変形性膝関節症のPRP療法

PRP(Platelet-Rich Plasma)とは、血液中の血小板を濃縮した「多血小板血漿」のことです。一つの血小板内にα顆粒が数十個存在し、そのα顆粒内に成長因子(サイトカイン)が含まれています。成長因子の働きは血管新生 線維芽細胞増生 コラゲナーゼ合成 炎症性サイトカインの抑制などです。

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このPRPに含まれる血小板の組織修復能力を利用し、人が本来持っている治癒能力や再生能力を最大限に引き出す医療をPRP療法と呼びます。

変形性膝関節症のPRP療法は血液から作製したPRPを膝関節内に注入します。PRPに含まれる成長因子の働きによって損傷した組織の修復を促すこと、炎症を抑え痛みを軽くすることが目的です。従来の保存療法と手術の隙間を埋める治療として着目されており、積極的保存療法とも言われています。

患者様御自身の血液を使用しますので副作用やリスクが少ないという長所があります。


PRP療法で期待できる効果

1)膝関節の軟骨損傷部に足場を造り軟骨修復を助ける

2)炎症を抑えるサイトカインを産生し滑膜炎を抑えたり痛みを軽くする

3)潤滑性維持に必要なヒアルロン酸やルブリシンの産生を増加する


PRP療法の治療効果

PRP療法の治療効果(疼痛軽減 日常生活改善)はヒアルロン酸より高いと実証されていますが、御自身の血液を使用するため年齢や体調などによって治療効果に個人差があります。運動習慣がある患者様で治療効果が高いという報告もあります。
治療効果に関して多くの発表があります。治療効果が得られる患者様の割合は初期から中期の変形性膝関節症で60から80% 、進行期から末期の変形性膝関節症で40から60%と報告されています。
また、投与回数が多いほど治療効果が高いと言われてます。

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膝の治療では、運動療法などのリハビリテーションや足底板療法も非常に重要です。両下肢体幹の筋力訓練 全身のストレッチ なども継続して行って下さい。