〘カフェ語り〙言語聴覚士(ST)体験談004「認知症」

介護施設で働いていると認知症の方のリハビリを担当します。入所者のほとんどが認知症ですし、老健では加算が取れますから。運動療法拒否って人は私に出番が回ってきます。回想法を主に使って、特に歌を使って脳を活性化させます。おだやかな日常を過ごせるように、認知症の進行をゆるやかに、その人が心地よく感じることを提供します。
すると
認知症なのに、覚えるのが苦手なのに、私のことを覚えてくれます。
「歌の人やな～」「待ってたよ」「歌が聞こえてきたから出てきた」と声をかけてくれます。不思議ですね～。
近くには来ないけれど遠くのソファーに座る人が足でリズムを取っている、「この歌、歌ってほしいわ」ってリクエストされたり、「その歌は知らないです」って言ったら歌ってくれたり、歌を聞いて思い出した話を語ってくれたり、懐かしいな～。毎日毎日歌ってたな～、カラオケ嫌いな私が・・・。
楽器ができないので、アカペラで歌ってたんですが、それで良いみたいです。「へたくそ」「うるさい」って言われる時もあるんですが、ファンは楽しみにしてるんで、こっそり歌ったり、選曲を工夫したり、フロアの8割を味方にしたら大丈夫かな。私の声は「倍音」で難聴の人でも聞きやすい声らしいので、この武器は使わない手はないんです。CD出したら買ってくれるって言ってくれた人もいたので下手ではない、使えるモノは使うリハビリ、デカい声で歌ってました。コロナも落ち着いてきたんで、また歌う機会は増えるかな。