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強くなる為の環境が人生を豊かにした話。

子供が生まれてからは育児と仕事しかやってこなかった私は、友達との交流も少なくなっていたし「家庭を持つという事はこういう事だと」子供の未来を楽しみに思いながら日々を送っていた。

10年近く運動していなかったので体重が最大93kgになってしまった。腰痛が酷くなり、ダイエットの為に買いに行ったロードバイクだった。

自転車店主催の日曜日の朝練にも参加するようになり、次第に競技思考のライダー達と「ペダリングってこうやるといいらしいよ」とか「どうやったら速くなるんだろうね」と会話する様になったが、当時は各々が自身も理解していない聞きかじった情報を披露するだけだった。

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ある日から元五輪代表選手から話を聞くようになるのだが、その方から出てくる言葉はアマチュアと比べ物にならないほど質が高く、身体の部位の名称を細かく呼びながら、位置や動かし方、その理由を丁寧に話してくれた。

初めは理解できない事も沢山あったが、それを咀嚼しながら練習する毎に「こういう事か」と理解できるようになり、共感しながら会話できるようになってきた。まるで共通言語を学ぶ様に、どんどんと会話が成立する喜びは、自分のトレーニングの大きなモチベーションとなった。

今ではお互い話す言葉は擬音ばかりになったけど、確かに会話が成立している。

その方は人間性も素晴らしく、紳士的な振る舞いに尊敬を覚え、憧れの師として見るようになった。私の人生にとてつもない影響を与えてくれた事は間違いない。

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師から学んだ事を地元のグループへ持ち帰り、皆んなに伝えて実際にやってみるを繰り返した。

インプットした知識を頭の中で整理してアウトプットする。こうする事でグループのレベルは上がったのだが、何より自分の理解がとても高まっていった。

自分自身、レースで優勝できるようになってきたし、周りの仲間達もレースで結果を出していく様になった。自分達の練習会の噂を聞きつけ、強いライダーが集まる様になり、会話の内容も質の高いものになっていった。


レース会場で会う面子も知り合いばかりになり、今では全国のレーサー達と会場で話せる事もレースの楽しみに感じている。


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私が自転車を始めた頃、「また夜な夜な出かけるのかよ」と言っていた家族もレースに応援に来てくれる様になって、家族全員が各々スポーツを始め、上の子はランニングに夢中になり、小学校の持久走大会で4連覇を達成した。夏休みの自由研究なんかは「筋肉について」の研究を手伝わされた。




自転車競技を始めたことで得た家族の繋がり。仲間との高め合う時間。師からの学び。いつの間にかできたこの環境が自分の中の自転車競技へのモチベーションになっていて、なにより自分の人生を豊かにしてくれていると思う。

スポーツを上手くなる為には孤独でいるよりも、沢山の人達とより良い環境へ向かっていく事が、近道である。


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来週はいよいよタイムトライアルについて書いていこうと思う。タイムトライアルの世界に脚を踏み入れたところから。


ではまた来週。












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