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行く先示す羅針盤

こんにちは。季節の変わり目が苦手なのでさっさと寒くなりきって欲しいおのしゅんすけです。


さて。客船ばかりやってきましたが、今日は少し離れて方位について少し書きたいと思います。今までの新しいインプットとは違い、自分の知識の整理を兼ねてるのでひょっとすると難しい内容になるかもしれません。

命運を握る方位

方位というのは皆さんご存知の東西南北、さらに分けた8方位のことです。

しかし、北にはいくつか種類があります

「北を説明してください」と言われて多くの人が説明するのは「北極のある方向」だと思います。これが1つ目の北、真北というものです。

地図はこの真北を基準に作られています。「北極星はほぼ北にある」の「北」も真北です。


2つ目の北は磁北というものです。漢字の通り、磁石が指す北のことです。小学生の時の理科の実験とかで使った方位磁針が指す北がそれです。

この真北磁北がどうしてズレるかと言うと磁北は地球の磁場に沿ってるからです。

地球の磁場は北極と南極を結ぶようにあると習ったかと思いますが、およそはそうですが実はズレているんです。

どれくらいズレているかというと、場所によって異なるんですが、大体日本近海だと西に6°~7°ほどズレてます。これを偏差(偏角)って言います。

この偏差(ズレ)は海上保安庁が測って海図に掲載してくれています。

3つ目の北は羅北というものです。羅針盤の「羅」です。

「さっきの磁北と何が違うの」

はい。羅北とは実際に船の上で方位磁針で測った北です。

船の上で測ると北がズレる理由は船が鉄で出来てるからです。

鉄は磁場に置かれると磁気を帯びます。小学生の時に鉄くぎを磁石で擦ると一時的に磁石になるみたいなことしませんでしたか?それと同じです。

船全体が磁石となってしまってその影響で方位磁針が指す北がさらにズレるんですね。この磁北と羅北のズレを自差といいます。

実はこの自差というのは、各船により異なるので修正することができます。次に行きましょう。


磁石で打ち消す自差修正

さきほど書いた自差ですが、ざっくり説明し直すと船が前後左右のあらゆる方向の磁石に化けることが原因で起こります。

なので極端な話、それを打ち消すように磁石を置いてあげれば修正できるということです。

どうするかと言うと船をまず磁北を向かせます。でも羅北は少しズレてるのでそれを無くすように磁石を置きます。それをほかの方位でも行います。実際には前後、左右、斜めなので3方位だけで終わります。

これがすごく難しくてコンパスアジャスタという資格有の専門職があるくらいです。

詳しい計算とかはすごくややこしいので割愛します。


この自差修正をこの前5mくらいの鉄で出来た船の模型で実際にしました。海には浮かべてないんですが、それでも難しかったです。


日本海軍の取り舵、面舵

羅針盤で思い出したので書き足しますが、取り舵面舵という言葉をご存知でしょうか?

これは舵をきる時に右なら面舵、左なら取り舵と言うんですね。

この語源は昔、日本や中国では方角を東西南北ではなく、十二支で読んでいたんですね。北が子、東が卯、南が午、西が酉と言った具合です。
地球上で南北の線を子午線というのもこれが由来です。(本初子午線とか、標準時子午線とか)

ここから派生して右の舵を卯の舵、左の舵を酉の舵と言うようになりました。そこから訛って面舵、取り舵となったと言われています。

実はこれ、近年では日本海軍しか使っていませんでした。商船では英語で指示を出していました。

現在も海上自衛隊では使われているらしいですが、ホントのところはわかりません。ごめんなさい。
しかし、商船では100%英語です。

商船では右をスターボード、左をポートと言います。
ライト、レフトじゃないんです。

語源はその昔、船の舵は右側に付いていました。

写真の船は右が進行方向です。

この舵をステアリングボード(舵を切る板)といいました。これが訛ってスターボードになったそうです。

当然こんな舵がついてたら港に着けるのは大変です。なので必然的に左側を港につけるようになりました。

港は英語でポートといいます。ここから、左側のことをポートというようになったそうです。

ちなみに飛行機は今でも乗り降りは左側から行うのは船の名残りだそうです。


ちょっと長くなってしまいました。

自差修正の実験のレポートを書かないといけないし、推敲で北がゲシュタルト崩壊を起こし始めたのでここらで終わります。それでは。

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