「反骨と突破の物語」を考える

京都大での講演が終わり、山田Pといくつか関西方面の打ち合わせをさせていただいていた頃、こんなニュースが話題になった。

「人文学と生物学、異色のコラボ!江戸時代の史料で解き明かされたクジラとフジツボの関係」 

かめふじさんとはつい先日、白水貴さんの紹介で
山田Pと4人で飲んだばかりだった。
その時もこの論文の話になって、世に出るのが楽しみだなあと思っていたので
このまとめを呼んだ時、山田Pとすごく盛り上がった。
しかもこのまとめをした木登りヤギさんに会いに行く前日のことだったので、
なおのこと嬉しくなってしまったのだ。

で、まとめから24時間たらずで20000ビュー(9/1現在、40000越えてる)を
叩き出しているのを見て、ふと疑問におもった。

高井 「ねえ山田P、生物学ってこんなに人気あるの?」
山田P 「いやーどうでしょうね」
高井 「論文の話は俺も聞いてたから、内容がすごいのは知ってるんだけど
    コレ英語じゃん。論文が出ると意外と世間は盛り上がるもんなの?」
山田P 「しっかり調べた事ないですけど、これはレアケースですよ」
高井 「じゃあたぶん中身のすごさだけじゃなさそうだね」

もちろん研究の切り口と内容が素晴しいのが前提だが、
この話題は
・たくさんリジェクトされた
 (しかも多くの人が知っているnature誌から瞬殺されている)
・めげずに超努力した
・結果、他の誰にも書けない論文ができあがり、認められた
・しかも論文は冒頭から型破りなことを書いているし、学融合を体現した
これら「敗北」→「反骨」→「努力」→「突破」→「新境地」という
わかりやすい物語が綴られていると思った。

40000ビューの中で、果たして「本草学」に着眼したことの意義を
かめふじさんと同じように感じた人がどれくらいいたのかと想像すると
おそらくそんなに多くはないだろう。

講演でご一緒した堀川さん(クマムシマン)は
「自分の事を知っている人の中でも、自分の事が好きな人は限られる。
 より多くの人に好きになってもらいたいのであれば、
 まず”知っている人”を増やす事が第1です」
とおっしゃっていた。まさにその通りだと思う。

SNSでもマスコットでも、知ってもらうことが大切だし
その後にどういう環境を用意するのかということに興味がある。
どうやって受け入れて、どうやってノイズを検知するのか。

そのあたりを今度、じっくり酒をのみながら
研究者や広告代理店、プロデューサー、その他いろんな人を交えて
話したいなあと思っている。

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