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場所を変えなきゃ見えねえ景色があるんだ

このセリフをご存知の方は、相当ワンピースファンだと思います。
私もワンピースとともに青春を過ごし、成長をしてきた人間ですので、
もちろん、このセリフは大好きだし、このシーンも大好きです。

ワンピースの世界には様々な立場の人間がいます。
主人公のルフィを軸とした海賊たちの中でも敵味方があり、
もっと大きい枠組みでいうと世界政府、天竜人、海軍、革命軍など。
人種でも差があり、奴隷もいます。
単純なバトル漫画として読むこともできるけれど、現代社会の縮図とも読み取れるような立場や思想の対立が描かれていて、大人でも楽しめてしまうというのはそのためだと思います。

立場や思想、歴史の違いを緻密に描きながら、正義というものがあるようでないような、描き方をしているのが凄まじいです。
そういう細かいことはわからないけれど、人として正しいのが主人公ルフィの人物像なのではないかなと思います。

さて、ワンピース談義がしたいわけではないので、話を本筋に戻すと、
不妊治療界隈でSNSなどをしていて感じるのがまさにこの感覚なんです。

医療者という立場、患者さんという立場。
中には医療者であり、患者でもあるという人もいると思います。
でもその医療者&患者のポジションの人もまた、純粋な医療者ではなく、患者さんでもない、という難しいバランスがあります。
患者さんの中にも一人目の不妊治療をされている方もいれば、二人目不妊治療をされている方がいて、ここもまた違う。

まさに、場所を変えなきゃ見えない景色があるんだ、ということです。
想像することを諦めてはいけませんが、その場所に立つことができない私は、本当にその人のことを理解することはできないわけです。
こっちの世界はこうなんだ!といくら主張しても伝わることは期待できない。だから相手の声に耳を傾ける必要があるんじゃないかなと。

昨今のSNSはどうしても発信が軸になってます。
匿名性もあり、その人のバックグラウンドが不明なまま、言葉が独り歩きすることも多いし、歯が浮くようなこと言ってる人もたくさんいます。
憂さ晴らしというか、ストレス発散のツール色がどんどん強くなっているよなと感じますね。

私自身はこういう仕事なので、様々な場面で接点を持つことがあります。
その時、一番気をつけることは、「知った気にならない」ことです。
特に相手の気持ちや状況を、知った気にならないこと。
相手が話してくれた言葉や表情から、その人のことを想像する。
この当たり前を忘れないようにしたいなと思います。
空っぽの自分の器に、相手の情報を入れて、理解することが大事。

わかってくれよ、ではなくて、わかるようになりたい、だから教えてほしいと思うんだなと。

他人を完全に理解できるなんて思っていないし、自分が正しいなんて思わないことです。

違う立場にいて、違うものの見え方があるから、多様なわけだし、肯定も否定もする必要はないんだってことをもっと深く理解したいなと思います。

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