力学的ストレスと滑膜炎の悪循環


変形性膝関節症は軟骨がすり減っていくことで起こります。
軟骨がすり減ってしまう主な原因は重力による力学的ストレスと炎症です。
力学的ストレスの主な原因には 体重 骨格 半月板損傷 靭帯損傷などがあります。滑膜炎はすり減った軟骨の破片が膝関節を包んでいる滑膜に取り込まれ起こります。変形性膝関節症は力学的ストレスと滑膜炎の悪循環で進行します。


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日本整形外科学会 変形性膝関節症より (https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html)


力学的ストレス

1) 体重
膝関節には重力がかかります。階段昇降や走る時には膝関節に体重の4倍から8倍の重力がかかると言われています。

2) 骨格
日本人にはO脚が多いです。O脚の原因としては遺伝性の骨の形 正座などの生活習慣などがあります。O脚変形では体重を支える荷重線が膝の内側を通るため膝の内側の軟骨に力学的ストレスがかかります。

そのため日本人の変形性膝関節症の9割は内側型です。膝の内側の軟骨がすり減ってしまうとO脚変形がさらに進行します。
自分がO脚かどうか気になる方は靴底をみてください。O脚では外側のすり減りが早いです。外側がすり減った靴を履くと膝の内側に負担がかかりますので早めに修理することをお勧めします。


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3)半月板 靭帯
半月板や靭帯は年齢とともに徐々に痛んでしまいます。半月板が傷んだりや靭帯がゆるんで関節が不安定になると軟骨に負担がかかりすり減ってしまいます。学生時代にスポーツで半月板や靭帯を痛めるとのちに変形が進行することもあります。


炎症(滑膜炎)

すり減った軟骨の破片は膝を包んでいる滑膜に取り込まれて滑膜炎を起こします。すり減った軟骨の破片は膝を包んでいる滑膜に取り込まれて滑膜炎を起こします。炎症を起こした滑膜からは、さらに炎症を誘発するサイトカインという物質が放出され軟骨の変性を進行させます。また軟骨が変性し傷んでくると周囲の骨に骨棘ができレントゲンで骨の変形が明らかとなります。この骨棘による機械的刺激も滑膜炎を悪化させる原因となります。

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