PRP療法をお勧めする膝の症状


1)ヒアルロン酸注射で痛みが改善しない

変形性膝関節症へのヒアルロン酸注射は確立された治療法です。ヒアルロン酸は変形性膝関節症では相対的に少なくなっています。ヒアルロン酸を膝関節に補うことで潤滑を良くし痛みを軽減しますが、ヒアルロン酸には組織修復能力はありません。PRPには炎症を抑制し痛みを軽減する働きと痛んでいる軟骨を修復する働きがあります。 そのためヒアルロン酸注射で痛みが改善しない患者様にPRP注射をお勧めします。

2)膝に水が貯まることを繰り返している 

膝に水が貯まるのはすり減った軟骨の小さな破片が滑膜に取り込まれ滑膜炎が起きているからです。なかなか炎症が治らない一因として炎症の原因である軟骨のすり減りが持続していることが考えられます。炎症を繰り返すとサイトカインにより軟骨の変性が進みます。PRPは抗炎症性サイトカインによって炎症を抑える働きがあります。また炎症によって痛んだ軟骨が修復されることが期待できます。

3)手術を勧められたが事情があってできない、まだ手術は受けなくない

進行期から末期変形性膝関節症では手術が第一選択です。          内反変形(O脚変形)が進行し膝の内側に強い力学的負担がかかっている状態ではPRP注射を行っても軟骨は修復されにくいです。しかし、PRPは軟骨が減少するのを抑制し維持する効果があると報告されています。また、PRPにはサイトカインによって痛みを抑える効果がありますので、日常生活で膝の痛みが少しでも軽くなって手術までの時間が延長されることが期待されます。         高位脛骨骨切り術後、数年経過して痛みが再発している患者様は手術で内反変形が矯正されている(膝の内側に負担がかかる状態が改善されている)のでPRP療法の良い適応と思われます。

4)レントゲンでほとんど異常がない変形性膝関節症

年齢とともに膝の軟骨は痛んでいきます。スポーツなどで半月板や前十字靭帯を痛めると早くに軟骨がすり減ってしまうこともあります。レントゲンでほとんど異常がない初期変形性膝関節症を関節鏡で視ると下の写真のように軟骨のすり減り 毛羽立ち 変性 半月板の変性断裂が認められることがあります。

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一般的に治療の基本は早期診断早期加療ですが、変形性膝関節症に関しても進行しないうちに治療を開始するのが良いと思います。軟骨損傷が軽度であればPRPの修復力も高いので将来的な予防効果も考えられます。

下のイラストのように病期の進行に伴って軟骨の損傷が広範囲になります。初期では関節軟骨の部分損傷 変性、進行期や末期では軟骨の潰瘍 軟骨下骨の象牙化などが認められます。

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