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おしゃべり

#あの頃のジブン  |13

50代後半の僕が
30代半ばの僕に
寄り添いながら
その時の想いを
語るものがたり

* * *

2002/05/24Fri
 
 
言葉を口から発する行為をしゃべるという。

自分の意志を伝えたいときなどに多用される
傾向にある。その使い方は千差万別で、
あらゆる種類の言葉を並べながら、
意味不明な状況になってしまう人や、
数種類の言葉しかもっていないかのように
説明できない人、よく舌足らずで申し訳ない、
というタイプの人がいたりする。

私はどちらかといえば“おしゃべり”なほうだ。
自分が思っていることを黙っていることが
できないタイプだ。

たいていこういう人間には
敵も味方も多い。


要するに攻撃的だと見られるようだ。
結果として一方的に話すことにもなるため
注意が必要だとよくいわれる。
本人としても気をつけているつもりでいる
のだが、つい本音が出てしまうことがある。

あるとき、仕事仲間にいわれたことがある。
「あなたのように言葉が出ない人間だって
いるのですから」。

もっともなことだった。
自分の気持ちだけを発散させて、
相手には話しをさせないように強いて
しまっていたのかもしれない。

すごく落ち込んだ。
聞き役になろうと努めた。


できるだけ発言を控えて、みんなからの
意見を聞くようにしようとしたが、
結果は逆効果だった。
私が黙ってしまうことで、何か思惑がある
のではないか、と疑念を抱かせてしまった。

人間には役割があると思う。
どんなに理想の形をもっていたとしても、
人間には生まれながらの性格と才能、
そして役割が備わっていて、逃れようにも
逃れられない運命があるように思われる。
それを自分も周囲も認識できればのだが、
人間はそんなに単純にできていない。

話し合いなんか、わかったふりをする人が
いることで、議論は複雑怪奇になる。
やはり自分にはおしゃべりが向いていると
思えてならない。

言葉は人間が作り上げた
最高のコミュニケーションツールだ。


それをどう使いこなすかは、
その人の生き方に関わる問題だ。
つまりどういう役割を演じるかを
みんなに宣言しなければならないと思う。

あるときはヒーロー然として滔々と語り、
あるときはだんまりを決めて話をしない。
そういう“戦略”まがいのことができる人は、
どこかで都合の良い話をしているのだろう。

二枚舌というよりも、自分のなかに二通りの
人格が存在しているに過ぎないのだ。
それが社会で生きていく術だとすると
この状況に対して、不思議と納得がいく。

おしゃべりは、時にしゃべる人を不利な状況に
追い込むこともある。それでも言わなければ
ならないと思うことに自分の中の使命感を
感じずにはいられないのだ。

よくぞいってくれた、という声なき大衆の声を
聞くのだ、という気持ちがなければあほらしく
てやってられない。

それでも人の悪口だけはいうのをやめようと
心に誓っている。
例え人が自分の悪口をいっているとしても、
同じ穴のムジナにならないようにしたい。

そうすれば、
こんなおしゃべりで軽薄そうな男でも、
いつか、誰かが信じてくれるのではないか。

やはり言葉を思う存分に駆使して
死んでいきたい。


死んで遺せるのは、生きた言葉でしかないと
思っている。そこには戦略や策略、ましてや
偽善は存在しない。誤解を恐れずに言葉を
発し、堂々と議論で闘っていく姿勢を貫き、
いい意味で“あの人はおしゃべりだったね”と
思い出してもらえるようになりたい。

* * *
 
僕が生きていく中で、
言葉って本当に大事だと感じている。

言葉って、自分の気持ちや考えを伝える一番の
手段だから。でも、使い方次第で、ちょっと
したトラブルになったりすることを忘れては
いけない。
 
僕は結構しゃべる方だと思うし、当時もそう
だったと思う。黙っているのが苦手で、
思ったことはつい口に出しちゃうタイプだ。
でも、それって時に誤解されたり、攻撃的だと
思われたりすることもあることもよくわかる。
ただ、喋らないでいる方が誤解を生むことに
なることも多く経験した。
 
特に仕事や議論の場では、冷静でいることが
求められることが多いから、言葉選びには
注意した方がいいということも学んだ。

例えば、相手の言動を批判するような場合は、
できるだけネガティブな言葉を使わずに、
相手が前向きになれる言葉を選んだり。
この辺りは失敗した過去の経験が活きている。
 
言葉というのは、本当に力がある。
だからこそ、人の悪口や偽善には加担しない
ように心がけている。
もちろん、確かめる必要もないと思う。
それはその人たちの問題であって、
自分の問題ではないから。
 
どんな立場にいようとも、真摯に向き合って、
自分に関わる人たちはもちろん、
社会に関わっている全ての人たちとつながりを
築いていきたい。

そうして、人生の最後に、自分だけの
言葉を見つけ出すことができたら、
それこそ最高だね。

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