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〘カフェ語り〙言語聴覚士(ST)体験談016「高価な補聴器を買ってもムダになるのはなぜ?」

高性能の補聴器の値段は15万~30万くらいです。これは1個の値段なんで、耳は2つありますから、合わせて倍の値段が必要になります。「じゃあ、1個だけで良いです」って訳にはいかないんです。メガネのレンズを1個だけ買うのと一緒です。それでは遠近感が取れません。2つの耳が聞こえているから「どこから音がしているか分かる」ので、方向覚が失ったままになります。誰かが遠くから呼んでも、どこから呼ばれているのか分からない。危険なモノが近付いてきても、どこから向かってくるのか分からない。なかなか不便です。

さて、高価な補聴器を買ったのに、すぐに無くしたり、壊すことがあるんですが、小さくて繊細な機械なんで無理もない、買う前に扱えるかを熟慮した方が良いです。それよりも腹が立つのが「使わない」、うるさい!と言ってタンスの引き出しにしまってしまう場合がよくあります。買うことを勧めた子ども達は「は~!?」って感じです。
補聴器は慣れていないと雑音がうるさくて非常にストレスです。できるだけ雑音が小さくなるように何度も何度も調整して、耳を少しずつ少しずつ補聴器の音に慣らして半年以上かけて使えるようにする道具であることを皆さんは知った方が良いと思います。(すぐに問題なく使えたって人もいると思いますが)
購入が必要な場合は耳鼻科を受診して、補聴器屋さんと何度も相談して、少し我慢して耳に慣らして、大切に使ってください。非常に便利な道具ですから。

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