なぜかずっと覚えていた記憶があったことをいつのまにか忘れてしまった
時間がゆっくり流れていた瞬間はずっと覚えている。いくつもの何でもない日の公園の陽射しが目の奥のスクリーンに何重にも映し出される。ゆらゆらと生き急がない。わたしふあんだわ。いのちをさらけだしていて。それでも加速を求めてしまうのはなぜだろう。スピードじゃなくて加速するときのG。前へひっぱる力は酩酊へと落ちていくあの加速度とつり合う。これは遠くへ飛ばすあそび。誰も気づいていないようできっとみんな気づいている。どこからか飛んできたいのちをまたどこか遠くへ飛ばす。夢中になっている私をおいて時計は早く進む。すべて過ぎ去ってなにもなくなったら時間は再びゆっくりと進む。そのときの陽射しもきっと覚えている。太陽だけがどの記憶の中でも変わらずに存在していてそれ以外は重なり合ってノイズの塊になる。顔もわからなくなってしまったけれど誰かがそこにいたような気がする。記憶の中で幽霊みたいに私に手を伸ばしている。
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