原因不明性不妊の方の慢性子宮内膜炎治療について
今週は、子宮側の不妊原因に着目して紹介しています。
引き続き慢性子宮内膜炎についての、紹介です。
今回の研究では、原因不明不妊症で妊娠に至らない患者95名を対象としています。3つのグループに分けて比較検討しています。
Group1
子宮鏡検査で慢性子宮内膜炎の所見無し(41名、平均32.2歳)、
Group2
慢性子宮内膜炎の所見有り、抗生剤で治癒(38名、平均32.6歳)、
Group3
慢性子宮内膜炎の所見有り、抗生剤で治癒せず(15名、平均30.8歳)
に分け、その後の妊娠率を比較した。
結果は
慢性子宮内膜炎の罹患率は56.8%であった。
82.3%の患者は抗生剤投与により、治癒した。
細菌培養では Enterococcus faecalis(腸球菌の1種)23.5%、大腸菌20.5%、B群連鎖球菌14.7%と多かった。
1年間での累積妊娠率は
Group2(慢性子宮内膜炎の所見有り、抗生剤で治癒):76.3%
Group3(慢性子宮内膜炎の所見有り、抗生剤で治癒せず):20%
Group1(慢性子宮内膜炎の所見無し):9.5%累積妊娠率は
Group2:65.8%
Group3:6.6%
Group1:4.8%
と報告しており、慢性子宮内膜炎は不成功を繰り返す原因不明不妊に高頻度で存在し、治療できれば高い妊娠率が期待できると結論づけています。
こうした結果からも慢性子宮内膜炎が、着床不全と強い関係がありそうなことは、多くの医療者の間でのコンセンサスになっているのではないかと思いますが、その診断方法と治療法については、まだまだコンセンサスが得られていません。
その点も今後紹介していきたいと思います。
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