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グリッドマンユニバースのSS(自分まとめ)

グリッドマン ユニバースを見て、TwitterでのSSを見て、自分も徐ろに妄想をTwitterに投下したものをまとめたものです。
お目汚しですが、よかったら見てってくれると嬉しいです。
※誤字脱字も修正したりしてます。
情動が続く限りやってみたいです。


ユニバース後の会話

はっす「ようやく付き合ったのか」
裕六「……///」
はっす「今度Wデートでも行こう」
裕太「はっすさん、付き合ってたんだ…」
六花「…」
はっす「私みたいな女に彼氏がいないと思った?」
裕太「え、あ、いやそう言う訳では…俺の知ってる人?」
はっす「え?」
裕太「え?」
六花「…内海くんだよ」
裕太「え、待って、俺それ知らない」


はっす→内海への告白

はっす「内海は好きな人とかいないの?」
内海「え、何急に」
はっす「ただの恋バナじゃん。キョドらないでくださいよターボ先輩」
内海「ターボ先輩言うな。…んー今はいないかな」
はっす「『今は』なんだ」
内海「あー、うん、そう」
はっす「失恋したのか」
内海「してねーよ。今思うと好きって感情じゃなかったかもなー」
はっす「ふーん。どんな人だったのさ」
内海「パーフェクト美少女」
はっす「なにそれ」
内海「六花さんの友達でさ、まぁ俺と趣味が同じだったわけよ」
はっす「ウルトラシリーズ?」
内海「そ。あっちは怪獣が好きだったみたいだけど」
内海「その手の話で盛り上がれたわけよ」
はっす「それで惚れたのか」
内海「それだけじゃないと思うけどなー」
内海「まぁあれよ、好きってより憧れだったのかもなー」
はっす「それで『今は』いないのか」
内海「そーゆこと。はっすさんはそこんとのどうなのよ」
はっす「…私はいるよ」
内海「え、なんか以外」
はっす「前からちょっと気になってたんだけどさ、なんか好きな人いそうな感じだったし」
内海「はっすさんなら余裕っしょ」
はっす「そんな励まし方はもてないゾ☆」
内海「かわいくねーw」
はっす「うっせw」
はっす「はーでも、覚悟できたわ」
内海「お、いっちゃう感じですか。頑張ってください。応援してます」
はっす「応援してくれるならいっちゃうかー」
内海「勢いも時には必要でしょ」
はっす「それな。内海、好きです。付き合ってください。」
内海「」
はっす「マジ恥ず…。返事は?」
内海「」
はっす「返事は!?」
内海「え…俺?罰ゲームとかじゃなくて?」
はっす グーパン
内海「…よろしくお願いします…」
はっす グーパン連打
内海「ちょ、マジで痛いんでやめてください!」
はっす「これから彼女としてよろしく…」
内海「こちらこそ…」


早いか遅いか

夢芽「蓬、早いのと遅いのどっちがいい?」
蓬「何急に?」
夢芽「ね、どっち?」
蓬「早いほうかなぁ」
夢芽ニコッリ蓬の肩ガシー
蓬「夢芽痛いよw」
夢芽「遅いより早いほうがいいなら今でいいでしょ」
蓬「え怖い怖い、夢芽!夢芽さんちょっと待って!!」
・・・・・・・
蓬「もうお婿にいけない…」
夢芽「蓬は私の傍以外どこにも行かせないから大丈夫だよ」満面の笑み


物色六花さん

裕太「飲み物取ってくるね」
六花(裕太もえっちな本とか持ってるのかな?)ゴソゴソ
六花「え、ナニコレ」
裕太「六花、炭酸だめだったよね?お茶しかなか…ってちょっと!」
六花「ちょっとってこっちのセリフだよ!」
裕太「なんで!」
六花「それもこっちのセリフ!」
六花「なんでこんなに私の写真があるわけ!?」
裕太「それはゴニョゴニョ…」
六花「明らかに裕太が撮ったのじゃないでしょ!」
六花「誰から?なみこ?はっす?」
裕太「えっと…」
六花「言わないなら、裕太のこと嫌いになるかも」
裕太「六花のお母さんからです」
六花「」


GWの予定

六花「裕太、GWの予定は?」
裕太「んー特には」
六花「ふーん…」
裕太「! いや、違くて」
六花「ふーん…」
裕太「えと、六花は予定ある?」
六花「…あるよ」
裕太「え…」
六花「彼氏と一緒に出かける予定があるよ」
裕太「!!! 前ね動画見たとこなんだけど…」
六花(あー裕太かわいいかわいいかわいい)
はっす「うちらの居ないとこでイチャつけ」内海ニダキツキー
なみこ「私への当てつけかな?」


無言で見つめる

裕太「六花、なんでさっきから無言でこっち見てるの?」
六花 ジー
裕太「ねぇ六花ってば」
六花 ジー
裕太「怒ってる?俺なんかした?」
六花 ジー
裕太「なんか言ってよぉ」ナミダメー
六花(裕太カワイイ❤カワイイ❤)ジー

内海「六花さん、なんかヤバい方向に行ってない?」


裕太、バイト始める

蓬「エプロン似合ってますね店員さんw」
内海「なかなか様になってるじゃんw」
裕太「茶化さないでよぉ…」
蓬「彼女の為にデート代稼ぐなんて成長したなぁーってw」
内海「告る前では考えれなかったしなw」
裕太「うー…」
蓬「でも何で彼女んチでバイトなの?」
裕太「危ないからウチでしたら?って言われて…」
内海「押し切られたか…」
蓬「六花さん、なんか夢芽に影響されてる気がする…」
裕太「なら蓬のせいじゃん」
蓬「それは違くない!?」
内海「南さん係なんだからしっかりしてよ、蓬くんw」
蓬「なんで知ってるの!?」
内海「本人が言ってたよw」

六花「裕太カワイイ❤」スマホデパシャパシャー
夢芽「私が居ないのに楽しそう…」


はっす風邪引きお見舞い内海

内海「うっす、どーよ?」
はっす「…頭痛い喉痛い、…辛い」
内海「ただの風邪なんだろ?寝てれば治るw」
はっす「ゔー…」
はっす「…よくある治し方試してもいい?」
内海「おう、いいぞ」
はっす「目閉じて」
内海「ん」メトジー
チュ❤
内海「え…、えー///」カオマッカー
はっす「人に感染すと治るって言うでしょ///」カオマッカー


なんだ、あれ

六花「ユウタガサーユウタガネー」
はっす「ウツミガサーウツミガサー」
夢芽「ヨモギヨモギヨモギ」

裕太「リッカガーリッカガー」
内海「ハッスガサーイヤオレハチガウヨ」
蓬「ユメガネ…チョットユメ!!」

ボラー「なんだぁあれ?」
マックス「カップルの惚気あいだ」
ヴィット「コーヒーブラックで」
キャリバー「お…俺ももらおう」


もっと知りたい

はっす「内海のことをもっと知りたい」
ボラー「かー、物好きな女も居たもんだなぁ」
六花「護衛してたんだし、色々知ってそうだ思ったんですけど…」
ボラー「これでも読んどけ」ポイ
はっす・六花「『内海生活記録』!?」
ボラー「マックスに報告するのに作ったんだよ」
ヴィット「ボラーはマメだねぇ」
六花「マ、マックスさんは作ってないんですか!?」
マックス「もちろん作ってある。写真付きだ」コップフキフキ
六花「ください!!」

裕太「キャリバーさんは、その六花の作ってないんですか…?」コソコソ
キャリバー「お…俺は作ってない」


グリッドマンの頭の中

六花「グリッドマンの頭の中には今までの宇宙があるってことだよね?」
内海「そうね」
六花「ってことはさ、小さい頃の裕太とかも出せるってこと?」
内海「出せるんじゃない?過去でも未来でも」
夢芽「それって蓬もいっぱい出せるってことですよね?」
内海「可能だろうねw」
六花「アクセプター借りてくる」
夢芽「六花さん、手伝います!」

内海「一杯の俺、いる?」
はっす「今のアンタだけで十分」
内海「俺の彼女が一番素晴らしく思えるわ…」
はっす「急に変なこと言うな…///」グーパン

内海(でもアレクシス居ないと無理なんじゃね?)


合コン行くから、と言われたときの反応1

裕太「ダメだよ六花!六花は彼氏いるの!俺ね!俺!」
裕太「行ったら絶対六花モテるじゃん!だって可愛いからね!」

内海「付き合いもあるし、しゃーないよな…」
内海「できれば、早く帰ってきてほしいっす…」

蓬「え、一緒行く人いるの?」


合コン行くから、と言われたときの反応2

六花「…ふーん」
六花「彼女が居るのに、そんなのに行っちゃうんだ」

はっす「彼女持ちの癖に、何参加しようとしてんだ」
はっす「断れ、断れ」

夢芽「蓬はそんなこと言わない」


いちゃいちゃしてほしいけど多分しない

内海 スマホタプタプ
はっす スマホタプタプ
裕太「あの二人ケンカでもしてるの?」ヒソヒソ
六花「してないと思うけど」ヒソヒソ
はっす「あ、時間だわ」
内海「お、そうか。送るわ」
はっす「荷物持って」カバンワタシー
内海「ほいほい」
内海「裕太、俺らもう行くな」
裕太「うん、またね」
はっす「六花たちも早帰…らなくてもいいなw」
六花「時間なら早くしなよ」ジトメー
はっす「おーこわw」ノシ

六花「ケンカしてないでしょ、あれ」
裕太「なんか俺らと違うね」


機嫌が良い

はっす「♪~」
六花「はっす、メッチャ機嫌いいじゃん」
なみこ「指見てみ、指」
六花「指輪…?」
なみこ「彼氏様からのプレゼントだそうで」
六花「へー…」
なみこ「もうずっとその話されてさぁ…」グッタリ
六花「お疲れ様…」

裕太「なんか最近六花が手見ながらこっち見るんだよね」
内海「…」
裕太「聞いても別にって言って何も教えてくれないし」
裕太「俺、またやっちゃたかな…?」
内海「何もしてないことが問題、かな…」
裕太「えぇ、なにそれ…」
内海「裕太、今日はお兄さんと買い物にいこう」
内海「俺にも原因があると思う…」
裕太「内海が六花になにかしたって事?」
内海「はっすにしたことが、六花さんにも影響与えてしまった、かな多分」
裕太「???」
内海「行けば分かる」
内海「その前に、はっす経由で指のサイズをっと…」スマホタプタプ

六花「♪~」
はっす「六花さん、超ご機嫌じゃん」
なみこ「指見てみ、指」
はっす「指輪か」
なみこ「彼氏様からのプレゼントだそうで」
はっす「ほぉ」
なみこ「もうずっとその話されてさぁ…」グッタリ
はっす「早く話す側になれ」


(画像)雑に作りました


もっと愛情表現を

六花「んー…」
夢芽「六花さんどうしたですか?」
六花「裕太があんまり自分のことを大切にしてないんだよね」
夢芽「どゆことですか?」
六花 カクカクジカジカ
夢芽「なるほど」
六花「やっぱ心配になるじゃん」
夢芽「だったら六花さんがもっと裕太くんを大切にすればいいんですよ」
六花「ふぇ!?」
夢芽「六花さんのことを大事に想う裕太さんが裕太さんを大事に想う六花さんを大事に想わない訳ないですからね」ドヤァ
六花「そうかなぁ」
夢芽「そうです!」
夢芽「もっと愛情表現をしましょう!」
夢芽「六花さんたちもイチャイチャしてくれれば、私も蓬とイチャイチャしやすいです」
六花「夢芽ちゃんはいっつもイチャイチャしてるじゃん」


花火を見に行くユニバース

六花「夢芽ちゃんその浴衣可愛い」
夢芽「ありがとうございます♪」
夢芽「蓬と二人で花火したときを思い出すね」
蓬「え、みんないたじゃん」
夢芽「思い出すね!」
蓬「ソウデスネ」
裕太「六花も似合ってるよ、浴衣///」
六花「…ありがと///」
夢芽「六花さんの柄もお花ですね」
六花「うん、ママに相談したら、あんたはコレ!ってw」
夢芽「なんの花なんですか?」
六花「マーガレットだって」
夢芽「六花さんの髪に合う浴衣の色に白いお花…いいです」
六花「ありがとw」
蓬 ナミダメ
裕太「なんで蓬泣いてるの?」
蓬「夢芽があんなに喋ってると思う…ちょっとゴメン」
裕太 オロオロ
内海「おまたせー」
はっす「遅れてゴメン」
六花「はっすも浴衣かー、いいねぇ」
夢芽「しかもお花柄」
はっす「かぶっちゃったか」
六花「全然いいでしょ」
夢芽 ウンウン
夢芽「なんのお花なんですか?」
はっす「クローバーらしい」
夢芽「珍しいですね」
六花「クローバーって四葉のクローバー?」
はっす「そう、ワンポイントで四葉のクローバーもあるみたい」
内海「店員さんにオススメされたみたいよ」
六花「ほーん…」
夢芽「へー…」
内海「え、何?」
はっす「ばっか、一緒にいたのバレただろ」
内海「隠すことでは無くない?一緒に来たんだし」
はっす「ホントにコイツは…///」
六花「いいですねー」ニヤニヤ
夢芽「いいですねー」ニヤニヤ
はっす「はよ行くぞ、いい場所なくなる」
夢芽「え、なんか蓬泣いてるんですけど」
裕太「うん、ちょっとね…」
夢芽「浴衣の私に見惚れた?」
蓬「…うん、そだね」グスグス
夢芽「…蓬❤」キュン
六花「トキメク要素あった!?」
夢芽「泣いている彼氏を想像してください」
六花「…あり、だね…」ユウタミツメー
はっす「…ちょっとキモイな…」メヲソラシー
裕太「俺は泣かないからね!」
内海「ちょっと凹むなー…」

そして花火の場所取りには失敗するのであった。

白いマーガレットの花言葉は「心に秘めた愛」

クローバーの花言葉は「私を思って」
四つ葉のクローバーの花言葉は「私のものになって」


裕太と内海はそれなりにモテる(妄信)

六花「何このラブレター」
裕太「俺宛じゃないよ…」
六花「ふーん…内海くん宛?」
裕太「内海に渡してってよく渡されるんだよ」
六花「よく?」スマホダシー
裕太「うん…」
六花「あ、はっす?今からウチ来て。内海くんのことで」
はっす(すぐ行く)

はっす「何?」
六花「ん」ラブレターワタシ
はっす「ほぉ…」
六花「これ、内海くんに渡したの?」
裕太「渡すけどいっつも受け取らないから返してるよ」
はっす「ほぉ…読んでもないの?」
はっす「ふーん…」
六花「ねぇ裕太から見て、内海くんってどうなの?」
裕太「えー…勉強できて、運動もそこそこ、友達も多いし、声がいい、優しい。あとまぁカッコイイかな」
六花「裕太の今までカッコイイって思った人って誰?」
裕太「顔でならヴィットさんかなぁ」
はっす「ヴィットってあの新世紀中学生ってバンドの?」
六花「そう」
はっす「あの人と比べるのは酷だろw」
六花「はっすヒドw」
裕太「内海は俺が記憶ないときもずっと一緒に居てくれたし、内海が居たから俺がやるべきことをやりきれたんだと思う」
裕太「もちろん六花もね!!」
裕太「だから優しいしカッコイイかなって」
はっす「響くんの内海への評価がヤバい」
六花「思った以上だったわ」
裕太「俺、内海に対して何も出来ていないから返しにいくくらい何ともないんだけど…」
六花「けど?」
裕太「そのせいか女子に嫌われてそうな感じがして…」
六花「はっす?」
はっす「そんなことはない。むしろ可愛い系で人気あるよ響くんは」
六花「なにそれ」
はっす「ワンコ系じゃん、どう見ても」
六花「…それは否定しない」
裕太「えぇ俺ってそんな感じなの?」
六花「カッコいいってより可愛い系だね…カッコいいときもあるけどさ」
裕太「六花ぁ…」メキラキラ
はっす「はい、イチャつかないでくださーい」
六花「イチャついてないし」ムスー
はっす「まぁ内海も響くんもそれなりに人気あるよ」
はっす「これで確信したし、釘刺しておくか」
はっす「六花もちゃんと『マーキング』しておいたほうがいいぜw」
六花「そう、だね…」
はっす「じゃこれはウチから返しておくよ」
裕太「俺が返すから大丈夫だよ」
はっす「『彼女』のウチから返したほうが話が早いから」
六花「はっすの言う通りかな」
裕太「そう、なの?じゃぁお願いします」
はっす「じゃ用事もできたし、帰るなー」ノシ
六花「じゃね」ノシ
六花「裕太はちょっとこっちへ来て…」
裕太「なんか六花、目が怖いよ…」
六花「い・い・か・ら」
裕太「…はい」

次の日、首元にキスマークをつけ、六花の匂いがする裕太の姿が!
次の日、内海と付き合ってるのはウチですが、何か?という距離感のはっすが!


夢芽さんに対する扱いって、なに?

夢芽「最近、蓬が塩対応な気がする…」
暦「ポテト的な?」
ちせ「はぁ?先輩何訳解んないこといってるすか」
暦「スミマセン…」
ちせ「よもさん、隊長との約束破っちゃったんすね」
夢芽「ガウマさんに連絡して叱ってもらお」スマホタプタプ
ちせ「いいすね!」
暦「そんな簡単に呼べるの?」

ガウマ「なんだ夢芽、俺だって暇じゃねーんだぞ」
暦「来たよ」
ガウマ「呼ばれれば来るわ!蓬が約束を破っただぁ?」
ちせ「そーなんすよ。夢芽さんに対しての愛がなくなったんす!」
ガウマ「夢芽ほんとか?」
夢芽「はい、最近蓬が冷たくて…」
ガウマ「俺の命の恩人が…。蓬はどこだ!話をしに行くぞ!!」
夢芽「今はバイト中です」
ガウマ「バイト中は不味い。終わったら呼び出せ」
暦「行かないのか」
ちせ「無職には分からないと思うんすけど、さすがに働いてるときに来られても困るっしょ」
暦「ハイスミマセン…」
ちせ「それに元カノもいるでしょうし!」
暦「…ホントスミマセン」
ガウマ「ちせ!きょうも元気だな!」
ちせ「はい!」

蓬「夢芽何?ってガウマさん居るし…」
ガウマ「蓬ぃ!見損なったぞ!」
蓬「何ですか」
ガウマ「『人として守るべき物が三つある』って、俺言ったよな!」
蓬「言いました」
ガウマ「覚えてんなら、なんで夢芽への愛が無くなったぁ!」
蓬「無くなってないですけど」
ガウマ「ん?無くなってないのか?」
蓬「はい、夢芽のこと好きです。愛しています」
ガウマ「そうか…どういうことだ夢芽?」
夢芽「違います。蓬が嘘ついてます」
蓬「いやいや、嘘じゃないでしょ。昨日も俺んちで…んん゛」
夢芽「だって昨日は3回じゃん!いっつも5回は絶対だったのに!」
蓬「ちょっと!夢芽!スットォォォオップ!!」
ちせ「中学生の前で生々しい話はやめてください」
暦「最近の高校生は進んでんなー」
ガウマ「んん?」
ちせ「隊長、もう大丈夫です。夢芽さんが悪いです」
夢芽「ちせちゃんも蓬の味方するんだ」
ちせ「私よく分かんないすけど、よもさん超頑張ってると思いますよ」
暦「男の立場から言わせてもらうと、尊敬に値するよ」
ガウマ「そのーなんだ!折角集まったんだ飯行くぞ飯!」
ガウマ「夢芽はもうちょっと蓬を信じろ!俺の命の恩人だ!できる男だ!」
ガウマ「蓬はもうちょっと夢芽と話せ!夢芽は約束を守る女だ!」
暦「おぉなんかいい感じにまとめた」
蓬「夢芽、昨日はちょっと疲れただけなんだよ」
ちせ(ちょっとなのか…)
夢芽「うん…私もゴメン。今日は3回でいいよ❤」
蓬「アリガトウゴザイマス」
ちせ(今日”は”なのか…)
暦「ガウマさん、ウナギがいいっすよウナギ」コソコソ
ガウマ「無職が偉そーに」コソコソ
ガウマ「無職が偉そーに」コソコソ
暦「蓬くんの為ならウナギが絶対いいです」コソコソ
ちせ「そうです。ゴルドバーンもそういいます」コソコソ
ガウマ「そこまで言うなら…」コソコソ
ガウマ「よし!仲直りもできたしウナギ食いに行くぞ!」
夢芽「おー」
六花「夢芽ちゃん超ご機嫌じゃんw」
夢芽「そうですか?♪」
六花「何々?何があったの?」キョウミシンシン
夢芽「実はですねー♪」
裕太「蓬、なんかやつれてるけど大丈夫?」
蓬「だいじょばない…」
蓬「裕太も体力つけといたほうがイイよ…」
裕太「?…うん」

ガウマ「ってことがあったんすよ」
二代目「そうなんですね」
ナイト「…」
ガウマ「飯代は流石に経費で落ちなかったすわw」
二代目「蓬くんの件ですけど、私に言ってもらえればイイものがありますよ」
ナイト「二代目」
ガウマ「お、そうすっか?」
二代目「はい、普段ナイトくんに使ってるので効果は確認済みですよ♪」
ナイト「二代目!」
ガウマ「こいつほどの元気が出るもんだったら蓬も喜びそうだ」
ガウマ「蓬!次会うときは楽しみにしとけよ!」


イヤホン(有線)半分こは恋人シチュエーションあるある

蓬「夢芽何聴いてるの?」
夢芽 イヤホンワタシー
♪サアハジメヨウボクラノミライヲカチトルタメニ
蓬「珍しいね、こんな感じの曲聴くなんて」
夢芽「歌詞がね、蓬と私って感じで」
蓬「そうだね…」
夢芽「私、蓬で満たされちゃったし」
蓬「夢芽…」
夢芽「蓬も私で蕩けて埋まってほしいな❤」
蓬「夢芽…?」
夢芽「蓬…❤」キョリツメー
蓬「夢芽、ちょっと待tt」
夢芽「私には蓬が、蓬には私が必要なんだよ❤」
夢芽「蓬❤蓬❤蓬❤蓬❤」


あの日の夜のやり直し

※裕太と立花は大学生
六花「この公園もなつかしいねー」
裕太「だね」
六花「高校生の時、裕太がここで告白してくれると思ったんだけどなー」
裕太「う…ゴメン」
六花「オバケが出たからしょうがないかー」
裕太「あれはさぁ…しょうがないじゃん…」
六花「www」
裕太「もっかいチャンス頂戴!」
六花「えぇw」
裕太「お願い!六花様!」
六花「しょーがないなぁw『響くん』はw」
裕太「ありがとw」

彼は息を整えるように深呼吸をした。
私はあの時のようにブランコに腰掛け、宙を見上げた。
高校生2年生のあの日、宇宙が終わるかもしれなかったあの日のような星空だ。
長いようで短い間があって彼が口を開く。
「六花のこと、1年時から好きでした」
学園祭で告げたと同じ言葉。
「あれから、今までもずっと六花が好きで…愛してます」
そこからは聞いたことない言葉。
「だから俺と結婚してください」
これからの関係を進める言葉。
彼は膝を付き、いつの間にか取り出した指輪を差し出している。
私はブランコから離れ、彼に近づく。
「…早いよね…」
まだ、私たちは大学生だ。もう少しすれば卒業だけど、それでも早い。
例外を知っているが、あの子達は別枠だ。
「俺、もう時機も六花も逃したくないから」
「だから、プロポーズした」
あぁこの目だ。あの頃から変わらない真っ直ぐな目だ。
分かっている、理解っている。私はこの目に弱いんだ。
私の顔は高校生2年生のあの夜のようになっているだろう。
絞り出すような声で私は答えを告げた。

その夜、彼の手から私の指へ永遠の愛を受け取ったのだ。


同棲し始めの蓬夢

同棲は確定事項(共通認識)

夢芽「蓬、枕変えたから」
蓬「ん?」
夢芽「すっごくイイ枕があったから♪」
蓬「どれどれ…」
蓬「これってYES/NO枕…?」
夢芽 ニコニコ
蓬「今日は裏返しで、ね…」マクラウラガエシー
両 面 Y E S
蓬「」ガンメンソウハクー
夢芽「待ちきれないなぁ…❤」
蓬「きょ…今日はバイトだから…」
夢芽「ん?シフトの日じゃないでしょ」ジロリ
蓬「休んだ人がいるから代わりにね…」
夢芽「ふーん…待ってるから早く帰ってきてね❤」
蓬「…はい」


六花さんがプロポーズされた後の蓬夢

夢芽「六花さん、プロポーズされたって」
蓬「裕太やったねぇ」
夢芽「あれから二人も成長したしね」ウンウン
蓬「なに目線なの、それw」
夢芽「私も蓬にプロポーズされたいなぁ❤」
蓬「いや、したじゃん」
夢芽「六花さんの見てこれ!メッチャロマンチックじゃん!」
夢芽「私蟹じゃん!」
蓬「蟹ってw」
蓬「家族になろうって意味だったし、あれ言った時ホント心臓やばかったからね」
夢芽「…わかってるけど」
蓬「じゃぁ夢芽さんのご機嫌でも取りますかね」
夢芽「取って取って!」
蓬「目瞑って、手を開いて前にー」
夢芽「はーい」
蓬「はい、目開けてー」
夢芽「はーい…ってこれ」

私の手のひらには小さは箱があった。
どう見たってリングケースだ。
「どうぞ、開けてください」
さっきまでのフザけた感じじゃなく、真剣な口調でそう言う。
緊張の性か、ちょっと手が震えてる気がする。
リングケースを開けると、当然のように指輪があった。
シンプルな形だけと光る宝石が見える。
多分、ダイアモンドだと思うけど、宝石の種類なんかよりも蓬が告げた言葉が私の世界をまた、変えた。
「夢芽」
「結婚して、俺と家族になってください。」
返事なんてもう決まってる。何年も前にしてる。けど何度でも言いたい。
でもこの時の私は、赤面するでもなく、ただ涙が溢れてくるだけだった。
「返事、ほしいな」
分かってるくせに、そんなこと言う。
絞り出すように私は伝える。
もう何年も前から決まってる返事を。


カッコいい裕太、乙女の六花

デートの待ち合わせの日、ナンパ男に絡まれてしまった。
断っても断っても、しつこく付きまとってくる。
周囲を見渡しても関わりたくないのか目を合わせてもらえない。
「ちょっといいですか」
聞き慣れた声が、響く。
「あ、なんだテメー」
悪態をつくナンパ男。その言葉に怯むこと無く声が続く。
「俺の彼女に何かようですか」
真っ直ぐナンパ男を見る。体格では全く勝てない、勝っていない。
けれど裕太は、全く怯むことなくナンパ男に告げる。
「俺の彼女に何かようですか」
先程より大きな声でそう告げる。
周囲の人が興味を持ち始めたのか、警察とかヤバいとかそんな単語が聞こえてくる。
ナンパ男も周りの空気を悟ったのか、舌打ちをし裕太をひと睨みして、その場を立ち去った。
「六花、移動しよ」
私が声をかけるより早く、手を取り移動する。
いつもより強く握られた手が、少し痛い。
コーヒーショップに駆け込むように入り、椅子に腰掛けた。
「六花、ゴメン。大丈夫だった?」
裕太が謝ることではない。けれど、彼はいつもそうだ。
「うん、大丈夫。裕太が来てくれたから」
本当は怖かった。けれどもそれは教えない。優しい彼は、私の言葉一つで簡単に傷つく。
それが堪らなく愛おしく、悔しい。
「せっかくのデートなのに、なんか最初から躓いた感じになっちゃったし…」
待ち合わせ時間よりお互い早く来ているのだ。自分のほうが、裕太より30分も早く来ていたことは知られたくないが。
「ううん。カッコよかったよ、助けてくれてありがと」
響裕太という男の子に会ってから、色々な出来事が合って、乗り越え、今の響裕太を知っている。
彼は今も変わらず、カッコいいと。
「でも、ちょっと今震えてる」
バツが悪そうに、微笑む。
「怪獣とは戦えるのに?」
怪獣のほうが、ナンパ男より数十倍、数百倍は恐ろしいと思う。
「怪獣も怖いけど、グリッドマンと皆が居るから。一人で戦ってた訳じゃないからかなぁ」
何てことないよう言うが、それでもその身で戦ってたのは変わらない。
「さっきは、俺一人じゃん。キャリバーさんとかみたいに強くないしね」
「じゃ、一人で、私のために戦ってくれたんだ」
少し意地悪な言い方で、試すような言い方で、確認するような言い方で。
「そう、かな。でも俺、いっつも六花の為に戦ってたと思うよ」
照れた顔で、何てことないように、とんでもないことを告げる裕太を見れず、高鳴る胸の音を聞かれないように、照れた顔を隠し、私はもう一度伝える。
「…いつもカッコいいよ、助けてくれてありがと…」


内海→はっすへのプロポーズ

内海「結婚式、よかったなぁ~」
はっす「お前泣きすぎだろw」
内海「いやぁ、あの裕太が結婚だぜ?」
内海「なんかこみ上げてきてしまってさ…」
はっす「父親かw」
内海「親友だが」キリッ
はっす「その顔やめぇwww」
内海「www」

夜の道、将と並んで歩きながら、六花の幸せそうな顔を思い出す。
付き合いたての頃を考えると、確かにあの二人が結婚か、思う。
ちらりと横を見ると、まだ少し涙目な顔を目に入る。
コイツは、将は、私との未来をどう考えているのだろうか。
自分から、そのことを口にするのが憚られる。
友人の結婚式に感化されたとかでは、きっとない。
ただ、高校生から変わらない付き合いが、ひどくもどかしいものに感じてしまう。
二人の付き合い始めを遅いと誂い、二人のやり取りを中学生のようだと揶揄した。
けど実際は、二人のほうがずっと、真剣に恋愛を、相手を想い合っていた。
そう思うと自分は随分子供だと思う。子供というか、大人になりきれていない。
折角の良き日に、こんなことを考えてしまうのは友人がほんの少し遠い場所へ行ったからだろうか。
そんな煮え切らないこと考えていると、将が普段と変わらない様子で言う。
「俺らもあんな結婚式したいよなー」
「ぇ?」
「はっすは、あんま興味なさそうだけど、やっぱ俺お前のウエディングドレス姿見たいわ」
笑みを零しながら、喋る将はさも結婚は当然との如く、そう告げる。
「ウチ、プロポーズもされてないんだが」
「え、いる?今更じゃない?」
将の中では、結婚は当たり前のことだったようだけど、私も女の子だ。
「…告白はウチからじゃん…やっぱ言ってほしい…」
絶対自分のキャラではない。けれどもやっぱり好きな人から、言ってほしい。
驚くような顔をしたかと思えば、真面目な顔つきになる。やっぱカッコいいわ、コイツ。
足を止め、目を合わせる。将が態とらしく、咳払いをしてから、
「俺と、結婚してください」
言い終わると同時のように、
「はい、よろしくお願いします」
私は、決まっている返事をする。
「返事早!」
「悲しいかな、ウチはもう将にゾッコンだからなー」
「なら丁度いいじゃん。俺ももうお前しか居ないと思ってるから」
赤く染まる頬が目に映る。
「惚れてくれてたのか」
「惚れまくりよ」
六花達のような関係ではないかもしれない。
けど、これからも将の隣にいれるのであれば、この関係で、この関係が私は良い。
「これからもよろしくな、お嫁さん」
「こちらこそよろしく、旦那さん」
夜の道、二人で幸せそうな顔をしながら、並んで歩きだす。


裕太と六花は

蓬「おじゃましまーす」
内海「裕太の家にくるのも久々だなー」
裕太「飲み物とか取ってくるから座ってて」ヘヤデテイキー

蓬「…」
内海「蓬くん、どうかした?」
蓬「…見てはいけないものを見つけちゃった」
内海「えっちな本?」
蓬 ユビサシー
内海「…これは…」

裕太「持ってきたよ…何どしたの?」
内海「裕太、俺たちを部屋に上げる前にすることがあっただろ」
蓬 ウンウン
裕太「え、え、何?」
内海「蓬くんが見つけたと言うか、見てしまったというか…」メセンイドー
裕太「???…あー!!!」

ブ ラ ジ ャ ー

内海「それ、六花さんのじゃないの…?」
裕太「これは!これは違うくて!」
蓬「夢芽が六花さん裕太の家にお泊りしたって言ってたような」
裕太「いや、だから、これは!その…」
内海「致したのか」
蓬「致してるでしょ、してなほうがおかしい」
裕太「ハイ…シマシタ」
内海「蓬くん、我々は何も見ていないが、何か美味しいものが食べたくなってこないかな?w」
蓬「そうだね、食べながら色々と聞きたいなぁw」
裕太「ハイ、ゴチソウシマス…」


夢芽さんは手段を選ばず六花さんをイジる

夢芽「六花さん、六花さん、聞いてくださよ」
六花「どうしの?夢芽ちゃん」
夢芽「蓬からスッゴイ面白い話聞いて、六花さんにも教えたくて♪」
六花「えー何々?」
夢芽「蓬が裕太くんの家に行ったみたいんですけど」
六花「うん」
夢芽「そこで何と!」
夢芽「裕太くんの部屋にブラジャーが置いてあったんです!!!」
六花「」
夢芽「これ、裕太くん絶対彼女連れ込んでやってますよね!?」
六花「…どうかなー」メソラシー
夢芽「裕太くんの彼女ってどんな人かな~」チラチラ
六花「どんな人かなー」メソラシー
夢芽「蓬の話だと、なんかすっごいプレイしたみたいですよ」
六花「そんなことしてないし!!!!」
六花「あ…」
夢芽 ニヤニヤニヤニヤ
六花「うー…///」ウツムキー
夢芽「今日は泊めてくださいね♪」
六花ママ「おっけ~♪」
六花「マ、ママ…」
六花ママ「ママも裕太くんの彼女のこと聞きたいわ~」
夢芽「ですよね~」
六花「許して…」


二代目は頑張ってる

二代目「ふぅナイトくんお疲れ様です」タオルワタシー
ナイト「いえ、二代目こそ」
ナイト「しかし、毎晩行うこの特訓にはなんの意味が?」
二代目「人の営みとして、とても重要なことです」
ナイト「ですが、我々は」
二代目「グリッドマンは、人を知り、営みを学んでいるはずです」
二代目「だからナイトくんもそれを学べば…」
ナイト「…なるほど、グリッドマンの強さに近づけると」
二代目「そうです」
二代目「ですが、私も上手に教えられるほどの知識はないので、一緒に頑張りましょう」
ナイト「ありがとうございます」
二代目「これも世界を守るためです」
二代目「次のステップとして、これを覚えましょう」ホンワタシー
ナイト「…誰でも出来る48手入門?」
二代目「所謂『技』に相当するものです」
二代目「内密にお願いしますね」
ナイト「分かりました。必ずや習得してみせます」
二代目 ウンウン

夢芽「なるほど、二代目さんはそうやって教育してるんですね」
二代目「ナイトくんは、その当たり無知ですからね」
夢芽「私も教育してるんですけ、蓬がすぐにバテちゃって」
二代目「それは、それは」
二代目「そんなときにはこれです!」アヤシイクスリワタシー
二代目「これで蓬さんの疲れを癒やしてください♪」
夢芽「ありがとうございます!」
六花「えっと二代目さん…」
二代目「なんでしょう?六花さん」
六花「私も、それ欲しいです…///」
夢芽 ニヤニヤ
二代目「どうぞ、六花さん♪」
六花「ありがとうございます…///」
二代目「ぐふふふふふふふふふふふふ」


内海の好きな髪型はツインテール

はっす「ウチも髪伸ばそうかなー」チラ
内海「え、どしたん?」
はっす「内海ってツインテールが好きなんっしょ?」
内海「ソンナコトナイデス」
はっす「ま、イメチェンよイメチェン」
内海「でも急には変じゃない?」
はっす「ウチは尽くすタイプなんで」
内海「///」
はっす「照れるな、キモイ」
内海「いや照れるでしょ」
はっす「こっちまで照れるから…///」
内海「はっすさん、今最高にカワイイっす…」


内海の秘密、はっすへ話すの?

内海は隠さないけど自分からはきっと話さない

はっす「将ってさ」
内海「ん?」
はっす「ウチに何か隠してない?」
内海「いやぁ?」
はっす「…そう」
内海「あ、あのエロ本は裕太が」
はっす「そんなことじゃなくて」
はっす「それは、まぁ後で詳しく聞…見せろ」
内海「それには、及ばないんじゃないかなぁ…」
はっす「彼女が居るのにエロ本隠してんじゃねーよ、有罪、ギルティ」
はっす「正直に今言えば許す」
内海「スミマセン!俺のです!」
はっす「よし許す、まぁ後で見せろな」
内海「ハイ…」
はっす「で、そんな隠し事じゃくて」
内海「続くんだ…」
はっす「続けるわ!六花とか響くんとかと共有は知てるのに彼女と共有してない話題、あるよな?」
内海「あー、あー、あるわ…」
はっす「それってさ、六花とは共有できてウチに教えれないのなんなん?」
はっす「彼女には隠しておくことか?」
内海「別に隠してって…ちょぉ泣くなよ」
はっす「泣いてないし」
内海「いや、めっちゃ涙目じゃん」
はっす「こんな事聞きたいわけじゃないし、なんか六花と自分を比べてさ」
内海「…うん」
はっす「すっごいメンドーな女って思われるかもしれないけど」
はっす「やっぱ別の女の子と何か共有してるってヤダ…」
内海「それは、すまん…」
はっす「別に隠してた訳じゃないけど、信じて貰えないかもだから言ってなかっただけだよ」
はっす「とりあえず言ってよ」
グリッドマンとの、新世紀中学生との、六花との、裕太との、アカネとの、グリッドマン同盟としての日々をはっすに説き明かす。
はっすは話を聞く間、何も言わなかった。
呆れたのかもしれない、嘘で誤魔化そうとしていると思われるだろうか。
だけど、これは紛れもなく俺が見てきた、体験した本物の景色だ。
彼女であろうとそこは譲れない。
この世界の神様の友人である六花と、グリッドマンであった響裕太の「ただの友人」としての自分だけが覚えているこの世界でのかけがえのない2ヶ月間の出来事だ。
はっす「ふーん…」
内海「ま、信じろってほうが無理だろうけど、六花さんにも聞いてもらっていいぜ」
内海「六花さんもこんな話二人にはできないだろうし」
はっす「そだろな」
はっす「ん、教えくれてありがと」
内海「嘘と思わないのかよ」
はっす「将は、ウチにこんな嘘つくのか?」
内海「付くかもしれねーぞ」
はっす「まぁエロ本隠してたしなぁ」
内海「それは…」ゴニョゴニョ
はっす「六花に聞いても、六花も困るだろ、多分」
内海「まぁ困りそうだな」
はっす「それに六花と響くんと将しか知らない話なんだろ?」
内海「そ。まぁ裕太は覚えてないから、おんなじような話をしただけ」
はっす「そか」
はっす「それを演劇にするのはちょっとどうかと思うけど…」
内海「いや、いいっしょ」
内海「六花さんも演りたいって言ってたし」
はっす「言ってたかぁ?」
はっす「まぁ台本見れば、嘘かどうか分かるし、それでいいよ」
内海「そっか」
はっす「めんどくせー女と思われるかもしれないけど」
はっす「隠し事はしてほしくない…」
はっす「将のことは、ウチ全部受け入れるつもりだし…」
内海「はっすさん…ちょーカワイイわ…」
内海「俺みたいな男に付き合ってくれる女は他にいないからさ」
内海「はっすが求めるなら、可能な限り答えるつもりだし?」
はっす「なんでも疑問形なんだよ!言い切れよ!」
内海「出来ないことを要求されても無理!」
はっす「そこまでしないから」
はっす「ただ、もうちょいウチよりで居てほしいって感じで…」ウデカラメー
内海「はっすさん…やっぱちょーカワイイわ…///」


エイプリルフールではないけども

ファミレスにて
夢芽「蓬、裕太くん」
夢芽「重大発表です!」
蓬「なによw」
裕太「えーと…」
六花「…」
夢芽「私と六花さんでお付き合いすることにしました」
蓬「え」
裕太「えぇ!」
六花「…」ジュースノミー
夢芽「最近、蓬が構ってくれないと六花さんに相談したら」
夢芽「六花さんも同じ状況だって!」
夢芽「だから六花さんと私で付き合うから!」ムフー
裕太「えと、六花ゴメン!」
六花「…」
夢芽「今更遅いです」
裕太「あぅ…」
蓬「そっか…夢芽が六花さんを選んだなら言うことはないよ」
夢芽「…え?」
蓬「最近、夢芽に構えなかったのは裕太に会ってたからなんだ」
夢芽「…え、え?」
蓬「俺、裕太と付き合うから」
裕太「…蓬」
夢芽「ちょっとちょっと見つめ合わないで!手握らないで!」
夢芽「六花さん!六花さん!ジュース飲んでないで何か言ってください!」
六花「え、夢芽ちゃんは私と付き合うから、二人が付き合ってもよくない?」
六花「逆に丁度いいじゃん」
裕太「六花ゴメン…俺…」
六花「いいよ、裕太。私もゴメンね」
蓬「夢芽の話はこれで終わり?なら俺たち行くけど?」
夢芽 ナミダポロポロ
夢芽「よも、、、よもぎぃ、、、ちが、、ちがうくてぇ…」グスグス
六花「っちょ夢芽ちゃん」
夢芽「りっかさんとはぁ、、、ちがくて、、、じょぉだんでぇ、、、」グスグス
蓬「夢芽は冗談でそんな事言うんだ」
夢芽「ご、、、ごめんなさぁぁぁぁぁい、よもぎぃぃぃすてないでぇぇぇぇ」ワーン
蓬「捨てないから!ちょっと声おっきい」
夢芽「…ほんと?」グスグス
蓬「六花さんから今日夢芽が何するか聞いてたから」
蓬「ちょっと仕返ししようかと思ったけど…」
裕太「…なんかスゴイ悪いことした気分なんだけど…」
蓬「こんなことになると思わなかった…」
六花「…うん、夢芽ちゃんゴメン…」
夢芽「…私もごめんなさい」グスグス
蓬「俺だけならいいけど、あんま二人を巻きこないでよw」
夢芽「…ん」
夢芽「六花さん」
六花「うん?」
夢芽「蓬と席替わってください」
六花「いいよw」
夢芽「蓬」
蓬「何?w」
夢芽「ちゃんと慰めて」
蓬「はいはい」アタマヨシヨシ
六花「裕太」
裕太「は、はい」
六花「ん」アタマカタムケー
裕太「え?」
六花「蓬くんと付き合うとか嘘つくから傷ついた」
裕太「ぇぇ、あれは六花と蓬がさぁ…」
六花「裕太は私を傷つけたままでいいんだ…」
裕太「違う、違います!」アタマヨシヨシ
六花「ん❤」

なみこ「おいおい、バカップルが3組もいるぜ」ジュースノミー
はっす「とんでもねぇな」
内海「ん?2組だろ?」
なみこ「いや、腕絡めながら座ってるおめーらもカウントしてんだよ!」


バカップルをバカにしないで

※バカップルの定義には諸説ありますが、以下は個人の独断と偏見です。

よく街中でイチャつくカップルを目にした。
よくもまぁ人目も憚らず、イチャイチャできるもんだと感心してしまう。
仮に自分に恋人が出来たとしても、あぁは成らないと思っていた。
…思っていたのだ。けど実際はどうだろうか。
恋人が出来てからの自分の行動を振り返る。普段と変わらないやり取りのはずだ。
だが、思い返せば街中でイチャつくカップル。バカップルの行動となんら変わらない。
バカップルとバカにしていたが、カップルがバカなんじゃない。
カップルをバカする奴が馬鹿なのだ。そう自分に言い聞かせることにした。

内海「なぁ、これはっすに似合わね?」
はっす「ターボーイの趣味じゃんw」
内海「そのターボーイに染まってんだろうがw」
はっす「うっせw」
内海「俺こっちではっすはそっちで合わせればよくね?」
はっす「流石にハズいんだけど…」
内海「そっか…はっすが嫌ならやめとくわw」
はっす「そこまで嫌じゃないっていうかさぁ…」
内海「じゃぁプレゼントするから彼氏特権で合わせてくれよw」
はっす「…ん、それなら、まぁしょーがない…」
内海「OK、じゃ買ってくるな」
はっす「ん」

六花「えーはっすめっちゃ彼女してんじゃん」
はっす「うおぉ!?」
六花「すっごい声w」
はっす「心臓止まったわ」
六花「それだけ内海くんしか見てなかったのかなぁ?w」
はっす「うるさい」
六花「遠目に見てるとバカップルだよw」
はっす「六花さんよ」
六花「ん?」
はっす「好きな男子の告白待ちしてる彼氏なし女子からバカップルって言われても」
はっす「言ってるほうがバカっぽいぞw」
六花「…言うね、はっす」
はっす「文句あるなら彼氏作ってバカップルじゃない状態でもう一度言ってみw」
はっす「六花はぜぇぇぇったい言えなくなると思うわw」
六花「…そんなことないし」
はっす「楽しみにしてるw」
六花「はー…内海くん戻ってくる前に行くね」
はっす「ん」
六花「絶対言い返すからね」
はっす「期待しておくw」

内海「悪いレジ混んでた」
はっす「いいよ」
内海「誰かと話してた?」
はっす「あぁ知り合いにあって、バカップルっぽいって誂われたw
内海「あー…わりぃ」
はっす「?」
内海「俺が浮かれすぎて、はっすまでそんな風に思われるって考えてなかったわ…」
はっす「気にし過ぎw」
内海「いやぁいやっしょ…」
はっす「彼氏が居ない女の妬みみたいなもんだからw」
内海「ぇぇ…」
はっす「そいつ告白待ちしてんの。ウチを見習ってほしいわ」
はっす「だから逆にバカっぽいぞって言い返したw」
内海「相手カワイソスw」
はっす「なので、バカップル振りを見せつけることが仕返しとなるw」
内海「なるかぁw」
はっす「なるなる。さっきのプレゼントしてくれるんだろ?」
内海「おう」ワタシー
はっす「早速付けて、見せつけとくw」
内海「鬼だろw」
はっす「鬼じゃないし、将の彼女だし」ドヤァ
内海「…はい」カオマッカー
はっす「イチイチ照れるな!こっちも照れる…///」
内海「わりぃ…」
はっす「次見に行こ」テツナギー
内海「おう」ニギリカエシー

恋人同士であれば、これくらい普通だ。
決して私は、私たちはバカップルではない!


オタスケカップル ダイナヨモユメー

ファミレスにて
六花「…」ジュースノミー
はっす「…」ジュースノミー
内海(やべぇよ…この空気)ユウタチラミ
裕太 ガクガクブルブル カオマッサオー
内海(裕太は既にこの空気に耐えられていない!)
内海(俺たちは課題をしてただけなのに…)

六花のグラスが空になる。その矢先に
裕太「六花、いれてくよ」
六花「ありがと裕太」
このやり取りが発端だったのかもしれない。
六花さんが、はっすに対して勝ち誇ったような目をしたのだ。
多分そんなことはないと思うが、少なともはっすはそう思ったかもしれない。
はっすのグラスが空になったのを見計らって気を利かしたのも悪かったのかもしれない。
内海「いれてくるな」
はっす「次は」
内海「カルピスソーダ、だろ?」
はっす「ん」
いつものローテーションだ。だがこのやり取りを見せたかったのかもしれない。
もしくは、炭酸が苦手な六花さんへの当てつけだったのかもしれない。
六花「ふ」
はっす「はん」
それからだ、なんだか空気が重くなった。それから無言が続いた。
内海(帰りてぇ…けど言える雰囲気じゃねぇ…)
裕太もきっと同じ気持ちだろう。
入店のチャイム音が聞こえたので、何気なしにそちらに目がいった。
神の使いだ。蓬くんと南さんだ。
目に力と念を込め、蓬くんを見つめる。そして目が合う。

蓬「うわ目が合った」
夢芽「え、誰?」
蓬「内海くん」
夢芽「みんないるじゃん」
蓬「なんかメッチャ空気悪そうじゃない?w」
夢芽「ねw」
蓬「なんか来て!って感じだけど行きたくないw」
夢芽「蓬ヒドw」
蓬「夢芽も嫌じゃない?w」
夢芽「うんw」
蓬夢「「www」」
蓬「なんか裕太震えてるしw」
夢芽「チワワw」
蓬「それ、言っちゃダメだよw」
夢芽「動画撮って後で六花さんに送ろw」ドウガトリー
蓬「俺にも頂戴w」
夢芽「あとでグループ共有しておくw」
蓬「裕太にバレんじゃんw」
夢芽「www」
蓬「内海くんがすっごい顔になってきたし、そろそろ行こw」
夢芽「んw」

蓬「どもー」
夢芽「ちわー」
内海「蓬くん!」
夢芽「ちょっと内海さーん、蓬に色目使わないでくださーいw」
内海「使ってない!使ってない!」
蓬「何してたの?」
内海「学校の課題だよ」
夢芽「課題してるように見えないですけど」
六花「もう終わって駄弁っただけだよ」
はっす「そうそう」
六花はっす「「ねぇー」」ニッコリ
内海(こえー…なんかこえー…)
夢芽「じゃみんなでグラウンドワン行きましょ!」
はっす「お、いいね」
六花「うん、いいね。裕太も行くでしょ?」
裕太 ウナズキー
夢芽「汗をかく蓬…その後お風呂とか?」
裕太 ビク!
蓬「さすがにそこまでの時間なくない?w」
はっす「行ってから考えればよくね?」
六花「そうだね、今 日 は」
裕太 ビクビク
蓬(裕太…w)
夢芽(六花さん…w)
夢芽「じゃ、しゅっぱーつ!」
六花はっす「「おー!」」

オカイケー

内海「蓬くん、ほんと助かった…」
裕太 コクコク
蓬「いやぁあのまま目が合わなければ…w」
内海「今日は俺らに出させてくれ!な、裕太いいだろ?」
裕太 ウンウン
蓬「なんか悪いじゃんw」
内海「いやホンっっっト助かったから…」
裕太「今日は蓬が俺たちのアシストウェポンだよ…」
蓬「アシストウェポンw」
内海「ここは、オタスケカップルのほうがよくないか?」
蓬「そこ拘んの?www」

夢芽「なんであんな空気だったんですか?」
六花「いやー…」
はっす「えーっと…」
夢芽「なるほど、お互いの彼氏の気配り度を競って引っ込みがつかなくなったと」
はっす「まぁ…」
六花「そだね…」
夢芽「じゃぁ今回は蓬の勝ちですね」ムフー
六花はっす「「はい、助かりました…」」

こうして、ツツジ台のちょっとした騒動をフジヨキ台のオタスケカップルが救ったのだ。
(NA:内海将)

夢芽「オwタwスwケwカwッwプwルwwださwww」
蓬「夢芽www笑いすぎwww」
夢芽「蓬もじゃんwww」


内海→はっすパターンでも良いのではないか

普段見ないような占いサイトで運勢を占う。
サイト名に星雲と付くだけで、何か共感を感じた。
結果もいい。大きなイベント…球技大会で俺は告白をする。
ここで俺も覚悟を決めなければ、裕太のことをとやかく言う資格はない。

はっす「で、わざわざ呼び出してなんのよう?」
内海「んとだな」
はっす「あんまあの二人待たせられんのだけど?」
内海「悪い…」
はっす「で、用はなんなん?」
内海「…ふー…」
内海「はっす!はっすが好きです!俺と付き合ってください!」アタマサゲー
はっす「…」
内海(あー…これはダメか…)
はっす「なんで…」
内海「ん?」
はっす「なんでウチなん?」
内海「えっとだな…」
内海「はっすがイジってくることとかあったじゃん」
内海「最初はまぁちょっと嫌だったけどさw」
内海「あれから結構話すようになったじゃん」
内海「それで、そのはっすって女の子がだんだん分かってきたって言うか…」
内海「気がついたら、はっすを目で追うようになってたんだよ」
はっす「…そっか」
内海「あとはっすも俺に気があるのかなぁ~とか思ったりとかしてたりとかしてて」
内海「占いでも良い結果だったから…」
はっす「は?」
内海「すまん、俺の勘違いだよな…」
はっす「そっちじゃなくて占いってなによ?」
内海「え?あぁこれ」スマホダシー
はっす「お前こんなもん信じて告るのかよw」
内海「いいじゃんかよ!星雲の部分がよかったんだよ!」
はっす「さすがオタクw」
内海「うっ…」
はっす「ま、ウチのアピールもそこそこ効果あったみたいだし」
はっす「付き合ってやるよ」
内海「はぇ?」
はっす「だーかーら、付き合ってやるってんの」
内海「まじか」
はっす「まじよ」
はっす「…ウチの草の根活動が実を結んだ結果だな」ウンウン
内海「はっすー!!」ダキシメー
はっす「きゃっ」
内海「ありがと、俺お前のこと大事にするからなー!!」
はっす「ちょっ抱きつくな!まだ早い!」
内海「スマン…ちょっと感情が追いついてない…」
はっす「とりあえずこれからよろしく」
内海「よろしくお願いします…」
はっす「今日から勝手に帰るなよ?」
内海「え?あぁ…」
はっす「一緒に帰れる時は一緒に帰るくらいしろよ」
内海「おぉ…おう!」
はっす「じゃ、ウチ戻るから、時間ちょっと明けてから戻れよ」
内海「おう、じゃまたあとで」
はっす「ん」

なみこ「おめでとーw」
六花「よかったじゃーんw」
はっす「何でいんのさ?」
なみこ「親友が男二人で中々帰ってこないからさw」
六花「心配もするじゃんw」
なみこ六花「「ねーw」」
はっす「うっざ」
なみこ「これでターボ先輩も彼女持ちかー」
はっす「なみこ」
なみこ「何?」
はっす「ターボ先輩禁止な、それはウチだけだ」
なみこ六花「「ひゅーwww」」
はっす「何とでも言え」
なみこ「ゴメン、ゴメン」
六花「うん、ゴメン。けどホントよかったね」
はっす「ありがと」
なみこ「これからもウチらを忘れないでよなー」
六花「そうそう」
はっす「いや忘れないし」
なみこ「六花と二人、彼氏居ない連合で頑張るかー」
六花「えーと…」
なみこ「え!何その反応、彼氏出来たん!?」
六花「出来ていないし居ないし!」
六花「ただぁ…」
なみこはっす「ただ?」
六花「ちょぉぉとね!ちょぉぉぉと響くんとのこと、協力してほしーなー…って…」
なみこはっす「「ヒュー」」
なみこ「響とは、何もないとかイイつつ、結局あんじゃん!あんじゃん!」
はっす「ま、これからは内海の協力も得られるからいけるっしょ」
六花「はっす見てたら、やっぱその、して欲しいよねー…」
なみこ「分かる、分かるわー」ウンウン

その後、恋バナもとい響裕太、六花への告白させ作戦が練られるだった。

内海(こっちまで声聞こえてんの分かってんかなー)
内海(戻るに戻れねー…)


裕太と付き合う前の親子の会話

六花ママ「六花、最近彼氏来ないんじゃん」
六花「響くんは彼氏じゃないし」
六花ママ「あんら、ママは響くんとは言ってないけど?」
六花「あ…」
六花ママ「ふふ」
六花「違うからね。響くんとは別にそんなんじゃないし」
六花ママ「はいはい」
六花ママ「けど六花」
六花「何?」
六花ママ「高校生なんてすぅぐ終わっちゃうんだから」
六花ママ「ちゃっちゃと彼氏の一人や二人作らないとダメよ」
六花「一人や二人ってw彼氏は一人でいいでーすw」
六花ママ「ま、頑張んなさいな」
六花「ちょっと聞くけど」
六花ママ「なぁに?」
六花「ママ的には響くんと内海くんだったらどっちがタイプ?」
六花ママ「そーねぇ…響くんかな」
六花「…なんで?」
六花ママ「甘やかしがいがありそう、だから」
六花ママ「あれは危険な男だわー」
六花「危険って」
六花ママ「六花もあのタイプには気をつけたほうがいいわよー」
六花ママ「…沼るわよ」
六花「沼…」
六花ママ「甘やかすとその分甘やかしたくなる…」
六花ママ「だからママ的には響くん❤」
六花「ふーん…」
六花ママ「ちゃんと男は選びなよー」
六花「選んでますー、決めてますー」
六花ママ「そ、早く孫の顔が見たいわー」
六花「それ気が早すぎでしょ…」


六花の新しいクセ

なみこ「六花ってさぁ」
六花「うん」
なみこ「響と付き合い始めてからよく口に手当てるようになったじゃん」
六花「え、そう?」
なみこ「なったよーなってるよー」
六花「えーそんなことないと思うけどなー」
はっす「いや、なってる」
六花「えーそうかなぁ?」
裕太「六花ー」
なみこ「あ、響だ」
六花「裕太、何?」
裕太「自販機でジュース買ったらさ、当たりがでて2本出たんだ」
裕太「だから六花に1本あげようと思って」
六花「ありがと」
裕太「うん」ニコッリ
裕太「えと、じゃね」
六花「うん、また放課後ね」
裕太タチサリー
なみこ「ほらぁ喋り始めた瞬間口に手あててんぜ」
六花「あーほんとだ…」
なみこ「なんかあったん?」
六花「えと…」
はっす「口隠すってことはキス…」
六花「違くて!」
六花「その裕太の顔見てるとニヤけてきちゃって」
六花「多分それで口隠しちゃってると思う…」
なみこ「あの六花さんが」
はっす「あの六花さんが」
なみこ「男と会話するだけでニヤけてるとか」
はっす「確かあの笑顔はちょっと良いかもな」
なみこ「ま、ちょっとね」
はっす「以外に六花って顔にでるんだな」
六花「悪い?」
はっす「悪いなんて言ってないじゃん」
なみこ「六花も青春謳歌してんなー」
六花「何目線?それw」
はっす「ウチはマスクしてるからニヤケてもバレないからね」
六花「私もマスクしよかなー」
なみこ「えー立花の顔が隠れるから俺ヤダ」ユウタノマネ
はっす「似てねーw」
六花「似てないw裕太はもっとこう…」ウキウキ
なみこ「それ長いからしなくていい!」
はっす「こーゆ時は顔は隠さないんよなぁ…」


はっすとネコ

内海「なかなか面白かったな」
はっす「だなー」
はっす「で、この後どうするん?」
内海「私にいい考えがある」
はっす「それ、なんかフラグに聞こえるんだが」

ちゃーら~(エンブレム反転アイキャッチ)

内海「お、ここだここ」
はっす「猫カフェ?」
内海「はっすさんよ」
はっす「何よ」
内海「男一人ではこんなとこ来れないんっすよ」
はっす「あーはいはい」
はっす「彼女様をダシにして入ろうと」
内海「お願いします」
はっす「ん、よかろうw」

イラッシャイマセー

内海「普通のメニューとネコちゃん用メニュー…」
はっす「おやつとかもあるのか」
内海「無理やりのお触り厳禁だからおやつで釣ると…」
はっす「なんか言い方がエロい」
内海「エロく無いだろ」
はっす「顔がニヤついてる」
内海「それはしょうがない」
ネコチャン ウニャウニャ
ネコがはっすの膝の上に猫が飛び乗る。
はっす「おぉ」
内海「おーいいな」
はっす「ゴロゴロ言ってる、愛いやつめ」
内海「猫さん猫さんそこは俺の場所なんでこっち来て貰えませんか」オヤツミセー
はっす「めっちゃそっち見だしたぞw」
内海「ほれほれ~」
ネコがはっすの膝上から胸へと登ってく
はっす「え、ちょ、やめ」
内海(なんかエロいな)
はっすの胸の上に登りきったネコが内海へのほうへ飛びつく。
内海「うぉー!!」
オキャクサマー!!

ちゃーら~(エンブレム反転アイキャッチ)

内海「酷い目にあった…」
はっす「エロいこと考えてるからだろ」
内海「…考えてねーし」
はっす「いーや、ウチの声でなんかエロい顔してた」
内海「しょーがねーだろ…」
はっす「図星だからって拗ねんなよw」
内海「拗ねてないし」
はっす「将はいつでも触れんだからいいだろ」
内海「おぅ…」
内海「はっすさんは急にかましてくるから心臓に悪いわ…」
はっす「狙ってんだから当たり前だろ」
内海「さすがっす…」
内海「そういやネコが飛んできて思ったんだけどTFにそんなキャラが居たなーって」
はっす「いたかぁ?ウチもそこまで詳しくないから分からんけど」
内海「折角だし俺ん家でアニメのTFでも見ようぜ」
はっす「なにその雑な誘い」
内海「え、いや 普通に見るだけのつもりで言ったけど…」
はっす「あ゛?」
内海「ぜひ!ぜひ!俺の家に来て一晩一緒に!居て下さらないでしょうか!」
はっす「…そこまで言うなら行ってやろう」
内海「ありがとうございます…」

結局、アニメTFは視聴されることはなかった…。


致した後で肌艶よくなるって本当ですか?

なみこ「最近はっすなんか変えた?」
はっす「何も変えてないが?」
なみこ「ふーん…」
はっす「なんだよ」
なみこ「スキンケアとかなんかした?」
はっす「してないけど」
六花「おはよー」
なみこ「おはよ」
はっす「おは」
なみこ「六花もさぁ」
六花「うん?」
なみこ「何か変えた?」
六花「え?何が?w」
なみこ「最近さぁ二人ともなんか肌キレイになった気がするんよね」
六花はっす「「……」」
なみこ「何その沈黙」
六花「いやぁー…」メソラシー
はっす「…」メソラシー
なみこ「え、マジか…」
六花「スキンケアにママの高い化粧水使ってみたんだ…」
はっす「配信控えて早めに寝るようになったんだ…」
なみこ「嘘だ!!!!」
六花「うっさい」
なみこ「もーやだー絶対嘘じゃん、それぇ…」
はっす「ホントかも知れないだろ、信じろ親友だろ?」
なみこ「それ絶対嘘ついてる時に言うやつじゃん」
はっす「六花さん、なみこはウチらを信じてくれないんだって」ナキマネー
六花「悲しいね、親友なのに」ナキマネー
なみこ「ほら!それ絶対嘘!」
裕太「六花おはよ!」
六花「おはよ、裕太」
裕太「これ、六花忘れ物だよ」フクロワタシー
六花「あ、ありがと」アセアセ
なみこ「…」ジー
裕太「えと今日は先行くね」
六花「うん、ゴメン」
裕太「ううん。俺も割り込んじゃってゴメン」
裕太「じゃね」ノ
なみこ「もうお泊りまでしてんかよー…」
六花「いや泊まってないし、日帰りだし」
はっす「六花さん…」
なみこ「語るに落ちたな…」
六花「…」カオマッカー
内海「うーっす」
はっす「おはよ」
なみこ「来たなターボーイ…」
なみこ「聞いたぜぇターボーイよぉw」
内海「え、何を?」
なみこ「はっすさんでターボ先輩になったてよぉ」
内海「え、いや、それは、その…」アセアセ
はっす「バカ…」
なみこ「…くそぉ、私がバカみてーじゃんかよぉおおおお」ナミダメー
六花「な、なみこ!今日どっか行こ!奢るよ」
はっす「奢る!奢る!」
なみこ「…言ったな…今日はやけ食いじゃぁー」


おやすみなさいを言いたくて

あっちの世界がピンチになって、少し手を貸した。

私も六花とお喋りしたかったよ。
けど、私神様だし、六花のお願い事、ちゃんと守るよ。

♪~スマホの着信音
アカネ(誰だろ…?)
スマホ画面『アレクシス・ケリヴ』
アカネ「え?」
アカネ「なんかの冗談だよね…」
アレクシス『アカネくん、早く出てよ』
アカネ「勝手に繋がってんじゃん!」
アレクシス『はっはっは』
アカネ「アレクシス死んだじゃん!なんか粉になってたじゃん」
アレクシス『永遠の命を持っているからねぇ』
アレクシス『あれくらいなんて事ないさ』
アカネ「ふーん、じゃぁまたグリッドマンに追われるね」
アレクシス『それも悪くないんだけどねぇ』
アレクシス『私も怪獣退治に精を出そうかと思うんだ』
アカネ「…なんで?」
アレクシス『いやいや、皆と力を合わせて戦う』
アレクシス『実に良かったよぉ』
アレクシス『だから、そんな戦える世界に行ってみようかと思ってねぇ』
アカネ「…やめときなよ、またグリッドマンに捕まるよ」
アレクシス『おや、心配してくるのかい?』
アカネ「心配じゃないよー」
アカネ「忠告だよ」
アレクシス『ふーむ…同じじゃないのかい?』
アカネ「アレクシスが今したい思ってる事は、こないだの事とは違うよ、きっと」
アレクシス『アカネくんが言いたいことが分からないなぁ』
アカネ「分からないなら、尚更ヤメときなよ」
アカネ「…今度アレクシスを捕まえるのが私になるかもよ」
アレクシス『それは、困るねぇ』
アレクシス『…実を言うとまだ少し全快じゃぁないんだよ』
アカネ「そ」
アレクシス『アカネくん達が居なくなるまで、休むことにするよ』
アカネ「じゃ、おやすみアレクシス」
アレクシス『おやすみアカネくん。最後に話が出来て楽しかったよ』

通話が切れる。
着信履歴を確認しても『アレクシス・ケリヴ』の文字はない。
夢か幻か。それともインスタンス・ドミネーションの影響だろうか。
アレクシスの休戦協定とも言える「おやすみ」。
アレクシスの別れの言葉とも言える「おやすみ」。
アレクシスとは邪な協力関係ではあったが、そうで無いときもあったのだ。
だからだろうか、ふいに呟く。

「またね、アレクシス」

少しも期待してない気持ちと、ほんのちょっぴりの優しで。


恋するハイパーエージェント

ボラー「さっきから『うーむ』とか『はぁ』とかうっせんだよ!」
グリッドマン「す、すまない…」
マックス「何か悩みでもあるのか?グリッドマン」
ヴィット「話してみたら?助けになるかどうかは分からないけど」
キャリバー「は、話すだけでも楽になるかもしれない」
レックス「そうだぜ、大将」
グリッドマン「ありがとう、みんな」
グリッドマン「実は裕太のことを考えると心が休まらないんだ…」
ヴィット「え、何?そっち系の話?」
キャリバー「ど、どう言う意味だ?」
マックス「ふむ、詳しく聞かせてくれ」
ボラー「聞くなよ!」
レックス「何だ、大将は裕太に恋したのか?」
グリッドマン「恋?この感情が恋なのか」
ボラー「よけーなこと言うな新人!」
レックス「いや、ここはちゃんと気持ちの整理を付けたほうがいいんですって」
マックス「それは経験則か?」
レックス「まぁ…そんな感じっす…」
グリッドマン「そうか、私が裕太に恋をしているから…」
ヴィット「心ここにあらずって感じね」
キャリバー「だ、だが響裕太は男だぞ」
マックス「だがグリッドマンには明確に性別が存在しないだろ?」
グリッドマン「確かに私はエネルギー体だ。性別は…ないのだろう…」
ボラー「でも俺らの性別からして、男じゃねーの?」
マックス「確かに否定はできないな」
ヴィット「マンって付いてるし男でしょ」
レックス「恋に性別は関係ないぜ!グリッドマン」
マックス「それは経験則か?」
レックス「いえ、なんとなくです」
ボラー「お前あんまテキトーなこと言ってんなよ」
キャリバー「そ、それならば性別を女性に変えればいい」
キャリバー「い、今のグリッドマンなら可能だ」
グリッドマン「!!!!」
グリッドマン「し、しかし自分の事のためにこの力を使ってもいいのだろか…」
ヴィット「いいんじゃない」
マックス「そうだ。自分へのご褒美と言うやつだな」
ボラー「てめぇら煽んなよ」
グリッドマン「ありがとう…」ポーズトリー
ボラー「ちょ、マジやめろ!」

その時不思議な事が起こった。
新世紀中学生の面々がふくよかな体つきになっていく。
各々の元の特徴は残しつつも女性と呼べる姿へと変わったのだ!

グリッドマン「私の姿は変わってないな…」
キャリバー♀「だ、だが俺たちの性別は女性になっている」
マックス♀「我々もグリッドマンの一部。となれば…」
ヴィット♀「グリッドマンも女性。もといグリッドウーマンかな?」
ボラー♀「なんかキモイなお前ら」
レックス♀「なんか…ボラーさん変わってないっすね」
ボラー♀「うるせ!」アシケリー
レックス♀「大将…じゃないない。姉御!このまま告白しに行こうぜ」
マックス♀「そうだな。折角ここまでしたんだ」
ヴィット♀「変身仕損になっちゃうしね」
ボラー♀「なんでお前らそんな乗り気なんだよ」
キャリバー♀「お、面白そうだからだ」
ボラー♀「」
グリッドウーマン「みんな…ありがとう…私は裕太にこの想いをぶつけよう」

裕太「あれアクセプターが鳴ってる」
内海「グリッドマンが助けを求めてるのか?」
六花「…多分違う…」
内海「え、何、六花さん何か分かるの?」
六花「女の勘…」
裕太「ジャンクへ行こう!」
六花「ダメ!」
裕太「え…でもグリッドマンが…」
六花「ゆ・う・た」
裕太「…はい」
内海(まるで躾けられた子犬だ…!)
六花「マックスさん当たりに確認する」スマホタプタプ
内海「え?通じんの?」
六花「さぁ分かんない」
内海「えー…」
六花「あ、返信きた」
内海「まじか…」
六花「!!! 裕太今日絶対ジャンク行っちゃダメだよ」
裕太「でもグリッドマンが…」
六花「マックスさんからだけど、故障みたいだから近づかないほうがいいって」
六花「で、アクセプターのここを…っと」
裕太「音が止まった…?」
六花「だから今日は大人しくしてて、ね」
裕太「うん、分かったよ…」
内海「で、マックスさんからは何て…?」コソコソ
六花「なんかグリッドマンが裕太に愛の告白したいって」コソコソ
内海「え、何が起きてんのよ…」コソコソ
六花「私も知りたいよ…」コソコソ

グリッドウーマン「…呼びかけに応えてくれないな…」
マックス♀「そんな日もあるだろう」
ヴィット♀「まぁあの子達も忙しいからねー」
キャリバー♀「そ、それに今日の呼びかけは、き、緊急性の低い呼びかけだ」
キャリバー♀「じょ、状況によっては対応も変わるだろう…」
レックス♀「姉御、落ち込むな。また機会はあるだろ!」
グリッドウーマン「そうだな。みんな、すまない。気を使わせたようで」
マックス♀「グリッドウーマン、君が居て我々が居てこそのハイパーエージェントだ」
キャリバー♀「そ、そうだ。気にする必要はない」
ヴィット♀「そうそう」
レックス♀「仲間ってのはそう言うもんだぜ!姉御」
グリッドウーマン「ありがとう。そしてこれからもよろしく頼む」

ED:ユニバース!ユニバース!ユニバァァース!

ボラー♀「え、このまま終わんのかよ…」


シルシ

夢芽、蓬のスマホタプタプ
夢芽「!!」
夢芽「蓬!このカレンダーの印なに!?」
夢芽「お義母さんでもおばあちゃんでも上条さんでも」
夢芽「ちせちゃんでもガウマさんでも…えっと…暦さんでも」
夢芽「六花さんでも裕太くんでも内海くんでも」
夢芽「誰かの誕生日とかじゃないし」
夢芽「私との記念日でもない!」
夢芽「なんなの!」
夢芽「答えよ!蓬!!」
蓬「あー…あー!!!」カオマッカー
夢芽「何!なんなの!?」
蓬「最悪…消し忘れてじゃん…」ウズクマリー
夢芽「答えてよ!!」ヨモギユサユサ
蓬「…夢芽に告白するって決めた日…」
夢芽「え」ピタ
蓬「だーかーら!夢芽に!告白するって決めた日!」
夢芽「告白…」
蓬「…ちゃんと夢芽のこと、好きって思えた日の印…」
夢芽「…蓬」
蓬「そんなん知られたくないじゃんか…」
夢芽「ううん…うれし…」
夢芽「ゴメンね、なんか…」
蓬「ん、いいよ」
夢芽「…じゃあ仲直りの印つけるね」
蓬「うん?」

蓬の頬へと夢芽の唇が触れる。

夢芽「…仲直りの印だからね」
夢芽「今日は私が悪かったから私からね」
夢芽「あんまりケンカはしたくないけど…」
夢芽「今度から悪かった方から仲直りの印することにしようよ…」カオマッカー
蓬「うん…」カオマッカー


アプリポワゼ

マッドオリジンとの戦闘中
アレクシスはふと思ったのであった。

アレクシス「アカネくん」
アカネ「なに!?」
アレクシス「なんだか、アカネくんは銀河美少年みたいだねぇ」
アカネ「え?なにそれ」
アカネ「美少年って…私美少女だし」
アレクシス「いやいや、アカネくん」
アレクシス「女の子でも銀河美少年は銀河美少年なんだよ」
アカネ「意味わかんない」
アレクシス「はっはっは」
アレクシス「アカネくんの服装、私に搭乗しているこの感じ」
アレクシス「このゼロ時間のような空間」
アレクシス「まさに、という感じだねぇ」
アカネ「それ今大事?」
アレクシス「どんな時でも心に余裕を持つべきだとは思わないかい?」
アカネ「まぁそうかな」
アレクシス「それにイイ台詞もあるんだよ」
アカネ「ふーん」
アレクシス「『やりたいこととやるべきことが一致する時、世界の声が聞こえる。』」
アレクシス「どうだい?アカネくん」
アレクシス「世界の声は聞こえるかい?」
アカネ「やりたいことを今!してるし!これは!やるべきこと!」
アカネ「世界の声は聞こえないけど」
アカネ「今から!聞こえるようになるの!!」
アレクシス「いいねぇアカネくん。実に素晴らしい」
アレクシス「アカネくんの為にも彼らには青春を謳歌してもらいたいからねぇ」
アカネ「いくよ!アレクシス」
アレクシス「全く人使いが荒いなぁ」

人生という冒険は続く…


もしも怪獣優勢思想が生きていたら…

怪獣がいなくなったこの世界で、ガウマさんがいなくなったこの世界で、
俺は一体何をして、何をしたかったのだろうか。

蓬夢芽「「あっ」」
ジュウガ「どうも」
蓬「お久しぶり、です…」ミガマエー
ジュウガ「そう身構えないでください」
ジュウガ「もう怪獣もいなし、俺たちに戦う理由もないでしょう」
蓬「まぁそうなんですけど…」
夢芽「何、してるんですか?」
ジュウガ「仕事帰りにスーパーによって買い物してただけですよ」
蓬(仕事してんだ…)
夢芽「なんか元気なさそうですね」
ジュウガ「ははっ…自分のアイデンティティもなくなって…」
ジュウガ「尊敬する人もいなくなってしまいましたからね」
ジュウガ「何故生きてるのか、分からないですよ…」
夢芽「ガウマさん、生きてますよ」
ジュウガ「え!?」
蓬「色々あったぽいですけど元気でしたよ」
ジュウガ「…そう、ですか…」
夢芽「新世紀中学生とか言うダサい名前のグループで活動してますよ」
ジュウガ「新世紀中学生…」
ジュウガ「それって俺も入れるんですかね?」
蓬「え、どだろ?」
夢芽「ちょっと分かんないです」
ジュウガ「そうですよね…」
夢芽「別に同じグループに入らなくても良くないですか?」
ジュウガ「どう言う意味でしょうか?」イラッ
夢芽「ガウマさんの入ったグループって世界を怪獣とかから守ってるらしいんで」
夢芽「そっちの人達で別グループ作って、世界を守ったら良いんじゃないですか?」
ジュウガ「世界を、守る…」
夢芽「で、ガウマさん達より世界を守れば、向こうから何か来るんじゃないんですか?」
ジュウガ「なるほど…同じ存在として無視できなくなればいい、と」
蓬(なんか夢芽ノリノリだな…)
夢芽「えとジュウガ?さんも5000年前の人なんですよね?」
ジュウガ「えぇそうです」
夢芽「だったらシズムくん達と古代文明高校生とか世紀末大学生って名前でグループ作っちゃえばいいんですよ」
蓬(ださっw)
ジュウガ「面白い…いえ、素晴らしいアイディアです」
ジュウガ「すぐ検討したいので、これで失礼しますね!」タチサリー
蓬「行っちゃったね」
夢芽「ね」
蓬「あんな適当な事言ってどうすんのよ」
夢芽「でも乗り気だったじゃん」
蓬「俺知らないからねw」
夢芽「大丈夫だよ」
夢芽(あの日の私と同じ目だったから…)

その後、新世紀中学生の前に幾度も現れる四人組の姿があったとかなかったとか…


はっすが依存してくるシチュエーション

内海「なぁはっす」
はっす「何?」ベタベタ
内海「あの、さ、ちょっと言いにくいんだけど…」
はっす「言えよ、ウチと将の仲だろ」ダキツキー
内海「えーっと…」
はっす「?」
内海「俺らちょっと距離置かね?」
はっす「…え?」
内海「いや、はっすのことが嫌いになったとかそんなんじゃなくてさ!」アセアセ
はっす「…ぜっったい嫌だからな…」ダキツキー
内海「でもほら、前の配信で彼氏匂わせで炎上しかけたじゃん」
内海「折角今まで頑張ってきたのに、こんなことで炎上するとか嫌だろ?」
はっす「…こんなこと?」
はっす「じゃ、配信やめるから」
内海「ちょっちょ、それはヤバいって!」
内海「企業案件とかも受けてるじゃん!?」
はっす「将と配信取るんだったらウチは将取るから」ダキツキー
内海(はっすがここまで依存するタイプだとは思わなかった…)
はっす「しょ~お~❤」オナカニアタマグリグリー
内海(なんか対策考えないと…)
はっす「あたまなでて~❤」

内海「…と言うことなんだよ」
なみこ「ターボーイ話盛ってね?」
六花「確かに、信じられないかな…」
内海「俺も正直ビビってる」
内海「背に腹は代えられないが、動画を撮ったので見てくれ…」
甘い声を出し、ベタベタと内海に絡みつくはっすの姿が!
なみこ「ぅおぉ…」
六花「ぇぇ…」
なみこ「これはひどい」
六花「え、別人じゃん…」
内海「で、流石にちょっとどうかしたい」
内海「なんかめっちゃ依存されてる気がして…」
内海「悪い気はしないんだけど…」
なみこ「まぁ言わんとすることは分かる」
六花「でも、こんなん誰かに言われても治らないんじゃない?」
内海「だよなー…」
内海「そういや裕太は?」
六花「ジュース買いに行ってくれた」
裕太「ただいまー」
六花「おかえり~」
内海「お、裕…」
はっす「…うっす」
内海「おう…」
なみこ「え、ちょー気まずいんですけど」コソコソ
六花「うん、これはヤダね…」コソコソ
裕太「はっすさん、ちゃんと言ったほうがいいよ」
はっす「…そだね」
はっす「将、その、最近のことゴメン…」
内海「いや、謝ってもらうことじゃ…」
はっす「将はウチのこと考えてくれたのに…」
はっす「わがまま言ってゴメン…」
内海「俺も言い方が悪かったよな…ゴメン…」
裕太「はっすさん良かったね」
はっす「ん…ありがと…」
裕太「はっすさんは六花の親友だし、内海は俺の親友だから」
裕太「俺に出来ることなら、協力するからね」ニコッ
なみこ「え、響のやつはっすに何かしたの?」コソコソ
六花「多分…?」コソコソ
はっす「将、これからのことちゃんと話したいから…」
はっす「二人っきりで話せない?」
はっす「甘えるのは…我慢するから…」
内海「…おう、ちゃんと話そう」
なみこ「じゃ、後は若い二人の時間と言うことで」
六花「私達帰りまーす」
裕太「え、もう帰るの?内海の相談は?」
内海「えーさっき終わったかな…」
裕太「そうなの?」
なみこ「そうそう」
六花「だから裕太、帰るよ」
裕太「???うん…」
内海「裕太」
裕太「うん?」
内海「ありがとな」
裕太「???」

はっすの内海への依存と言うか甘え癖は、話し合いの末に若干改善されたのだった。

六花「裕太」
裕太「何?」ジュースノミー
六花「はっすに何したの…?」
裕太「何もしてないけど?」
なみこ「いや、絶対したでしょ」
裕太「ちょっと喋っただけだよ」
六花「そのちょっとが知りたんだけど…」
なみこ「そうそう、あれは私らが言ってもどうにもならんかったよ」
裕太「?」
裕太「大したこと言ってないと思うけどなー」

六花となみこはひたすら追求をするが、妙にはぐらかす裕太であった。


蓬→ガウマ そう言うのもあるのか(無い)

蓬「ガウマさんって結構筋肉質ですよね」
ガウマ「ん?あぁ昔は鍛えてたからな」
蓬「ちょっと触っていいすか?w」
ガウマ「んだよ、ちょっとだけだぞw」
蓬「あざすw」
フッキンサワサワ ニノウデサワサワ
ガウマ「ちょ…蓬…くすぐったいぞ…」プルプル
蓬「もうちょっと触らせてくださいよ」サワサワ
ガウマ「~~~~~~~~~~っ」ミモダエー
蓬「あ!ちょっと逃げないでくださいよ」
ガウマ「いーや!これ以上はダメだ!有料だ!」
蓬「いくらっすか?俺払いますよ?」
ガウマ「おい!蓬、待て!なんか目がこえーぞ…」
蓬「一緒に風呂入った仲じゃないですか…男同士で何恥ずかしがってんですか」ハァハァ
ガウマ「恥ずかしくはねーけど…くすぐったいんだよ!」
蓬「逃しませんよ…ガウマさん…」
ガウマ「落ち着け!な!ほら!その手を下げてくれ!よもぎぃぃぃぃ」

ちせ「夢芽さん的にあれってセーフなんスか?」
夢芽「んーギリギリギリギリ…セーフ…かな」
ちせ「だいぶアウトよりっスね」アメナメー
夢芽「私にもあれくらい積極的だったらなー」
ちせ「それはそれで何かヤじゃ無いっスか?w」
夢芽「確かにw」

ジュウガ「何なんだ。何を見せられてるんだ!」
オニジャ「いや、何を双眼鏡で見て言ってんだよ」
ムジナ「自分で見てんじゃん」
シズム「性癖はどこまでも自由であるべきだ…」


裕太の浮気相手?

六花「うーん…」
なみこ「どしたん六花」
はっす「なに悩んでんだ」
六花「いやね、裕太が最近誰かと連絡取り合ってるっぽいんだけど」
なみこ(まーた響か…)
六花「誰と連絡してるか分からないんだよね」
はっす「スマホの履歴とかですぐじゃん」
六花「着歴もメッセージもなんも無し」
なみこ「消してんじゃないの?」
六花「そう思ったんだけど、電話してた後すぐ借りて着歴見たけどなーんもないの」
はっす「…イマジナリーフレンドとか?」
六花「何言ってるかまでは聞こえないけど、ちゃんと相手がいるっぽいんだよね」
なみこ「ホラー…?」
六花「んで、誰か教えてくれないの」
六花「そこがちょーっと、ね」
なみこ(全然ちょっととか思ってなさそー)
はっす「全然ちょっととか思ってないだろ」
六花「いや、裕太だって誰かと連絡くらいとるけどさ、教えてくれもよくない?」
内海「はっす、おまたせー」
なみこ「!」
なみこ「内海に確認してもらえばいいじゃん」
六花「そうだね…」
はっす「え、今日は一緒に帰…んん、今日はデートなんだが?」
なみこ「おい、なんでこっち見て言い直した?」
はっす「気のせい、気のせい」
内海「何の話?」
なみこ「響が浮気してるかもって六花が騒ぐからさ」
六花「いや浮気って決まってないし」
内海「裕太が六花さん意外に靡くとは思えないけど…」
はっす「なんか誰かとこまめに連絡取り合ってるらしいけど六花に教えないんだってさ」
内海「ふーん…なんかあるな」
なみこ「んで、内海に響のその連絡相手が誰か探ってきてもらったらって話」
内海「あーなるほど…」ハッスヲチラ
はっす「…はー」
はっす「しゃーない、六花の為だ。今日のデートは諦めよう」
六花「ありがとーはっす!内海くんもありがと」
内海「んじゃ裕太探してくるか」
なみこ「期待してるぜターボ先輩!」

内海「お、いたいた」
裕太「えーそなんだ。ふんふん」デンワチュウー
裕太「ほんと?それ知らなかった…うん、うん…」
裕太「あ!あぁゴメン。うん、内海が今ね。そうそう」
裕太「そうなんだよ。はっすさんと付き合っててさぁ、俺びっくりしちゃったよ」
内海(俺とはっすが知ってる人か?)
裕太「うん、いいよ。じゃぁ代わるね」
裕太「はい、内海」スマホワタシー
内海「え、俺?」
裕太「うん、新条さんが代わってて」
内海「新条!?」
内海「もしもし…代わったけど」
アカネ『やっほー久しぶりぃ』
内海「マジかよ…」
アカネ『そんな驚かないでよー』
アカネ『ついこないだ会ったでしょ』
内海「いや、会ったってのは語弊でしょw」
アカネ『まぁまぁいいじゃん、いいじゃん』
内海「まぁそうだな、そんなことより」
アカネ『なんで響くんと電話してるかって?』
内海「そうそれ!」
アカネ『まぁ響くんも色々あったじゃん』
アカネ『で、六花とも付き合ってるし』
アカネ『今までのこともあるから神様特権で響くんにご褒美をあげてましたー』
アカネ『わーぱちぱち』
内海「ご褒美?」
アカネ『そそ、主に六花の情報を響くんに教えてたんだよー』
アカネ『私の親友の彼氏だよ?しっかり教育しておかないとね』
内海「その親友が彼氏に浮気疑惑かけてですけど」
裕太「!!俺浮気してないよ!」
内海「裕太はちょっと静かにしててな」
アカネ『まじ?六花って以外に束縛する系なんだねー』
内海「最近の言動を見るに意外性はないと思うわ」
アカネ『あははーwじゃぁ響くんへのご褒美は今日で終わっておくね』
内海「悪いけどそうしてくれ」
アカネ『六花には謝っといてくれない?』
アカネ『彼氏はとらないよー、六花の昔話してただけだよーってw』
内海「りょーかい」
アカネ『それじゃ、さよならー』
内海「はい返します」
裕太「新条さん、何て?」
内海「電話は今日で終わりってさ」
裕太「そっか…」
内海「おや六花さんから新条へ心変わりですか?w」
裕太「違うって!俺は六花だけなの!」
裕太「新条さん、六花のこと話す時すっごい楽しそうだったから」
裕太「いつか六花とまた話せたらいいのになって思っちゃってさ」
内海「…そうだな」

裕太「じゃあね、内海」
内海「おう、また明日なー」
内海「っと六花さんへ連絡しておきますか」リッカサンヘコール
六花『どうだったの!?』
内海「ノータイムでくるのか…」
六花『ちょっっと気になるからね』
内海「はいはい」
内海「ま、浮気ではない」
六花『…だよねー、うん信じてたよ』
内海「んで相手からの伝言な」
六花『え、喋ったの?』
内海「喋った喋った。けど六花さんとは多分喋ってくれないだろうな」
六花『どゆこと?』
内海「伝言言うな。これで分かるぜ」
内海「彼氏はとらないよー、六花の昔話してただけだよーって」
六花『…』
内海「六花さんが悩んでるって言ったら今日で終わるってさ」
六花『…そっか、ありがとね内海くん』
内海「いや、俺も新条と喋れて良かったよ」
六花『…はっすには黙っといてあげるね』
内海「え、別にそんな感じじゃなかったよね、今?」
六花『うっそーw』
内海「…裕太に色々聞いたらいいんじゃん」
内海「俺から聞いたって言って新条のこと教えてもらいなよ」
六花『…うん、そうする』ナミダゴエ
六花『内海くん』
内海「ん?」
六花『もしだよ、もしなんだけさ』
内海「うん」
六花『私の親友から連絡あったら伝えてほしいことあるんだけど、いい?』
内海「おう」
六花『絶対私の彼氏あげないからって、願い事守ってくれてありがとって』
内海「分かった」
六花『じゃ、またね』
内海「またなー」

次の日、裕太と六花が、六花の親友の話で盛り上がっていた。
時折、六花の恥ずかしいエピソードが聞こえたような気がするが、きっとそれが親友からの祝福なのだろう。


手のひらサイズ

六花「裕太ってさ」
裕太「うん」
六花「私とあんま身長変わらないじゃん?」
裕太「…うん…ゴメン…」シュン
六花「え、あ、違くて」
六花「あんまり身長は変わんないけどさ」
六花「裕太の手ってやっぱ私より大きんだな~って」
六花「やっぱり男の子だなって…」カオマッカー
裕太「ん…」カオマッカー

夢芽「…」ジー
蓬「なんか羨ましそうに眺めてんじゃんw」
夢芽「六花さんと裕太くん、なんか普通な感じの手つなぎなのにさ」
蓬「うんw」
夢芽「めちゃくちゃラブラブしてない?」
蓬「してるw」
蓬「でも、うちらは恋人つなぎですよ?w」
夢芽「そうなんだけど…」
夢芽「今日は六花さんたちの見習います…」
蓬「はいw」
夢芽「蓬の手、やっぱり私より大きね」
夢芽「守ってもらえてる感じがする」
蓬「うん、ずっと守らせて…」
夢芽「蓬…」

内海「…」ジー
はっす「なんか羨ましそうに眺めてんじゃん」
内海「いやぁみんな初々しい恋人っぽいなって」
はっす「ウチらも十分初々しいじゃん」
内海「腕組んで、胸を押し付けてくる初々しい彼女は中々いないと思うんですよ」
はっす「でも、嬉しいんだろ?」
内海「…はい」
はっす「もっとウチを意識して貰うためだ」
はっす「十分初々しいだろ…」カオマッカー
内海「…照れるならしなくても」カオマッカー
はっす「ただの手つなぎとかのほうが、ウチ的には無理…」
内海「やっぱ俺の彼女が一番カワイイわ…」


ムジナの誘い

ムジナ「あ、暦くんじゃん」
暦「…ども」
ムジナ「何してんの?」
暦「散歩…とか?」
ムジナ「じゃぁ暇なんだ?」
暦「まぁ…」
ムジナ「飲みに行こ」
暦「いやぁ今ちょっと持ち合わせが…」
ムジナ「私が誘ったんだし、私が払うよ」
暦「じゃぁ…」

ムジナ「かんぱーい」
暦「乾杯…」
ムジナ「まだ、無職なの?」ゴクゴク
暦「まぁ、ね…」ゴクゴク
ムジナ「でも暦くんが働いている姿想像できない」
暦「俺も出来ない…」
ムジナ「なにそれw」
暦「ムジナさんは働いてるの?」
ムジナ「当たり前んじゃん」
ムジナ「暦くんが逆立ちしたって無理なくらい稼いでるよ」
暦「俺は立っててもゼロだからね」
ムジナ「今のはちょっと面白かった」ゴクゴク
暦「どうも」ゴクゴク
ムジナ「怪獣もいなくなって、もうすること無いしね」
ムジナ「稼いで、飲んで…」
ムジナ「暦くんと一緒に飲んでるのは楽しいかな」
暦「…ど、どうも」
ムジナ「暦くん、私が養ってあげようか?」
ムジナ「そしたらずっと働かなくていいよ」
暦「それは…」
ムジナ「いいと思わない?」
暦「…」ナマツバゴクリ
ちせ「あー!いたいた!」
暦「ちせ!なんでこんなトコに!?」
ちせ「センパイが家に居ないから探しに来たんスよ」
暦「何で俺の場所分かったの?」
ちせ「わ・た・し・は、センパイの保護者っすからね」
ちせ「どこに居るかすーぐ分かるんすから」
暦「えー…こわ」
ちせ「うわ、金も持ってないのにこんな飲んで…」
ムジナ「私の奢りだから気にしないで」
ちせ「お言葉に甘えます」ペコリ
ちせ「ほら、センパイ帰りますよ!」
暦「え、でも…」
ムジナ「いいよ、今日は無理に誘ってゴメンね」
ムジナ「また都合の良い日にでも飲み直そ」
暦「はい…」
ちせ「でわでわ~」
ムジナ「……惜しかった」

ちせ「ダメっすよセンパイ」
ちせ「女の人にほいほいついってちゃ」
暦「知り合いだし、いいじゃん」
ちせ「は~…」
ちせ「油断してるとそのうちヤられちゃいますよ」
暦「……」

なんだか既に手遅れのような気がするが、それを言うと間違いなくちせの小言が増えるだろう。
あと、なんで場所がわかったのだろうか?
保護者だと本当に場所が分かるのだろうか?
自分はずっと被保護者な気がするので、永遠の謎になるのだろう。


女子会ぶっちゃけトーク会

夢芽「女子会ぶっちゃけトーク会!!」
六花はっすなみこ「「「フーwwww」」」ドンドンパフパフ
夢芽「みなさん、こんばんは。司会の夢芽です」
夢芽「ここ、六花さんの部屋で、女子による女子のぶっちゃけトークを開催します」
六花はっすなみこ「「「フーwwww」」」ドンドンパフパフ
夢芽「なおちせちゃんは年齢制限により、今回の女子会は不参加です」
夢芽「では、一番手六花さん、どうぞ」
六花「えーでは…」
六花「裕太と、そのするようになってね」
六花「裕太が、いちいち触って良い?聞いてくるのw」
六花「この時の顔がさ、普段の照れてる顔と違ってまたいいの!」
六花「で、別に全然触ってくれていんだけどさ」
六花「どこ触りたいの?言ってくれないとわかんないよ?って言うの」
六花「そしたらさー、また顔赤くなって、おっぱいです…ってめっちゃ小さい声言うの」
六花「もぉさぁ…キューンってなっちゃうんだよね…」
六花「で、で、よく言えましたwどうぞwってするとさ、遠慮しがちに触ってくるのw」
六花「あーかわいいー!ゆうたかわいい!!」
六花「もっとちゃんと触っていいよって言って、裕太の手掴んでぐいっとするとね」
六花「あぅとかひゃぁとかカワイイ声だすのよ!」
六花「あーもうカワイイ!!」
六花「以上です」
夢芽はっすなみこ「「「フーwwww」」」ドンドンパフパフ
夢芽「普段の六花さんからは想像の付かないぶっちゃけでした」
夢芽「解説のなみこさんどうでしょうか」
なみこ「六花はやっぱSっ気があるからでしょうね」
なみこ「それに響が良い反応してしまうせいで、余計に悪化していると思います」
なみこ「相性抜群ですね。どうぞ末永く幸せになってください」
夢芽「はい、ありがとうございます」
夢芽「では次、はっすさんです。どうぞ」
はっす「ん」
はっす「最近はどっちかの部屋でアニメとかの鑑賞してるんだけど」
はっす「見るときはもう将に抱えてもらう感じでいるんだわ」
はっす「で、ウチがしてほしいなーって思ったときに」
はっす「将の手を触ってほしいとこにもってくわけ」
はっす「最初の頃は、めちゃくちゃ照れてて全然なわけよ」
はっす「でも教育の結果、今では胸とか下のほうに手を持って行かせるとさ」
はっす「いい感じにしてくれるのよ…///」
はっす「で、向こうの我慢の限界も来るとさ」
はっす「その勢いで、押し倒してきてさ」
はっす「お前が誘ったんだからなって耳元で囁いてくるのよ」
はっす「めっっちゃくちゃゾクソクしちゃって…」
はっす「んで、スイッチはいっちゃうとさ、結構グイグイくるの」
はっす「それが普段とのギャップで…あーヤバいわ」
はっす「以上です」
六花夢芽なみこ「「「フーwwww」」」ドンドンパフパフ
夢芽「普段の内海さんとは思えないですね」
夢芽「解説のなみこさんどうでしょうか」
なみこ「六花とは逆で、はっすはMっ気がありますね」
なみこ「その上で内海のSっ気部分を教育しているのでしょう」
なみこ「相性抜群ですね。どうぞ末永く幸せになってください」
夢芽「はい、ありがとうございます」
夢芽「では次、私です。話します」
夢芽「蓬とは、まぁほぼ毎晩しますよね」
夢芽「ほぼ蓬の家に住んでると言ってもいいくらいいますからね」
夢芽「まぁ最初はやっぱり声抑えたりとかしてたんですけど」
夢芽「お義母さんとおばあちゃんには次の朝普通にバレるんですよね」
夢芽「で、もう開き直って声とか抑えなくなったりしたんですよ」
夢芽「そうすると蓬が私の声を抑えようと、なんとかしようとするんですけど」
夢芽「最近はすっごいディープするようになったんです!」
夢芽「声も出せないし、身体も密着するし、もう最高なんです!」
夢芽「蓬苦しいって言っても、それくらいしないと夢芽は大人しくしてくれないでしょって」
夢芽「すっごいベトベトになっちゃんですけど、その後一緒に入るお風呂でもちゅっちゅしちゃうんですよねー」
夢芽「あぁ幸せ…」
夢芽「以上です」
六花はっすなみこ「「「フーwwww」」」ドンドンパフパフ
なみこ「子供ができるのが時間の問題といった所でしょうか」
なみこ「蓬くんも本当に嫌だったら外ですることを提案すると思うんですけど」
なみこ「そうしないってことは、そう言うことなんでしょうね」
なみこ「相性抜群です。どうぞ末永く幸せになってください」
夢芽「大トリは、なみこさんです。どうぞ」
なみこ「えー彼氏いない私はあなた方のようなぶっちゃけるトークはないです」
なみこ「なので、これを見てください」
六花「手紙?」
なみこ「1年の子からいただきました」
六花夢芽はっす「「「フーwwww」」」ドンドンパフパフ
はっす「どんな子なん?」
なみこ「これ」スマホミセー
はっす「ほうほう」
六花「これは、これは」
夢芽「で、どうするんですか」
なみこ「いやーどうしよっか」

その夜は、なみこを囃し立てることが一番盛り上がったのであった…。


六花の服装

夢芽「六花さんのその履いてないスタイルっていつからしてるんですか?」
六花「その言い方やめて」
なみこ「結構最初から履いてないよね」
六花「や・め・て」
はっす「言われてみれば、いつからだ?」
なみこ「1年頃からじゃない?」
はっす「でも最初っからじゃなかったろ」
六花「……」
夢芽「六花さん、何隠してます?」
六花「え、何?別に隠してないけど?」
夢芽「六花さん、隠し事下手ですね」
夢芽「何かあったらすぐに裕太くんにバレちゃいますよ」
六花「裕太に隠すこと無いから」
なみこ「あーあーあー惚気るなー」
はっす「あ」
はっす「球技大会の後からだ」
なみこ「だっけか」
はっす「そうだよ、球技大会終わってから履いてないわ」
六花「その履いてないって言い方やめて」
夢芽「球技大会で何かあったってことですか?」
なみこ「うんにゃ」
はっす「何もなかった…はず?」
夢芽「うーん…」
六花「別によくない?何となくだし」
夢芽「……」ジー
六花「見つめても何もないよ」アセタラー
夢芽「球技大会で裕太くん関連で何かなかったですか?」
はっす「ないんじゃね?」
なみこ「1年ときはそんな響と絡みもなかったしね」
なみこ「…ん?」
なみこ「あー!!」
なみこ「球技大会のとき、響と喋ったとか言ってなかった?」
はっす「そんなこと言ってた気がする」
六花「えー…そうだっけー」メソラシー
夢芽「確定ですね」
夢芽「六花さん、誤魔化し方も下手ですね」
夢芽「何かあったらすぐに裕太くんにバレちゃいますよ」
六花「裕太に誤魔化すこと無いから」
夢芽「その裕太くんに球技大会のときに何言われたんですか?」
夢芽「告白ですか?」
六花「違うし」
夢芽「じゃぁ何喋ったんですか?」
六花「えー…覚えてないよ」メソラシー
夢芽「嘘ですね」
なみこ「嘘だね」
はっす「嘘だな」
なみこ「こいつ絶対覚えてるわ」
はっす「だな」
夢芽「六花さん、嘘も下手ですね」
夢芽「何かあったらすぐに裕太くんにバレちゃいますよ」
六花「裕太に嘘つくこと無いから」
夢芽「でも、私達には嘘つくんですね」
六花「……」
夢芽「六花さんは私達より裕太くん取るんですね」
六花「…夢芽ちゃんも蓬くんとるでしょ」
夢芽「そうですね、今のナシで」
夢芽「六花さんと私達の友情はこの程度だったんですね」
なみこ「そーだそーだ」ナキマネー
はっす「ウチらは悲しいぞー」ナキマネー
六花「は~…」
夢芽「と、言うことで本人に聞きました」スマホミセー
六花「え?」
夢芽「えーっと…」

裕太からの情報を回想してお送り致します。

球技大会の日の教室にて
裕太「あ、宝田さん…」
六花「えーっと…」
裕太「響です…」
六花「ごめん、響くん」
裕太「いや、別に…」
六花「…何してるの?」
裕太「スマホ忘れたと思って取りに戻ってきたんだけど、見当たらなくて…」
裕太「持ってくるのわすれちゃったかなーって…」
六花「さっき拾ったけど、これは?」
裕太「あ!それ!ありがとう宝田さん」
六花「六花でいいよ」
裕太「え?」
六花「宝田って名字好きじゃないから、六花でいいよ」
裕太「わかった、六花さん」
六花「いや、別にさんもいらないしw」
裕太「うん、六花…」
六花「…」
裕太「…」
六花「…何?」
裕太「えと、六花ってそのキレイだなっと思って」
六花「は?」
六花「え、何?響くんってそんな感じの人なんだ?」
裕太「違、違くて!」
裕太「その普段と違う服装じゃん?だからかなーって」アセアセ
裕太「スタイルもいいし、脚もキレイだし…」アセアセ
六花「…響くんってエッチだね…」
裕太「違…ごめん…」
六花「ま、いいけど私行くね」
裕太「はい…スマホありがと…」
六花「ん」

回想終わり

夢芽「これですね」
なみこ「これじゃん」
はっす「これだな」
なみこ「なーにが何もないだ!なーにがちょっと話しただけだぁー?」
はっす「こん時からお互い意識しまくりだったわけだ」
夢芽「だから付き合ってないくせにラブラブしてたんですね」
六花「付き合う前は全然だったでしょ」
なみこ「うわ…」
夢芽「裕太くんに褒められて、服装を変えたと」
はっす「気になる男子にアピる為に履いてないスタイルか」
はっす「やっぱ六花さんはちげーわ」
なみこ「やっぱそれくらいしなとダメなんか…」ブツブツ
六花「あーもう!」カオマッカー
六花「いいじゃん別に!」
夢芽「怒らないでくださいよ」
六花「怒ってないし」
夢芽「裕太に褒められたから服装変えたって先に言ってればこんなことにならかったんですよ?」
夢芽「六花さんが悪いんですからね」
六花「えー…違うでしょ」
はっす「で、お家デートしようとして響くんが倒れると」
六花「デートじゃないですー」
夢芽「その話も詳しく聞かせてください!」


ガウマ♀と蓬、それと夢芽

ガウマ♀「おう!蓬」
蓬「ガウ…マ…さん?」
ガウマ♀「ちょっと野暮用でな!こっちに来てたから挨拶でもと思ってよ」
蓬「え、え、ガウマさんですよね?」
ガウマ♀「おう、まぁ今は新世紀中学生のレ…」
蓬「いやいや!性別!女の人になってるじゃないですか!」
ガウマ♀「あぁこれは気にするな!それよりな…」
蓬「めちゃくちゃ気になるでしょ!」
ガウマ♀「性別くらいでゴチャゴチャ言うな」
蓬「いや、言うでしょ」
ガウマ♀「んだよ、こまけーな」
蓬「なんで女性になったんですか?怪獣の仕業ですか?」
ガウマ♀「あぁ、グリッドマンが裕太に告白しようとしてな。んで俺たち女になったんだわ」
蓬「…は?」
蓬「ちょっと待ってください。処理が追いついてないです」
ガウマ♀「この体も便利でな。結構サービスして貰えるんだぜw」
蓬「あー…」
夢芽「蓬、その人誰?」
蓬「うぉ!」
夢芽「誰?」ニラミツケー
蓬「ガウマさんだよ」
夢芽「…蓬、嘘下手すぎだよ」
蓬「いや、マジで」
ガウマ♀「おう!夢芽」
夢芽「…」ヨモギニダキツキー
ガウマ♀「相変わらず、蓬のことが好きそうだな」
夢芽「…蓬とは家族になったんで…」
ガウマ♀「そいつはめでたいな」
ガウマ♀「っとボチボチ時間だわ、ちせと暦にも会いたかったがしょーがねーな」
ガウマ♀「んじゃまたな!」
蓬「次までには男に戻っといてくださいよー!」
ガウマ♀「そいつはグリッドマン次第だな!w」タチサリー
夢芽「ホントにガウマさんだったの?」
蓬「うん」
蓬「なんかグリッドマンが裕太に告白しようとして、ガウマさん達、女になったみたいよ」
夢芽「意味わかんないw」
蓬「俺もw」
夢芽「それはそれで、蓬、デレデレしすぎ」
蓬「いや、してないでしょw」
夢芽「蓬はあんな感じのが良いんだ」
蓬「いやいや、俺は夢芽が良いよ」テツナギー
夢芽「…ほんと?」
蓬「ほんと、ほんと」
蓬「今日もウチ来るでしょ?帰ろ?」
夢芽「…うん」
蓬(ガウマさんに合った瞬間、ちょっと良いと思ったのは黙っとこ…)


コスプレはロマン

六花「はー…」チラ
夢芽「どうしたんですか、六花さん」
はっす「わざとらしいため息だな」
六花「いやね、裕太が「六花、コスプレして~」とか言ってきてさ」
六花「いいんだよ別に、コスプレするのは」
六花「なんだかんだで盛り上がるし」
夢芽「分かります」
はっす「そうな」
六花「え、二人共するの?コスプレ」
夢芽「しますよ」
はっす「するぜ」
夢芽「はっすさんから色々融通して頂いているんで」
はっす「案件でもらったやつとかもあるんだけど」
はっす「サイズ合わないのもあるからなー」
六花「私聞いてない」
はっす「いや、六花こんなんしなさそうじゃん」
夢芽「そうですね、ピュアな二人ですもん」
六花「私らどう思われてるの?w」
はっす「ウチの場合は、将がめちゃくちゃ興奮するからな…///」
はっす「最初はそのキャラとかが良いから、そんな反応するのかなーって思っててちょっと嫌だったけど」
はっす「でもさ、「はっすがするからいいんだよなぁ」とか言われるとさぁ…」
はっす「まじちょろいとか思われもしょうが無いけど、嬉しんだよ…」
夢芽「分かります」
夢芽「蓬も「彼女にコスプレしてもらうのは男のロマン!」って叫んでましたよ」
夢芽「もう裸とか何回見られたか分かんないですけど裸エプロンしたら、鼻血出して笑っちゃいましたよw」
六花「えーやっぱそんなもんなのかなぁ」
夢芽「裕太くんもやっぱ色んな六花さんを見たいって思ってるんですよ」
はっす「求められるのはいいぜ~」
六花「まぁ…そだね」
はっす「んで、求めらるなら求めてもいいよな?」
六花「ん?」
はっす「じゃじゃーん」
夢芽「言ってた男性用コスプレ衣装ですね!」
はっす「そうそう」
はっす「するなら、させようぜってことで」
六花「…いいね」
六花「そういや女装してた裕太も可愛かったなぁ…」
はっす「六花、それアリだぜ」
夢芽「大あり、ですね」
六花「私の服、着せようかな…」
夢芽「あー…いい、最高です」
はっす「男のロマンが理解できた気がするわ」
夢芽「ですね」
六花「ねーw」


超えた一線裕太の悩み

裕太「はー…」
内海「どした裕太?」
蓬「どうせ六花さん関連でしょ?w」
内海「そうだなw」
裕太「…そうなんだけど、俺も悪いかもって思うとどうしていいか分かんないんだよ」
蓬「悪い自覚あるんだw」
内海「今度は何したんだ?」
裕太「六花にコスプレをお願いしてさ」
裕太「してくれたんだよ?けどさ今度は俺にコスプレして!って言われて」
裕太「してくれたから、断れないじゃん」
裕太「けどコスプレってか、六花の服着させらるんだよ」
裕太「服だけだったらいいんだけさ…その…」
裕太「……下着もって……」カオマッカー
内海「あーw」
蓬「裕太大変だねw」
裕太「そのコスプレが嫌って言うか女の子の格好でするのがちょっと…」
内海「なんか六花さん大分こじらせたなぁ」
蓬「今の夢芽もそんな感じだよw」
裕太「蓬も女の子の格好するの?」
蓬「させられたねw」
裕太「蓬…!」
蓬「裕太との違いは、ノリノリでやって恥ずかしがらずに着たけどね」
蓬「そしたら、「なんか違う」って言われて終わったからw」
裕太「えぇ…そうなの」
蓬「六花さんは裕太がちょっと嫌がったり恥ずかしがったりするのに興奮してるんじゃない?w」
内海「それなーw」
裕太「じゃぁ蓬みたいに楽しい感じで着ればいいのかな?」
内海「うーん…」
内海「結局同じ運命になる気がするわw」
蓬「www」
裕太「えー…どうしたらいいの?」
内海「受け入れろ」
蓬「www」
裕太「」
蓬「内海くんはどうなの?」
内海「さすがに女装は諦めたみたいだよ」
内海「身長差あるし、あんま俺には似合わないからw」
内海「代わりにキャラもののコスプレは結構してるよ」
蓬「なるほどね」
裕太「俺もまだ男のコスプレだったらよかったのに…」
蓬「女装似合ってるしいいじゃんw」
裕太「…え?」
裕太「え?え?見たの?どこで?」
蓬「ほら」スマホミセー
蓬のスマホ画面には「裕太の女装コスアルバム」と銘したものが共有されていたのだ。
裕太「えー!!りっかぁぁ!!誰にも見せないって言ったじゃん!!」
内海「俺に彼女がいなかったら危なかったぜw」
裕太「うつみぃー!怒るよ!」


記録の音

将の部屋に遊びに来て、机の上にあるものに気づく。

はっす「お、カメラじゃん」
内海「親戚の人に貰ったんだよ」
はっす「デジカメじゃないのか」
内海「フィルムいるタイプのみたいでさ」
内海「折角出し、どっか外で試しに行かね?」
はっす「おーいいね、行こう行こう」
内海「休みだし、ちょっと遠出するか」

スマホの地図アプリで適当なロケーションを探す。

はっす「この辺とかどうよ」
内海「おーいいな、いこうぜ」

早速、電車で移動し、閑散とした海へと足を運んだのであった。
海からの風が二人の頬を撫でる。

内海「ちょっと寒いな」
はっす「まぁもう秋だしな」
はっす「でも人も全然いないし、ちょうど良くね?」
内海「そうなー」

二人で並んで浜辺を歩く。
冷たい風が、手の暖かさをより感じさせてくれる。

はっす「はぁなんか温かいもん食って帰るか?」
内海「いや、カメラ、カメラ」
はっす「そうだったわ」

どうしようもないやり取りをしながらも将がカメラを手に取り、私にレンズを向ける。

はっす「は?ウチとるのかよ」
内海「最高の被写体じゃねーか」

寒いから頬が赤いのか、それともキザな台詞で照れるのか。

はっす「しゃーないな、将の頼みだ」
内海「さすがっす」

シャッター音がする。特にポーズ取っていないが、それでもシャッターは切られる。

内海「ちゃんと撮れてるか不安だ」
はっす「なんも確認できないもんな」
はっす「あと何枚くらい撮れるんだ?」
内海「24枚のフィルムだから、まだ10枚はいけるぜ」
はっす「流石に全部ウチを撮るわけじゃないよな?」
内海「え?まぁ…海とか景色も撮っておくか」
はっす「そうしてくれー」

カメラを構え直し、景色も何枚か撮っている将の後ろ姿をスマホで撮る。
なかなかレアな姿だ。コレクションに追加しておこう。

内海「あと1枚だな」
はっす「何撮る?」

私の質問に、真剣な顔をして将が私に「お願いごと」をする。

内海「はっすの素顔を撮りたい」
はっす「……」

今なら人もいない。ここだけは二人っきりの世界だ。
将も誂うつもりで言っているのではない。それくらい分かるくらいには一緒にいる。

はっす「しょーがない」

私はマスクを外す。風が一層冷たく感じる。

はっす「笑ったほうがいいか?」
内海「いや、そのままでいい」

そう言って、シャッター音が聞こえた。
私と将が、二人で居た記録の音が、浜辺に響いた。


マックスの創作活動

ボラー「なぁマックス最近それ、何してんだ?」
マックス「『SS』と言うものを創作している」スマホタプタプ
ボラー「SS?なんだ?」
ヴィット「さぁ?」
キャリバー「ショ、ショートストーリーの略だ」
キャリバー「だ、大体は二次創作に使われる言葉だ」
ボラー「解説どうも。で、何書いてんだよ」
マックス「うむ。裕太や蓬の恋愛事情をとある人物から貰ってな」
マックス「この想いを他の人と共有したいと思ったのだ」
マックス「色々調べた結果、SSを書いて共有する同士の集まりがあることを知ったのでな」
マックス「彼らの人物名は変更し、そこでSSを共有しているのだ」バーン
ボラー「いや、やべぇだろ」
ヴィット「まぁバレなきゃいいんじゃない?」
グリッドマン「それは、裕太の物語という事か?」
マックス「そうとも言えるな。響裕太の生きた証だ」
ボラー「いや、黒歴史だろ」
ヴィット「笑えないね」
グリッドマン「裕太の物語が残るのはイイことだ…」
ボラー「ほらぁ変な勘違いしてるぞ」
キャリバー「だ、だが間違ってはいないぞ」
ボラー「間違いだらけだろ」
レックス「うーす、戻りました」
レックス「マックスさん、これ『いつもの』だそうです」
マックス「すまない」
マックス「これで、また筆が乗るというものだ」ウンウン

六花「夢芽ちゃんさぁ」
夢芽「なんですか六花さん」
六花「これ見てよ」スマホミセー
夢芽「…小説ですか?」
六花「そんな感じ。小説の短い版ね」
六花「でね、何か内容が既視感があるっていうか…」
夢芽「デジャヴュじゃないですか?」
六花「え、なにそれ」
夢芽「なんか夢で見たことがある~ってやつです」
六花「てきとう説明w」
夢芽「ちょっと見せてください」
六花「はい」
夢芽「んーでも、こんなの恋人同士だったらよくある話ばっかりじゃないですか?」
六花「そうかなぁ」
夢芽「そうですよ」
夢芽「ていうか、六花さんってそんな感じの読むんですね」
六花「あー…そのちょっと裕太との参考にしようかと…///」
夢芽「六花さん勉強熱心ですね」

夢芽(バレてるかと思った…)


ムジナの誘い パターン2

ムジナ「あ、暦くんじゃん」
暦「…ども」
ムジナ「何してんの?」
暦「散歩…とか?」
ムジナ「じゃぁ暇なんだ?」
暦「まぁ…」
ムジナ「カラオケに行こ」
暦「いやぁ今ちょっと持ち合わせが…」
ムジナ「私が誘ったんだし、私が払うよ」
暦「じゃぁ…」

ムジナ「結構上手いじゃん」
暦「どうも…」
ムジナ「久々に来たけど、どう?」
暦「まぁ楽しいですけど…」
ムジナ「暦くんは覚えないかー」
暦「???」
ムジナ「ふふ、まぁしょうがないか」
ムジナ「前はみんなと一緒だったしね」
暦「え?ムジナさんとは行ったことないですよね?」
ムジナ「そう言うことになってるね」
暦「どう言う意味ですか…?」
ムジナ「意味なんてないけどね…」
暦「……」
ムジナ「……」
ムジナ「男と女が密室にいるね…」
暦「……」ナマツバゴクリー
Purrrrrr…ガチャ
ムジナ「はい、はい、わかりました」
ムジナ「残念、時間だって」
ムジナ「じゃぁ今日は、解散ってことで」
暦「はい…」

ムジナ(今日も上手くいったかな)
ムジナ「次はどのパターンでいこうかな」


裕太のお悩み相談

裕太「はー…」
蓬「また何かしたの?w」
裕太「してないんだけど…」
蓬「してないんだけど?」
裕太「そのさぁ、こないだのデートの後ね」
蓬「お風呂の?w」
裕太「もーそれいいじゃん…まぁそうなんだけど」
裕太「そのあとね、六花と…その…」
蓬「キスできたんだw」
裕太「まぁ、はい、お陰様?で…///」
蓬「フーwwwやったじゃんwww」
裕太「うん…///」
蓬「で、今度は何に悩んでの?w」
裕太「そのさ、六花がね…」
蓬「うん」
裕太「その、すごく…」
蓬「すごく?」
裕太「してくるってか、そのねぇ…」
蓬「え、何?六花さんキス魔だったの?w」
裕太「言い方ぁ…まぁそうなんだけど…」
裕太「そのね、人目とかなかったらそのちょいちょいしてくれるんだよ」
裕太「嬉しいんだけど、恥ずかしいってか…」
蓬「いいじゃんw別にw付き合ってんだし、普通、普通w」
裕太「そっかなぁ…でもやっぱキスてその特別な感じがしない?」
蓬「裕太ってやっぱロマンチックだねw」
蓬「付き合ってないのにさ、付き合ってるように見えてたわけじゃん」
蓬「あ、俺らからね」
蓬「それってさ、裕太が六花さんのこと好き!って思ってても見えないわけじゃん」
裕太「そうなの?」
蓬「そうだよw」
蓬「付き合って、裕太とキスして、六花さんも今までのことが溢れちゃったんじゃない?」
裕太「そっかぁ…」
蓬「そう、そう、六花さんの愛を受け止めなよw」
裕太「うん、分かった」
裕太「蓬、ちょっとお願いがあるんだけど」
蓬「何?w」
裕太「キスの練習、手伝ってよ」
蓬「…え?」
裕太「やっぱ下手より上手なほうがいいじゃん!」
蓬「いや、いいじゃん下手でも」
裕太「六花に「裕太、キス下手」とか言われたくないじゃん!」
蓬「六花さん気にしないと思うし、六花さんもまだ上手じゃないでしょ?」
裕太「でもでもやっぱこう言うことは、男がリードするべきだと思うんだよ」
裕太「だから、蓬…!」ミヲミツメー
蓬「裕太…」
蓬「いやいや、ダメダメ!俺のは夢芽専用だから!」
蓬「内海くんにお願いしなよ!」
裕太「内海かぁ…内海は身長俺より高いし練習にならないかな…」
裕太「それに内海も下手そうだし」
蓬「こーゆのは、彼女と一緒に上手くなってくもんなの!」
蓬「練習とかしない!させない!」
裕太「んー…」
蓬「六花さんに言えばいいじゃん、「キスの練習しよって!」」
裕太「!」
裕太「うん、そうだね、えっと…」
蓬「今日は解散でw」
裕太「ゴメン!蓬、ありがと!」ダッ
蓬「じゃw」ノシ
蓬「……」
蓬「これ、絶対面白くなるやつじゃんwww」
蓬「夢芽に連絡しとこwww」


裕太弄りからの蓬への飛び火

蓬「六花さんっていっつも生足だよね」
裕太「言い方!」
内海「まぁ履いてないスタイル貫き通す人だしねー」
裕太「い・い・か・たぁ!」
蓬「タイツとか履かないのかな?」
内海「蓬くんタイツ好きなの?」
蓬「夢芽の見てたらね、なんかこうグってくるものがあってさぁw」
内海「まー分からなくもないかなぁw」
裕太「タイツかぁ…」
蓬「今、六花さんがタイツ履いてる姿想像したでしょw」
裕太「し、してない!してない!」
内海「でもでも本当は~?」
裕太「はい、しました…」
蓬「だよねw」
内海「でしょうなw」
裕太「でも六花の脚キレイだからタイツは違うと思うんだよなぁ~」
蓬「これ素で言ってるから裕太はスゴイよ」
内海「だなw」
裕太「すっごいすべすべでさ、んで柔らかくてさぁ…」
蓬「裕太って脚フェチなの?w」
裕太「違うって!六花が膝枕してくれたことがあってね」
裕太「そん時に、そう思っただけで…」
内海「堪能したとw」
裕太「まぁ、はい、そうです…」
裕太「しかもめちゃくちゃいい匂いがするんだよ!」
裕太「折角膝枕してくれて、寝なよ~って言ってくれるんだけど」
裕太「全然寝れなくなってさ」
裕太「早く目ぇ閉じな~って言って手で目を隠してくれたんだよね」
裕太「んで六花の手ってちょっとひんやりしてて、それが良くってね」
裕太「六花が鼻歌を…って何で二人泣いてんの?」
蓬「いやぁ裕太と六花さんが進展しててよかったって思ってさw」
内海「お兄さんたちは嬉しいわけだよw」
内海「てか、なんで膝枕される展開になるわけ?」
蓬「気になったwなんで?w」
裕太「六花に勉強見ててもらってたんだけど、欠伸したんだよね」
裕太「眠いのって聞かれて?うん、ちょっとって言ったら膝枕してくれた」
内海「どっちの家で勉強してたん?」
裕太「俺の家だけど」
蓬「お家デートしてるんだw」
裕太「デートじゃないし、勉強だし」
内海「でも六花さんに膝枕してもらったんだよなw」
裕太「それは、そうだけど…」
内海「六花さんも内心期待してたんじゃないの?」
蓬「まぁするよね、多分」
内海「でも裕太がおネムになっちゃうからw」
蓬「自分から接触の機会を増やすと…」
裕太「そうだったんだ…」
内海「想像よ、想像w」
蓬「裕太も六花さんの部屋にいったら期待はするでしょ?w」
裕太「うん…する…」
蓬「裕太も男だもんねーw」
内海「www」
夢芽「蓬も私が部屋に行ったらタイツ破るだけじゃん」
裕蓬内「「「うぉ!!」」」
蓬「いつの間に…」
内海「ん?今スゴイこと言わなかった?」
裕太「タイツ破るって?」
蓬「いやいや、聞き違いでしょ!」
夢芽「破るじゃん、タイツ。私が履いてる状態で」
内海「蓬くん…」
裕太「蓬…えっちなことするね…」
蓬「そ、それは!あるじゃん!そんなときも!ねぇ内海くん!」
内海「俺に振らないでー…」メソラシー
夢芽「そんな時って、ほぼじゃん」
蓬「ちょ…いや、それは…」
夢芽「タイツにグッとくるのに破るじゃん」
蓬「その…やっぱ、興奮するってか…」
夢芽「もっと詳しく」
蓬「夢芽の…夢芽が履いているタイツを破くと興奮します…」
夢芽「そうなんだ~♪蓬は私の!履いている!タイツを!破ると!興奮するんだ~♪」
蓬「…はい…」
内海「なんて光景だ…公開処刑じゃん…」コソコソ
裕太「なんか南さん怖いのに嬉しそうじゃない?なんかそれが怖い」コソコソ
内海「そうだな、裕太帰るか…」コソコソ
裕太「蓬置いてっちゃうの?」コソコソ
内海「俺たちじゃ助けられない…」コソコソ
裕太「そう、だね…」コソコソ
裕太「南さん、蓬」
夢芽「なんですか」
裕太「俺と内海は帰るね」
蓬「…え」
内海「恋人同士の話し合いに俺たちいちゃまずいでしょ」
蓬「そんな…」
夢芽「いえ!ここは蓬が私にしてきたことを聞いてほしいです!」
蓬「」
夢芽「私がされて嫌だな~とかイイな~って思ったことを教えてるので」
夢芽「それに気をつければ六花さんも喜ぶと思います♪」ツヨイアツ
裕太「!」
裕太「内海聞いていこうよ!」
内海「蓬くん…スマン…!」
蓬「」
夢芽「じゃあまずは何から話そうかな…」


イイ匂い

裕太「ねぇ内海」
内海「ん?」
裕太「なんで六花ってイイ匂いするんだろね」
内海「なんちゅーことを言うんだ…」
裕太「はっすさんはいい匂いしない?」
内海「しますけども…」
裕太「女の子はなんでイイ匂いなんだろね」
内海「さぁボディーソープとかシャンプーじゃないの?」
裕太「でも六花の家泊まった時、同じの使ったけど全然匂いが違うんだよね」
内海「おぅ…」
裕太「やっぱり女の子からは何かイイ匂いがでる仕組みがあるのかな」
内海「そうなんじゃね?」
内海「てか何で匂い気にし始めたん?」
裕太「六花も俺の匂い嗅いでくるんだけど」
裕太「何にも言ってくれないから…」
内海「あー…」
裕太「臭いのかなって…」
内海「どらどら」ユウタノニオイヲカギカギ
裕太「…どう?」
内海「いや別に、裕太の匂い」
裕太「んー…」
内海「そんな気になるなら香水とか付けたら?」
裕太「俺、あんま詳しくないし…」
内海「まぁ俺もだけど、蓬くんとか誘って見に行くか」
裕太「うん!」

次の日
六花「内海くん、ちょっといい?」
内海「おう」
六花「これ、どう言うこと?」スマホミセー
【裕太の匂いを嗅ぐ、内海の姿】
六花「裕太と何してたの?」
内海「え、誰が撮ったん?」
六花「答えて!」
内海「え、裕太の体臭を嗅いでました…」
六花「は?内海くんってそっち系なの?」
内海「違う!違う!裕太が自分の匂いを気にしてたんだよ」
六花「…」
内海「六花さんに言うのも何だけど、六花さんが裕太のこと匂いを嗅いで何も言わないから…」
六花「…」
内海「それで、相談を受けてったって感じだな」
六花「そう、ごめんね」
内海「いや、いいんだけどさ」
内海「実際、どう思ってんの?」
六花「え?」
内海「裕太の匂い」
六花「……じゃぁ聞くけど」
六花「…男の子って皆あんなイイ匂いするの?」


21cm

横に並んで歩くことにも、もう慣れた。
何も言わず手を繋ぎ合うことにも、もう慣れた。
素顔を見られることは、まだ少し慣れない。
目線を上げると将の顔が見える。
この身長差にも、まだ慣れない。
私の身長がこれ以上伸びることはないけれど、、これは悪くない。
将が歩幅を私に合わせてくれる。
何かあると、こちらに顔を向け目を合わせてくれる。
何気ない気遣いを感じる日々に幸せを噛みしめる。

家までの帰り道を将が送り届けてくれる。
「彼氏の義務」だと言う将を止める理由もなく、一分一秒少しでも長く一緒に居たいのは私も同じだ。
後少しで、家までという場所で足を止める。
別れ際になっても、絡められた指は離れない。
何も言わなくても、同じ気持ちだと感じられる。
ただ、毎回同じことになるのは、自分でも呆れてしまうが。

何分そうしてたか分からないが、いつもの様に将に告げる。
「将、屈んで」
屈んだ将から、眼鏡を外す。
自分のマスクもさっと外し、あと少し足りない二人の距離をゼロにするために、私はつま先で近づく。
将との距離がゼロになる。唇から将の熱を感じる。
絡める指は尚も離れず、舌もが互いを求める。
たった21cmの距離を、この短い時間で確かめ合う。
どちらともなく、舌が、唇が、指が離れ、私の足裏も地面へ戻る。
眼鏡をつけ直してあげて、私もマスクをつける。
「じゃぁな、真っ直ぐ帰れよ」
将の胸を手で軽く押す。
別れの言葉は、これで良い。
どれだけ離れていても、距離は21cmしか離れていないと、私は知っているから。


パパはヒーロー?

内海のおじさんは、私のパパがヒーローで世界を救ったと教えてくれた。

パパにパパはヒーローなのって聞いたら、分からないって笑ってた。
だけど、友達を助けたことはあるよって言ってくれた。

ママにパパはヒーローなのって尋ねたら、困った顔とちょっと泣きそうな顔になった。
ママ泣かないで。ママの頭をヨシヨシしてあげる。
ありがとって言ってくれる。
どう聞けばいいのかな?もう一度尋ねてみる。

パパは“ママのヒーロー”なの?

ママはまた困った顔になったけど、そうだね、パパはママのヒーローだよって教えてくれた。
やっぱり私のパパはヒーローなんだ!
私はママから聞いたことをパパに教えにあげにいった。
パパはやっぱりママのヒーローなんだって!


蓬の夢と夢芽の現実

六花「蓬くんって夢芽ちゃんと幼稚園からの幼馴染なんだってね」
蓬「え?」
裕太「蓬って南さんと小学校の時、結婚の約束したんだってね」
蓬「え?え?」
内海「蓬くんって大学進学すると同時に南さんと同棲する約束したんだってね」
蓬「え?え?え?」
蓬「みんな何か俺に関しての記憶がおかしいことになってる…?」
蓬「また、怪獣の仕業…?」
蓬「ちせちゃんや暦さんにも確認しよう」
蓬「ちせちゃん、俺と夢芽の関係について知ってること話してみて」
ちせ「なんすか…幼稚園からの幼馴染で、小学校で結婚の約束して、大学では同棲するんでしょ」
蓬「なん…だと…」
暦「で、ゴールインと、子供も10人作る約束もしてるんだっけ?頑張ってね」
蓬「やばい、何か恐ろしいことが起こってる…」
蓬「夢芽!夢芽は!?」
夢芽「蓬。これが現実、ここが私達の現実なんだよ」
蓬「いやいや、俺と夢芽は高校で知り合ったの!」
夢芽「ん?まだ洗の…ゴホンゴホン、私との約束忘れたの…?」ウルウル
蓬「もうプロポーズはしたも同然なんだから結婚はするよね!?」
蓬「でも他のことは、なんかおかしいじゃん!」
夢芽「はー…みんな私と蓬のこと分かってくれたのに何で蓬は分かってくれないかなぁ…」
夢芽「まだ教育が必要だね❤」
蓬「あれ、体が動かない…」
夢芽「痛くないよぉ~❤」
蓬「ちょ、やめ、あぁー!」

蓬「…ひどい夢を見た…」
夢芽「私は酷くないですけど?」
蓬「いや夢芽じゃなくて、夢、ドリームのほうね」
夢芽「ふーん、悪夢ってこと?」
蓬「悪夢…まぁ悪夢なのか、な?」
夢芽「早く顔でも洗ったら?」
蓬「そうだね…ってねぇなんで夢芽が俺の部屋にいるの?」
夢芽「え?悪夢で頭おかしくなったの?」
蓬「おかしくなってないと思うけど」
夢芽「幼稚園からの幼馴染で、小学校で結婚の約束して、大学では同棲するじゃん」
夢芽「今はその練習ってこの間から一緒に住んでんじゃん」
夢芽「お義母さーん!おばーちゃん!蓬が変になりましたぁ」
蓬「嘘だ…夢だ…」
夢芽「夢じゃないよ、現実だよ❤」


嫌な気持ち

ママにお願いされて、店番をする。
と言っても、たまにくる常連さんしか来ないので忙しい訳では無い。
特にすることも無いけど、グラスを拭いたり、商品のホコリを落としたりしてる。
そして、お店の一角にある物に目がつく。
昔からそこに最初から在ったかのように鎮座するジャンクを見ながら思う。
私は、これが少し嫌いだ。
裕太から記憶を、2ヶ月間と言う長い記憶を奪った。さらには存在すら持っていこうした元凶だ。
好きになる方が難しい。
ただ、アカネを救う一助になっている、それが嫌いになりきれない部分だ。
椅子に腰掛け、ジャンクを見る。
これが、無くなれば裕太はもう危険な目に合わないだろうか?そんな考えがよぎる。
ただ、その考えをすぐさま否定してまう。
ジャンクが壊れ、裕太が目を覚まさなくなってしまったことを思い出してしまうからだ。
今も同じ状態なのか?それを試すのは怖い。怖すぎる。
もし壊して、裕太が二度と目が覚めなければ…。
取り返しがつかないことをしてまで、ぞんざいな扱いは出来ないのだ。
まるで、裕太を人質か盾にしているようで、やっぱり好きなれない。
自分の中の、この嫌な気持ちをどう整理したら良いのかさっぱり分からない。
大人になれば、分かるのだろうか。
そんな嫌な気持ちのまま、ぼんやりと時間が過ぎる。
「こんにちは~」
入り口から声が聞こえる。
夕日に染まりかけた赤髪に、澄んだ空の色をした目と視線が合う。
「六花!」
尻尾が生えていれば、ぶんぶんと振っているであろう顔して、こちらに近づいてくる。
「補習、ちゃんと終わったの?」
「まぁ、はい一応…」
「じゃぁ復習と予習、しよっか」
「お願いします…」
やっぱり同じ大学に行きたいからと裕太も勉強を頑張ってる。
不純な動機だけど、私も同じ気持ちだ。
だから、こうして裕太と一緒に勉強をする。
あの2ヶ月間がなかったら、もっと早くにこんな関係なっただろうか?
あの2ヶ月間があったから、この関係になったのだろうか?
また、整理の付かない嫌な気持ちが、ふつふつと湧いてくる。
「んー…できた!」
まるで子供がなぞなぞを解いたような声をあげる。
「正解だね」
解いた問題の答えを確認する。
「やった」
「はい、次やって」
裕太と喋っていると嫌な気持ちが、どこかに行った気がする。
裕太と居ると嫌な気持ちが、なかった気がする。
子供な私は、この嫌な気持ち達と大人になるのだろうか。
この気持達と一緒に大人になるれのだろうか。
折角裕太と一緒に居るのに、まただ…。
問題を解いている裕太の背中に抱きつく。
「え!り、六花!?」
「ちょっとだけ、ちょっとだけこうしたい…」
「うん…いいよ…」
裕太だけを感じていたい。
「私、ずっと裕太と一緒がいい…」
「うん、俺もずっと六花と一緒がいい」
裕太と一緒の間は、あの気持ち達を見ないふりをする。
私はきっと、そうやって大人になっていく。


距離感

※このよもゆめはNoウイングコンバイン状態です

夢芽「蓬ってさ」
蓬「はい」
夢芽「ガウマさんに、良からぬ感情持って無くない?」
蓬「え、どゆこと?w」
夢芽「なんかお兄ちゃん大好き!的な感じと思ってたんだけど」
夢芽「なんか距離感おかしいよ?」
蓬「そんなことないでしょw」
夢芽「私の距離感だよね!それ!ってこといっぱいあるよ!」
夢芽「女の子相手じゃないし、ガウマさんだから言わないけど」
蓬「えーw普通でしょw」
夢芽「普通、お風呂とか一緒に入らないでしょ」
蓬「いや、あれはガウマさんが…」
夢芽「その後も何回か一緒に入ってるの知ってるんですけど」
蓬「…」
夢芽「一緒の布団で寝たりとかしたんでしょ」
蓬「してなwしてないw」
夢芽「じゃ、これ聞いて」ピッ
【ボラー「レックスと蓬って仲いいのなw」】
【蓬「ガウマさんにはお世話になったんで」】
【ボラー「でも一緒の布団で寝るかぁ?w」】
【蓬「でも俺ん家泊まってたときも一緒に寝たことあったんで」】
【蓬「なんか懐かしいってか」】
【ボラー「ほーん」】 
夢芽「何か言うことは」
蓬「…ございません」
夢芽「しかもさぁこれ六花さんの家じゃん」
夢芽「おかしいでしょ!」
夢芽「あとこれも」ピッ
【六花ママ「あの二人、なんか夜リビングでいい感じだったのよ」】
【六花ママ「え!そっち系?そっち系なの!?って期待しちゃったわぁ」】
夢芽「何、逢引してんの?」
蓬「いや、寝れなくて」
夢芽「寝れないと、ガウマさんと逢引するんだ」
蓬「ちがうって…」
夢芽「私も一つ屋根の下に居たんですけど」
蓬「知ってるけど」
夢芽「私とはそんなイベントなかったじゃん!」
蓬「夢芽とはちゃんと色々してるじゃん」
夢芽「お風呂にはいる、一緒のお布団、夜の逢引」
夢芽「私とはないじゃん!」
蓬「それは、まだ早いと思うけどなー…」
夢芽「まだ早い、ね」
蓬「…まだ早い、です…」
夢芽「じゃぁ出来るようになるにはどうしたらいいんですかー」
蓬「夢芽、ちょっと出かけよっか…」
夢芽「…」プイッ
蓬「…夢芽さん、俺と親密になるためにデートに行きませんか、行ってください」
夢芽「…蓬がそこまで、言うならしょうがないなぁ❤」
夢芽「じゃ、しゅっぱーつ!」


幸せって、どこ?

幸せってどこにあるんだろうか。
あの日、私の、私たち家族の幸せは無くなってしまった。
あの日以来の私は、何がしたかったんだろう。
そんな昔のことでも無いのに、はっきりとした理由は思い出せない。
でも確かなのは 、蓬は待っていてくれたし、探してくれて、想ってくれて、告げてくれた。
何がしたかったか分からない私が選んだしたいこととに一緒に向き合ってくれた。
何も無かった私に、何かをくれた蓬に惹かれるなんて、きっと決まっていたことだと思う。

「怪獣がいなかったら、私たちってどうなってたのかな」
「どゆこと?」
「ガウマさんに会って、怪獣が出て、ダイナゼノンに乗ってたから蓬は告白してくれたの?」
なんて意地の悪い問いかけだろうか。でも蓬にしか出来ない質問だ。
彼は少し考えてから答えてくれた。
「そうかも」
「ガウマさんに会って、怪獣が出て、ダイナゼノンに乗って 、全然知らなかった南さんって女の子のことちょっとづつ知ってたから、俺は夢芽が好きになったんだと思うよ」
「そっか」
「そうです」
ちょっと二人で笑ってしまう。
「じゃぁガウマさんって私たちの恋のキューピッドだね」
「あー確かに。でも恋のドラゴンじゃない?」
「翼あるし、それでも良いかも」
「いいんだ」
また二人で笑い合う。
私の無くした幸せってこれだろうか。
「恋のドラゴンはともかく、ガウマさんが恋のキューピッドなのは間違いないかもね」
「なんで?」
確信を得たような言いぶりに疑問を持つ。
「ガウマさんが蟹くれなかったら、夢芽に家族になろうって言えなかったじゃん」
あの時のことを思い出し、顔が熱くなる。
そして軽口を叩く。
「そしたら恋の蟹になっちゃうじゃん」
「それは俺もヤダ」
二人して、また笑う。
蓬といると笑顔が零れる。笑顔が溢れてくる。
あの日からの笑顔を取り戻すように。
あぁそっか。気づいてしまった。
私は幸せを無くしたと思っていけど、どうりで見つからないはずだ。
だって私は幸せの中にいるのだから。
蓬が隣に居てくれれば、私は幸せをもう失わないのだと。


人として

あぁ、これで終わりだ。
仲間も、国も、愛した人さえ、守れなかった。
俺は結局、何者だったんだろうか。
崩れ行く意識の中で、答えは出せず、答えてくれる者もいなかった。

*************

また、あの時のように、俺は守れないのだろうか。
あの人が、教えてくれた。
「人として守らなければならないもの」を。
「怪獣使い」だった俺に。理の外にいる俺に。
「人」として、だ。

だから、今なんだ。
「人として守らなければならないもの」を今ここで。
果たせなかった約束を。
守りきれなかった愛を。
「人」として、終わりを迎える今を。
ここで終わる俺が、次に往くあいつらの為に。

*************

さぁ、始まりだ。
俺は結局、何者だったんだろうか。
晴れゆく意識の中で、答えを見出し、高らかに吼える。

「俺が何者か「今」ここで教えてやる」


尽くす女

なみこ「六花、最近髪伸ばしてるん?」
六花「うん」
はっす「ずいぶん、伸ばしたなー」
六花「裕太がね、私の髪が好きって言うし…」
六花「なんか切っちゃうと嫌なかなーって思うと切れなくて…」
なみこ「おいおい聞いたかよ」
はっす「嫌だね~男の趣味に合わせる女は」
六花「…」ジー
なみこ「…」ジー
はっす「な、に…?」
六花「いや、いいよ。そんな風に思ってても」
なみこ「そだなー」
はっす「なんだよ」
六花「え?何わざと?」
なみこ「これ六花より重症なんじゃね?」
六花「私は普通ですー」
なみこ「私からしたら、どっちもヤバいよ」
はっす「は?ウチが男の趣味に合わせてるって言いたいん?」
六花「うん」
なみこ「そだよ」
六花「私の裕太ですら、「はっすさんって内海のことすっごい好きだよね」って言うくらいだよ」
なみこ「響くんにそう言われるレベルなんだぞ」
はっす「嘘…」
六花「みんな言わないけどさ、メッチャ思ってるからね」
六花「「はっすさんって内海に合わせてるんだぁ…。あ、六花にそうして欲しいってわけじゃなくて、六花は今のままでもカワイイから…」」
六花「はぁゆうた…」
なみこ「はっすディスるか惚気けるかどっちかにしてよ」
はっす「…ちなみにどのへんが?」
なみこ「髪!服装!趣味!ありとあらえるもの!」
六花「もうはっすイコール内海くんの女じゃん」
はっす「…まぁそれはいいかな」
六花「確かに、私も裕太の女がいい」
なみこ「同意するなよ」
六花「まぁはっすは私のこと、言えないよってこと」
なみこ「だなー」
はっす「…捨てられたくないし…」
六花「はっすメッチャ重いよ、それ」
なみこ「え、あんたが言う?」
六花「裕太が私を捨てるなんてありえないし、捨てさせないから」
なみこ「こわっ」
はっす「六花、ウチどうしたらいい?」ナミダメ
六花「いや、捨てられないでしょ」
六花「内海くん、はっすにゾッコンだし」
なみこ「ゾッコンって」
六花「私の裕太がね「内海ってさぁ、最近はっすさんのことしか話さないんだよ。俺は六花の話がしたいのに…」って」
六花「はぁゆうた…」
なみこ「それはもういい」
なみこ「まぁターボーイみたいなやつには尽くす女くらいがちょうどいいしょ」
はっす「…うん…あとターボーイ言うな…」ニラミ
なみこ「ア、ハイ、スミマセン」


裕太の女装

「裕太、超似合うじゃんwww」
「ここでま、似合うと…うん…」
「えー…なんかスースーして嫌なんだけど…」
1年の時に、裕太が女装していた話の流れで、六花の服にて、女装をした裕太だった。
以前と違うのは、ウィッグを付け、化粧までしている。
六花とさほど変わらない背丈に、元々華奢な体つきであったため、予想以上に馴染んでいる。
「女装コンテストだったら、優勝でしょw」
「うん、いける」
「全然、嬉しくないんだけど…」
六花は、スマホで裕太の女装姿を収めていく。時折ポーズ指定をしているのは、ご愛嬌だ。
蓬「夢芽にも連絡しよwww」
そう言って蓬は夢芽へとメッセージを送る。
『六花さんの家に集合!面白いものが見れるよ』と。

「六花さーん、こんにちはー」
「あ、夢芽ちゃん、こっちこっち!」
六花が手招きし、夢芽を招く。そしてそこには、
「は、はじめまして…」
肩まで掛かる赤髪に、澄んだ空のよう目をした少女が、蓬の隣に立っていたのだ。
感情が停止する。
「蓬、面白いものって「それ」?」
全員が感じた。空気が一変したことを。
「そ、そうだけど」
蓬が答えるが、声が震えているように感じる。普段と違う夢芽に戸惑いを隠せない様子だ。
「ふーん、「それ」が面白いんだ」
女装した裕太を見る瞳が、怖い。視線で人が死ぬのであれば、きっとこんな瞳なんだろうと思わせる。
「で、だれ?」
「ゆ、ゆう…です…」
夢芽の言葉の圧に、言葉が上手くでずに裕太と言い切れなかった。
「で、蓬の何?」
口調に忌々しさを感じたのか、「ゆう」と名乗った女は、あろことか蓬に庇ってもらうように背後に回った。
小動物のような見た目をしている割には、強かな女だ。
だが、そこは私の居場所だ。あんたの場所じゃない。
「蓬を誑かしたんだ」
辺りを見回すと、箱の中にまるで弁慶から奪い取ってきたかのような武器類が置いてある。
すっと、夢芽が木刀を手にする。
「お仕置きが必要だね」
誰に対してだろうか。全員の背中に冷たい汗が流れる。
「ゆ…夢芽ちゃん、危ないから…」
「六花さん、大丈夫です。すぐですから」
「夢芽、落ち着いて…ちゃんと話すから…」
「その女が終わったら、聞くよ」
「えと…あの…」
一触即発の状況だったが、六花が呼んでいた人物達も到着したようだった。
「六花ー、きたぜー」
「うーっす」
はっすと内海である。そして、
「響wwwめっちゃ似合うじゃんwww」
「裕太wwwめちゃくちゃ美少女じゃんwww」
救いの言葉であった。
「え、この女、裕太さんなんですか?」
「そう、です…」
恥ずかしそうに、裕太が答える。
「えへ、私早とちりしましたね」
可愛く言い訳しながら、木刀を片付ける。
「大体、私が居るのに蓬が他の女に誑かされる訳ないもんね」
「そ、そうだよ」
「大体、夢芽ちゃんみたいなカワイイ彼女がいるのに蓬くんが他の人にいくわけ無いじゃん」
「六花さん、やっぱりそう思います?」
「思う思う、私と裕太がぴったりみたいに、蓬くんに夢芽ちゃんしかいないよ」
「ですよね~♪」
なんとなくどのような状態かを察した二人も会話に乗っかる。
「大体、裕太ってすぐ分かるから、蓬くんも引っかからないでしょ」
「うん、これにトキメイたら性癖を疑うw」
「いや、俺ノーマルですって!夢芽だけなんで!」
夢芽のご機嫌を取り、そうして、5人で裕太の女装を堪能し弄り倒すのであった。


内海は何も見ていない

はっす達が、女子会をするとのことで六花さんの家で泊まるとのことだった。
それならばと、蓬くんに声をかけ、ご両親が仕事の都合で居ない裕太の家で男子会をすることにしたのだ。
持ち込んだゲームをしつつ、デリバリーピザを頼んだりし、いよいよ床につくことにした。
裕太は俺たちにベットを使うように言ってきたが、蓬くんも俺も固辞した。
折角の集まりだ。
リビングに布団を敷き、三人で雑魚寝することにした。

「なんだ修学旅行みたいだね」
カワイイことを言う男だ。
「じゃ、恋バナする?w」
「お、いいねー」
蓬くんの一言から、恋バナをすることにしたが、内容は自分の彼女との惚気であったことは言うまでもない。
どれくらい語らったろうか。
互いに言葉数も少なくなり、いつしか眠りについていたのであった。

何時だろうか。目が覚めてしまった。
雑魚寝のせいなのか、それとも隣でボソボソとする声のせいか。
目を声の方にやると、とんでもない光景が映り込んだ。
「りっかぁ…りっかぁ…」
裕太が六花さんの名を呼びながら蓬くんの胸元を弄っていたのである。
「ゆめぇ…だめ‥だってぇ…」
蓬くんも蓬くんで、南さんに迫られているのだろうか。
ささやかな抵抗をしているように見えるが、何となく受け入れ体制のようだ。

友人として、どうすべきなのだろうか。
キッチンへ向かい、冷蔵庫から残ったジュースを飲みながら、ほんの少し悩んだ結果、
俺は何も見ていないと言い聞かせ、二人から布団を離し、微睡みの中に戻っていった。

翌朝、いい夢を見たのだろうか。二人の顔が心なしか清々しいように見える。
「六花の夢みちゃってさ~」
裕太って結構積極的なんだなぁとか、ここでは言わない。
「あー俺も夢で夢芽が出てきたなぁ」
蓬くんって実はあんな風に誘ってるの?とか、ここでは言わない。
「残念ながら俺は何も見なかったなぁ」
そうだ、俺は何も見なかったのだ。
裕太と蓬くんの首元の虫刺されは、きっと俺の見間違いだろう。


いけない世界

六花の友人である、夢芽さんから女子会をしようと提案があった。
断る理由もないし、彼女から指南して頂きたいこともあるのでOKの返事をしたのだ。
彼氏彼女の事情や、悩み事をここぞとばかりに話をした。
「明日使える夢芽知識」が使えるかどうかは置いといて、実践したい興味深いものもあった。
マジで晩御飯でチーズフォンデュを出す家があるんだなぁと思いもしたが、六花の家だ。納得をしておく。
六花の部屋に布団を敷き、夜遅くまで話は続くが、夜更かしはいけないとのことで、眠りにつく。

何時だろうか。目が覚めてしまった。
普段と違うせいなのか、それとも隣でする甘い声のせいか。
目を声の方にやると、息を呑む光景が映り込んだ。
「よもぎぃ…いい、よねぇ…」
夢芽さんが彼氏である蓬くんの名前を呼びながら六花へ絡みついていたのである。
「ゆう、たぁ…ここじゃぁ。だめ…」
六花は六花で、響に迫られてるのだろうか。拒む言葉と裏腹に嬉しそうだ。

友人として、どうすべきなのだろうか。
友人の目から見ても二人は美人だ。この光景は中々映える画ではないだろうか。
スマホを取り出し、妖艶に見える耽美な世界をレンズに収める。

翌朝、いい夢を見たのだろうか。二人の顔が心なしか艷やかに見える。
「蓬の夢みちゃいました~」
「あー私も夢で裕太が出てきて…」
二人とも、その夢を現実へ戻してあげよう。
「夢芽さんって結構積極的なんな」
「え!?」
「六花ってあんな感じで誘ってるんか?」
「え!?」
ウチは、スマホの動画を二人に見せる。
男共には刺激の強い世界が広がっている画面に目が釘付けになり、
二人の顔が紅く染まっていく。
動画が終わるころには、互いの顔が見れないようだ。
「参考にするな」
ウチの一言で、二人の顔は更に紅くなり、慌てふためくのだった。


一歩進んだ関係に

「行ってくる」
「行って来い」
覚悟を決めた裕太の背中を見送る。
六花さんは裕太の誘いに乗ってくれたようだ。
成功するとは思っているが、それでも親友の成功を祈らずにはいられない。
そんなことを思いなが、座っているとはっすがやってきた。
「おっす」
「お疲れ」
はっすも腰掛け、体育館を眺める。
「裕太、行ったわ」
「知ってる、だからウチもここに来た」
「…そっか」
六花さんとの付き合いができたからこそ、はっすとの付き合い、友人としての付き合いが生まれた。
今では、友人より一歩先の関係だと思えるほどに互いのことを分かっているのではないだろうか。
ぶっちゃけ六花さんのことより、はっすのことを知っている。
だから、こいつが今ここに来た意味も分かってるはずだ。
けど、怖い。俺の勘違いじゃないだろうか。
ただ趣味がなんとなく合うだけの友人としているほうが、楽じゃないだろうか。
この関係が壊れることが、どうしようもなく怖い。
「なぁ」
「うん?」
「…ウチ、待ってるんだが?」
何を待っているんだ?なんて聞けない。
聞かなくても俺は分かっているはずだ。
「聞いてれるか?」
「うん…聞いてやるよ」
「俺は、お前のこと…」

後夜祭も終わり、はっすと並んで帰路に着く。
俺の右手は、はっすの左手を包んでいる。
「んじゃ、ここで」
少し名残惜しいが、さよならをする。
「ん、また明日」
「おう」
いつもと変わらない別れの言葉だが、いつもと違う約束の言葉のように聞こえた。


ロマンチック裕太と誘う六花さん

観覧車で、夕日が綺麗な瞬間に頂上でキスをする。
ロマンチックな展開を計画し、六花と観覧車に乗り込んだのだった。
互いに向かい合いながら、景色を眺めている。
もうすぐ頂上に到達しそうが、どうやって声をかけようか。
景色を眺める六花の横顔に見惚れ、言葉がでてこない。
不意に六花がこちらを向き、視線が合う。
「…ねぇ」
「…はい」
「…こっちの席、空いてるんですけど」
「…うん」
六花の隣へ移動する。それほど広くないゴンドラ内は二人の距離をゼロにする。
いつもの事だが、心臓の音が六花に聞こえてないか不安になる。
「…ねぇ」
「…はい」
「…もうすぐ頂上だけど」

六花はきっと俺がしたいことを知っている。
どこでバレたんだろうか?
今回の計画はスマホでしっかりメモして、蓬にも相談して太鼓判をもらったのに。

「…ねぇ」
六花が再度、俺を呼ぶ。

「何かしなくていいの…?」
六花の声が、甘く響いた。


若気の至り

「暑い…」
まだ春と呼べる季節だが、まるで夏のような気温だ。
「マスク外せば?」
「あ?」
「いえ、スミマセン…」
「暑い…」
二人っきりになれば、当たり前のように外してくれるようになったが、外ではやはり無理のようだ。
が、この暑さだ。さすがに心配になる。
「はっす、そこ行かね?」
「ん?」
指の先には、ネットカフェがあった。

「あー涼しい…」
ネットカフェの個室で、マスクを外し冷えたジュースをコクコクと飲んでいる。
「んで、何持ってきたん?」
「こないだ読んでたマンガの続き」
「あとで見せてー」
「んー」
横たわって、マンガを読み始めようとすると
「ちょい待ち」
そう言って、はっすが俺とマンガの間に潜り込んでくる。
「ちょ、おま…」
「こーすれば、一緒に読めるだろ?」
「これは、ちょっと…」
絵面的にも精神的にもかなり、来る。
「大体よぉ別にファミレスとかでも良かったのによ、個室選んでる時点でさ…」
期待するじゃん、と小さく呟く。
よく見ると耳が紅くなっている。
「えと、はっすさん…」
「ん」
体を動かし、顔をこちらに向ける。
近い、近い、近い。何もしていないのにこっちも顔が紅くなる。
「将の誘いに乗ってやったんだぞ…」
「ぅぉ…」
いつも以上に、破壊力がやばい。
互いの息がくすぐったい。はっすの潤んだ目が、閉じられる。
唇が触れ合うまで、そう時間はかからなかった。

外に出たころには、日も沈み数時間前の暑さが嘘のように思える。
ただ体の火照りのせいで、別の熱さを感じる。
どちらともなく無言で手を取り、歩き出す。
「…なぁ」
「…なに?」
「……俺、お前と結婚したい」
「はぁ!?」
繋いだ手からも、別の熱さを感じる。
「…まだ、早いだろーが」
「…そっすか」
「ちゃんとウチを養えるよになってから、もっかい言え」
「うっす」
「…それまで待っといてやるから」
「…うっす」
帰り道の、少しだけ冷たい風が心地よかった。


六花さんの仔犬

六花「ただいま~」
六花ママ「おかえんなさい」
仔犬「わんわん」
六花「何その仔?」
六花ママ「気がついたらいたのよぉ」
六花「えぇ…」
六花ママ「一応誰か引き取ってくれないか話してるから」
六花ママ「それまでは、ウチで面倒みまーす」
六花「えぇ…」
仔犬「わんわん」
六花ママ「ほらー喜んでる」
六花「そうかなー…」
仔犬「わんわん」
六花ママ「リッカチャンアソンデヨー」
六花「ちょwやめてw」
六花「そう言えば名前は?」
六花ママ「付けてないわね」
六花ママ「六花が付けてあげたら?」
六花「えー…」
六花「んー…じゃぁユウタで」
仔犬「わんわん」
六花ママ「え、何キミわんちゃんに彼氏の名前つけるの?」
六花「でもぽくない?」
六花ママ「まぁっぽいわね」
六花「www」六花ママ「www」

こうして、六花とユウタ(仔犬)の生活が始まった。

六花「ユウタって呼ぶととことこ着いてきてさー…」
六花「ユウタがお手できるようになってさー…」
六花「お腹をわしゃわしゃしてあげるとユウタ、めっちゃ喜んでねー…」
なみこ「え、何響くん飼われてんの?」
はっす「六花さん、ちょっと引くわー…」
内海「おっす」
裕太「六花ー」
なみこ「あ、響くん。響くんって六花に飼われてんの?w」
裕太「付きあってるけど、飼われてはいないかな…」
はっす「いや、なんか裕太裕太って…まぁいつものことだが」
裕太「あぁユウタのこと?」
内海「あっちのユウタのことか?」
なみこ「は?」
はっす「何?あっちの裕太って?」
内海「六花さんち居る犬のことだよ」
なみこはっす「「え?」」
なみこ「何?六花、犬の名前を響くんの名前にしてるわけ?」
はっす「六花さん、引くわー…」
六花「いやでも、裕太っぽくない?」スマホデドウガミセー
【六花『ユウターこっちこっちー』
【ユウタ『わんわん』シッポフリフリー】
なみこはっす「「あーっぽい」」
裕太「そんなに似てる?」
内海「裕太に似てるってか、裕太がユウタに似てるんだよ」
裕太「?」

その後、ユウタ(仔犬)は無事引き取られていったのであった。

なみこ「六花元気ないな」
はっす「ユウタがいなくなったからな」
裕太「俺は居るけど」
はっす「…犬のほうな」
なみこ「こーゆ時こそ彼氏が慰めないと!」
はっす「ほら、いけ」
裕太「う、うん」
六花「はー…」
裕太「六花、あの」
六花「あ、裕太」
裕太「その、元気だして。俺に出来ることがあれば何でも言って」
六花「ありがと、裕太」
六花「早速なんだけど、お願い…いい?」
裕太「う、うん。六花のお願いだったら何でもいいよ」
六花「ユウタ用に準備した首輪とリード、裕太に使っていいよね?」
裕太「え?」
六花「何でも、いいんだよね?」
裕太「…う、ん」
六花「じゃぁ家に行こっか」
裕太「…はい」

なみこ「なんか危ない会話してた気がするけどいいのかな」
はっす「いいんじゃね?」
内海「明日くらいには裕太から尻尾が生えてそうだ」


好みに合わせて

内海「あの髪型っていっつもはしないわけ?」
はっす「ん?」
内海「一年の時後ろでまとめてたじゃん」
はっす「何?そんなこと覚えてんの?」
内海「いや、覚えてるでしょ」
はっす「…ジロジロ見てたわけだ」
内海「ジロジロは見てねーよ」
はっす「…見てることは否定しないんな」
内海「…いいだろ、別に」
はっす「…いいけど、別に」
内海はっす「「……」」
はっす「あんな髪型のほうがいいのか?」
内海「どっちでもいいけど…」
はっす「なんだよ、どっちでもって」
内海「いや、どっちも似合ってるて思ってるんで…」
内海「髪まとめてるのもいいし、普段のもはっすに似合ってるし…」
はっす「…………」
はっす「……ほんっっと、そういうとこな」
内海「…どういうとこっすか」
はっす「は?言うわけねーだろ」
内海「…スミマセン」
はっす「大体な、どっちもいいとか言うなよな」
はっす「お前の好みに合わせるウチの身にもなれよ」
内海「…合わせてくれてたんっすね」
はっす「……そだよ」
はっす「何?気づいてなかったわけ?」
内海「内心、なんか俺に寄せてね?とは思ってました、ハイ…」
内海「でも、口に出せねーよ、そんなん…」
はっす「…そっか」
内海「…そうです」
内海はっす「「……」」
はっす「じゃぁ今は?」
内海「ん?」
はっす「今はどう思ってる?」
内海「…俺の好みに合わせてくれる最高の彼女と思っています」
はっす「ん」
はっす「じゃぁ彼氏さんは、ウチの好みに合わせてくれる?」
内海「…はい」
はっす「言ったな」
はっす「ウチ色に染めてやるからな」


はっすの髪型って

「はっすってさ、髪ショートにしたじゃん」
「うん」
「それってやっぱり、内海くんのため?」
なみこは先程、部活へ行った。この教室には六花と私しかいない。
だから、この話題をだしたのだろう。人のことより自分のことを気にかければいいのに。
六花は髪を短くしたことを、内海のためと邪推しているようだが、そんなことはない。
「ちげーし」
「えーでもさぁ」
私の友達のこと色々聞いてきたじゃん?と六花が続ける。
確かに六花にはその友達のことを聞いた。
遠く引っ越しをしてしまった六花たちの共通の友達のことを。
そして、内海がその友達に好意を寄せていたことを。
本人からその真意を聞くことはしたくない、と言うか私はできない。
だから、六花から色々と聞いた。だからだろう。
髪型がその友達に近いから、内海のためではないか、と。

「ウチさ」
「うん」
「照れたり、緊張すると…髪触っちゃうんよ」
「そうだっけ?」
「そうなんだよ」
「だからさ」
だから、髪を短くした。
照れも緊張も、アイツには悟られたくないのだ。
六花も私との付き合いはそれなりだ。
言葉数少ない、今のやり取りだけで理解してくれたはずだ。
全てを話すことが友達じゃない。
私にも六花にも、互いに話したくないこと、口に出したくなことはあるはずだ。

「ふーん、そっか」
察してくれたのか、納得してくれたのか。どちらとも取れる返事を返してきた。
そして、

「でも、そうなるとやっぱ内海くんのためじゃない?」

私は六花へ返す言葉が出てこず、つい髪を撫でるような仕草をしてしまうのであった。


夢芽のウイングコンバイン

同棲を始めて、数年が経った。
蓬も私も結婚に向けて、互いに仕事を頑張っている。
私的には十分な貯金があると思っているが、蓬的にはまだまだのようで結婚には至っていない。

「ただいま~」
愛の巣に帰ってきても、おかえりの言葉はない。
蓬のほうが、帰りが遅いのはいつもの事だ。
蓬には会社からでる時にも、家についた時にもメッセージは送っている。
一応スマホは確認できるようで、スタンプのみの返信が帰ってくる。
念のためGPSで確認して、会社にいることを確認する。
そして、晩御飯を作り始める。
同棲し始めは、上手く料理はできなかったけども、今では大分上達した。
毎日凝ったものは、まだ無理だけど蓬が元気になるような献立を作る。
料理中に、蓬から帰宅のメッセージを受け取る。あぁ早く帰ってこないかな。

三十分程経っただろうか。
「ただいまー…」
蓬の声が聞こえる。が、あまり元気がなそうだ。
「おかえりー」
玄関まで迎えに行くが、そこには座り込む蓬が居た。
「どうしたの?大丈夫?」
「いやー…今日は疲れた…」
「ご飯食べれる?」
「うーん…食べる…」
明日が休日ということもあるのだろう。いつになく気力がない姿だ。
「じゃぁ立って、立って」
「うん…」
返事はするが、動こうとしない。
「ホント大丈夫?」
「大丈夫だけど、もう動きたくないかも…」
「んー…あ!」
私に天啓が舞い降りた。これならば蓬を運べる。
「蓬!ウイングコンバインだよ!」
「え、もっと無理…」
「私が、ウイングコンバインしてあげるの!」
そう言って、蓬をおんぶする。やっぱりちょっと…いや結構重い。
会った時は身長は対して変わらなかったのに…。
「夢芽、無理しないで…」
「大丈夫…」
いつも蓬が私を背負ってくれたんだ。
あの日から、あの時も、ずっと背負ってくれていた。
いつまでも蓬に背負ってもらう訳にはいかない。
蓬の背中だけを見ている訳にはいかない。
私は、蓬と一緒に、隣で歩いていきたい。
だから、今日のこの時だけもで蓬を背負ってあげたい。
ゆっくりとした歩みで、リビングまで行き椅子に座らせる。
「…夢芽、大丈夫?」
「…うん、全然、だ、大丈夫」
息を切らしながらも、料理をテーブルに並べていく。
「ホントに食べれる?」
「…うん、いただきます」
もそもそとした動きで、ご飯を食べてくれる。
美味しいよ、と感想を言いつつも瞼も落ちてきている。
完食すると同時のように、蓬のスイッチが切れたように眠りにつく。
再び、蓬を背負いベッドまで運んでいく。汗を流すのは、明日の朝でいいだろ。
スーツを脱がしていく、ほんの少しの欲望に負けそうになるが、グッと堪える。
夢の中へ行った蓬の顔を暫く堪能してから、部屋を出ていく。

「おやすみ、蓬」

これからは互いに背負い合っていけば良い。
私達は、そんな関係にならなきゃいけないから。


予約

「かぁーやっぱ無いかぁ…」
ウルトラシリーズのグッズが手に入らず、店頭で悶えてしまう。
「予約できなかったし、しゃーないでしょ」
「そうなんだよなぁ…」
「もうちょっと他回ってみればいいじゃん」
「いや、それは…」
提案自体はありがたい。が、自分の趣味ばかりに付き合わせるのは引け目を感じる。
「多分、無理だしいいよ」
「回ってみないと分かんないっしょ」
「でもな…」
「ウチが、いいって言ってんだらかいいんだよ」
肩で突きながら、そんなありがたいことを言ってくれる。
「じゃぁお言葉に甘えて」
何店か回ったところで、お目当てのグッズに巡り会えたのであった。
「いやぁ、マジで嬉しい…」
「良かったじゃん」
確かに嬉しい。だが、今日ほぼ一日自分の趣味と言うかグッズ探しに付き合ってもらっただけだ。
「あー、はっすさん」
「ん?」
「今日のことなんですがね…」
何かお礼をしたいとは思っているのだが、グッズ購入で財布の中身が心もとないのである。
「あー…」
考える素振りをしているが、多分もう決めているだろう。
「まぁ今日はいいんだけどさ」
「はい」
「…予約しておくわ」
「予約…あの、ある程度加減していただけると助かります…」
予約が必要なものなのか、それとも店なのか…どちらにしろかなりの出費になりそうだ。
「そんな高いもんじゃないから」
「…はい」
そう言って、少し間を開けてから

「将の隣、この先ずっとウチで予約しといて」

言われた言葉の意味を理解するのに、数秒かかった。
彼女の顔を見ようとしたが、反対側を向いている。
表情は分からないが、耳まで紅いことから、かなり恥ずかしいことを言った自覚はあるようだ。
だから俺も覚悟を決め、

「その予約、承りました」

と、顔を紅くし返すのであった。


手作りチョコ

「おじゃましまーす」
もうすぐバレンタインデーだから手作りチョコを作りましょう!と夢芽ちゃんから提案され、
私の家で、チョコを作ることにした。
今日、夢芽ちゃんが一人で私の家に来たのはそういう理由だ。
「どうぞ、蓬くんは?」
なんだかんだで、いつも一緒にいる夢芽ちゃんの彼氏、蓬くんの姿はなかったので気になったのだ。
「途中まで一緒だったんですけど、折角だからって裕太くんのとこ行きました」
「そっか」
夢芽ちゃんからそのことを聞き、裕太にメッセージを送る。
すると、『蓬と内海とでゲーセンに行くよ!』と返信があった。
これで、どちらのことも安心できそうである。

予め準備していた材料を使い、手作りチョコを作っていく。
「そういえば、はっすさんは誘わなかったんですか?」
「誘ってみたんだけどね」
ウチらはまだ、そこまではない。とアイツには市販品で十分だと。そう言って断りを入れてきたのであった。
「そんな風に見えないですけど」
「うん、思う」
夢芽ちゃんから見ても、そう見えるほどだ。
ま、二人は意地っ張りだからはっすの照れ隠しなのかもしれない。

夢芽ちゃんとお喋りしながら生チョコ、トリュフといった手作りの定番を完成させた。
「結構上手く出来たね」
「んー…」
どうやら、夢芽ちゃんはお気に召さないようだ。
「やっぱりインパクトがないですね」
「いやー…いらないでしょ」
「でもバレンタインデーですよ?本命ですよ?」
「そう言われると…」
確かに、普通だ。裕太は喜んでくれそうだけど…。
「キミたち、がんばってるねぇ~」
「ママ」
「おじゃましてます」
いつの間にかママがキッチンまで来ていた。
「おいしそーにできてんねー」
「食べないでよー」
「はいはい、たべましぇーん」
そう言っておかないと本当に食べそうなのだ。この人は。
「あ、そうだママ」
「んー?」
まだ物欲しそうにチョコを見つめるママに手作りチョコのことを相談をする。
が、ママからの返事は、
「えー別にいいでしょ、それで」
「でも、もっとインパクトがあったほうがよくないですか?」
「喜んでくれると思うだけどさー」
少し呆れた顔をされた。
「キミたちさぁ、彼氏くんから貰えるもんなら嬉しいでしょうが」
「し、か、も、それは手作り」
「どう?」
ママに言われて裕太のことを考える。プレゼントをくれた時、はっすやなみこにも相談をしていたみたいだった。
私のために、一所懸命考えてくれていたのは知っている。
だから、余計に嬉しかったのだ。もし、それが手作りだったら…
「…嬉しいです」
「うん、私も嬉しいって思う…」
夢芽ちゃんも同じ気持ちのようだ。
私達の答えを聞いて、満足気な顔をしうなずくママはトリュフを口に放り投げた。
「報酬としていただきまーす」
私と夢芽ちゃんは、追加でチョコを作り始めたのだった。

「…はい、バレンタインデーだから」
「六花!ありがとう!」
裕太の家で、手作りチョコを渡す。渡すところを誰かに見られるのは恥ずかしいし…。
ラッピングを剥がし、中を確認した裕太の目は、まるで宝物を見つけた子供のようだ。
「六花!すごい美味しそう!」
「うん、美味しいよ。ちゃんと味見したから」
そう言って、私の指が裕太の口へチョコを運ぶ。
「ね、美味しいでしょ?」
「…う、ん…ちょっと味が分かんない…かも」
二人っきりのせいか大胆なことをしてしまったが、裕太には刺激が強かったみたいだ。
「…じゃぁ私飲み物を入れるね」
そんな裕太を見て私も恥ずかしくなってきたので、慣れ親しんだキッチンへ移動することにする。
チョコに合う、ちょっと苦目のコーヒーを淹れる。

こんな甘い日に合う、ちょっと苦目のコーヒーを。


手作りチョコケーキ

六花と南さんからバレンタインデーのチョコ作りに誘われたが、断ってしまった。
まだそんなのは早いと六花に言ったのだが、実際のところは違う。
既に一人でチョコを手作りしていたのだ。
もう作ってる最中とは、六花相手でもとてもじゃないが言えない。
簡単なものを作って渡そうと思ったのだが、市販品とあまり変わらない出来になりそうで、そうなるとイマイチ手作りする必要性を感じない。
「んー…」
悩む。このまま手作りをするのか、市販品を渡すのか…。
市販品を渡したところで、あの男は気にしないだろう。むしろ貰えたことに喜びそうだ。
手作りならば、もっと喜ぶどころか放心するのではないだろうか。
だが、出来がイマイチであれば、照れ隠しのつもりだろうが軽口を叩くことが目に見えている。
ならば、と私は決心する。度肝を抜くものを作ってやろうと。
ネットでレシピを探す。インパクトがあるものを…。そして…。

「やってしまった…」
目の間にあるのは、数日に渡り作り込んだチョコケーキであった。
スポンジにチョコを塗っただけのものではない。
アクセントのナッツのキャラメリゼやチョコムースと言った層まである。
お菓子作りを始めたばかりの身としては大作と言っても過言はないだろう。
ただ、これを渡した時の反応が想像できない。付き合ってまだそんなに経っていない。
バレンタインデーに渡すものとしては、少々重すぎないだろうか。
傍から見れば、大好きです!と言っているようにしか見えない代物だ。
「どーしよ…」
渡したいけど、渡したくない気持ちでムズムズする。
だけど、渡すために作ったのだ。
「……あ」
ひらめいた。

「ん」
将の家で、手作りチョコケーキを渡す。
「お、ありがと…ってすげぇ」
箱から取り出したチョコケーキを見て驚く。
「これ高かったんじゃね?」
「作ったんだよ」
「…え?」
将の顔が驚きから、信じられないような顔になる。
「なに?」
「いやいや、こだわりすぎでしょ」
私は考えていた言い訳を答える。
「六花たちと作ったんだよ」
そう、これは一人では作っていないのだ。
六花たちも手作りをしていたのだ。大体合ってる。嘘ではない。
「じゃぁ合作なのか」
「まぁそれは流石にウチが頑張ったから、ほぼウチ作だ」
少し落ち込んでる将も、なかなかいい顔をする。
が、落ち込んで欲しいわけではないので少々無理やりな言い訳をする。
「そうか…でも俺の為に作ってくれたんだよなぁ…」
なんかしみじみと言い出した。こう言うときはちょっとキモイ。
「今年ははっすの合わせて2個だし、自慢できるな」
「あ?」
なんだコイツ。聞き捨てならないことを言いやがった。
「2個ってなんだよ。ウチ以外に誰に貰ったんだよ」
将に体ごと詰め寄り、目を逸らさせないように両手で顔をこちらへ固定させる。
「誰に貰った?」
「はっすさん…怖いっす」
「もっかい聞くな。誰?」
「……母さんです」
両手で将の顔をバシーンと叩く。なんなんコイツ。
「…痛いです」
「…当然だろ」
赤くなった頬を撫でてる将を脇目に、ケーキを切り出す。
「ほい」
「…いただきます」
「ホワイトデーは期待してるな」
「…善処します」
「……この後、すぐに返してくれもいいけど…」
「……」
「…返してくれも、いいんだけど」
「…ケーキ食べた後で返します」
「…ん」

その日の私の唇は、チョコケーキとは違った甘さがあった。


リクルートスーツ

就活をするために、蓬と二人スーツを購入しに来た。
できればお嫁さんになりたいところだけど、蓬との話し合いの末、十分な貯金ができてからって言われている。
今日は、その金額に少しでも近づくための準備なのだ。
スーツのことなんてさっぱり分からないので、お店の人に見繕ってもらう。
「どう、蓬?」
試着室からでて、蓬にお披露目する。スカートではく、パンツを選択してみた。
「……」
「蓬?」
こちら見て、黙り込む蓬。似合ってなかったか?と不安になる。
私の全身を見尽くしたのか、蓬が口を開く。
「…ちょっと人に見せたくないなぁ」
「何?似合ってないってこと?」
似合ってないなら、似合ってないと言えばいいのに回りくどい言い方をされると、ちょとムカっとしてしまう。
「そうじゃなくて…」
蓬が言い訳をするかと思ったけど、よく顔を見れば頬が赤らんでいる。
これは、きっと…。
「よもぎぃ、見惚れちゃった?」
「…はい、見惚れました」
どうやら、私の姿を他の人に見せたくないと言いたかったようだ。
「ふふ、蓬はえっちだね」
「いや、えっちとかじゃなくない?」
「でも、他の人に見せたくたいんでしょ?」
「そりゃぁ、まぁ…」
「ふふ~ん♪」
そんなやり取りをしつつ、私のスーツと蓬もスーツを購入し裾直しをお願いして店を出る。

帰り道、いつもの河川敷を二人で歩く。
「蓬ってさ、独占欲強いよね」
「夢芽ほどじゃないでしょ…」
「スーツ着た私を他の人に見せたくないって、私就活できないじゃん」
「独占欲だよ」
「じゃなかったら、蓬がえっちなことばっかり考えてるってことかな」
「…独占欲です。夢芽を他の人に見せたくないです」
「よもぎー❤」
耳まで紅くなった蓬の背中に抱きつく。
「他の人に見せたくなかったら、お嫁さんにしてくれればいんだよー」
耳元で囁くように告げる。これは本心だ。
「…それは、やっぱもうちょっと待って」
いつものように蓬は待ってほしいと言ってくる。
「ちゃんとしたいから」
「…うん」
分かってる。けど言いたい。
「でも、あんまり待たせないでほしいな…」
「…がんばるから」
「うん、私もがんばる」
そう言って、蓬に背負われてままでいる。
「…懐かしいね、ウイングコンバイン」
ちょっとしみじみとした雰囲気で呟く。
「いや、ちょいちょいしてるよね?飲みつぶれた時とか」
「ここは、ノスタルジーに浸る場面なのに蓬は分かってないなー」
「えぇ…」
「まぁいいや、このままドンキ行こ!」
「いいけど、なに買うの?」
「スーツ!」
「今日買ったじゃん」
「それは、就活用でしょ?家で使うように」
「…夢芽」
「何?」
「飛ばすよ!」
「いけー!よもぎぃ!」

笑い合いながら、河川敷を一つの影が駆けていく。
影は、日が落ちても離れることはなかった。


時計がない

「夢芽ちゃんの部屋って時計ないんだね」
「不便じゃない?」
「六花さん、はっすさん、二人共分かってないですねー」
「時計が無ければ時間を気にしないんですよ!」
「「!!!」」
「私はこの方法で、蓬と…」
「「じゃぁ今日は解散で!」」
「ちょっと二人共待ってください!」


キスだけじゃない

「今日何の日か知ってるか?」
呟くことで有名なSNSで話題になっているので、当然知っている。
だが、これを聞いてくるという事はどんな意味があるのか?
相手がはっすである以上、なんらの裏があるのではないかと疑ってしまう。
「もしかして知らない?」
目が少し笑っているように見える。やはり誂っているのだろうか?
「いや、知ってると思う…」
「なんだよ、それ」
言っても言わなくても対して変わらないのに、未だに素直になれない。
はっすも大概だが、そう自分も変わらないのではないだろうか。
そんなことを思いながらも今日が何の日かを答えることにする。
「……キスの日、だろ?」
顔が熱い。キスの単語だけで照れていると思うと正直ダサい。
はっすからの反撃を待っていたが、返ってきた言葉は意外なものだった。
「え?」
目が大きく見開いている。聞いたこと無いって顔をしている。
「え、キスの日…だろ?」
何か間違っていただろうか?結構話題になっていた筈だ。
「え、マジ?そうなの?」
「SNSで話題になってたから…」
俺はスマホで、SNSアプリから「キスの日」を検索し、結果をはっすに見せる。
「…うわぁマジか…」
予想していた日じゃなかったのか?何か別のことがある?
そう思いスマホで「5/23 何の日」と検索をする。
TOPには「キスの日」と表示される。それと…。
「ラブレターの日?」
「ウチはそっちだと思ってたから…」
そう言って、ハートマークのシールで封をした手紙を突きつけてくる。
「どうせ貰ったことなんてないだろから…」
誂う為に書いたのか?なんて茶化す場面じゃないだろう。
耳が紅くなっているはっすの顔を見れば、渡す動機はともかく、きっと内容は本物だ。
「今まで貰ったことはないけど…」
拗ねるような言い方をしながら、手紙を受け取る。
「今、貰ったから貰ったことあるわ」
バンっと背中を叩かれる。
「あーあー折角、将を誂うチャンスだと思ったのに、ウチだけ損した気分だわ」
まだ耳が紅いので、これは照れ隠しだ。カワイイやつめ。
「俺は、キスの日って言うので恥ずかったけどな」
ここはお相子と言う精神で、先程の気持ちを白状する。
「きも」
「……」
俺の優しさは伝わらなかったようだ。まぁこれもはっすの照れ隠しだ。多分、そうであってほしい。
「手紙…ラブレターありがとうございます…」
「ん…ちゃんと読めよ…」
「うっす…」
ちゃんと書いたから、と呟く声が耳に届く。その言葉を聞いただけで、また顔が熱くなる。
「何照れてんだよ」
「照れてねーし」
そう軽口を叩きつつも、手は繋がれている。
「ちゃんと返事書くんで待っててください…」
「ん、待ってやる」
暫く歩いていると、はっすが辺りを見回してからマスクを外し、こう聞いてきた。

「…今日何の日か知ってるか?」

俺は、その答えをはっすの唇に返した。

https://twitter.com/garugu0128/status/1660999724063952897


裕太は虫歯?

「うーん…」
「どうしたの?」
手で左頬を押さえながら唸る裕太に問いかける。
「なんか歯が痛い気がして…」
「何?虫歯?ちゃんと歯磨いてる?」
「み、磨いてるよ…」
「やだよ。歯磨いてなかったら」
「し、してるって…」
「もう……キス…しないから…」
「してます!毎日してます!」
「もう声が大きい!」
私の顔は赤く染まっているだろう。だって超熱いし。
横目で裕太を見れば、裕太の顔も赤らみ、こちらをちらちら見てくる。
「まぁ、ちゃんとしてるんだったらいいけど…」
つい甘やかすようなことを言ってしまう。でも今の流れならしてもいいよね?
そう思っていたけど、本当に虫歯だったらどうしようか。
「ねぇ、裕太」
「はい…」
裕太の目が若干何かを期待してる目に見えるのは気の所為…。
それにできれば、裕太から来てほしいんだけど…。
「口、開けて?」
「え?」
とりあえず、虫歯チェックをすることした。

「どぉ~?」
口を大きく開けた裕太が、聞いてくる。
ぱっと見た感じどの歯も綺麗だ。虫歯のようなものは見えない。
「虫歯はないかな?」
「ふぉんと?」
ちょっと間抜けな感じで返事してくる。
「もうちょっと奥見るね」
そう言って、裕太の口をさらに開く為に指を口の中へいれる。
「ひ、ひぃっかぁ」
「んー…綺麗な歯かなぁ」
人の口の中って見ててなんだかドキドキする。
そんなことを思いつつも裕太の歯を全てチェックし終え、口から指を出す。
指には、裕太の唾液が着いており、それが橋を作っていた。
「「……」」
光る橋を見て、お互い無言になってしまう。
「ふ、拭くもの」
裕太が拭くものを探すが、何を思ったか私はその指を自分の口へ運んだ。
「裕太の味がするね…」
「り、六花…」
裕太の顔が真っ赤に染まっていく。付き合い始めてからなんだどんどん大胆になっているような気がする。
けど、それは裕太が悪んだ。
「ねぇ裕太…」
「うん…」
「私、もっと裕太の味が知りたい…」
「俺も、六花の味、知りたい…」
互いに顔を近づける。そして裕太の目を見て、呟く。

「じゃ、舌で歯のチェック、するね…」

裕太の顔は、もう赤と言っていいほどだ。
それはきっと、私の顔から火が出ているからだと思う…。


もうちょっと

「ちょっと痺れてきた」
「えー頑張ってよ」
夢芽に腕枕をしていけど、いよいよ腕が痺れてきてしまった。
「それに、私結構疲れてるんですけどー」
「えっとスミマセン…」
先程までのベッドでのやりとりのことを指摘される。
夢芽のほうが、はっちゃけてた気がしないでもないけど、そこは指摘しない。しても意味がないから。
けれども、こうやって夢芽と横に並ぶのは悪くない。
「ずっとこんな感じでいたいなぁ…」
ふと心の声が漏れてしまう。
「…ずっとは嫌かな…」
「え?」
夢芽らしくない返答に驚いてしまう。裕太じゃないけど何かやってしまっただろうか?
「何が嫌?」
「蓬とこうするのは嫌じゃないけど…その…」
「その?」
「…もうちょっとしたらさ」
「うん」
「三人とかがいいなぁって…」
「三人…?」
俺と夢芽で二人。あと一人は誰だ?
「俺、夢芽とだけがいいんですけど…」
「え?」
「いや、だってさ、誰がくるの?」
「誰って…蓬との…」
「俺との?」
「…ねぇ蓬、分かってて言わせようとしてない?」
「いや、ほんと分かってない!」
ぷくっと頬を膨らませ、怒ってますとアピールしてくる夢芽。
「怒らないでよ」
その頬を指でつつき、顔を元に戻させる。
「怒ってないし」
「…蓬が悪いからね」
「えー…」
少しの沈黙の後、夢芽が口を開く。
「だから…」
「蓬と私と、子供で、こうしたいの…」
呟くように、俺に伝えてくる。
「…まだ早くない?」
「だから、もうちょっとしたらって言ったじゃん」
「もうちょっと、ね…」
夢芽の言う『もうちょっと』とは、どれくらい先のことだろうか。
問いただせば、割りと近い未来になりそうなので、触れないことにする。
「でも俺は、もうちょっと夢芽だけがいいかな…」
「やっぱ蓬、独占欲強いじゃん」
「そだよ」
「…うん」
夢芽が照れている。茶化してきても真っ直ぐな答えを返すとすぐにこれだ。
そんなとこも、夢芽の可愛いところであるけどもさ。
「独占欲の強い俺の為に、もうちょっと夢芽だけじゃダメ?」
「ダメじゃないけど」
「ありがと」
そう言って、軽く唇を合わせる。
「なんか、蓬誤魔化すときって簡単にキスしてくる気がする…」
「そんなことないと思うけど…」
多分。
「まーいいけど」
「ねぇ、夢芽」
「うん?」
「そろそろ、腕が限界かも…」
「うーん…ダメ」
「えー…」

「もうちょっと、二人だけ…でしょ?」
告げられた言葉に、返す台詞が浮かばず、空いた左手で降参をアピールするのだった。


はっすの分からせ

はっすに、家に来てほしいとメッセージを受けたので、急いで支度をして来たわけだが、呼ばれた理由は俺の期待しているものではなかった。
「はっすさん、その子は?」
「えーっと親戚の子供…」
どうやら用事のある親戚に頼まれて、子供を預かったようだ。
「ウチ一人だと辛くて…」
「あー…はい」
あんま子供の相手が得意そうに見えない。どっちかというとなみこさんとかが得意そうだ。
「えと、六花さんとかなみこさんは?」
「六花はデート、なみこは部活」
「なるほど…」
「……なんか期待させたようで悪いけど」
「え、あ、いや、いいって」
俺の身なりを見て、気を使うようなことを言われる。あえて触れないでほしかった。
「ま、今日だけだろ?」
「うん」
そう言って、はっすの裏に隠れてる子に声をかける。
「こんにちは~」
「おじさんだれ?」
そんな老けてるか…?はっすのほうをチラ見するとバツが悪そうな顔をしてる。
そして
「この人はターボーイだよ」
「たーぼーい?」
「ちょ!」
「たーぼー、こんちにわ!」
「…はい、こんにちは」
はっすのせいで、俺は新たな名たーぼーを得てしまった。
ならばと、俺もはっすの名をこの子に教える!
「このお姉さんははっすだよー」
「ちがう!おねえちゃんはおねえちゃん!」
スゴイ勢いで否定されてしまった。
「諦めろ」
「…はい」
そうして、三人でおままごとなどで一日中遊び通したのだった。

日が沈みかけたころ、チャイムの音がなる。
はっすがインターホンで確認すると、この子の親のようだ。
「将は待っててくれ」
「ほいよ」
流石に男が一緒に出ていけば「あ、察し」案件だ。はっすも親戚には隠したいだろう。
「じゃぁね」
バイバイと手を振る。
「たーぼもきて」
「たーぼは疲れたからねんねするね」
そう言ってソファの上で横になる。
「ねんね?おやすみたーぼ」
「うん、おやすみ」
目を閉じて寝たふりをする。それと同時に唇に柔らかい感触がした。
「なっ」
はっすの掠れたような驚いた声が聞こえたが、寝たふりを続ける。
二人がリビングを出て、はっすがあの子の母親と会話しているのだろ。
「じゃぁ今日はありがとうね、本当に助かったわ」
「いえいえ」
「おねえちゃん、ばいばい」
「バイバイ」
「たーぼもばいばい!」
「え、たーぼって誰?」
「えっとたーぼはたーぼでしょうらいわたしとけっこんするの」
「さっきおやすみのちゅーもしたよ」
おっととんでも無い言葉が飛んできた。そしてあの感触はキスされていたのか…。
「あら、お邪魔だったかしら」
「えと、そんなんじゃなくて…」
「たーぼくんにもよろしくね~」
玄関が閉まる音が聞こえる。
「えと、なんかスマン…」
「ウチが呼んだんだし、将は悪くないよ…」
はっすが、隣に座る。
「今日のお礼とさ、分からせ、していい?」
「ん?お礼はともかく、分からせ?」
はっすがマスクを取り、俺の唇を奪う。柔らかい口づけではなく、激しい大人のキスだ。
数十秒だったと思うが、息遣いが荒くなる。
「…これがお礼と分からせな…」
「…ありがとうございます」
「お礼は分かるけど、分からせってのは…?」
従属関係でも改めて叩き込もうとしているのか?
キスをしたせいか、顔がまだ赤らむはっすが口にしたの言葉は

「……たーぼとの結婚は、ウチとな…」

「……はい、分かりました…」
たーぼは、簡単に分からせられたのであった。


夢芽が人として守るべき物

ガウマ「いいか、夢芽。人として守るべき物が三つある!」
夢芽「約束と愛と蟹でしょ?」スマホパシャパシャ
ガウマ「違う!賞味期限だ!」
ガウマ「…夢芽が人として守るべき物が三つある!」
夢芽「私が人として…?」スマホパシャパシャ
ガウマ「俺を拘束しない、女装させない、写真取らない、だ!」
夢芽「私、恋愛怪獣ユメラなんで人じゃないです」スマホパシャパシャ
ガウマ「蓬!インドミだ!ユメラを掴め!」
蓬「…俺じゃ無理です、ガウマさん。夢芽が飽きるまで女装コス付き合ってください…」
ガウマ「よもぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」


ヨモギヤンデル

蓬「夢芽、今日どこ行ってたの?」
夢芽「え……鳴衣とカラオケだけど……」
蓬「俺に連絡も無しで?3時間も?」
夢芽「スマホの充電無くなってちょっと忘れちゃって」
蓬「鳴衣さん、俺の連絡先知ってるから借りればよかったよね?」
蓬「鳴衣さんと一緒じゃなかったから、借りれなかったんじゃない?」
夢芽「それは違うって、蓬から鳴衣に連絡してもいいから」
蓬「ふーん」
プルルルルルルル
鳴衣『蓬くん、何?』
蓬「鳴衣さんって今日何してました?」
鳴衣『夢芽さんとカラオケ行ってたけど、もしかしてまだ帰ってないとか?』
蓬「ちょっと連絡つかなくて」
鳴衣『あ、でもカラオケ入った時にスマホの充電切れてたから、そのせいかも?』
蓬「あぁそっか」
鳴衣『夢芽さんの家のほうに連絡しておこっか?』
蓬「俺その辺見てくるんで、もしなんかあったらお願いするかも」
鳴衣『おっけ、ウチも一応メッセージ送っとくね』
蓬「ゴメン、ありがと」
鳴衣『見つけたら連絡頂戴、叱るから』
蓬「ありがとうござます、お母さん」
鳴衣『お母さん言うなし、じゃね』ピッ
蓬「……ちゃんと鳴衣さんとカラオケ行ってたね」
夢芽「だからそう言ったじゃん」
蓬「次からはちゃんと連絡してよ」
夢芽「……うん、分かった」

この状態の蓬はちょっと面倒だなぁと思いつつ、愛されている実感をする夢芽であった。


結婚式の後で

「すっごい盛り上がったね」
「そだね」
夢芽と蓬が手を繋ぎ、いつもの河川敷を歩く。
今日は二人の結婚式だったのだ。
つい先程まで、親しい友人達との二次会だったが、それがお開きとなりアルコールの酔いと熱を冷ます為に散歩にきたのだった。
結婚式でも夢芽が『私の第ニのお母さん』と銘して鳴衣への手紙を読み二人して大号泣したり、ブーケトスをせずに直接六花へブーケを渡し夢芽が裕太へ指を突きつけたりとしたのだ。
そんな今日の話題と、今までの――この十年を皆で語り明かしていたのだ。
「ここも思い出の場所だね」
「うん」
吹く風が今の二人には心地いい。
蓬は思い出す。十年前ここで夢芽に告白をしたことを。
あの時は、ただ自分の思いを伝えるのに必死で、夢芽にとってこの場所がどんな場所であるか考えていなかった。
そんなことを考えていると、ついため息がでてしまいった。
「新婦と歩いてため息ってどう言うこと?」
それも結婚式のその日の夜にと、夢芽に突っ込まれる。
「ちょっと考え事をしてて……」
「……何?」
「ほら、十年前にここで夢芽に告白したじゃん」
「うん、してくれたね」
今でもちゃんと覚えてるよ、と微笑む夢芽につい見惚れてしまう。
「……で、今になってさ、夢芽にとってこの場所って良い場所じゃなかったのかもって思っちゃてさ」
それでついため息をついてしまったと説明する蓬に夢芽は、何でも無いように微笑み言うのであった。
「確かに、ここは良い思いだけじゃなよ?けどさ、この場所もあの時間も、香乃と会えたあの瞬間も、全部があったから、蓬と付き合えたんじゃないかな」
「……そっか」
目頭が熱くなってくる。
「え、泣かないでよ」
「……泣いてないよ」
そう言って目を擦り、溢れる前の涙を拭う。
そんな蓬を見て、ふと夢芽は思いつたことを実行する。
「蓬、そこで止まって」
「うん?」
そう言われて蓬が足を止める。夢芽がそこから数メートル離れた場所まで歩き、蓬へと振り返る。
「麻中くん」
「え?」
急に名字で呼ばれたことに驚くが、懐かしさと恥ずかしさが込み上げてくる。
夢芽がしようとしていることが何か分かってしまったから。
「怪獣がいなくなっても、ダイナゼノンに乗らなくなっても、私は麻中くんと会いたい」
「好きです、付き合ってください」
夢芽が続けた言葉は、いつか蓬が夢芽へと告白した想いだ。
蓬は決して覆ることのない返事をしようと口を開けたまさにその瞬間、背後から二人を名を呼ぶ人物があった。
「よもぎぃぃぃぃ!ゆめぇぇぇぇぇぇ!」
聞き覚えのある声に、二人が声を揃えてその人物の名を呼ぶ。
「「ガウマさん!?」」
「わりぃ、遅くなっちまって」
そう言ってスーツ姿のガウマが二人の前に立つ。
「あっちの仕事との兼ね合いでな、ホントにスマン」
「いいですよ、ガウマさん」
「うん、来てくれただけでも嬉しいです」
先程の雰囲気をぶち壊したことには触れず、ガウマにお礼をする。
「渡すもんもあんま思いつかなくてな……これしか思いつかんかったわ」
そう言ってガウマは発泡スチロール箱を取り出す。箱には『北海道産本タラバガニ』とテープが貼ってあった。
蓬と夢芽はそれを見た瞬間、顔を見合わせ、大笑いしてしまう。
「そんな変だったか?スマン……」
「ガウマさん、違うんすっよ」
「そう、ちょっと思い出して」
ちゃんとガウマとお別れした日にくれた蟹を、家族で食べた話をする。
「だから、なんか懐かしくて」
「うん、ガウマさんありがとございます」
「……二人が良かったならそれでいいけどよ」
「そうだ、ガウマさん」
「ん?」
「俺達に贈る言葉くださいよ」
「うん、欲しい」
「贈る言葉って言ったってよ…」
そう言われ、ガウマは思いついた言葉を二人へと改めて贈ることにした。
「蓬!夢芽!」
「「はい」」
「この世の中には人として守らなきゃいけない物が三つある!」
「約束と、愛と――」
「「「賞味期限!!!」」」
つい声が合わさり、三人して笑う。そしてガウマが二人を抱き寄せる。
「結婚おめでとうな、蓬と夢芽なら大丈夫だ」
「ガウマさん、ありがとう」
「うん、ありがとガウマさん」
「なんかあったら言えよ、すぐ来てやるからな」
「今日、遅刻したのに?」
夢芽が意地悪を言う。
「今日、今からの約束だ」
「うん……ちゃんと守ってよ、ガウマさん」
しばらくして、離れた二人に対してガウマが別れを告げる。
「んじゃ、帰るわ」
「はい、また」
「また今度」
「おうよ」
そう言い残し、ガウマは背を向け去っていった。
去りゆくガウマを背に夢芽が呟く。
「私と蓬って、全部ガウマさんだったね」
「え、どゆこと?」
「ガウマさんが居なかったら、私達ここまで来なかったかなって」
「あー……かも?」
「で、蟹だし」
その言葉で、受け取った箱見つつまた笑いが出てくる。
そして夢芽が、はっと思い出す。
「そう言えば、私返事貰ってないんですけど!」
「いいじゃん、もう決まってるんだし」
「ダメ!やっぱり蓬の口からちゃんと聞きたい!」
「えー」
そんな他愛もないやり取りをしつつ、家へと帰るのであった。


女装をする四人

ボラー「おーい、きたぞー」
六花「あれ、ボラーさん…?」
マックス「全員いるぞ」ゾロゾロ
六花「わぉう……いらっしゃい……」
マックス「とりあえずコーヒーを頂こう」
六花「はーい」
ボラー「そういや、あいつとはどうなったんだよ?」
六花「え?」
マックス「裕太のことだ」
六花「あー……それは」
キャリバー「だ、男女の関係になったのか?」
ヴィット「ダイレクトに聞くね~」
六花「まぁ……はい」
マックス「詳しく聞かせてもらおう」ズイ
六花「えー……それはちょっと……」
裕太「六花ぁ、着たよー」
六花「裕太!今ダメ!」
ボラー「何だよwwwそれwww」
ヴィット「えwwwゴスロリ?www」
マックス「裕太……どうした、その格好は?」
裕太「え、六花に着てみてって…」
キャリバー「に、似合ってるぞ…ふっ…」
ボラー「キャリバーが笑うとかwww」
ヴィット「wwwwwwww」
ボラー「六花、この服まだあんの?」
六花「え、そこにありますよ」パシャパシャ
マックス「なんだ?着るのか?」
ボラー「あぁん?俺は何回か着せられてるからお前らのだれかだよ!」
マックス「残念だが、私に合うサイズはないようだな」
ヴィット「俺はパス~」
キャリバー「俺には、似合わないだろう…」
ボラー「ちっ!おい、新人!お前着ろよ」
レックス「え、俺っすか」
ボラー「こーゆのも新人の仕事だぞ」
レックス「……うっす」
六花「着替えるなら、奥どうぞ」パシャパシャ
レックス「スマン……」
しばらくして――
レックス「着替えてきました……」
ボラー「wwwwwwww」
ヴィット「wwwwwwww」
マックス「似合ってるじゃないか」
キャリバー「そうだな……ふっ……」
レックス「ありがとうございます……」
蓬「ガウマさん、似合ってますよ」パシャパシャ
夢芽「うん、似合ってます」パシャパシャ
レックス「蓬!夢芽!何でいるだ!?」
ボラー「やっぱ仲間は呼ばなきゃだよなぁwww」
レックス「~~~~~~~」
六花兄「六花、騒がしいんだけど何してるの?」
裕太「お兄さん!ちょっと助けてください!」
六花兄「裕太くん?何その格好……」
六花「……お兄ちゃんも似合いそうだね」パシャパシャ
夢芽「……分かります」パシャパシャ
六花「お兄ちゃんも着てよ」パシャパシャ
六花兄「え、嫌なんだけど……」
レックス「……俺達を救うと思って頼みます」
六花兄「え、誰?」
夢芽「蓬、ゴー!」パシャパシャ
蓬「……えと、六花さんのお兄さん?俺も着るんで諦めましょ…」
六花兄「何の解決にもなってないんだけど……」

こうしてジャンクショップ『絢』でゴスロリ衣装の男を4人への撮影会が始まるのだった。


裕太のお世話

「ほんと、気をつけてよね…」
「ごめん…」
裕太の右腕は、ギプスで固定され包帯で吊られていた。
体育の時間に骨折をしてしまった裕太を
「大丈夫なの、それ」
「うーん…多分?」
「ご飯とか食べれるの?」
「まぁスプーンとかで食べれるかなぁ」
「普段何食べてる?」
「シリアルとか」
「……今日って誰かいるの?」
「いないよ?」
「ちょっと待って」
ママに連絡をする。決めた、今日は裕太のお世話だ。
「裕太、買い物行くよ」
「え?」
今の裕太はほぼ一人暮らし状態と言っていいので、スーパーへ食材の買い物に行く。

「ただいま~」
「おじゃますまーす」
裕太の家に入り、キッチンへ行く。
「じゃぁ、ちょっと待っててね」
「うん」
買ってきた食材で料理を作る。
1時間程経っただろうか。ようやく料理が完成した。
「おまたせ~」
「すっごい美味しそう!」
「え~たまに作ってんじゃん」
「でもでも美味しそうだし」
「ありがと」
裕太を席に着かせ、その隣に座る。
「えと六花?」
「箸、使えないでしょ?何から食べる?」
「じゃぁ…」
裕太にご飯を食べさしてあげる。
「はい、あーん」
「あーん…」
裕太の左手は使えるんですけどと言う仕草は黙殺する。
こんな時でしか邪魔が入らず過ごせない。
少し照れがあるが、裕太以外に見られないので気にしない。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「六花は食べなくていいの?」
「んー帰ってから食べるしいいよ」
「…ごめん」
「私がしたいからしてるだけ。気にしないでいいよ」
「うん…」
「そんなに気にするなら、早く治しないよー」
「うん、分かった」
食器を片付ける。その間にお風呂を沸かす。
「そこまでしなくていいよ」
「自分で洗えないでしょ?」
「え?」

裕太の髪を洗う。
「どう?」
「気持ちいいです…」
「痒いところないですかー?」
「ないです…」
ゴシゴシと髪を洗いながら、裕太の背中を見つめる。
「…なんか変なとこ見てない?」
「……見てないよ」
「…大体、もう全部、見たじゃん…」
「…はい」
ちょっと恥ずかしい話しながら、照れと一緒に裕太の髪の泡を流す。
「じゃぁ先でるからね」
「うん、ありがと」
先にお風呂からでて、裕太を待つ。
明日も学校だから、そろそろ帰らなければならないけど…。
「…帰りたくないなぁ…」
そんなことを呟く。

「あがったよ~」
「ちゃんと髪、乾かしなよ」
そう言いつつ、タオルで拭いてあげる。
「また、明日の朝くるから」
「……うん」
少し声が暗い。
「じゃぁ帰るね?」
「…送るよ」
「えぇいいよ。お風呂入ったのに」
「でももう遅いじゃん」
「まぁそうだけど…」
送る送らないで、揉める。
「お兄ちゃんに迎えてきてもらうね、それでいいでしょ?」
「…うん」
イマイチ納得してくれてないようだけど、一番いい解決案だ。
お兄ちゃんに事情と裕太の家の住所のメッセージを送る。
『分かった』と簡素な返事が返ってくる。
「お兄ちゃん来てくれるから、送りは大丈夫」
「うん…」
三十分は経っただろうか、チャイムの音が鳴る。
インターフォンを確認すると、お兄ちゃんが立っていた。
「来てくれたみたいだし、帰るね」
「うん、ありがと」
玄関まで、裕太が送ってくれる。
「じゃぁ明日ね」
「うん」
あぁ帰りたくないなぁ。そう思い玄関を開ける。
「お兄ちゃん」
「あぁ、持ってきたぞ」
「持ってきた?」
お兄ちゃんの言っている意味が分からない。
「ほら、母さんから」
バックを手渡される。
「お泊りセットだとさ」
「え?」
「響くんの面倒見るんだろ?」
「いや、帰るから迎えにきてほしかったんだけど」
「母さんから、絶対泊まってけ許可するだってさ」
「……えと」
「今更だけど、ほどほどにな」
「……はい」

次の日、私と裕太は揃って遅刻するのであった。


夢芽が人として守るべき物

ガウマ「いいか、夢芽。人として守るべき物が三つある!」
夢芽「約束と愛と蟹でしょ?」スマホパシャパシャ
ガウマ「違う!賞味期限だ!」
ガウマ「…夢芽が人として守るべき物が三つある!」
夢芽「私が人として…?」スマホパシャパシャ
ガウマ「俺を拘束しない、女装させない、写真取らない、だ!」
夢芽「私、恋愛怪獣ユメラなんで人じゃないです」スマホパシャパシャ
ガウマ「蓬!インドミだ!ユメラを掴め!」
蓬「…俺じゃ無理です、ガウマさん。夢芽が飽きるまで女装コス付き合ってください…」
ガウマ「よもぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」


ヨモギヤンデル

蓬「夢芽、今日どこ行ってたの?」
夢芽「え……鳴衣とカラオケだけど……」
蓬「俺に連絡も無しで?3時間も?」
夢芽「スマホの充電無くなってちょっと忘れちゃって」
蓬「鳴衣さん、俺の連絡先知ってるから借りればよかったよね?」
蓬「鳴衣さんと一緒じゃなかったから、借りれなかったんじゃない?」
夢芽「それは違うって、蓬から鳴衣に連絡してもいいから」
蓬「ふーん」
プルルルルルルル
鳴衣『蓬くん、何?』
蓬「鳴衣さんって今日何してました?」
鳴衣『夢芽さんとカラオケ行ってたけど、もしかしてまだ帰ってないとか?』
蓬「ちょっと連絡つかなくて」
鳴衣『あ、でもカラオケ入った時にスマホの充電切れてたから、そのせいかも?』
蓬「あぁそっか」
鳴衣『夢芽さんの家のほうに連絡しておこっか?』
蓬「俺その辺見てくるんで、もしなんかあったらお願いするかも」
鳴衣『おっけ、ウチも一応メッセージ送っとくね』
蓬「ゴメン、ありがと」
鳴衣『見つけたら連絡頂戴、叱るから』
蓬「ありがとうござます、お母さん」
鳴衣『お母さん言うなし、じゃね』ピッ
蓬「……ちゃんと鳴衣さんとカラオケ行ってたね」
夢芽「だからそう言ったじゃん」
蓬「次からはちゃんと連絡してよ」
夢芽「……うん、分かった」

この状態の蓬はちょっと面倒だなぁと思いつつ、愛されている実感をする夢芽であった。


結婚式の後で

「すっごい盛り上がったね」
「そだね」
夢芽と蓬が手を繋ぎ、いつもの河川敷を歩く。
今日は二人の結婚式だったのだ。
つい先程まで、親しい友人達との二次会だったが、それがお開きとなりアルコールの酔いと熱を冷ます為に散歩にきたのだった。
結婚式でも夢芽が『私の第ニのお母さん』と銘して鳴衣への手紙を読み二人して大号泣したり、ブーケトスをせずに直接六花へブーケを渡し夢芽が裕太へ指を突きつけたりとしたのだ。
そんな今日の話題と、今までの――この十年を皆で語り明かしていたのだ。
「ここも思い出の場所だね」
「うん」
吹く風が今の二人には心地いい。
蓬は思い出す。十年前ここで夢芽に告白をしたことを。
あの時は、ただ自分の思いを伝えるのに必死で、夢芽にとってこの場所がどんな場所であるか考えていなかった。
そんなことを考えていると、ついため息がでてしまいった。
「新婦と歩いてため息ってどう言うこと?」
それも結婚式のその日の夜にと、夢芽に突っ込まれる。
「ちょっと考え事をしてて……」
「……何?」
「ほら、十年前にここで夢芽に告白したじゃん」
「うん、してくれたね」
今でもちゃんと覚えてるよ、と微笑む夢芽につい見惚れてしまう。
「……で、今になってさ、夢芽にとってこの場所って良い場所じゃなかったのかもって思っちゃてさ」
それでついため息をついてしまったと説明する蓬に夢芽は、何でも無いように微笑み言うのであった。
「確かに、ここは良い思いだけじゃなよ?けどさ、この場所もあの時間も、香乃と会えたあの瞬間も、全部があったから、蓬と付き合えたんじゃないかな」
「……そっか」
目頭が熱くなってくる。
「え、泣かないでよ」
「……泣いてないよ」
そう言って目を擦り、溢れる前の涙を拭う。
そんな蓬を見て、ふと夢芽は思いつたことを実行する。
「蓬、そこで止まって」
「うん?」
そう言われて蓬が足を止める。夢芽がそこから数メートル離れた場所まで歩き、蓬へと振り返る。
「麻中くん」
「え?」
急に名字で呼ばれたことに驚くが、懐かしさと恥ずかしさが込み上げてくる。
夢芽がしようとしていることが何か分かってしまったから。
「怪獣がいなくなっても、ダイナゼノンに乗らなくなっても、私は麻中くんと会いたい」
「好きです、付き合ってください」
夢芽が続けた言葉は、いつか蓬が夢芽へと告白した想いだ。
蓬は決して覆ることのない返事をしようと口を開けたまさにその瞬間、背後から二人を名を呼ぶ人物があった。
「よもぎぃぃぃぃ!ゆめぇぇぇぇぇぇ!」
聞き覚えのある声に、二人が声を揃えてその人物の名を呼ぶ。
「「ガウマさん!?」」
「わりぃ、遅くなっちまって」
そう言ってスーツ姿のガウマが二人の前に立つ。
「あっちの仕事との兼ね合いでな、ホントにスマン」
「いいですよ、ガウマさん」
「うん、来てくれただけでも嬉しいです」
先程の雰囲気をぶち壊したことには触れず、ガウマにお礼をする。
「渡すもんもあんま思いつかなくてな……これしか思いつかんかったわ」
そう言ってガウマは発泡スチロール箱を取り出す。箱には『北海道産本タラバガニ』とテープが貼ってあった。
蓬と夢芽はそれを見た瞬間、顔を見合わせ、大笑いしてしまう。
「そんな変だったか?スマン……」
「ガウマさん、違うんすっよ」
「そう、ちょっと思い出して」
ちゃんとガウマとお別れした日にくれた蟹を、家族で食べた話をする。
「だから、なんか懐かしくて」
「うん、ガウマさんありがとございます」
「……二人が良かったならそれでいいけどよ」
「そうだ、ガウマさん」
「ん?」
「俺達に贈る言葉くださいよ」
「うん、欲しい」
「贈る言葉って言ったってよ…」
そう言われ、ガウマは思いついた言葉を二人へと改めて贈ることにした。
「蓬!夢芽!」
「「はい」」
「この世の中には人として守らなきゃいけない物が三つある!」
「約束と、愛と――」
「「「賞味期限!!!」」」
つい声が合わさり、三人して笑う。そしてガウマが二人を抱き寄せる。
「結婚おめでとうな、蓬と夢芽なら大丈夫だ」
「ガウマさん、ありがとう」
「うん、ありがとガウマさん」
「なんかあったら言えよ、すぐ来てやるからな」
「今日、遅刻したのに?」
夢芽が意地悪を言う。
「今日、今からの約束だ」
「うん……ちゃんと守ってよ、ガウマさん」
しばらくして、離れた二人に対してガウマが別れを告げる。
「んじゃ、帰るわ」
「はい、また」
「また今度」
「おうよ」
そう言い残し、ガウマは背を向け去っていった。
去りゆくガウマを背に夢芽が呟く。
「私と蓬って、全部ガウマさんだったね」
「え、どゆこと?」
「ガウマさんが居なかったら、私達ここまで来なかったかなって」
「あー……かも?」
「で、蟹だし」
その言葉で、受け取った箱見つつまた笑いが出てくる。
そして夢芽が、はっと思い出す。
「そう言えば、私返事貰ってないんですけど!」
「いいじゃん、もう決まってるんだし」
「ダメ!やっぱり蓬の口からちゃんと聞きたい!」
「えー」
そんな他愛もないやり取りをしつつ、家へと帰るのであった。


女装をする四人

ボラー「おーい、きたぞー」
六花「あれ、ボラーさん…?」
マックス「全員いるぞ」ゾロゾロ
六花「わぉう……いらっしゃい……」
マックス「とりあえずコーヒーを頂こう」
六花「はーい」
ボラー「そういや、あいつとはどうなったんだよ?」
六花「え?」
マックス「裕太のことだ」
六花「あー……それは」
キャリバー「だ、男女の関係になったのか?」
ヴィット「ダイレクトに聞くね~」
六花「まぁ……はい」
マックス「詳しく聞かせてもらおう」ズイ
六花「えー……それはちょっと……」
裕太「六花ぁ、着たよー」
六花「裕太!今ダメ!」
ボラー「何だよwwwそれwww」
ヴィット「えwwwゴスロリ?www」
マックス「裕太……どうした、その格好は?」
裕太「え、六花に着てみてって…」
キャリバー「に、似合ってるぞ…ふっ…」
ボラー「キャリバーが笑うとかwww」
ヴィット「wwwwwwww」
ボラー「六花、この服まだあんの?」
六花「え、そこにありますよ」パシャパシャ
マックス「なんだ?着るのか?」
ボラー「あぁん?俺は何回か着せられてるからお前らのだれかだよ!」
マックス「残念だが、私に合うサイズはないようだな」
ヴィット「俺はパス~」
キャリバー「俺には、似合わないだろう…」
ボラー「ちっ!おい、新人!お前着ろよ」
レックス「え、俺っすか」
ボラー「こーゆのも新人の仕事だぞ」
レックス「……うっす」
六花「着替えるなら、奥どうぞ」パシャパシャ
レックス「スマン……」
しばらくして――
レックス「着替えてきました……」
ボラー「wwwwwwww」
ヴィット「wwwwwwww」
マックス「似合ってるじゃないか」
キャリバー「そうだな……ふっ……」
レックス「ありがとうございます……」
蓬「ガウマさん、似合ってますよ」パシャパシャ
夢芽「うん、似合ってます」パシャパシャ
レックス「蓬!夢芽!何でいるだ!?」
ボラー「やっぱ仲間は呼ばなきゃだよなぁwww」
レックス「~~~~~~~」
六花兄「六花、騒がしいんだけど何してるの?」
裕太「お兄さん!ちょっと助けてください!」
六花兄「裕太くん?何その格好……」
六花「……お兄ちゃんも似合いそうだね」パシャパシャ
夢芽「……分かります」パシャパシャ
六花「お兄ちゃんも着てよ」パシャパシャ
六花兄「え、嫌なんだけど……」
レックス「……俺達を救うと思って頼みます」
六花兄「え、誰?」
夢芽「蓬、ゴー!」パシャパシャ
蓬「……えと、六花さんのお兄さん?俺も着るんで諦めましょ…」
六花兄「何の解決にもなってないんだけど……」

こうしてジャンクショップ『絢』でゴスロリ衣装の男を4人への撮影会が始まるのだった。


win-win-win

「ねぇ六花、響くん貸してくれない?」
「え、言っている意味わかんないんだけど……」
「六花って、響くんと付き合ってるでしょう?」
「まぁ……うん」
「最近うっとおしい人が多くてさー、響くんにニセの恋人役をしてほしいんだ」
「あー……そんな感じなんだ」
「響くんだったら安全だいしねー」
「裕太に聞いてからね」
「六花、ありがとー」
そうして、私はアカネと裕太のところへ向う。
裕太に事の事情を説明する。私的には受けてあげてほしいけど受けてほしくない気持ちがある。
「うん、新条さんが困ってて、俺にできることならいいよ」
「わ、ありがとー響くん」
「けどけど、俺の彼女は六花だからね」
「分かってるよー。じゃ今日は一緒に帰ろうね、裕太くん」
「え、あ、はい……」
突然の名前呼びに困惑しつつ、ドギマギした態度が出たせいか六花の視線が痛い。
こうして、裕太はニセ彼女アカネと本命彼女六花の間に挟まれた生活を開始するのであった。

その日の放課後。
「じゃ、帰るよ裕太くん」
教室内がざわつく。響裕太は宝多六花と付き合っていたのに、何故アイドル的存在の新条アカネが声を掛けているのかと。
「うん、新条さん」
「違うでしょ、裕太くん」
「え?」
「彼氏彼女の関係なんだから、名前で呼んでくれないと」
「えと、アカネさん……」
「そうそう」
満足気にうなずくとアカネは裕太と腕を組み、教室を出ていったのだった。

次の日。
「裕太、帰るよ」
教室内がざわつく。響裕太は昨日、新条アカネと腕を組んで帰っていたはずだ。宝多六花とは別れたのではないのかと。
「うん、六花」
六花はすっと裕太と腕を組み、教室を出ていったのだ。

そのまた次の日。
「裕太くん」「裕太」
「「一緒に帰るよ」」
教室内がざわつく。響裕太は二股をしていたのかと。
「え、でも……」
「アカネ、偽物の彼女なんだから自重してよね」
「六花、親友の困りごとの解決に手伝ってくれないんだね」
「もう十分じゃない?」
「まだ一日しか一緒に帰ってないから」
「二人とも!腕引っ張らないで!痛い!痛いよ!」
「アカネ、離してよ」
「六花こそ離しなよ」
「三人で帰ろうよ!」
裕太の言葉で、二人はそれぞれ腕を組み、教室を出ていったのだ。

「ねぇアカネさん、これっていつまでやるの?」
「まだ2回目じゃん」
「アカネ、ホントにその迷惑な人っているの?」
「……なんか急に見なくなかったね」
「私の目を見て、アカネ」
「……」
「え、アカネさん嘘付いたの?」
「……だって六花が私より裕太くんと一緒にいる時間がながいじゃん」
「だったら、最初からそう言いなよ」
「じゃあ俺が悪かったんだね……ゴメン、アカネさん」
「ううん、裕太くんは悪くないよ、全部私が悪いから」
「ちょっとちょっとアカネ、裕太と見つめ合わないで」
「……っち」
「アカネ、今舌打ちした?」
「する訳無いじゃん」
「だよねー、裕太こっち向いて」
「うん」
六花は自分のほうへ顔を向けた裕太の唇に自分の唇をそっと重ねた。
「え、え?」
「裕太はちゃんと誰のモノだか覚えさせないとね」
「ふーん六花、そんなことするんだ」
「やっぱり狙いは裕太なんだね」
「六花のこともホントだけど、まぁちょっとはその気持もあったかな」
「ふーん……」
「ねぇ六花、裕太くんを共有財産にしない?」
「「え?」」
「私は六花との時間も増えて、裕太くんとも仲良く出来る」
「六花も私との時間が取れるし、裕太くんは美女二人と一緒にいれるんだよ」
「win-win-winじゃん」
「うーん……それもそっか」
「え、受け入れるの六花?」
「まぁアカネだったらいいかなって……」
「裕太くん、今日から覚悟しなよ~❤」
「えー!ちょと六花ぁ……」
「三人でってのもいいかもね…‥頑張ろ裕太❤」
「……はい」

拒否権のないことを悟った裕太は、六花とアカネの愛を一身に受けるのでした。


Change Myself

内海、はっす、なみこがジャンクショップ『絢』でドリンクを飲んでいた。
「ウチじゃなくてもよくない?」
エプロンを付けた六花が三人に向かって、ぼやく。
「いや~……っね!」
「まぁほら、あれだよ」
「まぁまぁ六花さん、俺らもたまには売上に貢献したいっていうか」
この三人が、ここに来た理由はなんとなく察するが、できれば帰ってほしい。
もうすぐ私の常連客が訪れるのだ。やっぱり二人っきりで会いたい。
「おじゃましまーす」
三人との雑談で、常連客の訪れに気が付かなかった。
「いらっしゃい」
私の常連客である、裕太を向かい入れる。
「おうおう、私達のときと扱いが違うんじゃねーか?」
「そーだ!そーだ!六花はウチらと差をつけるんだ!」
なみことはっすが、裕太への対応に茶々を入れる。思った通り、これが狙いだったのだろう。
ただ、内海くんは黙ってコーヒーを飲んでいる。多分二人……はっすに引っ張られてきただけなんだろう。
はっすも内海と二人っきりになればいいのに。
なみことはっすが茶化すなら、こっちにだって手段がある。
「毎日来てくれる人とたまーーーにしか来ない人達だったら、当然だよね」
「客で差をつけるなー!」
「横暴だー!」
二人は文句を言うが、お店にもお客さんを選ぶ権利がある。なにより特別な私のお客様だ。
そんな言い合いをしている間に、裕太が席につく。
「裕太も何か飲む?」
「えと、いっつも出してくれるのがいいな」
裕太の注文に、躊躇いが生まれる。材料もあるのだけど今はダメだ。今だけは作ってあげることが出来ない。
「今日は、ちょっと無理かな~」
どうしても目が泳いでしまう。私は嘘を付くのが苦手だし下手だ。特に裕太相手だと。
「え、そっかぁ……」
好きだから残念だなぁと小さく零し、しゅんとしてしまう裕太を見て心がずきりと痛む。
そんな私と裕太のやり取りを見ていた三人がバツ悪そうな感じになる。
「あー、俺甘いもの食べたくなったな!ドーナツ食いにいかね?」
わざとらしい言い回しで、内海くんがなみことはっすを誘う。
「お、いーね」
「内海の奢りなー」
二人もそれに乗っかるように、いそいそと立ち上がる。
「じゃ、六花そういう事で~」
「じゃあね~」
騒がしい空気が無くなり、いつものジャンクショップに戻る。
「……みんな、行っちゃったね」
「……だね」
一瞬のような出来事に、イマイチついて行けていない裕太の言葉に同意する。
「……でも、六花とだけになれてちょっと嬉しいかも」
「ちょっとしか嬉しくないんだ」
「違、違う!ちょっとじゃないです!すっごい嬉しいです!」
「声おっきいから!分かったから!」
「ご、ごめん……けど嬉しいのはホントです……」
「うん、ありがと……私も嬉しいよ」
そう言いながら、裕太に背を向けあるものを作る。
何度も、何回も作ったものだ。それも裕太の為に。
数分後、ドリンクを裕太の前に置く。
「六花、これ……」
裕太の前には、青くきらめく炭酸ジュースをベースにバニラアイスクリームと紅いさくらんぼが乗っている。
ジャンクショップ『絢』での夏季限定メニューだ。それを知っているのはごく僅かな人だけだが。
「ほら、ホントは今の季節出しちゃ行けないから」
実のところ、そんなことはない。ただ夏季にだけメニューに載ってるだけで実際はいつでも頼めるのだ。
ジャンクショップ『絢』はそんな格式張ったりしていないのだ。
これは、私の我儘だ。
大切な人の為に、私が考えたドリンクメニュー。
ホントは裕太だけに出したいけれど、それはちょっとママにも言えない。だから限定メニューにしている。
「あ、ありがとう六花」
「どういたしまして」
私にお礼を言って、コクコクとドリンクを飲みだす。
彼と同じ目をした炭酸水の泡が弾けている。
私が苦手なものだけど、裕太が一歩進んでくれたように私もちょっとでも変わっていきたい。
そんな想いを込めたドリンクを飲む裕太を、私はただ見つめるのだった。


妹と彼氏

「こんにちは~」
俺が店番をしていると、入口から声が聞こえて来た。
「いらっしゃい……って君は──」
入口に立つ赤毛の少年。つい先日、店も閉まっているに押し掛けて来た少年だ。
あの時、カウンターの傍らにある中古パソコンの前に来て何かをしていた気がするが、思い出せない。
記憶を掘り起こす前に少年から自己紹介と目的を聞かされる。
「俺、響裕太って言います。えと六花──さんって居ませんか?」
「六花?多分居るよ。ちょっと待ってて」
少年を見て思う。友人ではなく彼氏なんだろう。
贔屓目に見ても六花は整っている顔立ちだし、モテるほうだと思うが、家まで来た男友達ってのは俺の知る限りいなかった。
家の中に戻り、六花の名を呼ぶ。
「何、お兄ちゃん」
「ちょっと店まで来てくれ」
「すぐじゃないとダメ?」
「出来れば早い方がいいな」
「わかった」
響くんが来たとは言わない。だって面白そうだしな。
そのまま俺は店へと戻る。
「もうちょっとで来るから待ってて」
「はい」
カウンター近くで立ったままの彼に椅子に座るように促す。
「なんか飲む?」
ここも一応は喫茶店である。六花がどれくらいで来るか分からないが飲み物を飲む時間くらいあるはずだ。
「えと、じゃあコーヒーで」
「ホット?アイス?」
「アイスでお願いします」
オーダーを受け、キッチンへと背を向ける。
気まずいのだろうか。そわそわしているのが見ていなくとも分かる。
互いに無言のまま、淹れたコーヒーを差し出す。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
ブラックのまま飲もうとする彼に、ミルクとガムシロップも提供する。
「好みで入れてくれていいから」
「……はい」
気恥ずかしそうにしながら、ミルクとガムシロップを入れる。
彼がミルキーブラウンのコーヒーを飲み終わる頃に六花が現れた。
「来たよ、お兄──って裕太いるじゃん」
「だから、早めに来てって言ったろ」
「裕太が来てるって聞いてないし。てか裕太も着いたら直接連絡してよ」
「……ごめん」
「言っとくけど別に怒ってないからね。悪いのはお兄ちゃんだし」
「はいはい」
六花は俺への文句を言いながら響くんの手を取り、家に中に戻っていく。
響くんが飲み終えたグラスを片付けていると六花が戻ってきた。
「……勉強するだけだからね」
「いちいち言わなくてもいいだろ」
グラスに刺さっていていたストローのコーヒーをサッと拭き取り六花へ渡す。
「何?捨てろってこと?」
「響くんがさっきまで使ってたヤツ。洗ってないから立花が使うだろ?」
「お兄ちゃんのバカ!」
そうは言いながら、ストローはしっかりと持っていくあたり実に分かりやすい妹だ。
その姿を見て、くっくっくと笑いが込み上げて来るのだった。

店仕舞いもして、夕飯の時間。
母さんと六花が、響くんに夕飯を食べていくようにと説得をしている。
なんでも彼のご両親が出張で、実質一人暮らしのような状態らしい。
俺が居ることが気まずいのか遠慮をしているのか分からないが、助け舟を出してやろう。
「響くん、母さんのことだからもう四人分用意してあるはずだし、食べていきなよ」
さすがの彼もこの言葉で夕飯を食べることにしたのだった。

「すっごく美味しいです!」
ハンバーグを食べる響くんが、満面の笑みで母さんに感想を告げる。
「それ、私が作ったから」
六花が、その感想を言う相手を訂正させる。
「六花の手作りなの?六花、天才だよ!」
「いやいや普通だし。まだあるからいっぱい食べてね」
「うん!」
母と兄がいようがお構い無しのラブラブっぷりだ。二人だけの世界とはこう言う状況なんだろうなと知見を得た気分だ。
そして俺の皿には、黒い物体がある。
母さんが哀れんだ目を向けるが、黙って食す。今の俺は何を口にしてにも甘く感じるはずだろうから。

六花のお手製ハンバーグに満足した響くんは皿洗いを申し出た。
母さんは出来た息子だと褒め、今は六花と二人皿洗いをしている。
「じゃあ、帰るな」
「あんら、もう?」
「だって響くん泊まるんだろ?」
「分かってるわねー。正解!」
「だったら俺が居ない方がいいだろ」
俺が使っていた部屋で寝るにしろ、六花の部屋で寝るにしろ、だ。
「やーね、気なんか使って」
「気を使うってか、なんかさぁ……」
「お兄ちゃんが言いたいことは分かる」
「だから、私も今日はお兄ちゃんとこ泊めて」
母さんは、二人っきりにしようと考えたようだ。
「いいの?」
「遅いか早いかよ」
確かにあの二人を見ていれば、なんの確証もない確信が生まれる。
「しょうがない。妹と義弟のためだな」
「お兄ちゃんも頑張りなさいよー」
「母さんが、泊まり来るうちは無理じゃない?」
そう肩をくすめて、俺は母さんがこちらに泊まる為のの準備をする。
この後、二人っきりの夜になると知った二人の顔を思い描くと、母さんに似た笑いが零れるのだった。


六花の日記

「先に部屋で待ってて」
六花にそう言われて、部屋に入る。
何度か訪れた六花の部屋だけど、入る度にドキドキする。
部屋に入り、いつもの場所に座ろうとする。その時にふと目についた物があった。
勉強机に開かれたたまま置かれたノート。
何のノートか気になったのか、魔が差したのか、裕太はそのノートの中身を見てしまった。
開かれたページには、六花の可愛らしい綺麗な文字が並んでいる。
そして昨日の日付と出来事が書いてあった。
「これ、日記だ……」
見てはいけないと思いながらも、どうしても好奇心が勝ってしまった。
「六花、ゴメン……!」
ちょっとだけなら、とページの文字を読む。
『今日も裕太とお昼を一緒に食べれた。私の作ったお弁当を毎回、美味しい美味しいと食べてくれる。』
『揚げすぎた唐揚げだったはずだったけど、裕太は六花が作ってくれたんだから美味しくないはずがないって言う。』
『明日は何がいいって聞くと、六花が作るなら何でもって言う。何でもは困るってママがよく言うけど、気持ちがわかった。』
『けど、裕太の為に何を作るのか考えるのは嫌じゃない。』
他には、ゆうた♡ゆうた♡ゆうた♡と名前が沢山書いてあったり、何を作るかのメモ書きのようなものあった。
読んでいて罪悪感と恥ずかしさで、ノートから目背ける。
「うあぁ……」
自分の言っていたことが、文章で書かれているとは思いもしなかった。
そして、こんなにも恥ずかしいことだったとはもっと思っていなかった。
「これからは、考えて話そ……」
ノート閉じ、六花が来るまでに本日の目的である勉強の準備を始めよとする。
が、ふと思い立ってしまったことがある。
六花は、この日記をいつから付けているのだろうか。昨日の日付は、ノートの後ろから開いたほうが早いくらいの位置である。
もし六花が何ヶ月も日記を書き続けていたら……。
ダメなことと分かっていても確かめたかった。
あの日、グリッドマンが俺に宿った日のことを。六花の家の前で、何をしようとして、何を告げたのか。
今になっても六花はそれを教えてくれないし、俺も聞こうとしなかった。
だからこそ知りたい。その想いでノートを手に取った瞬間──。
「……裕太」
「ひゃい!」
背中から、六花の冷たい声で名を呼ばれる。
「……読んだの?」
「ごめんなさい……昨日のページだけ読みました……」
「……そう」
六花が背中から抱きつく形で、密着してくる。
「り、りっか……!」
「今、絶対こっち向かないでよ」
「は、はい」
嬉しさと恐ろしさで、心臓が破裂しそうだ。
「ホントにゴメン。怒ってるよね……?」
「怒ってないけど……」
「けど?」
「今、めっちゃ恥ずかしいから、こっち見ないで……」
「う、うん」
六花に本当に悪いことをしてしまった。嫌われても仕方ないだろうと思うと、涙が出てきてしまった。
六花の心の秘密を、無下に扱ったも当然だ。
泣き声が六花に聞こえないように、声を殺すがすぐに気が付かれてしまう。
「え?何で裕太が泣いてんの?」
「だって……俺、六花の、りっかのぉ……」
「ちょっと怒ってないから!大丈夫だって!」
六花の声に呆れた感情が混じっているが、そんなことには気がつけない。
泣き止まない裕太に、六花は最終手段を取ることにした。
くるりと裕太を自分の方へ向け、沈む顔を両手で上げ、そのまま唇を奪う。
突然の出来事に、目を丸くした裕太だったが、すぐに六花の想いに応える。
ほんの一呼吸分のキスだったが、それで十分だった。
「恥ずかしかっただけだから、怒ってないよ」
「……ほんっとゴメン」
「……他のページも読みたかったの?」
「あの日のこと、知りたかったんだ……」
そう告げると、六花は少し不機嫌そうな顔した後に、子供のような笑みで答える。
「それだけはダメ。もう私だけの秘密」
ノートを引き出しの中へしまい込んで、勉強を始めようと促す。
「裕太が思い出したら、見せてあげる」
俺は初めてグリッドマンを、ほんのちょっとだけ恨んだかもしれない。


はっすの決心

『遊びにいこーぜ』
なみこからのメッセージを受け、特に予定も無かった私は、OKの返事をする。
駅前で集合し、お互い目的も無く街中をぶらぶらしながら歩いていると、見慣れた姿の男が視界にちらりと入った。
内海だ、すぐに分かってしまうことに何の疑問も持たず、ちょっかいを掛けようとそちらに近づこうとするが、足が止まってしまった。
内海の隣には、大学生くらいと思える女性がおり、何やら楽しげに会話をしている。
そんな顔もするのかとか、何でそんなに親しげなんだとか、色々なことががぐるぐると渦巻く。
思考が渦巻いたせいで歩みを止めていら、二人はそのままどこかに歩いていってしまった。
胸の奥のほうが、きゅうっと締め付けられるようなそんな気持ちになる。
「はっす、気分悪いん?」
歩みを止めた私に、なみこが声を掛けてくれるが、上手く返事ができそうにない。
「え、何か顔色めっちゃ悪いんだけど」
「……まじ?」
先程の光景は、思いもしないほどのダメージを与えていたようだった。
とりあえずスタボで休憩しよう、となみこに言われ店へと入る。
「大丈夫?」
「多分。人混みに酔ったかも」
「そっか」
適当な理由になみこは特に追求しなかった。
頼んだフラペチーノの口にするが、その甘さが苦く感じる。
ストローで甘い苦さを吸い上げる度に、思い知る。
あぁ、私は……。
「ちょちょちょ!はっす、マジで大丈夫?」
「え?」
気づかない内に、涙が零れていた。
隠していたつもりも無いし、重ねていたつもりでもない。けれど、私の中で『それ』は零れるほどにまでなっていたのだ。
ただきっと、気が付かないふりをしていただけなのだ。
ゴミが入っただけだからと、心配するなみこを宥める。
拭う涙と共に、決心する。
始まりもしなかった『それ』にちゃんと終わりをあげようと。
悪いとすれば、遅すぎた私だ。
あいつは、六花を想い過ぎる響ではないし、私は待ち続けれるほど六花でもない。
どこかで期待していたのかもしれない。親友が実らした恋と同じような『それ』を。
苦味の消えたフラペチーノの飲み切って、なみこに言う。
「おし、カラオケ行こう」
ちゃんと、全てを吐き出せるように。

「おはよう、はっすさん」
「ん、おはよ」
響が挨拶をしてくる。隣の席なので挨拶くらいはするが、六花のこともあり前より話すようになった。
「はっすさん、何か元気ないね」
「そう?昨日カラオケで歌いすぎたせいかも」
「そうなの?」
「そうそう」
響は成績は良くない。いや、悪い。けれど妙に確信を付いたりしてくるので扱いに困る時がある。
「あ、そうだ。はっすさんも気をつけてね」
「何が?」
「内海が昨日ね、ウルトラシリーズのオモチャを買いに出かけたら、女の人に声をかけられたんだって」
「……ほーん」
「んで、すっごい話が盛り上がって、ファミレスで話ししましょう!って誘われたんだって」
私は無言で頷き、話の続きを静かに待つ。
「お店に入ったら、十分もしない内に壺買わないととか宇宙の呼吸が~とか色々言われたみたいなんだ」
思わず吹き出した。昨日の光景は、宗教勧誘かキャッチセールスの類だったのだ。
「でね、内海、急いで逃げ出したらしいよ。しかも通算ニ回目だったんだって」
あいつは、そんなのにニ回も引っかかってるのか。勉強は出来るバカとはこのことだな。
「だから、はっすさんも気をつけたほうがいいよ」
「分かった。ありがと」
響の話を聞いて、決心が鈍ってしまった。だけど気持ちは楽になった。
今まで気が付かないふりをしていた気持ちに目を向けたことは悪いことじゃない。
変わらないと思っていた日常と関係を、少し変わった私が変えていく。
手始めに、さっきの話をネタに昼休みに絡みに行こう。
今日から始める『それ』にちゃんと始まりをあげようと。


憧れは簡単に口にしない

「コーヒーが──美味い……」
秋と冬との境目の夜風を受けて、将が呟く。
手にしているのは、ただの缶コーヒーだ。別に限定品とかでもなく、いつでもどこででも買えるやつだ。
「……こんなことしたかったん?」
将からドライブに行こうと誘われて、内心かなり喜んだが、今は二人で高速道路の寂れたサービスエリアに居る。
「いいか、はっす。大抵の男は、夜のサービスエリアでコーヒーを飲むことに憧れがあるんだよ」
「ウチはそんなこと聞いたこと無いけど」
「憧れってのは簡単に口にしないもんだからな」
「……ほーん」
私も缶コーヒーを飲む。妙な甘ったるさが口に広がる。
「てか、一人でこいよ」
「折角、車買ったし一緒に来たかったんだよ」
不意打ちもいいとこだ。本人は何とも思ってないように言っているようなのが、よけいに苛つく。
響も大概だったけど、コイツも大概アレだ。
夜だから、人気がないからといってマスクを先に外していなくてよかった。
「それに、最初に乗ってもらうなお前しかいないしな」
ほんっっっっとに、コイツは──。一回どついた方が良いと思い、将のほうを向くと、顔が真っ赤に染まってた。
「照れてまで言うことかよ」
脇腹に軽いパンチを入れる。別に痛くもないだろうに将が、うぐとわざとらしく声をあげる。
「いや、照れるし!」
「マジ顔で言われてたらウチは危なかったわ」
「え、マジ?」
「今のナシ。聞かなかったことにして」
「ちょー聞いた。めっちゃ聞いた」
昔から変わらないふざけ合いをする。六花達にはイチャついてると指摘されるが、そんなことはない。
どこをどう見て、イチャついているのか、一度しっかり説明してもらいたいものだ。
「まぁでも、一緒に来たかったのはマジな」
「……ん、誘ってくれてありがと」
「彼女とドライブデートするのは、男の憧れだからな」
「憧れは簡単に口にしないんじゃないんかよ」
「現実できたからいいんだよ」
「なんだ、その理論」
良いムードだったが、一瞬で瓦解する。いつものことだが、このやり取りを嫌いになりきれない。
「星が綺麗じゃんか、いい光景だろ?」
夜空を見上げると、確かに星が綺麗だ。けど月も出ているんだから、言うならそっちだろと突っ込みたい。
「……月も綺麗じゃん」
だから、私から告げる。どうせコイツは知らんだろうからスルーするだろう。
「寒くなったからなー」
やっぱりそうなるよなぁと落胆する。期待するほど無駄だったのだ。
「でも、まぁお前と見るから綺麗だと思うよ」
そう、くるのか。やっぱりコイツは大概だ。
「……分かって言ってる?」
「……さぁ」
「ちゃんと言えば、キス──」
「分かっています、はい」
「早えよ」
「して欲しいじゃん」
「はいはい」
唇を重ねる。ムードも何も無い。
あるのは、将への恋心だけだ。
「……長い」
「……彼女と夜のサービスエリアでキスするのは男の憧れだからな」
「ウチはそんなこと聞いたこと無いけど」
「憧れってのは簡単に口にしないもんだからな」
「でも現実になったろ?」
「……素敵な彼女のお陰だからかな」
私は、恥ずかしい事を言い放つ将の口をもう一度塞ぐのであった。


ぬいぐるみ

「じゃーん」
夢芽が取り出したのは、夢芽と六花さんのイラストがプリントされているぬいぐるみだ。
「かわいい!」
「さすが裕太さん。素晴らしい感想です」
ぬいぐるみを見た瞬間、裕太の考えは口から出いていた。
「私のぬいぐるみを蓬に。六花さんのはもちろん裕太さんにあげます」
「いいの!? ありがとう!」
「……うん、ありがと」
どうしよう。俺は裕太ほど喜べない。夢芽のことだ。何か裏があるかと思ってしまう。
受け取ったぬいぐるみを揉んでみる。中に機械の類はなさそうだ。
「蓬、そんなことしたら可愛そうだよ」
「え? あぁちょっと硬さが気になったから」
「そこまで再現はしてないよ蓬。それは本物でいいからね」
「蓬って……」
「裕太!違うからね!」
「じゃあ私、六花さんの家に行くから」
今日は何回目か分からない女子会だ。だから俺は裕太の家にいる。
「夢芽、俺送るよ」
「大丈夫、大丈夫。六花さん近くまで来てくれてるみたいだし」
「……ならいいけど」
「そんな心配しないでよ。気持ちは嬉しいけど」
そんなやり取りをしていると夢芽のスマホにメッセージが届く。
「じゃあ、また明日」
おそらく六花さんからの連絡だったんだろう。夢芽は裕太の家を後にした。
「……もういいかな」
「何が?」
俺は持ってきた鞄の中から、盗聴妨害機を取り出す。
「なにそれ」
「盗聴妨害機」
「え?」
「さっきのぬいぐるみに盗聴機が入ってるかもしれないしね」
「え?え?」
「最近、夢芽のすることがちょっと怖くてね……」
「そう、なの……?」
「まぁ、可愛いもんだけど、裕太と居るときくらい楽にしたいしね」
「蓬がいいなら、いいけど」
「何か変な空気にしてゴメン。スマブラしようよ」
「いいよ!」
俺は裕太と気が済むまで、ゲームを楽しんだ。久々に何も言われずゲームが出来た気がする。

夜も遅く、互いに欠伸がでるほどの時間になったので、そろそろ寝ることにする。
裕太の部屋は何故か二段ベッドで、そのうちの一つを使わせて貰う。
「蓬、ぬいぐるみそこでいいの?」
「うん、俺寝相悪いから」
もちろん嘘だ。あのぬいぐるみを傍に置くのは怖いので、机の上に置かせてもらっている。
裕太は、ぬいぐるみを枕元に置いているようだ。
「じゃ、おやすみ」
「おやすみ」
不自然なくらい静かな夜だったことを俺は気に留めないまま、眠りに落ちたのだった。

翌朝、寝すぎただろうかと思ったが、裕太はまだ寝息を起てていた。
その腕の中にはぬいぐるみが収まっており、裕太の六花さんへの想いの強さが伺い知れた。
この姿は残しておくべきだと思い、写真を取ろうと枕元に置いていたはずのスマホに手をばしたが、俺はそこで思考が停止した。
昨晩、机の上においていたはずのぬいぐるみが、枕元にあったのだ。
寝ぼけて持ってきたとは思えない。自分の心臓の音が煩く思えてくる。
そんな時スマホに着信が入る。画面の表示には『南夢芽』の文字が表示されている。
タイミングが良すぎる。盗聴されているのか?盗撮されているのか?寝起きの頭では思考がまとまらない。
恐る恐る、通話ボタンを押す。
『おはよ、蓬』
「おはよ、夢芽」
『よく眠れた?』
「まぁまぁかな。ちょっと裕太と夜更かししちゃったし」
『あんな時間までしてたらね』
「……ゆ、め?」
『何で分かるかって? 当たり前じゃん、蓬のことなら何でも分かるよ』
「……何で?」
『本当に妨害できてると思った? それってどうやって管理してたの?』
俺が持っていた妨害機は効果がなかったのか?言葉が出てこない。
『それ自体がって思わないんだね』
口の中が、喉の奥が、乾燥して言葉が出せない。
「……ぬいぐるみは?」
「私が六花さんの家に行ったって本当に思ってる?」
背後からの声を聞いた俺は、意識を手放していた。

「蓬! 蓬!」
「うーん……」
裕太に呼ばれる声で、目を覚ます。
「あれ?」
ベットの上で、ぬいぐるみも机の上のままだ。
「大丈夫? 何かうなされていたけど」
「……悪い夢を見たのかも」
「だったら早く夢芽さんに会わないとね」
「……だね」
裕太は上手いことを言ったつもりか、それとも彼女に会えば元気になれると思っているのか分からない。
それでもさっきの出来事は、夢の中の出来事だと思えば、いくらか気分が楽になった。
何でも悪いことに考えすぎていたのかも知れない。
朝食を食べようとリビングに向かった裕太に続くために、スマホに手を伸ばす。
寝る直前の時間に夢芽からのメッセージがあったこに気が付く。
怒ってるだろうなと思い内容を確認したが、俺はもうここが夢であって欲しいと願わずにはいられなかった。

『何で、私を机の上に置いているの?』


雨の教室

「まじか……」
金曜日の放課後。どこかに出かけようと思っていたが、外は大雨になっていた。
今日の天気予報は一日晴れだったはずなので、きっと通り雨だろう。
あいにく置き傘も折りたたみ傘もないので、教室の自分の席に座りなおす。
窓に当たる雨の音を聞きながら、ぼんやりと外の景色を眺める。
その内、俺は雨音を子守唄にし、眠てしまっていた。

気がつけば、あれから一時間は経っていただろうか。雨はまだ降り続いている。
いよいよ走って帰ろうかと考えていると、教室の扉が開いた。
「お、内海じゃん。何してんの?」
教室に入ってきたのは、はっすだった。
「いや、傘持ってきてなくて、何となくぼーとしてたら寝てたわ」
体をぐっと伸ばしながら答える。けれど、立ち上がる気がしなくて視線は窓の外にやる。
雨は変わらずざぁざぁと音を立てている。
「やらしい妄想でもしてたんじゃねーの?」
煽るような口調で、はっすが軽口を叩くが、俺は曖昧な返事をするだけだった。
すると、はっすは俺の前の席に座る。
「……大丈夫か?」
如何にも心配されていることが分かる優しい声色だ。
「ん? あぁ大丈夫……」
雨音のせいだろうか。寝起きのせいだろうか。頭が上手く回っていない気がする。
ただやはり窓を叩く雨が気になり、視線をはっすに向けることはなかった。
「……もしかして怒ってる?」
「いや、怒ってないけど……」
「……ウチがなんかしたとか?」
「いや、なんもしてないけど……」
先程からこちらの機嫌を伺うような質問ばかりだ。
言葉が続かなくなると、教室には雨音が響くだけだった。
「そういや──」
「何?」
「はっすは何でこの教室にきたん?」
「なみこの鞄取りに来たんだけど……」
それで俺が居たからか声を掛けた、と言うことだろう。
「早く行ったら?」
「まあ、そうなんだけど」
何だか歯切れが悪い。視線をはっすのほうにやると、マスクをしていても酷く困惑した顔だと分かる。
「……お前大丈夫か?」
「こっちの台詞なんだが」
「寝起きだからだよ」
「……そうか?」
何をそんなに疑うことがあるのだろうか。雨音は変わらず響いている。
「傘、貸そうか? なみこも持ってるだろうし……」
「いや、別にいいよ」
俺は窓の外を見つめる。ただ雨で濡れている窓を。
教室には雨音が響く。
その音に混じって、スマホの振動音が聞こえてくる。
「……でなくて良いのか?」
「……多分、なみこだし」
なら出なきゃいけないだろうに。しばらくすると、教室は雨音だけになった。
「行かなくて良いのか?」
「まぁ私も待たされてたし」
「なに待ってたん?」
「なみこが部活に顔だしてくるって言って、この時間よ」
「待つなぁ」
「ウチは待つ女なんよ、親友思いなんよ」
「さすがっす」
いつの間にか、いつものような会話がぽつりぽつりと続く。
それでも会話が途切れるタイミングがあると、俺はつい窓の外を見てしまう。
「……なぁ、窓の外になんかあるの?」
「いや、別に? 何となく気になってるだけど……」
いつになく窓の外──雨の音が気になるからか、はっすの顔を見れない。
「内海、こっち見ろ」
「ん?」
はっすに呼ばれ、そちらに顔を向ける。そこには、マスクを外したはっすがいた。
「え、おま……」
そのまま内海の方へ、ぐっと顔近づけ──。

「じゃ、私行くから」
俺にそう告げマスクを着け直し、なみこの席から鞄を取り教室を出ていく。
雨音の音は聞こえず高鳴る心臓の音だけが、教室に響いた。


はっすの本名

「おはよ、響」
「おはよう、はっすさん」
朝の挨拶をいつも通りにする。しかし、裕太は気がついてしまった。
一年以上一緒にいるが、本名を知らないことを。
そして、誰もはっすを本名を呼ばない。
(六花や内海は知ってるんだろうか……)
お昼の時間にでも聞こう。そう考えホームルームを迎えるのであった。

ホームルームが終わった後に、裕太は閃いてしまった。
教壇の上にある出席簿を見ればいいと。
そんまま教壇に向かい、出席簿を開こうとした瞬間──
「響!その出席簿、取ってくれ」
担任の先生が裕太に声を掛ける。
「あ、はい」
そのまま、出席簿を先生へ手渡す。
「スマン、スマン。持っていく忘れてたよ」
裕太は確認すべき前に、貴重な情報源を手放してしまった。
(しまった……。見てから渡せばよかった……)
予鈴が鳴り、裕太はしょぼしょぼした足取りで自らの席へ戻るのであった。

モヤモヤしたまま授業を受け、お昼休みの時間に足早に六花たちのもとへ向う。
「六花! 内海!」
「そんな大きい声ださなでも聞こえてるよ」
「裕太、そんな六花さんの弁当食べたかったのか?」
「そうだけど、ちょっと別のこともあって」
「別のこと?」
「はっすさんの本名を教えてほしいんだ」
「はっすの本名?」
「うん、ちょっと覚えて無くて……」
「記憶喪失の影響か?」
「……かなぁ?」
「はっすの本名はね、螯よ怦闢ョ鄒だよ」
「え?」
裕太には六花が何を言ってるか上手く聞き取れなかった。
「だから、縺阪&繧峨℃縺ッ縺吶∩だって」
「え、え? 六花何言ってるの?」
六花の口からは、日本語とは思えない言葉がでてくる。
「大丈夫か、裕太?」
「大丈夫じゃないかも……」
「えー、耳掃除ちゃんとしてる?」
「してます……」
「じゃあ、今度私がチェックするからね」
「分かった!」
「ちょっと俺が居るのにイチャつかないでくれます?」
「イチャついてないですー」
六花はお弁当箱を二つ手に取り、裕太の手を引く。
「お昼休み終わっちゃうから早く行くよ」
「うん」
裕太は六花の手作りお弁当を心ゆくまで楽しみ。本来の目的をすっかり忘れてしまっていた。

そして放課後。
(あ、はっすさんの名前……)
今日疑問に思ったことを再び、思い出す。
(どうしよっかなぁ……)
別に今日どうしても知らなければいけないことはないが、やはり気になってしまう。
そんなことで悩んでいると、いつの間にか教室からは人気が無くなっていた。
「響」
物思いにふけっている中、名前を呼ばれて体がびくっとしてしまう。
「……あ、はっすさん」
「なんか六花に私の本名聞いたんだって?」
「え、あ、うん。どうしても思い出せなくて……」
はっすの目がなんだか怖い。声は普通……喜んでいるような声色だが、目はそうじゃない。
「一年以上一緒いる友だちなのになぁ」
「ごめんなさい……」
「ま、記憶喪失になったもんな」
そう言って裕太の隣の席に、腰を下ろす。
「ちゃんと聞けよ、私の名前は螯よ怦闢ョ鄒だからな」
六花と同じで、やっぱり名前が聞き取れない。
「……ごめん、分からない」
正直に謝罪する。なんで聞き取れないんだろうか。やっぱり耳掃除をちゃんとしてなかったのかせいだろうか。
「そっかぁ。響には分からないかぁ」
はっすの声がいつもより響いて聞こえる。なんだか甘い匂いがしてきて、眠気が襲ってくる。
「じゃあ、またな響」
俺の意識は、その言葉を最後にぷつりと切れた。

「うーん…」
「あ、起きた」
「おはよう、ございます……」
「裕太が寝てるって、はっすが教えてくれたから来たんだけど」
見渡せば、夕日が射す教室だった。何で眠ってったんだろか。
「授業、ちゃんと聞いてる?」
「聞いてるよ、聞いてます」
「ほんと~?」
目を擦り、体を伸ばし席を立つ。その姿を六花がじっと見つめてくれる。
「帰ろ、裕太」
「うん」
二人手を繋ぎ、教室を出ていく。
教室の中は、夕日で酷く赤く染まっていた。


幼い頃の出会いって、何?


変わらないもの


ちせのおにぎり


童話 三人のトンとゆめかみ


バトルゴーはやめたほうが良いと思うぜ


悩める乙女



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