見出し画像

新宿の木は禍々しい(日記)

新宿駅西口の大ガード下を歩いていると段ボールが至る所に散乱している。それを人々は無意識に踏んだり蹴飛ばしたりしながら歩く。

『アカルイミライ』のラストカットがフラッシュバックする。なにがおかしいのかゲラゲラ笑いながら道端の段ボール箱を蹴飛ばし、そしてどこまでも歩いていく若者たち。

大ガード下の歩道に散らばっていた段ボールはホームレスの家(というのも妙な表現だが)だったものだ。みんなわざと蹴飛ばしているわけではない。散らばっているので、気にせず踏んで歩いているだけだ。二、三人、通行人を気にせず座って休んでいるホームレスがいる。その中の一人と目が合う。


都庁へ行ってみると噂のプロジェクションマッピングをやっていた。30分おきにプログラムを上映しているらしく、想像以上に人が集まっていた。

ゴジラのテーマソングが流れ始めて、都庁が破壊され、中からゴジラが出てきた。意味がよくわからなかった。あまりにも子ども向けの内容で、これが世界に向けて伝えたいTOKYOかと思うと悲しくなった。早々に立ち去った。

都庁の周りのエリアだけ壁がサイケデリックな渦巻き模様に塗られていたのだが、その渦巻きの壁が終わったすぐのところにずらっとホームレスたちの段ボール小屋が並んでいた。この光景を放置してその真横でプロジェクションマッピングで人を集めるというのはどういう神経だろうと思った。

中央公園近辺にはまだ新参者といった様子のホームレスもいて、比較的整った身なりをして、パンパンになったリュックサックを枕にして寝転んでいる。

段ボール小屋の中には、完全に風景の一部と貸してしまうような、ちょっとしたスペースに当たり前のような顔をして置かれているものもあり、あるいはおままごとのような小さなちゃぶ台を囲むように小さなイスが三つ並んでいる所もあり、人それぞれ快適に生き抜くための生活の知恵がそこにみられて、都庁のプロジェクションマッピングを見ているよりよっぽど面白い。


魔王城のような佇まいの都庁と、そのすぐ下のホームレス通り


新宿の木は禍々しい。


新宿の地下には宇宙ステーションみたいなところもある。

中央公園には○○がいる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?