がんのゲノム検査

2種類ある“遺伝子検査”
がんを治癒へ導くためのもっとも確実な方法は、いうまでもなく“早期発見・早期治療”です。早期発見の主力は画像診断や臨床検査ですが、最近は“遺伝子検査”の発達により、それらの検査で発見される以前、つまり、病気のリスクの段階で発見されるようになってきました。

人間の遺伝子が解読されたのは、おおよそ10年ほど前。以後の遺伝子医学には目を見張るものがあり、かつては200万円~300万円かかっていた遺伝子検査が、ほんの数万円でできるようになってきました。

遺伝子検査は大きく2つに分けられるといいます。親から受け継いだがんリスクを診断する「DNA検査」と、生活習慣などが原因で後天的に生じたがんリスクを診断する「RNA検査」です。ちなみに、がんの約18%は遺伝的なリスク、約82%は後天的リスクで発症するといいます。

東洋医学には“未病”という概念があります。病気を発症前の“種”のような状態で発見し、現実の病気になる前に治療するという考え方ですが、遺伝子検査の発達により、その究極の予防法がまさに実現されつつあるわけです。

DNA検査は多くの医療機関で実施しており、方法も唾液や頬の内側の粘膜を摂取するだけなので、誰でも気軽に受診できるでしょう。DNA検査で判明した遺伝的な病気リスクは生涯変動しませんので、一生に一度の受診で大丈夫です。

RNA検査には血液の採取が必要になりますが、20mlほどですので体への負担はほとんどありません。現時点、すなわち、リアルタイムでの病気リスクがわかる大変実践的な検査ですが、現在のところがんに限っていえば“胃がん”や“大腸がん”など限られたがんしか予測できません。しかし、この分野は急速に発展しておりますので、近い将来あらゆるリスクが特定されるようになるでしょう。

遺伝子検査で“がんリスク”を診断

一人ひとりの遺伝子異常に基づく治療法を推奨する
「がんゲノム医療」とは?