人間なら必ず観ないといけない映画。
コロナ禍一色、GWも自宅で過ごさないといけない昨今、いかがお過ごしでしょうか。「別にやることもないから、映画でも観よっかな。」そう思ってるあなたに、今日は僕から「人間なら必ず観ないといけない映画」を紹介しましょう。
その映画は、2004年のアメリカ映画「Crash」邦題「クラッシュ」。
実はこの映画、なぜかあまり世に知られていない2005年のアカデミー作品賞受賞作なんです。監督のポール・ハギスは、前年のアカデミー受賞作「ミリオンダラー・ベイビー」の製作・脚本を手掛けています。『「ミリオンダラー・ベイビー」は観たけど、「クラッシュ」なんて映画観たことない』という君、それ、違うんですよ。「クラッシュ」は「人間なら必ず観ないといけない映画」なのです。
さて本題に入っていきます。これからネタをばらします。テーマはずばり「人種差別」です。登場人物がたくさんいるのがこの映画の特徴の一つですが、ここではこの映画で僕を惚れさせてしまった俳優、マット・ディロン演じるライアンに絞って紹介します。
警官であるが、強烈な人種差別主義者であるライアン。映画冒頭で職権を乱用して、黒人女性クリスティンに対して、差別的嫌がらせをする。この嫌がらせをクリスティンの夫であり黒人であるキャメロンは黙って見ているしかできなかった。これが原因でキャメロン夫婦の仲が悪くなっていく…。
ここまでで、ライアンは極悪警官そのもの。ただの悪人です。ただ、ライアンが差別行為をするのには、それなりの理由があったんです。彼は、具合の悪い父親を一人で面倒を見ています。彼の父親はかって自分で事業を興し、差別なく黒人を雇い、白人と同等の賃金を与えてきました。しかし後に黒人の労働権利を主張する政治、政策により、会社は倒産、今は病気を抱えながら貧しく暮らしています。ライアンは今の生活の苦しさ、父親の無念さを黒人に対する怒りに置き換えて生きています。
様々な歴史、文化があり、人間が生きて共存していく以上、やはり残念ながら「人種差別」は切っても切り離せない永遠のテーマなんですね…。それは人間が生きていく上で、「怒り」、「苦しみ」、「妬み」の感情を必ず伴わないといけない。そして、それをとおして「理性」により、自分よりも強い立場、弱い立場の人間を見てしまうから。ただし、それがあるから文明が発達してきたのも事実なのか…。
ここまでだと『「人種差別」ってね、失くすことできないんでね、みんなで我慢しましょうね!』ってことになります。いやいや、勘弁してください。この映画で僕が感じたもう一つ別のテーマがあります。それは、「人間は、差別とは別次元で、支え合おうとする本能がある」ってことです。
それを象徴する、この映画のハイライトシーンが下の動画です。あまりにも素晴らしすぎるシーンなんで貼り付けました。
https://www.youtube.com/watch?v=f1yXXGXhdkg
ライアンの嫌がらせにより、夫婦仲が険悪になり、自暴自棄になったクリスティン。彼女は自分の車が横転するほどの大事故を起こします。そこに巡回中だったライアンがたまたま通りかかります。ライアンは強烈な人種差別主義者である以前に、職務を忠実に遂行する警官であり、一人の人間であったのです。横転した車にはクリスティンが閉じ込められており、炎上、爆発寸前。ライアンは警官として、一人の人間として、文字通り必死で彼女を救おうとします。
そこは、もはや「人種差別」など存在しない別の次元、「人間が支えあうとする本能」の世界。まじで素晴らしいシーン…。
この映画には、他にも登場人物がたくさんいて、それぞれの生活があり、人生があります。そしてそれぞれ「怒り」、「苦しみ」、「妬み」が必ずありますが、最後は「人間が支えあうとする本能」によって、点だったものが線としてつながります。絶対最後泣きますよ。
とにかく早く映画本編観て下さい。下記ページからレンタルできますから。400円で。それではまた。
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