レビュー 週刊少年ジャンプ(10) 2019年 2/18 号 [雑誌](アクタージュのみ)

「こんなのありか?」 って思いました。

最初に思ったのはこんなのありか? って感じです。
しかし何がズルくてこんなのありか?と思ったのかわからないので一旦考えていました。

実態として、ストーリーとしては何も問題はないです。
本当の幸いとはなにかに、巌さんは一定程度の回答を出しました。
溺れた阿良也を、巌さんや夜凪はきちんと掬い上げました。阿良也はきちんと戻ってこられました。
まぁ30秒も舞台でこれ見せられたらあれ? 事故? って思わなくもないでしょうが次の夜凪のセリフであぁ、これはためだったんだな、と客席は理解したでしょう。絶賛されるシーンが目に浮かぶようです。
つまりストーリーラインが極端な想定外であったためそう思ったわけではない。

それでもなにか、突き放された。こんなのあり?と思ってしまった。
この理由はもう、私が星アリサに共感して読んでしまっていたという一点しかないでしょう。


多分阿良也が溺れそうになったのを見て、星アリサは同情と共にそれ見たことか、だからやめとけと言ったのに、と思っているはずなのです。それは作中でも描かれています。
その時、同情と、蔑みと、人が自分と同じ不幸でいることによる心配とともに、すこしだけ喜びを感じたのだと、私はそういう感情で見ていました。いえ、今週を読むまでは喜びを感じていることを自覚していませんでしたが。

にもかかわらず、自分のときとは違って、阿良也は救われました。他ならぬ自分を突き落とした巌さんの手によって。

なにそれずるい。
私は助けてもらえなかったのに。


それを見たとき、星アリサがどう思ったのかはまだ作中で描かれていませんし、ストーリーとして難しくなるし星アリサは良識ある大人なので絶対に描かれないと思います。
そう思った自分が許せなくて、絶対に隠そうとするでしょうし、描き方によってはむしろ別のことを思っている可能性も高いです。
星アリサは阿良也を見て、巌さんが変わったことに気付き、自分のことを遠くから思っていたのだと、そう描く可能性のほうが高い。


でも、私が星アリサなら救われたとは思えない。

巌さんはいつか救われてくれればいいと、勝手な思いを残して結局星アリサを救えないまま幸せに死にました。
許されたいと思っていたはずなのに、許されなくても幸せになりした。
そしてそれを拒否するような人ではありませんでした。

星アリサは生きています。
彼女が直接的に救われることはありません。
まだ許せないまま。時間薬が解決するのを待つだけです。
憎む相手も死んだこと、恨み言も言えないこと、自分は救われなかったのに、救われた人がいて、仲間がいて、幸せな彼はあの時私が欲しくても欲しいとすら言えなかったものを持っている。

他人の幸せが妬ましい。端的に言えばそういうことで、自分はそういう人間でないと思って生きていたかったのに無理やり思い出させられた。
私は星アリサをそうみて、自身と同一視して「そんなのありか」と、そう思いました。

銀河鉄道の夜編最終話。この一編は私の中で、徹頭徹尾星アリサの物語でした。

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