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スマートウォッチで計測してみたものの...

日常生活を計測して 何がわかるの?

AppleWatchが市場に出てから どのくらいになるのだろうか?
私が今持っているバージョンが6で、2年くらい前に買った様な気がするから、もう 数年は経っている。
自分は、このデバイスで計測したデータを整理&分析&見える化処理をしているので、計測や そのデータに興味があり、時に そのデータを眺めて 「へぇ、この方  どんな日常生活をしているのだろう?」と思うこともあり、2つの意味で アキナイのだが。
皆さんは、データを どうされているのだろうか?
購入最初は 気になっていたバイタルサインデータ(以下 ViSiDaと略す)、電子支払/情報一時閲覧(Lineやメール)の機能を活用するために 装着しているだけの方が多いのではないだろうか。
そして、メルカリに出展!…なんて方も。

そういえば 先日 出会った方に、
「去年 夏に、新型コロナウイルスに感染し、38℃程度だったこともあり、
 これ(AppleWatch)をつけていることもあり、自宅療養にしたんです。
 血中酸素(飽和濃度)をみておけと ニュース言っていたので、
 時々  取り込まれている酸素のレベル っていうヤツ(項目)をみたら
 偶に 95(%) を切っていたので、
 連絡してきた保健所(?)の方に そのことを話したら
 今は? というので  今は 100(%)  って言ったら
 はいはい!といなされた。
 それは、これ(AppleWatch)が ボロってことか? 」
と熱く語られました。

なるほど!と言いながら、
2つの話しをさせて頂きました。

1つは、[日常生活で計測するとは!]ということ。
もう1つは  [日常でのバラツキ等がわかっているから、体調不良?がわかる] 。

[日常生活で計測するとは!]
医療現場では、安静にした状態で  しかも 電気ノイズなどを極力排除した状態で 計測がされる。しかも、その病院である特定の機器で計測されるために、その計測の癖も お医者さんは理解されて、その数値を観て 診断される。
一方、日常生活での計測は、安静にはしていないし 電気ノイズなどを避けるなどの配慮もされない。計測するタイミングで、 たまたま 大きく背伸びをしてしまっているかもしれないし、大便で 力んでいる時かもしれない。
スマートウォッチでの計測の場合、そのために 腕と隙間ができてしまっているかもしれないのです。だから、1回の計測データが悪くても 前後のデータから観て 大きな問題ではない!と考える必要があったりする訳です。
日常生活での計測では バラツキを考慮に入れる必要があるということです。
でも、そんな面倒なデータなら計測する意味が薄い!とはならないのです。
例えば 心拍数,  そのなかでも 安静時心拍数 という項目では 

成人男性で正常値範囲;65〜85 bpm *1

*1;  出展 :介護と医療研究会 著『介護現場で使える急変時対応便利帳』翔泳社

とされているのですが、この正常値範囲という意味をご存知ですか?
以前 多くの人を調査したら 95%の人が この範囲にあった!という程度の意味で、それ以上の意味も価値もないのです。
もしかすると、貴方が61bpmで  この範囲外であっても、それで健康で正常なのなら それで良い訳です。現に、別では 60〜100bpmだったり、米国CDCの報告書では 5〜95%の方が 52〜90bpmと記されているのです。
大事なことは、
 貴方の 健康に暮らしている日常生活で
 各 ViSiDa項目での正常範囲(バラツキや中央値 etc)が どの程度なのか!
を 把握できていることです。
そして、より自分らしく 活き活きと暮らすためには、今日まで の データから どの生活習慣をちょっとだけ変えて行ったほうが良いか!を知ることであり、その変化を 楽しめることだと想います。
もし、貴方が50歳なら 50年も生きてきた訳ですから 1つや2つ 悪い生活習慣はあるはずであり、人生100歳だとすると あと50年 活き活きと生きるためには その修正を的確にするための一助になる訳です。

  [日常でのバラツキ等がわかっているから、体調不良?がわかる]
長く日常生活での ViSiDaを計測し、体調が良い時の範囲が各ViSiDa項目で把握できていたら、体調不良〜フレイルになったら アラートなどの通知を得られる様になるモノなのか!
ウイルス感染し 体温が急激に上がるような症状が出るような 体調不良の場合なら、直近の健康のViSiDaから 変化を観ることができるかもしれません。
この場合、ViSiDa項目の中も"心拍数"が 重要な情報を出してくれる可能性が高いと考えています。
以下に示すのは、そんな事例です。
あるユーザさん(70代 F)が 帯状疱疹になり それがキッカケで入院されたケースのデータです。この方は、12/7に その体調不良を感じ かかりつけ医に受診を勧めたら 帯状疱疹 を発症していることが判明しました。 この方 血圧がやや高いという持病があり 降圧剤を服薬されていたのですが、帯状疱疹の薬を貰ったので 自己判断で 降圧剤の服薬を控えられたのです。それが引き金になって、12/12に体調不良で入院することになりました。

発症前後の心拍数関連の変遷

上のグラフの左端に、前月の安静時心拍数の四分位値などを記載しておいたので、みて頂きたい。この方の安静時心拍数は バラツキが小さく、

  • 中央値;57.8bpm

  • 25%タイル;56.3bpm,

  • 75%タイル;57.6bpm

  • 偏差σ;0.822 で、3σ上限;59.2bpm

安静時心拍数(黒■)の変遷を観たらわかる様に、12/6には 前月バラツキを超えた値にまで上昇しています。その後も上昇を続けています。

上のグラフは、起きている状態(活動時)で 歩行などの記録が無い〜緩やかな歩行運動 という際の心拍数を抽出し、その四分位値処理などを行って 日々の推移を見たモノです。
下のグラフは、睡眠時の心拍数を 四分位値処理をして 見える化したモノ。
 
グラフ中の どのデータも右肩上がりに上昇しています。
以上のことから 12/6に  注意 ということに。
 
このデータだけをみると、安静時心拍数のデータだけで  これを注意検知できたのでは?と考える方もおられると思うのですが、実は ?。
スマートウォッチ計測の安静時心拍数は、起床直後の心拍数を持って基本とし  その後 寝起き ボーっとしている時のデータで修正するという処理をする様です。この方  その寝起き前後で スマートウォッチを外すことがあるのか データが欠損することがある。また、睡眠に課題があり、途中覚醒などや 夜間頻尿の気があり、QoLを悪化させておられる。データ的には、それが  この秋だけ 収まっておられた様子だったので、安静時心拍数や 睡眠中心拍数統計処理の値から 注意判定ができたと考えています。
 
この方 今は 退院され、日頃のViSiDa解析の有り難味を理解して貰い、QoLを悪くしていた夜間頻尿に対して なんとか改善出来ないか!をラスト1マイルを担当されている看護師の方と二人三脚で 取り組むことになったそうです。
 
 
この2つの話しをして、
強い人工知能;AIは無い中、精度良く この辺の注意感知をしようとすると、どうしても 教師付きにして 学習データセットが必要になるので  そのための下準備をしているのが現状です!と その方には 伝えました。
すると、自分のデータも使ってくれ!とデータを渡されたので、観てみたのですが、1日あたりのスマートウォッチ装着時間が細切れで短く 兼 時刻がバラバラなために、この方の日常生活とは??? どうやって観るのが良いのか! 悩む羽目になってしまいました 笑。