見出し画像

あまつた毛糸をどうしやう

あまつた毛糸をどうしたらいいだらうか。
群ようこの『毛糸に恋した』には、新たに毛糸を買ひ足して一緒に使ふといいといふやうなことが書いてあつた。
そのとほりにしてみる。
すると、こんな感じになる。
毛糸があまる

毛糸を買ひ足す

編む

できあがる

毛糸があまる

………………
以下、エンドレスだ。

この秋冬はノールビンドニングを主にしてゐるのだが、先日『はじめてのノールビンドニング』に掲載されてゐるベレー帽を作つたときもこんな感じだつた。
糸はパピーのブリティッシュエロイカで、三玉買つて三玉めはほんのわづかしか使はなかつた。
ほぼ一玉まるまるあまつてしまつたのだ。

ブリティッシュエロイカ一玉弱で、どうしたらいいだらう。
パッとは思ひ浮かばず、考へてみたらおなじ本に載つてゐるミテーヌと呼ばれる指なし手袋を作つてみたかつたので、別の色のブリティッシュエロイカを買つてきて作つた。
結果、新たに買つてきた毛糸は半分くらゐ残り、もともとあまつてゐた毛糸もわづかにあまつた。
これを活用するには……
ふー。

といふわけで、いまはまた別の糸でベレー帽を作つてゐるのだがそれはさておき、この毛糸もおそらくあまるだらう。
どれくらゐあまるかはわからないが、まづ確実にあまる。

編み終はると同時に毛糸も使ひ切るのが理想だが、実際にさういふことになると最後の十段、いや、さらにその手前からハラハラドキドキしつぱなしになる。
糸は足りるだらうか。もしかしたらギリギリで足りなくなるのではあるまいか。
計算して、多分足りるとわかつてゐても気が気ではない。
そんなあみものがはたして楽しいだらうか。
楽しいといふ向きもあらう。
自分だつたらごめんだ。
できれば最後までゆつたりした心持ちであみたい。

しかるにあまり毛糸である。
世の中のあみもの者は、ちよつとした端糸でさへ捨てずに有効活用するといふ。
さう云はれてやつがれもほんのわづかな端糸でさへとつておき、あみぐるみのわたの代はりにしたり細編みの上にクロススティッチの刺繍をしたりもしたものだ。
だが、あみぐるみはほとんど作らないし、刺繍も苦手だ。
どうしたものだらう。
まだまつたく手つかずの毛糸も富士山とあるといふのに。
#「富士山と」といふのは「山と」の最上級のやうな表現

あみもの(ノールビンドニングでもいいが)を続けるかぎり、あまり毛糸もついて回る。
そしてあまり毛糸があるうちはあみものはやめられない。
この無限ループから抜け出す方法はあるのだらうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?