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航海術の話

こんにちは。おのしゅんすけです。


早速初日は航海術の話からです。

航海術には主に『地文航法』と『天文航法』のふたつがあります。

『地文航法』というのは陸が見えてる状態での航海術です。「あの灯台がどの方向に何マイル」とかで位置を知る航海術です。またいつか詳しく話します。


今回書くのは『天文航法』の方です。

『天文航法』とは、「星を観測して今の位置を知る」というやつです。「北極星が真北にある」なんてのは有名な話です。(厳密には磁北と言って真北とは少しズレてるんですが、また後日)

『六分儀』というものをご存知でしょうか?

星の高さを測る道具ですね。これで星の高さを測って計算で現在地を知るんです。
「だとすると夜はいいけど昼はどうするの」って思いませんか。さっきも書きましたが「星」を測るんです。つまり、太陽でも現在地を知ることができます。なので昔の船乗り達は日中は太陽の高さを測っていたため網膜が焼けてしまい、多くの船乗りが片目を失明したそうです。昔の海賊達が眼帯をしているイメージがあるのはそのためです。(暗順応のためという説もあるそうです。)

(こんなロゴの少年誌の海賊漫画に眼帯の海賊は一人もいないらしいですね。先生のポリシーだとか。)

この『天文航法』を勉強していて少しややこしくて、違和感を覚えました。「なにがおかしいんだろうか」と考えた時にひとつ、気が付きました。

そもそも『天文航法』が確立されたのは陸が見えない航海が始まってから、つまり大航海時代からです。有名なのはコロンブスが乗るサンタ・マリア号ですかね。あれが15世紀後半です。
現代では常識である『地動説』を確立させたコペルニクスが出てくるのは16世紀に入ってからです。

つまり、『天文航法』というのは『天動説』全盛の時代に確立された航法です。「地球の周りを月を始めとする星が回ってる」として考えられた学問です。
なので同様に『天文航法』でも、無数の星が自分(地球)の周りを回っているものとして考えるので現代の僕には飲み込むのに時間がかかるわけです。

じゃあ、そんなにしてまで会得する『天文航法』、現在は使われているのか。


使われていません。


世界地図(海の上では海図)が正確になり、人工衛星が地球の周りを飛びまわることで「GPS」というものがあるこの時代に、天文航法を使う船はありません。

じゃあなぜ学ぶ必要があるのか。
それは「バックアップ」としてです。

船は閉鎖空間であり特殊な環境であるため何かあった時に別の何かで対応する必要があります。
もし、何らかの事情(例えば、GPSはアメリカのものなのでアメリカが突然使えなくする可能性もあります。)でGPSが使えなくなった場合には自分で位置を知らなければなりません。そのために学びます。

しかし、大学の先生はこう言いました、



「ノスタルジーです。」


嫌いじゃありません、そういうの。




〈扉絵〉
昨日、ハロウィンのためにウキウキと準備していた彼は今日はしゃぎすぎて牢に連れ戻されました。

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