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テクシーさん。

9
一緒に帰りませんか? それがあなたに必要なら。 依頼人の人生が帰り道の途中でこぼれ出す。 たまに書きます。 全て想像のお話。
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2019年5月の記事一覧

テクシーさん。#9

-夜明けのベーグル-

自宅で目を覚ますと、外から下校時間に友達と戯れ合う小学生の声が聞こえる。

「もう15時過ぎか...」

明け方、警察の追跡をなんとか振り切りホテルで朝まで時間を過ごしたrumiと私は、眠たい目をこすりながら堂山町の交差点で別れた。

「ありがとうテクシーさん。延長料金を払わないとね。」
いたずらっぽく笑うrumiが、タクシーを拾うために手袋をはめた手を上げていた。

「今

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