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ねぇ たぬきち

ねぇ、たぬきち

僕はなんだか寂しくなってしまったよ。
あの頃は君がいつも店に立っていて、ずっとそばにいてくれたね。
色んな品物の相談もしたね。
一緒にお店だって大きくしたじゃないか。

なのに、君は今遠いところにいる。

案内所の向こう側だ。

君はいつも案内所の机の向こう側にいる。
花火大会の日だって、外に出てきてくれないじゃないか。
なんだか遠く感じるよ。
君から色んなものを買った日々が恋しくてたまらない。
また、あの時みたいに売りつけてくれよ。
家のローンもなんだかだんだん高くなっている気がするし。
インフラ整備だって毎回高額だ。
ビジネスだから仕方ないんだね。
君との関係は所詮ビジネスだったんだね。

僕は寂しい。
君と村で生きていたあの頃に戻りたい。
あの頃の君はもうここにはいないんだね。

島なんかに越してくるんじゃなかった。

一緒に戻ろう。僕らの村に。

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