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ブルートゥース

目に青葉 山ほととぎす 初鰹

は江戸中期の俳人・山口素堂が、春から夏にかけ、江戸の人々が最も好んだものを俳句に詠んだもの。

江戸っ子の間では、初夏に出回る「初鰹」を食べるのが粋の証。さらに初物には他の食べ物にはない生気がみなぎっており、食べれば新たな生命力を得られると考えられました。

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「おいおい、冗談じゃないぜ、外には雪が舞っているのに」

「そうでした、そうでした」

「こんな日にオイラ、初夏の話をしてる場合じゃありませんね」

      ◇    ◇    ◇    ◇

「あおば」は「あおば」でも今日は「青葉」じゃなくて「青歯」の話。

数メートルの近距離を無線で電子機器をつなぐ規格がブルートゥース(Bluetooth) 。ブルートゥースはバイキングの王の1人。バイキングは他国を侵略し略奪を働いていたことで有名です。

スカンジナビアから来た北方系ゲルマン人のバイキング(デーン人)はデンマークからアングル人やジュート人を、そしてザクセンからザクセン人をブリトン島へ追いやりました。したがって、英語はインド・ヨーロッパ語族の分類におけるゲルマン語 ⇒ 西ゲルマン語 ⇒ 低地ドイツ語(ザクセンなどバルト海や北海の沿岸部で話されていた)がブリトン島に渡って育ったもの。ちなみに、ノルウェー語やデンマーク語やスウェーデン語といったスカンジナビアで使われる言葉もゲルマン語の中の北ゲルマン語に属します。
ザクセンでは、リウドルフィング家のハインリヒ1世が東フランク王となってザクセン朝を開きます。そして、彼の次男であったオットーが962年、初代の神聖ローマ皇帝オットー1世となりました。
丁度、この頃、バイキングの故郷スカンジナビアでは他族や海外からの侵入者に備えなければなりませんでした。スカンジナビアに含まれるのは、今のスウェーデン、ノルウェー、デンマークの3国。
かつて、ザクセン人をブリトン島に追いやったデーン人の国デンマークでは、力を蓄えたザクセン公国のハインリヒ1世やオットー1世にちょっかいをかけられるようになっていたのです。

これに対抗すべく、10世紀末、デンマークのハーラル青歯王“Harald Bluetooth”は領地を守るために巨大な環状要塞を作ります。その一方で、デンマークとノルウェーを平和的に統一しました。そのことがあって、後世、スウェーデンのエリクソン社の技術者が、ハーラル王のあだ名をとって無線で電子機器をつなぐ規格に Bluetoothという名を冠することになるのでした。

Bluetooth のロゴは北欧のルーン文字のイニシャル「H」=「ᚼ」と「B」=「ᛒ」を合体させたもの。
Bluetoothとは別のハーラル1世もいましたが、こちらは美髪王のあだ名を持つ9世紀末から10世紀初頭のノルウェー人の王。


「目に青葉」の季節には少々早いようですが、「耳に青歯」で音楽でも聴かせながら、今日も元気にお過ごしください。

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