見出し画像

日本酒は何で辛口がうまいと思うんですか?その2

辛口の日本酒がうまい。という思い込みはTVCMの影響もあるんじゃないか。またそもそも日本酒は甘口なんだよ。というお話を前回致しましたが、辛口がうまいと思い込んでいる理由は他にも色々あるんじゃなかろうか。例えば越の寒梅に端を発した地酒ブームで、新潟の酒が特に注目されるようになりました。三増酒がまだ幅を利かせていた時代にもそのような酒を造ることなく量が造れないなら質で勝負という酒造りを「酒」という雑誌の編集長であった佐々木久子さんが越の寒梅を取り上げた事がきっかけです。

そこから新潟の酒はうまい。新潟は日本酒消費量が全国一位なんだから。コレがスタンダードなのだ。と思ってしまう。皆さんご存知の新潟の酒、八海山・久保田・峰の白梅など、いずれも淡麗にしてキレの良いお酒です。東京にそれが広まると、これがうまい日本酒なんだ。という事になり、辛口でなければ酒でない。という感じになったのかもしれないし、

更に拍車をかけたのは辛口を全面に押し出して全国制覇したアサヒスーパードライの影響もあるような気がします。それまではキリンビールの独壇場だったビール市場。苦味やコクのあるビールから、スッキリとした味わいをのビールで瞬く間にビール市場を席巻し、平成13年からトップを走り続けています。このビールの味わいを表現したのが「辛口」で、辛口の酒がうまいんだと言う後押しになっているのかもしれません。

ワインも実は辛口が多いんです。特に赤ワインはそうです。ワインをイメージした時に白ワインやロゼを思い浮かべる人はちょっと少ないですよね。やっぱりあのワインレッドをイメージするでしょうし、その味わいがほぼ辛口となると、酒って糖質の少ないものがうまいんじゃないの?という思考回路になるということも、もしかしたら影響しているのかも。

辛口の酒を否定はしません。実際美味しいお酒もいっぱいありますから。ただあまりにも辛口信仰が過ぎるぜ。と酒屋の親父は思う訳です。甘口と聞いただけで要らないという人が結構多いのがホントのところ。美味しいお酒と出会うチャンスを逃してるし、頭から否定されると悲しいですね。

ぶっちゃけた話日本酒の売り場。百貨店でもスーパーでもいいです。大半が辛口に属しますので、甘口の酒を探す方が実は難しかったりするんですよ。だから何飲んだって大体当たりなわけです。辛口辛口と言わなくたって。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?