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眼形成webセミナー講演しました。

先日、眼科関連の企業共催のもと、眼科医師向けに眼形成関連の話題でセミナー形式の講演をしました。学会などで話す機会はそれなりにありますが、webでの講演は初めての経験であり緊張しました。視聴して頂いた先生方には、改めまして御礼申し上げます。

題目は、”日常診療でよく出会う眼形成疾患の診断と治療”としまして、眼瞼下垂(まぶたが下がる)、眼瞼内反(逆さまつげ)、眼瞼腫瘤(目周りのしこり、イボ)、流涙症(なみだ目)における診断と治療のエッセンスについて40分間お話ししました。企業共催の講演会でしたが、話す内容は先生のお好きなように、とのことでしたので(講演会でよくあるのが、共催企業に関連のある話しに話題が限定されてしまうことも多い)、普段の学会などではあまり話さない(話せない??)ような当院での経験を色々とお伝えできたかと思います。

眼形成は眼科の専門分野の中でもニッチな領域であることは以前よりお伝えしていますが、日常の眼科診療において眼形成疾患についての診察や治療の機会は決して少なくはありません。例えば、眼科で日常的に行われている内眼手術(白内障手術や硝子体手術)の後、手術の後遺症として眼瞼下垂を発症してしまう確率は11.4%に達すると言われています。つまり、眼科手術を受けた10名のうち、少なくとも1名は手術前よりもまぶたが落ちてしまっているということになります。また、長期間のコンタクトレンズ装用が眼瞼下垂を発症するのはよく知られた事実ですが、その頻度はハードレンズ装用者では17倍の発症リスク、ソフトレンズ装用でも8倍のリスクがあるとされています(未装用者との比較)。コンタクトレンズが市場に出回るようになってかれこれ30~40年以上経過していることを考えると、眼瞼下垂の患者さんは今後も増加の一途をたどることが予想されます。

また、治療面においても眼形成のテクニックが役に立つ場面は多くあります。まぶたの炎症や涙目に点眼や眼軟膏を長期間処方されるも改善しない患者さんに対して、シンプルなまぶたの皮膚切除をおこなうだけで長らく悩まされていたつらい症状から解放されるといった例や、一重まぶたの若い患者さんに対する重瞼術(二重手術)がクリアな視界をもたらす、といったことも日常的には良く経験されます。

誤解を恐れずに言えば、多くの眼科医がこういった事実や治療の可能性に気付けていない(もしくは重要視していない)、残念ですが、眼科医療の現状と思われます。裏を返すと、このことは他の眼科医や患者さんに広く情報発信できていない、我々(眼形成外科医)の責任ともいえると思います(反省・・・)。

まぶたの疾患や涙目など永らく悩んでおられる方々へ、適切なアドバイスが届く機会が増えるように、今後も講演や執筆活動を精力的に続けていきたいと思います。

まつだ眼科形成外科 https://gankeisei.net

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