倫理委員会について
先日、倫理委員会がありました。
倫理委員会では、新たな治療の導入に際しての検討、前向き研究に関する検討、後方視的研究の検討というのを主に行います。
新たな治療の導入に際しての検討
わかりやすい例でいえば、PGTであったり、PRPの子宮内注入などがこれにあたります。
臨床の場で新たに治療を導入する場合、その治療技術がそもそも価値のあるものなのか、安全性はどうなのか。どのように評価するのか。
患者さんの立場で説明書は誤解なく解釈できるようになっているか、同意の撤回の機会をしっかりと与えられているか、などを細かく審議します。
前向き研究
前向き研究というのは、簡単に言えば、過去のデータを使うのではなく、これから新しく行う研究です。
例えば、クロミッドとレトロゾールをそれぞれつかって卵巣刺激をした時に、どちらがより良好な受精卵を得られるかを検討する、というようなものなんかが良い例です。
ランダム化、対象の選別、N数の設定、評価指標、中間報告の方法なども細かく審議をされます。
正直なところこれが一番大変です。
後ろ向き研究
後ろ向き研究というのは、これまでの診療記録やデータを振り返って、統計したり、成績を検討するようなもので、患者さんへの侵襲(負担)がほぼないものです。
これは大きな負担にはならないです。
そんな検討を僭越ながら一手に担って担当しています。
ちなみに、倫理委員会というのは、厳格に構成要件と目的が定められています。
私は、この仕事に関わるようになってから、なぜか倫理委員会の主担当になりましたが、とても重大な任務であり、それでいて学びが深い仕事です。
実際、私が担当する倫理委員会には、人間科学、法律、児童福祉、生殖医療、基礎研究、一般、遺伝の専門家が外部の委員として参加してくださっていて、男女も半々です。
大学と共同研究を行うこともありますが、その大学の先生方も、一般の倫理委員会でこんなにしっかりしていると思わなかったと驚かれるほど、素晴らしい方々に恵まれています。
新たな研究や治療を行う上で、医療者が自分本位に物事をすすめることがないように、患者さんの立場で見た時に不利な要件になっていないか、
研究を行う場合には、せっかくの患者さんの参加が良い成果に結びつくような良好なデザインになっているかということを厳しく1日かけて審議します。
先日、新たに看護師さんが内部委員として参加しましたが、そのボリュームとクォリティにとても驚いていました。
研究を担当していない人からすると、全く別次元での出来事のようですね。
このような情報はあまり表に出ることがないですし、価値があるのかはわかりません。
ただ、新しく治療を行えるようにする、新しい研究を計画する、
ということは、実は後ろにものすごいサポートしてくださる方々がいて、
その上で実現していることだというのが、特に医療者の方には伝わっていてほしいなと思っています。
よろしければサポートをお願いします! 主に、不妊治療や若年がん患者の方の妊孕性温存に関する情報収集の書籍代や活動費用に充てさせていただきます。