、これほどの内容の決断を冷静かつ正確に理解して判断しろというのはどだい無理な話なんです。

大学進学を考えたときに如何に正しい情報を多く手に入れ、大学側からの甘い誘惑のような条件だけでなくリスクもしっかり理解し、OBや高校の指導者、親も含め、関係する全ての大人達が、その学生本人が一番の選択肢を自ら考え選べるように、良い選択肢を作り、正しい情報を与える努力を最大限しなければならないのです。

全ての関係者の思惑が違うわけですから、どれか一つでもかけることなく全ての関係する大人が惜しまず努力し、最高の決断ができるサポートを全力でする必要があるのです。
もし周りに進学で迷っている子がいれば、今日読んだことを思い出して、お節介と思っても、少しだけでもいいので手を差し伸べてあげてください。

次回は大学と部活動の関係性について掘り下げていければと思います。
いつになることやら…

ここまで読んでくたさったそこのあなた、ありがとうございます。

※文中の内容は筆者の独断と偏見も加味されており、全てにおいて現状と事実確認がなされているわけではありませんのでその点ご了承ください。

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