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〘カフェ語り〙言語聴覚士(ST)体験談010「特養のしごと」

私は2か所の特養で働きました。
特養での立場は「機能訓練指導員」です。1つ目の施設では同僚のベテランPTさんに「あなたはSTに専念しなさい」と言われて運動療法の業務をせず(兼務していた老健で同じPTと一緒に働いていた、研修期間を終えた時くらいにPT補助の仕事から外してくれた)、2つ目の施設では柔道整復師と鍼灸師の2人の先輩に育てられて運動療法の基礎スキルを身につけました(人事異動でPTさんが上司になったらST業務に専念するんですが、いや違うか)。
つまり、人員配置によって業務が変わるんだと思います。「STだからできません」って言っていると利用者さんは必要なリハビリを受けられませんから。できないなら、学べば良いとも思います。私の場合は運動療法のスキルを身につけた事でST分野のレベルも上がったと考えます。養成校ではあまり学べない分野ですから、柔道整復師さんと鍼灸師さんのお二人には感謝しています。
具体的に運動療法の基礎スキルと言いますと、人間はどうやって立ち上がるのか、片麻痺になったらどう立ち上がるのか、足を持ち上げる時の持ち方、固くなった手の伸ばし方、肩のもみ方、骨盤周りの筋肉のゆるめ方、手引き歩行の介助の仕方、車椅子の扱い方、ホットパック、などなど。

2つ目の施設ではデイサービスの管理者を3年しました。STとしてスキルアップするために退職する事になるんですが、この経験で管理者スキルを少し身につけました。委員会活動(栄養委員会、リスクマネジメント委員会、身体拘束廃止委員会など)をしてたら、管理者になるように言われ、「3年ならやります」と条件をつけて始めます。引き継ぎできる人を探しながら、機能訓練指導員としてはPT上司のもと、デイサービスでは管理者という二足のわらじで働きます。変な働き方でしたが、管理業務を限定してもらったので何とかなったと思います。私のデイでの役目はスタッフ管理、実務は任せて司令塔に専念しました。引き継げる人が見つかったので退職しましたが、本当は辞めずにSTとして施設で働き続けたかったです。5年半の勤務では「STのいる特養の形」が何もできなかったような気がします。

私が働いている頃は看取りをしていませんでしたが、今は看取りに取り組む施設は多いと思います。そこにSTの役割があるような・・・。

あっ!失語症の入所者さんがいたんですが、退職して1年くらいたった頃に会いに行ったら、STがいなかったのに少し話せるようになってました。言語機能が回復している!なんで?誰がリハビリした?・・・私が関わっていた時はほぼ変化がなかったので焦りました。特に何も特別なことはしてなかったそうなので、私が言語機能の土台を作って、あとは良いケアを受けて生活していたら良くなったという事にしときました。

まぁ~、特養にSTが必要なことは間違いないですが、常勤が良いかと言われれば、ん~っと考えてしまいます。デイサービスが併設されているタイプの施設なら通所サービスでSTがいる事業所は少ないので良いのかもしれませんが。STがいなければ、他の誰かが代わりをしたら良いとも思ったり・・・。「必要な時に相談して下さい」ってスタイルが良いと思ったので、「地域で言語聴覚士(ST)をシェアして下さい」と私は活動しています。

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