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〘カフェ語り〙言語聴覚士(ST)体験談009「老健のしごと」

私が勤務した老健は2か所、町まで車で40分の山奥にある老健(2001~2003)、町まで車で5分の峠道にある老健(2010~2020)です。
時代が変わると働き方は変わります。

最初は介護保険が始まった頃なので、老健は「第2特養」と呼ばれ、特養とほぼ変わらない状態でした。特養との違いはリハビリ職が配置されている点、あの頃は「配置加算」だったので、100名入所に対してリハビリ職1名以上が配置されていれば「リハビリ内容は自由」でした。理学療法士(PT)が母体病院から交代で1人派遣されていました。私が加わって1.5人に。
採用された特養ができるまでの半年間、母体病院と老健で研修することになります。病院と老健を半々の兼務、秘境のような場所にある老健で、手探りで業務を開始します。入所者が50名参加するレクリエーション(60分)を1日1回、食事前の準備体操を3フロアで1回ずつ、入所者8名の集団リハビリ(言語療法)、数人の個別リハビリ(言語療法、食事介助に加わり評価)、栄養委員会、PTさんの物理療法の補助、学会発表用の研究、地域へ出前講座、など。
摂食嚥下チームを作るために、月1回の勉強会を勤務後に開催すると看護師、介護福祉士、管理栄養士の多職種メンバーが集まりました。
ん~、なつかしい。特養が完成してからは老健&特養のハーフハーフ勤務でした。

久しぶりの老健勤務になった滋賀県の施設は介護保険の改正で働き方が変わっていきます。「第2特養」から脱却を国が進め出した時期になります。「在宅復帰」「病院と自宅の間の中間施設」と本来の老健の形に変革していきます。配置加算から個別リハビリ加算になり、レクリエーションの担当から外れます。入所と通所担当に訪問リハビリが追加されて3つを兼務。短期集中リハビリ加算をドンドン取るので、リハビリ職は個別リハビリで業務はパンパンに。口腔ケアの加算に、経口摂取の加算、病院勤務のSTと一緒で単位を取ることが優先されるようになりました。枠の中でリハビリをするので、配置加算の頃がなつかしく、集団リハビリや環境整備をもっとしたいな~って。なので、いろいろ工夫してやってました。花畑を作ったり(歩行練習の時に寄って花を摘み、部屋に飾ってもらう)、個別リハビリの時にフロア全体に聞こえる声で歌ってみたり(部屋から出てきて聞きに来る人がいる)、コーヒー屋さんをしたり(豆を挽いてドリップするとフロアに香りが広がる)。
一番良かったのは「地域貢献活動」です。施設内だけでなく、地域へ出向く活動を積極的に行う事業所だったので、楽しかった~。業務としてできない事は勤務外でボランティアをドンドンやりました。それが「わっと勉強会」につながります。

老健での経験はとても良かったです。

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