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カスハラに思うこと

カスハラ、が年々問題になっていますね。

「お客様は神様です」

は少々時代錯誤に思われる今の時代。

顧客もスタッフもフェアに関わるのが今のやり方だと思います。
日経新聞に面白い記事がありました。

一部を引用すると、

悪質なクレームをつけた経験のある924人のうち、年齢では「45~59歳」、年収は「1000万円台」が目立った。職業は経営者・役員、自営業が多いことが分かった。
相対的に社会的地位が高く、サービスへの要求水準の厳しい人物が仕事でのストレスや不満を発散する実態も透ける。

10月18日 日経新聞より一部抜粋

とのことです。

誤解を恐れずに言えば、この傾向は時々不妊治療の現場でも見えます。
保険診療化で敷居が下がったとはいえ、不妊治療を行う人の多くは世帯年収が高い方が多い印象です。

卵子凍結を行う方にもその傾向はあるかもしれませんね。
意識が高く、それだけ経済的な余裕がなければ、そもそも卵子凍結はできませんからね。

年収が高い人が、大変な仕事の中で様々な制約を受けながら、ストレスを抱えているのは想像しやすいものです。

しかしながら、医療者もまた、様々な事情とプライベートの都合を抱えながらサービスに当たっています。

ですから、ハラスメントと思われるような対応をしてくる患者さんには、
医療サービスを提供しない権利もあるのではないかと、個人的には考えます。

例えば、今月採卵をしたいと考えている方がいて、病院の診療時間は17時までだとします。
大事な会議で、仕事が長引いたから、17時半になるという連絡が来て、それを許してしまった場合、他の患者さんは一体どうなるのでしょう。

それぞれが予定を調整して、お互いの制約の中で、時間を守って、サービスが成立しています。

この人がいかに特別だと言って、これを許したのでは、倫理的にもおかしなことになります。

よくVIP対応というのがありますが、VIP対応を求めるのであれば、お支払いいただく費用もまたVIP相応でなければいけません。

多くの医療機関には、そのような二重の価格設定はありませんので、現実的に特別扱いをするというのは難しいのです。

ホテルでも一般客室とVIPの客室には驚くような差があります。
その差があってこその対応の違いではないかと思うのです。

ただ、例えば、わずか5分だけ遅れるとか、そういうような場合もあるでしょう。

この時、たった5分くらいいいか、と思うかどうかは、おそらく関係性によるものだと思います。

提供者・被提供者といっても、お互い「生物(なまもの)」ですから、そうした中で築き上げてきた人間関係があります。
その中で「この人ならいいか」と思ってもらえたら、このわずか5分の特別な配慮が生まれうる可能性はあります。
ただ、この5分を認めないということに、提供者側の非はない、と僕自身は思います。

ハラスメント、というのは個人的には、迷惑な行為かつ、提供者と被提供者がアンバランスな状態に陥っていることを指すものだと解釈しています。

願わくば、ハラスメントなどと無縁な消費者でいたいです。

※ここでの記載はあくまでも個人的な発言・思考であり、所属先は一切関係がないことを記しておきます※

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