ミリオタ工大生による簡単兵器カテゴリー解説 軍用機篇(飛行機)


1.はじめに


こんにちは オメガ5です。 ここでは何回かに分けて兵器のカテゴリーについての正しい概念をお伝えしていきたいと思います。
なぜこんなことをしようかと思い立ったかと言いますと、昨今のウクライナ戦争の報道において、「どう見ても戦車じゃないのに戦車と報道される」のような明らかに実体と乖離した認識をされておられる方・報道が多いと感じました。
このままで実生活で困ることはないかもしれませんが有事の際に状況を把握しにくくなってしまいます。というわけで皆様に正しい兵器カテゴリーについて知っていただきたいと考えた次第です。
では、御託はここまでです。どうかお付き合いくださいませ。

2.基本用語

円滑に説明するために必要と判断した用語をここに書いておきます
対〇戦闘:〇に入るものを相手にする戦闘という意味です。例えば航空機が相手なら対空戦闘となり、地上の兵器が相手なら対地、艦船が相手なら対艦、といった具合です。また、対空ミサイルのように用途を示すのにも使います。
航空優勢:難しく聞こえるかもしれませんが端的に言えば「敵側の対空攻撃が来ないから対策なしで遊覧飛行しても大丈夫」という意味です。また、これを得ることを「航空優勢を確保する」と言います

3.戦闘機

代表的な機種:F-22ラプター
自衛隊における該当機種:F-15Jイーグル
戦闘機とは簡単に言えば「ミサイルなどで対空戦闘を行い敵の航空機全般を撃ち落とす飛行機」というものです。基本的には対地攻撃を行わない、またはその能力自体がない飛行機でしたが近年では事情が異なっています。このあたりの話は後述します。

4.攻撃機

代表的な機種:A-10サンダーボルトⅡ
航空自衛隊における該当機種:なし
攻撃機とは先ほどの戦闘機とは反対に「爆弾やミサイルを用いて戦車などの地上兵器や空母などの艦船を破壊する飛行機」というものになります。部分的に対空戦闘も可能ですがあくまで自衛レベルの戦闘しかできないので戦闘機による護衛か航空優勢の確保が必須であると言えます。

5.マルチロール機

代表的な機種:F/A‐18ホーネット
自衛隊における該当機種:F-35ライトニングⅡ
マルチロール機は搭載する武装次第で対空も対地も対艦もできるいわば戦闘機と攻撃機を合体させた飛行機です。戦闘機の項で先述した通り近年では戦闘機のほとんどが対地攻撃能力を持たされていてマルチロール化している、というのが現状です。

6.爆撃機

代表的な機種:B-2Aスピリット
自衛隊における該当機種:なし
爆撃機とは、「最低限の自衛装備だけで爆弾やミサイルを大量に搭載したり、大型のものを搭載したりして対地攻撃に特化した飛行機」です。その性質上先制攻撃には向きませんし航空優勢なしで運用するのは自殺行為です。


7.輸送機

代表的な機種:C-5ギャラクシー
自衛隊における該当機種C-130ハーキュリーズ
輸送機とは、読んで字の如く「物資や人員を運ぶ飛行機」のことです。多くの場合先ほどまでと異なりフレアと呼ばれるミサイルを避ける装置以外の装備はないことが多く一切の反撃手段を持ちえません。ですので輸送機は有事の際も前線ではなく後方と後方を結ぶ形での運用がほとんどです。

8.偵察機

代表的な機種:SR-71ブラックバード
自衛隊における該当機種:RF-4E
偵察機とは、「カメラや赤外線センサーなどで敵の動きや位置を伺う飛行機」のことです。こちらも輸送機と同じように非武装ですが、輸送機よりも高速で飛べるものがほとんどです。

9.早期警戒管制機(AWACS)

代表的な機種:E-3セントリー
自衛隊における該当機種:E-767
早期警戒管制機は、いわば空飛ぶ指令室兼レーダーサイトとでもいうべき飛行機で、半径数百キロに及ぶ範囲を飛行する敵味方の航空機の位置を把握してそれに基づいて味方機の指揮を執るのが役割です。これがあるとないとでは大きな差が出ます。余談ですが、今のウクライナ軍を支えているのがこのAWACSではないか、との指摘もあったりします。

10.終わりに

ざっと主要なカテゴリーを紹介するだけでもこの文量になってしまうほど、軍用機のカテゴリーというのは多岐にわたります。ですが、これでも兵器の中の軍用飛行機に絞っています。次の記事では軍用ヘリコプターのカテゴリーについて解説していきたいと思います。もしこの記事を気に入って、戦うだけが兵器ではないと知っていただけたなら幸いです。それと、是非ともウクライナへの支援もお願いします
それでは、今度はヘリコプター篇でお会いしましょう。それでは、また。


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