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【中止】7/1(金)21:00~ フリトーク「養子」/【中止】7/2(土)10:00~ フリダンス「フリー選曲」/【中止】7/2(土)21:00~深会「ベイビー・ブローカー」

映画「ベイビー・ブローカー」を観ると、養子縁組という制度について考えざるを得なくなる。とある若い母親が我が子を赤ちゃんポストの前に置いたことから、この物語は始まる。以前から、この赤ちゃんポストを利用した人身売買の疑惑を捜査していた警察は、親切心から、その子を赤ちゃんポストの中に入れる(赤ちゃんポストの中に入れると、室内に知らせが入り、担当の係員が回収という仕組みになっているので、中に入れないとそのまま放置され、最悪、死に至る可能性がある。警察としても、人身売買の証拠を抑えて現行犯逮捕するために、その子が売買された方が都合が良かったりもする。)室内に居た男二人は、予定通り、その子を養子縁組を希望する人々(韓国における2012年の入養特例法改正以降、正式な養子縁組は難しくなっている)に売買しようとする。しかし、その後、母親が、子を取り戻そうとしたことで、関わる人々の歯車が狂っていく…。

母親には、とある事情があり、我が子を赤ちゃんポストに預けざるを得なくなる。その父親となるべき存在から中絶を強いられたにも関わらず、出産し、そして、生まれた子を養子に出そうとする。本作では、養子縁組を望むカップルが何組も登場する。カップルそれぞれにも養子縁組を望む理由がある。そして、正式なルートでは、それが出来ない理由があるカップルも。

養子縁組という制度を利用して、上手くいく親子関係もあれば、事件に発展する親子関係もある。しかし、それは、血を分け合った親子関係でも同じこと。その制度自体には罪は無いだろう。(悪用する存在には罪があるが。)

正式なルートであろうが、不法なルートだろうが、養子であること、もしくは、養子を迎えることに後ろめたさを持つような社会は間違っている。本作の「ママ」のように「養子もどき」を売春に悪用するような場合も、「ママ」は断罪されるべきだが、その子どもは、むしろ公的な救済が必要な存在だ。養子縁組に纏わる人々を多面的に見られることこそが、本作の1つの意義とすら思う。

養子であること、養母父であることを、自ら明らかにしたくなった時に、何の気兼ねもなく話せるような社会になることを願っている。(そして、これは是枝監督の前作『万引き家族』にも通じる。万引きは断罪されるべきだが、万引き家族が断罪されない法制度が必要だとも思う。)

だが、今は、まだ、そのような社会にはなっていないだろう。Eテレ「ねほりんぱほりん」でも「養子」がテーマとして扱われた。

「養子」 - ねほりんぱほりん - NHK https://www.nhk.jp/p/nehorin/ts/N1G2WK6QW5/episode/te/KG159MJ1GJ/

養子であることを明かした上で語り合いたいが、自分自身の名前が明らかになると問題がある人も居るだろう。そんな時の匿名Zoom。匿名だからこそ、養子同士、養母父同士だからこそ話せることがあるだろう。

だが、今回も中止。