脳性麻痺児の粗大運動機能改善に対するキネシオロジー・テーピングの有効性: システマティックレビュー

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背景

キネシオロジーテーピングは,脳性麻痺の子どもたちへの理学療法の補助として,ますます普及している技術であるが,その有効性に関する利用可能なエビデンスの検討はまだ行われていない。

キネシオテーピングとは?

 キネシオロジーテープ(以下KT)は、皮膚に直接貼る薄い伸縮性のある治療用テープで、通気性と耐水性のある綿素材でできており、人間の皮膚の特性を模倣して、静止状態の長さの40%~60%の伸縮能力で縦方向に伸びることができます(Morris et al. 2013)。KTを使用することで、筋肉や筋膜の機能を高め、一定の求心性刺激を与えることで皮膚の機械受容器に影響を与えることができると考えられています。これにより、機械的な負荷がかかっているときに、より多くの感覚情報が中枢神経系に流れて統合され、その結果、随意的な制御と協調が改善されると考えられる(Morris et al.2013)

KTは、健常者(Kahanov 2007)、神経筋骨格系の病理を持つ人(Jaraczewska & Long 2006; Thelen et al. 2008)、片麻痺を持つ人(Al-Shareef, Omar & Ibrahim 2016)の両方において、筋活動を刺激し、弱った筋肉をサポートし、姿勢のアライメントを維持するために、成人に自己受容的なフィードバックを与えることが示されている。

感覚とプロプリオセプティブのフィードバックが適切な運動発達の前提条件であることを考えると(Hadders-Algra 2000)、テーピングは小児のリハビリテーションにおける効果的な介入戦略となりうる。

方法・対象者

CP、キネシオテーピングおよび/またはキネシオロジーテープおよび/またはテーピング、理学療法および/または理学療法、GMFという用語を用いて7つのデータベースを検索した。無作為化比較試験(RCT)のみを対象とし、PEDroスケールを用いて評価した。

PEDro scale リンク

http://jspt.japanpt.or.jp/ebpt/evidence/pedro/04.html



対象者:CPと診断されたが他の点では健康な男女(18歳未満)

除外基準:過去にKTを用いた試験に参加したことがある者、評価日の6ヶ月前に整形外科手術を受けたことがある者、ボツリヌス毒素注射を受けたことがある者、構造的脊柱側弯症がある者、試験に使用した材料にアレルギー反応を示した者を対象とした研究は除外。硬いテーピングやKTの特性に合わない他の形態のテーピングを用いた研究も除外。

比較対象:KTを使用しない従来の理学療法

従来の理学療法(神経発達治療(NDT),拘束型手技療法(CIMT),ストレッチ,筋力強化,トーンモジュレーションエクササイズ,歩行再教育,バランス再教育エクササイズを含むが,これらに限定されない)の補助として,体幹にキネシオロジー・テーピングを施す。

アウトカム :GMFを評価する結果指標を用いた研究を対象。

動作分析、Gross Motor Function Measure(GMFM)、Paediatric Balance Scale(PBS)、Timed-Up-And-Go(TUG)、Bruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency(BOTMP)、Sitting Assessment Scale(SAS)などが含まれるが、これらに限定されない。

各論文の方法論的品質:PEDroスケールを用いて評価。PEDroスケールは、11の基準に基づいて内部の妥当性と統計的報告を評価するもので、臨床試験の方法論的な質を有効かつ信頼性高く評価するものである(de Morton 2009)。

結論 

体幹に貼るキネシオロジーテーピングは、CP児のGMF、特にGMF分類スケールレベルIおよびIIのGMFを改善するために理学療法の補助として使用した場合、特に座位制御を改善するために有効な介入であることを支持する中程度のエビデンスがある。

・12週間(週3日1時間理学療法)という長い期間実施した方が効果が高い

・テーピングは脊柱起立筋(C7-S1)

・前彎角の有意な減少あり

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▼ So What?

・座位・立位練習を行っていく中でより筋出力の発揮が起きやすい方が運動学習に繋がりやすい。

・特に運動能力が比較的高いとなるとよりハンズオンをしない状況下で、自分で動き感じ学習する方がよい。

・キネシオテーピングは貼り方さえしっかり勉強すれば、簡易で装具などより安価で使用しやすい。


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